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     8. Kulagharaṇīsuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kula    a 依(属) 家、良家、族姓  
      gharaṇī    ī 依(属) 家婦、姑 →家婦  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「家婦経」(『相応部』9-8  
                       
                       
                       
    228-1.                
     228. Ekaṃ samayaṃ aññataro bhikkhu kosalesu viharati aññatarasmiṃ vanasaṇḍe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekaṃ samayaṃ aññataro bhikkhu kosalesu viharati aññatarasmiṃ vanasaṇḍe. (226-1.)  
      aññataro    代的 とある、随一の  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
    訳文                
     あるとき、とある比丘が、コーサラ国のとある密林に住していた。  
                       
                       
                       
    228-2.                
     Tena kho pana samayena so bhikkhu aññatarasmiṃ kule ativelaṃ ajjhogāḷhappatto viharati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      aññatarasmiṃ    代的 とある  
      kule    a 家、良家、族姓  
      ativelaṃ    不変 過度の、長期の  
      ajjhogāḷha  adhi-ava-gāh? 過分 a 依(対) 潜入した、深く入った  
      patto  pra-āp 過分 a 得達した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati.  vi-hṛ 住する  
    訳文                
     さてその時、その比丘は、とある家に過度に立ち入ることを許されるようになっていた。  
                       
                       
                       
    228-3.                
     Atha kho yā tasmiṃ vanasaṇḍe adhivatthā devatā tassa bhikkhuno anukampikā atthakāmā taṃ bhikkhuṃ saṃvejetukāmā yā tasmiṃ kule kulagharaṇī, tassā vaṇṇaṃ abhinimminitvā yena so bhikkhu tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha kho yā tasmiṃ vanasaṇḍe adhivatthā devatā tassa bhikkhuno anukampikā atthakāmā taṃ bhikkhuṃ saṃvejetukāmā yā tasmiṃ kule kulagharaṇī, tassā vaṇṇaṃ abhinimminitvā yena so bhikkhu tenupasaṅkami; (226-1.)  
      tassa    代的 それ、彼  
      bhikkhuno  bhikṣ u 比丘  
      taṃ    代的 それ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
          代的 (関係代名詞)  
      tasmiṃ    代的 それ、彼  
      kule    a 家、良家、族姓  
      kula    a 依(属) 家、良家、族姓  
      gharaṇī,    ī 家婦、姑 →家婦  
      tassā    代的 それ、彼女  
      vaṇṇaṃ    a 色、容色  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhinimminitvā  abhi-nir-mā 化作する、創造する  
      語根 品詞 語基 意味  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
    訳文                
     そこで、その密林に住んでいる神霊が、その比丘に対して憐愍をもち、利益することを欲し、その比丘を神妙にさせることを欲して、その家における家婦、その姿を化作して、その比丘へ近づいた。  
                       
                       
                       
    228-4.                
     upasaṅkamitvā taṃ bhikkhuṃ gāthāya ajjhabhāsi –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      taṃ    代的 それ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      gāthāya    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     近づいて、その比丘へ偈をもって語りかけた。  
                       
                       
                       
    228-5.                
     ‘‘Nadītīresu saṇṭhāne, sabhāsu rathiyāsu ca;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Nadī    ī 依(属)  
      tīresu    a  
      saṇṭhāne,  saṃ-sthā a 形、燃料、休息所  
      sabhāsu    ā 会堂、集会所  
      rathiyāsu    ā 車道、街道、道路  
      ca;    不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     「♪川岸で、休憩所で、会堂で、また道路で、  
                       
                       
                       
    228-6.                
     Janā saṅgamma mantenti, mañca tañca [tvañca (ka.)] kimantara’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Janā    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      saṅgamma  saṃ-gam 集合する、会合する  
      mantenti,  mant 考量、相談、助言、密語する  
      語根 品詞 語基 意味  
      mañ    代的  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      tañ    代的 あなた  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      kim    代的 何、なぜ、いかに  
      antara’’n    名形 a 内の、機会、障碍  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪人々は陰口をたたく。私について、またあなたについて、『いかなるわけか』と」  
    メモ                
     ・Kimantaranti kiṃ kāraṇaṃ? という『註』の解説に従った。  
                       
                       
                       
    228-7.                
     ‘‘Bahūhi saddā paccūhā, khamitabbā tapassinā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Bahūhi    u 多くの  
      saddā    a 音、声、語  
      paccūhā,  vah a 障碍、反対  
      khamitabbā  kṣam 未分 a 堪え忍ばれるべき  
      tapassinā;  tap 名形 in 苦行者  
    訳文                
     〔比丘曰く〕「♪多くの者たちによる声は障碍であり、行者は堪え忍ばなくてはならない。  
                       
                       
                       
    228-8.                
     Na tena maṅku hotabbaṃ, na hi tena kilissati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Na    不変 ない  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      maṅku    u 赤面の、当惑した  
      hotabbaṃ,  bhū 未分 a なるべき  
      na    不変 ない  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kilissati.  kliṣ 染まる、汚れる、ぬれる  
    訳文                
     ♪それによって当惑すべきでない。なぜなら、それによって汚染されるわけではないのだから。  
                       
                       
                       
    228-9.                
     ‘‘Yo ca saddaparittāsī, vane vātamigo yathā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yo    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      sadda    a 依(具) 音、声、語  
      parittāsī,  pari-tras in 恐怖ある、震える  
      vane    a 森、林  
      vātamigo    a かもしか、羚羊  
      yathā;    不変 〜のごとくに、〜のように  
    訳文                
     ♪林の羚羊のように、声におびえるような者、  
                       
                       
                       
    228-10.                
     Lahucittoti taṃ āhu, nāssa sampajjate vata’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Lahu    u 有(持) 軽い、早い  
      citto  cit a 中→男  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      taṃ    代的 それ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āhu,  ah いう  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      assa    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sampajjate  saṃ-pad 起こる、なる、成功する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vata’’n    a 男中 禁戒、誓戒、義務、徳行  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪その者を、心の軽い者というのである。彼には誓戒が成就することはない」  
    メモ                
     ・わかりにくいやりとりであるが、『註』によれば神霊はその家と比丘が過度に懇意であることを心配して警告したが、比丘は漏尽者であったため意に介さなかった、という事であるらしい。  
                       
                       
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