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     7. Navakammikasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Navakammika  kṛ a 依(属) 人名、ナヴァカンミカ  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「ナヴァカンミカ経」(『相応部』7-17  
    メモ                
     ・ナヴァカンミカはnava-kammikaで「修繕士」といった意味。また『パーリ』の自注によればvana-kammikaの異体として「林業者」の意もあるとか。  
                       
                       
                       
    203-1.                
     203. Ekaṃ samayaṃ bhagavā kosalesu viharati aññatarasmiṃ vanasaṇḍe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      kosalesu    a 地名、コーサラ国  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      aññatarasmiṃ    代的 とある  
      vana    a 依(属) 森、林  
      saṇḍe.    a 群、集 →密林  
    訳文                
     あるとき世尊はコーサラ国のとある密林に住しておられた。  
                       
                       
                       
    203-2.                
     Tena kho pana samayena navakammikabhāradvājo brāhmaṇo tasmiṃ vanasaṇḍe kammantaṃ kārāpeti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      navakammika  kṛ a 人名、ナヴァカンミカ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      tasmiṃ    代的 それ、彼  
      vana    a 依(属) 森、林  
      saṇḍe    a 群、集 →密林  
      kammantaṃ  kṛ a 業、作業、業務、家業、職業  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kārāpeti.  kṛ 使 なさしめる  
    訳文                
     さてそのとき、ナヴァカンミカ・バーラドヴァージャ婆羅門が、その密林で仕事をなさしめていた。  
                       
                       
                       
    203-3.                
     Addasā kho navakammikabhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ aññatarasmiṃ sālarukkhamūle nisinnaṃ pallaṅkaṃ ābhujitvā ujuṃ kāyaṃ paṇidhāya parimukhaṃ satiṃ upaṭṭhapetvā.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Addasā  dṛś 見た  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      navakammika  kṛ a 人名、ナヴァカンミカ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      aññatarasmiṃ    代的 とある  
      sāla    a 依(属) サーラ樹  
      rukkha    a 依(属) 木、樹木  
      mūle    a  
      nisinnaṃ  ni-sad 過分 a 坐った  
      pallaṅkaṃ    a 椅子、寝台、跏趺  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ābhujitvā  ā-bhuj 組む、結ぶ、曲げる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ujuṃ    不変 正しい、まっすぐ  
      kāyaṃ    a 身体  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṇidhāya  pra-ni-dhā 前に置く、定置する、願う  
      語根 品詞 語基 意味  
      parimukhaṃ    a 副対 面前の、前に  
      satiṃ  smṛ i 念、憶念、正念  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upaṭṭhapetvā.  upa-sthā 使 起こす  
    訳文                
     ナヴァカンミカ・バーラドヴァージャ婆羅門は、とあるサーラ樹の根元で結跏趺坐を組み、身を真っ直ぐに定置して、前面に念を起こして坐った世尊を見た。  
                       
                       
                       
    203-4.                
     Disvānassa etadahosi –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Disvāna  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      assa    代的 これ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi –  bhū ある、なる  
    訳文                
     見て、彼にこの〔思い〕がおこった。  
                       
                       
                       
    203-5.                
     ‘‘ahaṃ kho imasmiṃ vanasaṇḍe kammantaṃ kārāpento ramāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ahaṃ    代的  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      imasmiṃ    代的 これ  
      vana    a 依(属) 森、林  
      saṇḍe    a 群、集 →密林  
      kammantaṃ  kṛ a 業、作業、業務、家業、職業  
      kārāpento  kṛ 使 現分 ant なさしめる  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ramāmi.  ram 楽しむ、喜ぶ  
    訳文                
     「私はこの密林で仕事をなさしめて喜んでいる。  
                       
                       
                       
    203-6.                
     Ayaṃ samaṇo gotamo kiṃ kārāpento ramatī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ayaṃ    代的 これ  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      kārāpento  kṛ 使 現分 ant なさしめる  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ramatī’’  ram 楽しむ  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     この沙門ゴータマは、何をなさしめて喜んでいるのであろうか」と。  
                       
                       
                       
    203-7.                
     Atha kho navakammikabhāradvājo brāhmaṇo yena bhagavā tenupasaṅkami.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      navakammika  kṛ a 人名、ナヴァカンミカ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami.  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこでナヴァカンミカ・バーラドヴァージャ婆羅門は、世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    203-8.                
     Upasaṅkamitvā bhagavantaṃ gāthāya ajjhabhāsi –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      gāthāya    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     近づいて、世尊へ偈をもって語りかけた。  
                       
