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     5. Mānatthaddhasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Mānatthaddha    a 依(属) 人名、マーナッタッダ(傲慢の意)  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「マーナッタッダ経」(『相応部』7-15  
                       
                       
                       
    201-1.                
     201. Sāvatthinidānaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sāvatthi    ī 有(処) 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      nidānaṃ.    a 因縁、因由  
    訳文                
     サーヴァッティーでのことである。  
                       
                       
                       
    201-2.                
     Tena kho pana samayena mānatthaddho nāma brāhmaṇo sāvatthiyaṃ paṭivasati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      mānatthaddho    a 人名、マーナッタッダ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭivasati.  prati-vas 住む、居を構える  
    訳文                
     さてその時、マーナッタッダという名の婆羅門が、サーヴァッティーに居を構えていた。  
                       
                       
                       
    201-3.                
     So neva mātaraṃ abhivādeti, na pitaraṃ abhivādeti, na ācariyaṃ abhivādeti, na jeṭṭhabhātaraṃ abhivādeti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      na    不変 ない  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      mātaraṃ    ar  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādeti,  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      pitaraṃ    ar  
      abhivādeti,  同上  
      na    不変 ない  
      ācariyaṃ  ā-car a  
      abhivādeti,  同上  
      na    不変 ない  
      jeṭṭha    a 最年長の、最老の  
      bhātaraṃ    a 兄弟、同学  
      abhivādeti.  同上  
    訳文                
     彼は母を敬わず、父を敬わず、師を敬わず、長兄を敬わなかった。  
                       
                       
                       
    201-4.                
     Tena kho pana samayena bhagavā mahatiyā parisāya parivuto dhammaṃ deseti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      bhagavā    ant 世尊  
      mahatiyā    ī 大きい  
      parisāya    ā 衆、会衆  
      parivuto  pari-vṛ 過分 a 囲まれた  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      deseti.  diś 使 示す、指示する、教示する  
    訳文                
     さてその時、世尊は大会衆に囲まれて法を教示しておられた。  
                       
                       
                       
    201-5.                
     Atha kho mānatthaddhassa brāhmaṇassa etadahosi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      mānatthaddhassa    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi –  bhū ある、なる  
    訳文                
     ときにマーナッタッダ婆羅門に、この〔思い〕がおこった。  
                       
                       
                       
    201-6.                
     ‘‘ayaṃ kho samaṇo gotamo mahatiyā parisāya parivuto dhammaṃ deseti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ayaṃ    代的 これ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      mahatiyā parisāya parivuto dhammaṃ (201-4.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      deseti.  diś 使 示す、指示する、教示する  
    訳文                
     「この沙門ゴータマは大会衆に囲まれて法を教示している。  
                       
                       
                       
    201-7.                
     Yaṃnūnāhaṃ yena samaṇo gotamo tenupasaṅkameyyaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃnūna    不変 〜してはどうか  
      ahaṃ    代的  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkameyyaṃ.  upa-saṃ-kram 能反 近づく  
    訳文                
     私は沙門ゴータマへ近づいてみてはどうか。  
                       
                       
                       
    201-8.                
     Sace maṃ samaṇo gotamo ālapissati, ahampi taṃ ālapissāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sace    不変 もし  
      maṃ    代的  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ālapissati,  ā-lap 語る、話しかける  
      語根 品詞 語基 意味  
      aham    代的  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      taṃ    代的 それ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ālapissāmi.  ā-lap 語る、話しかける  
    訳文                
     もし私へ沙門ゴータマが話しかけてきたならば、私も彼に話しかけよう。  
                       
                       
                       
    201-9.                
     No ce maṃ samaṇo gotamo ālapissati, ahampi nālapissāmī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      No    不変 ない、否  
      ce    不変 もし、たとえ  
      maṃ samaṇo gotamo ālapissati, ahampi lapissāmī’’ti. (201-4.)  
      na    不変 ない  
    訳文                
     もし私へ沙門ゴータマが話しかけてこなければ、私も彼に話しかけるまい」と。  
    メモ                
     ・経の文脈からするに目下の者から声を掛けるのが作法だ、ということであろうか。『長部』4「ソーナダンダ経」などに釈尊を「先に話しかける者」pubbabhāsīとする表現があるが、あるいはこれを意識したものか。  
                       
                       
                       
    201-10.                
     Atha kho mānatthaddho brāhmaṇo yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      mānatthaddho    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこでマーナッタッダ婆羅門は、世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    201-11.                
     upasaṅkamitvā tuṇhībhūto ekamantaṃ aṭṭhāsi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      tuṇhī    不変 沈黙して、黙って  
      bhūto  bhū 過分 a なった  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      aṭṭhāsi.  sthā 立つ  
    訳文                
     近づいて沈黙し、一方へ立った。  
                       
                       
                       
