←前へ   トップへ   次へ→
                       
                       
     10. Bhikkhakasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Bhikkhaka  bhaj 意 a 依(属) 人名、ビッカカ(乞求者の意)  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「ビッカカ経」(『相応部』7-20  
                       
                       
                       
    206-1.                
     206. Sāvatthinidānaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sāvatthi    ī 有(処) 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      nidānaṃ.    a 因縁、因由  
    訳文                
     サーヴァッティーでのことである。  
                       
                       
                       
    206-2.                
     Atha kho bhikkhako brāhmaṇo yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhako  bhaj 意 a 人名、ビッカカ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに、ビッカカ婆羅門が、世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    206-3.                
     upasaṅkamitvā bhagavatā saddhiṃ sammodi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavatā    ant 世尊  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodi.  saṃ-mud 相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     近づいて、世尊と挨拶した。  
                       
                       
                       
    206-4.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わして、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    206-5.                
     Ekamantaṃ nisinno kho bhikkhako brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhako  bhaj 意 a 人名、ビッカカ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐ったビッカカ婆羅門は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    206-6.                
     ‘‘ahampi kho, bho gotama, bhikkhako, bhavampi bhikkhako, idha no kiṃ nānākaraṇa’’nti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘aham    代的  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama,    a 人名、ゴータマ  
      bhikkhako,  bhaj 意 名形 a 乞求者  
      bhavam  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bhikkhako,  bhaj 意 名形 a 乞求者  
      idha    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      no    代的 私たち  
      kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      nānā    不変 種々の  
      karaṇa’’n  kṛ a 所作、遂行 →殊異  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者ゴータマよ、私も乞求者であり、尊者も乞求者です。ここに、我々にいかなる違いがあるのでしょうか」と。  
                       
                       
                       
    206-7.                
     ‘‘Na tena bhikkhako hoti, yāvatā bhikkhate pare;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      bhikkhako  bhaj 意 名形 a 乞求者  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti,  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yāvatā    不変 〜所のそれだけで、〜である限り  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhate  bhaj 意 乞求する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pare;    代的 他の  
    訳文                
     〔世尊曰く〕「♪他者たちへ乞求するだけの、そのことによって乞求者となるのではない。  
                       
                       
                       
    206-8.                
     Vissaṃ dhammaṃ samādāya, bhikkhu hoti na tāvatā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vissaṃ    a 男中 生臭い、かび臭い  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samādāya,  saṃ-ā-dā 取る、受け取る、受持する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      tāvatā.    不変 それだけ、そのために、かくて  
    訳文                
     ♪生臭き法を受持するなら、それだけで比丘とはならない。  
                       
                       
                       
    206-9.                
     ‘‘Yodha puññañca pāpañca, bāhitvā brahmacariyaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yo    代的 (関係代名詞)  
      idha    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      puññañ    a 福徳、功徳  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pāpañ    名形 a  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bāhitvā    排斥する、拒絶する  
      語根 品詞 語基 意味  
      brahmacariyaṃ;  bṛh, car a 梵行  
    訳文                
     ♪この世で善と悪をしりぞけ、梵行を、  
                       
                       
                       
    206-10.                
     Saṅkhāya loke carati, sa ve bhikkhūti vuccatī’’ti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Saṅkhāya  saṃ-khyā 考える、考量する  
      語根 品詞 語基 意味  
      loke    a 世界、世間  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      carati,  car 行ずる  
      語根 品詞 語基 意味  
      sa    代的 それ、彼  
      ve    不変 じつに  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuccatī’’  vac 受 いわれる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪考量して世に行ずる、その者が比丘と言われるのである」  
                       
                       
                       
    206-11.                
     Evaṃ vutte, bhikkhako brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a いわれた  
      bhikkhako  bhaj 意 a 人名、ビッカカ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      語根 品詞 語基 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このように言われたビッカカ婆羅門は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    206-12.                
     ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama, abhikkantaṃ, bho gotama…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘abhikkantaṃ,  abhi-kram 名過分 a 偉なるかな、奇なるかな、希有なり、素晴らしい  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama,    a 人名、ゴータマ  
      abhikkantaṃ,  abhi-kram 名過分 a 偉なるかな、奇なるかな、希有なり、素晴らしい  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama…pe…    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     「素晴らしい、尊者ゴータマよ。素晴らしい、尊者ゴータマよ……  
                       
                       
                       
    206-13.                
     upāsakaṃ maṃ bhavaṃ gotamo dhāretu ajjatagge pāṇupetaṃ saraṇaṃ gata’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      upāsakaṃ  upa-ās a 優婆塞  
      maṃ    代的  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dhāretu  dhṛ 使 持たせる、保持する、憶持する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ajja    不変 今日、今  
      agge    a 第一、最高、最上、首位、頂点 →今日以降  
      pāṇa  pra-an a 依(対) 生類、生命  
      upetaṃ  upa-i 過分 a そなえた、具備した →命ある限り  
      saraṇaṃ  sṛ a 帰依処  
      gata’’n  gam 過分 a 行った →帰依した  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ……尊者ゴータマは私を、今日以降、命ある限り帰依をなした優婆塞であるとご記憶下さい」と。  
                       
                       
  ←前へ   トップへ   次へ→
inserted by FC2 system