                       
                       
    203-9.                
     ‘‘Ke nu kammantā karīyanti, bhikkhu sālavane tava;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ke    代的 何、誰  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kammantā  kṛ a 業、作業、業務、家業、職業  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      karīyanti,  kṛ 受 なされる  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      sāla    a 依(属) サーラ樹  
      vane    a 森、林  
      tava;    代的 あなた  
    訳文                
     「♪比丘よ、サーラ林で、いかなるあなたの仕事がなされているのか。  
                       
                       
                       
    203-10.                
     Yadekako araññasmiṃ, ratiṃ vindati gotamo’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yad    代的 (関係代名詞)  
      ekako    a 一つの、単一の  
      araññasmiṃ,    a 林野、閑林  
      ratiṃ    i 楽、喜楽  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vindati  vid 知る、見出す、所有する  
      語根 品詞 語基 意味  
      gotamo’’    a 人名、ゴータマ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪ゴータマが閑林で一人、喜びを見いだすような〔仕事が〕」と。  
                       
                       
                       
    203-11.                
     ‘‘Na me vanasmiṃ karaṇīyamatthi,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      me    代的  
      vanasmiṃ    a 林野、閑林  
      karaṇīyam  kṛ 名未分 a なされるべきこと  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi,  as ある、なる  
    訳文                
     〔世尊曰く〕「♪私には、林においてなすべき事はない。  
                       
                       
                       
    203-12.                
     Ucchinnamūlaṃ me vanaṃ visūkaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ucchinna  ud-chid 過分 a 有(持) 断たれた  
      mūlaṃ    a  
      me    代的  
      vanaṃ    a  
      visūkaṃ;  vi-śuṣ a 見世物、演芸/乾燥した、干上がった?  
    訳文                
     ♪私の林は、根を断たれ、干上がっている。  
    メモ                
     ・visūkaṃを『南伝』、『原始』は「藪」と訳す。twistingの義からの連想か。ここではおそらく『パーリ』がしているのと同じくvisukkhaの異体と見た。  
     ・ニカーヤでは、林はしばしば煩悩の暗喩である。  
                       
                       
                       
    203-13.                
     Svāhaṃ vane nibbanatho visallo,  
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      ahaṃ    代的  
      vane    a 森、林  
      nibbanatho    a 無稠林、無欲  
      visallo,    a 矢なき、煩悩なき  
    訳文                
     ♪それで私は、林において欲なく、煩悩なくして、  
                       
                       
                       
    203-14.                
     Eko rame aratiṃ vippahāyā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Eko    代的 一、とある  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      rame  ram 楽しむ  
      語根 品詞 語基 意味  
      aratiṃ  a-ram i 不快、不楽  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vippahāyā’’  vi-pra-hā 捨てる、放棄する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪不楽を捨ててひとり楽しむ」  
                       
                       
                       
    203-15.                
     Evaṃ vutte, navakammikabhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a いわれた  
      navakammika  kṛ a 人名、ナヴァカンミカ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このように言われて、ナヴァカンミカ・バーラドヴァージャ婆羅門は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    203-16.                
     ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘abhikkantaṃ,  abhi-kram 名過分 a 偉なるかな、奇なるかな、希有なり、素晴らしい  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama…pe…    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     「素晴らしい、尊者ゴータマよ……  
                       
                       
                       
    203-17.                
     upāsakaṃ maṃ bhavaṃ gotamo dhāretu ajjatagge pāṇupetaṃ saraṇaṃ gata’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      upāsakaṃ  upa-ās a 優婆塞  
      maṃ    代的  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dhāretu  dhṛ 使 持たせる、保持する、憶持する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ajja    不変 今日、今  
      agge    a 第一、最高、最上、首位、頂点 →今日以降  
      pāṇa  pra-an a 依(対) 生類、生命  
      upetaṃ  upa-i 過分 a そなえた、具備した →命ある限り  
      saraṇaṃ  sṛ a 帰依処  
      gata’’n  gam 過分 a 行った →帰依した  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ……尊者ゴータマは私を、今日以降、命ある限り帰依をなした優婆塞であるとご記憶下さい」と。  
                       
                       
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