    201-12.                
     Atha kho bhagavā taṃ nālapi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      taṃ    代的 それ  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ālapi.  ā-lap 語る、話しかける  
    訳文                
     そのとき世尊が彼に話しかけることはなかった。  
                       
                       
                       
    201-13.                
     Atha kho mānatthaddho brāhmaṇo –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      mānatthaddho    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇo –  bṛh a 婆羅門  
    訳文                
     そこでマーナッタッダ婆羅門は、  
                       
                       
                       
    201-14.                
     ‘nāyaṃ samaṇo gotamo kiñci jānātī’ti tatova puna nivattitukāmo ahosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘na    不変 ない  
      ayaṃ    代的 これ  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      kiñci    代的 何らかの、何者であれ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānātī’  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      puna    不変 さらに、ふたたび  
      nivattitu    不定 戻ること、逃げること、消失すること  
      kāmo    a 男中 欲、欲楽  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi.  bhū ある、なる  
    訳文                
     「この尊者ゴータマは何も知らないのだ」と、そこから戻ろうとした。  
    メモ                
     ・『註』によればこれは、「この沙門は私のような生まれをそなえた婆羅門がやって来たというのに挨拶すらもなさないのだから」‘‘yasmā ayaṃ samaṇo mādise jātisampannabrāhmaṇe sampatte paṭisanthāramattampi na karoti, という失望ゆえの言葉であるらしい。  
                       
                       
                       
    201-15.                
     Atha kho bhagavā mānatthaddhassa brāhmaṇassa cetasā cetoparivitakkamaññāya mānatthaddhaṃ brāhmaṇaṃ gāthāya ajjhabhāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      mānatthaddhassa    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      cetasā  cit as  
      ceto cit as 依(属)  
      parivitakkam    a 審慮 →心の所念  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      aññāya  ā-jñā よく知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      mānatthaddhaṃ    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門、司祭  
      gāthāya    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     ときに世尊は、マーナッタッダ婆羅門の心の所念を知り、マーナッタッダ婆羅門へ偈をもって語りかけられた。  
                       
                       
                       
    201-16.                
     ‘‘Na mānaṃ brāhmaṇa sādhu, atthikassīdha brāhmaṇa;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      mānaṃ  man a 男(中) 慢、慢心  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      sādhu,  sādh u 善き、善哉、なにとぞ  
      atthikassa    a 適当な、意義ある、希求する  
      idha    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      brāhmaṇa;  bṛh a 婆羅門  
    訳文                
     「♪婆羅門よ、慢心は善からず。婆羅門よ、ここに、希求する者の、  
                       
                       
                       
    201-17.                
     Yena atthena āgacchi, tamevamanubrūhaye’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yena    代的 男中 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      atthena    a 男中 義、意味、目的、利益  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgacchi,  ā-gam 来る  
      語根 品詞 語基 意味  
      tam    代的 男中 それ  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anubrūhaye’’  bṛh 使 増大させる、増修する、修習する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪それを目的としてやって来たところのそれを、その通りに修習すべし」と。  
    メモ                
     ・『註』にも言及がないが、人を値踏みするような下らないことをしていないで端的に来訪の主旨を述べよ、というようなことなのではあろう。  
                       
                       
                       
    201-18.                
     Atha kho mānatthaddho brāhmaṇo –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha kho mānatthaddho brāhmaṇo – (201-13.)  
    訳文                
     そこでマーナッタッダ婆羅門は、  
                       
                       
                       
    201-19.                
     ‘‘cittaṃ me samaṇo gotamo jānātī’’ti tattheva bhagavato pādesu sirasā nipatitvā bhagavato pādāni mukhena ca paricumbati pāṇīhi ca parisambāhati, nāmañca sāveti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘cittaṃ  cit a  
      me    代的  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānātī’’  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      bhagavato    ant 世尊  
      pādesu    a  
      sirasā    as 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nipatitvā  ni-pat 倒れる、倒礼する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavato    ant 世尊  
      pādāni    a 男(中)  
      mukhena    a 男中 口、面  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paricumbati  pari-cumb くちづける  
      語根 品詞 語基 意味  
      pāṇīhi    i 手、拳  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      parisambāhati,  pari-saṃ-bāh こすり回す、摩する  
      語根 品詞 語基 意味  
      nāmañ    an  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sāveti –  śru 使 告げる、聞かせる  
    訳文                
     「沙門ゴータマは私の心を知っている」と、その場で世尊へ頭面礼足し、世尊の足へ口づけ、手で摩触し、名を告げた。  
                       
                       
                       
    201-20.                
     ‘‘mānatthaddhāhaṃ, bho gotama, mānatthaddhāhaṃ, bho gotamā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘mānatthaddho    a 人名、マーナッタッダ  
      ahaṃ,    代的  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama,    a 人名、ゴータマ  
      mānatthaddho    a 人名、マーナッタッダ  
      ahaṃ,    代的  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotamā’’    a 人名、ゴータマ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者ゴータマよ、私はマーナッタッダと申します。尊者ゴータマよ、私はマーナッタッダと申します」と。  
    メモ                
     ・これは「私は傲慢でした」という含みもあるのかもしれない。  
                       
                       
                       
    201-21.                
     Atha kho sā parisā abbhutacittajātā [abbhutacittajātā (sī. syā. kaṃ. pī.), acchariyabbhutacittajātā (ka.)] ahosi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
          代的 それ、彼女  
      parisā    ā 会衆、集会所  
      abbhuta  a-bhū 名形 a 未曾有の  
      citta  cit a 有(持)  
      jātā  jan 過分 a 生じた、発生した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi –  bhū ある、なる  
    訳文                
     ときにその会衆は未曾有の心を起こした。  
    メモ                
     ・心自体が未曾有なのではなく、「未曾有〔なる出来事〕に対する心」であろうからabbhuta-cittaは属格依主釈としようかと考えたが、『註』は「かつてない満足を具えた」abhūtapubbāya tuṭṭhiyā samannāgatā. としているので、どうもやはり心自体が未曾有であるという解釈であるようだ。そこでいちおう持業釈とした。  
                       
                       
                       
    201-22.                
     ‘acchariyaṃ vata bho, abbhutaṃ vata bho!   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘acchariyaṃ    a 希有の  
      vata    不変 じつに  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      abbhutaṃ  a-bhū 名形 a 未曾有の  
      vata    不変 じつに  
      bho!  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
    訳文                
     「友等よ、希有なり。友等よ、未曾有なり。  
                       
                       
                       
    201-23.                
     Ayañhi mānatthaddho brāhmaṇo neva mātaraṃ abhivādeti, na pitaraṃ abhivādeti, na ācariyaṃ abhivādeti, na jeṭṭhabhātaraṃ abhivādeti;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ayañ    代的 これ  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      mānatthaddho    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      neva mātaraṃ abhivādeti, na pitaraṃ abhivādeti, na ācariyaṃ abhivādeti, na jeṭṭhabhātaraṃ abhivādeti; (201-3.)  
    訳文                
     このマーナッタッダ婆羅門は、母を敬わず、父を敬わず、師を敬わず、長兄を敬わなかった。  
                       
                       
                       
    201-24.                
     atha ca pana samaṇe gotame evarūpaṃ paramanipaccakāraṃ karotī’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samaṇe  śram a 沙門  
      gotame    a 人名、ゴータマ  
      evarūpaṃ    a かくのごとき  
      parama    a 最高の、最上の  
      nipaccakāraṃ  ni-pad, ā-kṛ a 五体投地、臥した行相  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      karotī’  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     しかし、沙門ゴータマに対してかくのごとき最上の五体投地をなしている」と。  
                       
                       
                       
    201-25.                
     Atha kho bhagavā mānatthaddhaṃ brāhmaṇaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      mānatthaddhaṃ    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門、司祭  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     ときに世尊はマーナッタッダ婆羅門へこう仰った。  
                       
                       
                       
    201-26.                
     ‘‘alaṃ, brāhmaṇa, uṭṭhehi, sake āsane nisīda.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘alaṃ,    不変 適当な、当然の、十分に、満足して、沢山だ  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      uṭṭhehi,  ud-sthā 起き上がる、奮起する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sake    a 自分の  
      āsane  ās a 坐処  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīda.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     「婆羅門よ、充分です。自分の座へお坐りなさい。  
                       
                       
                       
    201-27.                
     Yato te mayi cittaṃ pasanna’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば(yaの奪格)  
      te    代的 あなた  
      mayi    代的  
      cittaṃ  cit a  
      pasanna’’n  pra-sad 過分 a 明浄の、澄浄の、浄信ある、巳信の、喜んだ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     あなたの心は私に対して明浄となっているのですから」と。  
                       
                       
                       
    201-28.                
     Atha kho mānatthaddho brāhmaṇo sake āsane nisīditvā bhagavantaṃ gāthāya ajjhabhāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      mānatthaddho    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      sake    a 自分の  
      āsane  ās a 坐処  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīditvā  ni-sad 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      gāthāya    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     そこでマーナッタッダ婆羅門は自分の座へ坐り、世尊へ偈をもって語りかけた。  
                       
                       
                       
    201-29.                
     ‘‘Kesu na mānaṃ kayirātha, kesu cassa sagāravo;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kesu    代的 何、誰  
      na    不変 ない  
      mānaṃ  man a 男(中) 慢、慢心  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kayirātha,  kṛ 受 なされる  
      語根 品詞 語基 意味  
      kesu    代的 何、誰  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assa  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      sagāravo;    a 尊重ある、恭敬する  
    訳文                
     「♪何者たちに対して慢がなされるべきでなく、何者たちに対して尊敬があるべきか。  
                       
                       
                       
    201-30.                
     Kyassa apacitā assu, kyassu sādhu supūjitā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ke    代的 何、誰  
      assa    代的 それ  
      apacitā  apa-ci 過分 a 尊敬された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assu,  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ke    代的 何、誰  
      assu  同上  
      sādhu  sādh 不変 善き、善哉、なにとぞ  
      supūjitā’’  su-pūj 過分 a よく供養、尊敬された  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪その者にとって、何者たちが尊敬されるべきなのか。何者たちがよく供養されるべきなのか」と。  
                       
                       
                       
    201-31.                
     ‘‘Mātari pitari cāpi, atho jeṭṭhamhi bhātari;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Mātari    ar  
      pitari    ar  
          不変 と、また、そして、しかし  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      atho    不変 ときに、また、そこに  
      jeṭṭhamhi    a 最年長の、最老の  
      bhātari;    ar 兄弟  
    訳文                
     〔世尊曰く〕「♪母、父、長兄、  
                       
                       
                       
    201-32.                
     Ācariye catutthamhi,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ācariye  ā-car a 師、阿闍梨  
      catutthamhi,   a 第四の  
    訳文                
     ♪第四に師、  
                       
                       
                       
    201-33.                
     Tesu na mānaṃ kayirātha;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Tesu    代的 それら、彼ら  
      na    不変 ない  
      mānaṃ  man a 男(中) 慢、慢心  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kayirātha;  kṛ 受 なされる  
    訳文                
     ♪彼らに対して慢がなされるべきでなく、  
                       
                       
                       
    201-34.                
     Tesu assa sagāravo,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Tesu    代的 それら、彼ら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assa  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      sagāravo,    a 尊重ある、恭敬する  
    訳文                
     ♪彼らに対して尊敬があるべし。  
                       
                       
                       
    201-35.                
     Tyassa apacitā assu;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      assa    代的 これ  
      apacitā  apa-ci 過分 a 尊敬された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assu;  as ある、なる  
    訳文                
     ♪その者にとって、彼らが尊敬されるべきである。  
                       
                       
                       
    201-36.                
     Tyassu sādhu supūjitā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assu  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      sādhu  sādh 不変 善き、善哉、なにとぞ  
      supūjitā.  su-pūj 過分 a よく供養、尊敬された  
    訳文                
     ♪彼らがよく供養されるべきである。  
                       
                       
                       
    201-37.                
     ‘‘Arahante sītībhūte, katakicce anāsave;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Arahante  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      sītī    a 寒い、冷たい  
      bhūte,  bhū 過分 a あった →冷静、清涼となった  
      kata  kṛ 過分 a 有(持) なされた  
      kicce  kṛ 未分 a なされるべき、義務、所作  
      anāsave;  an-ā-sru a 無漏の  
    訳文                
     ♪清涼となり、なされるべき事をなした無漏の阿羅漢たち、  
                       
                       
                       
    201-38.                
     Nihacca mānaṃ athaddho, te namasse anuttare’’ti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Nihacca  ni-han/nir-hṛ 殺す、打つ/取り出す、駆逐する  
      語根 品詞 語基 意味  
      mānaṃ  man a 慢、慢心  
      athaddho,    a 傲慢ならぬ  
      te    代的 それら、彼ら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      namasse    礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      anuttare’’    代的 無上の  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪慢心を取り除き、傲慢ならぬ者となって、彼ら無上者たちへ礼拝すべし」  
                       
                       
                       
    201-39.                
     Evaṃ vutte, mānatthaddho brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a いわれた  
      mānatthaddho    a 人名、マーナッタッダ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このように言われて、マーナッタッダ婆羅門は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    201-40.                
     ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘abhikkantaṃ,  abhi-kram 名過分 a 偉なるかな、奇なるかな、希有なり、素晴らしい  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama…pe…    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     「素晴らしい、尊者ゴータマよ……  
                       
                       
                       
    201-41.                
     upāsakaṃ maṃ bhavaṃ gotamo dhāretu ajjatagge pāṇupetaṃ saraṇaṃ gata’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      upāsakaṃ  upa-ās a 優婆塞  
      maṃ    代的  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dhāretu  dhṛ 使 持たせる、保持する、憶持する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ajja    不変 今日、今  
      agge    a 第一、最高、最上、首位、頂点 →今日以降  
      pāṇa  pra-an a 依(対) 生類、生命  
      upetaṃ  upa-i 過分 a そなえた、具備した →命ある限り  
      saraṇaṃ  sṛ a 帰依処  
      gata’’n  gam 過分 a 行った →帰依した  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ……尊者ゴータマは私を、今日以降、命ある限り帰依をなした優婆塞であるとご記憶下さい」と。  
                       
                       
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