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     6. Cālāsuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Cālā    ā 依(属) 人名、チャーラー  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「チャーラー経」(『相応部』5-6  
                       
                       
                       
    167-1.                
     167. Sāvatthinidānaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sāvatthi    ī 有(処) 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      nidānaṃ.    a 因縁、因由  
    訳文                
     サーヴァッティーでのことである。  
                       
                       
                       
    167-2.                
     Atha kho cālā bhikkhunī pubbaṇhasamayaṃ nivāsetvā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      cālā    ā 人名、チャーラー  
      bhikkhunī  bhikṣ ī 比丘尼  
      pubbaṇha    a 依(属) 午前  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nivāsetvā…pe…  ni-vas 使 着衣する、内衣を着る  
    訳文                
     ときに、チャーラー比丘尼が、午前中、内衣を付け……  
                       
                       
                       
    167-3.                
     aññatarasmiṃ rukkhamūle divāvihāraṃ nisīdi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      aññatarasmiṃ    代的 とある  
      rukkha    a 依(属) 木、樹木  
      mūle    a  
      divā    不変 日中に  
      vihāraṃ  vi-hṛ a 住、住処 →昼住、食後の休憩  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     ……とある木の根元で昼住をなすべく坐った。  
                       
                       
                       
    167-4.                
     Atha kho māro pāpimā yena cālā bhikkhunī tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      māro  mṛ a 魔、死魔  
      pāpimā    ant 悪しき者  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      cālā    ā 人名、チャーラー  
      bhikkhunī  bhikṣ ī 比丘尼  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに悪魔がチャーラー比丘尼に近づいた。  
                       
                       
                       
    167-5.                
     upasaṅkamitvā cālaṃ bhikkhuniṃ etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      cālaṃ    ā 人名、チャーラー  
      bhikkhuniṃ  bhikṣ ī 比丘尼  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     近づいて、チャーラー比丘尼にこう言った。  
                       
                       
                       
    167-6.                
     ‘‘kiṃ nu tvaṃ, bhikkhuni, na rocesī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      bhikkhuni,  bhikṣ ī 比丘尼  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      rocesī’’  ruc 使 喜ぶ、同意する、選択する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「比丘尼よ、あなたは何を喜ばないのでしょうか」と。  
                       
                       
                       
    167-7.                
     ‘‘Jātiṃ khvāhaṃ, āvuso, na rocemī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Jātiṃ  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      āvuso,    不変 友よ  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      rocemī’’  ruc 使 喜ぶ、同意する、選択する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、私は〈生〉を喜ばないのです」  
                       
                       
                       
    167-8.                
     ‘‘Kiṃ nu jātiṃ na rocesi, jāto kāmāni bhuñjati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiṃ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      jātiṃ  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      rocesi,  ruc 使 喜ぶ、同意する、選択する  
      語根 品詞 語基 意味  
      jāto  jan 過分 a 生まれた  
      kāmāni    a 男中 欲、欲楽  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhuñjati;  bhuj 食べる、受用する  
    訳文                
     〔悪魔曰く〕「♪いったいなぜ、そなたは〈生〉を喜ばないのか。生まれた者は諸欲楽を享受する〔というのに〕。  
    メモ                
     ・どこまでが普通の会話で、どこからが偈による応答なのか、諸訳も解釈が分かれる。ここではVRI版の表記および『パーリ』に従った。  
                       
                       
                       
    167-9.                
     Ko nu taṃ idamādapayi, jātiṃ mā roca [mā rocesi (sī. pī.)] bhikkhunī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ko    代的 何、誰  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      taṃ    代的 あなた  
      idam    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādapayi,  ā-dā 使 取らせる  
      語根 品詞 語基 意味  
      jātiṃ  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
          不変 なかれ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      roca  ruc 喜ぶ  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhunī’’  bhikṣ ī 比丘尼  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪いったい誰がそなたにこの〔考え〕を取らせたのか。『比丘尼よ、〈生〉を喜ぶなかれ』と」  
                       
                       
                       
    167-10.                
     ‘‘Jātassa maraṇaṃ hoti, jāto dukkhāni phussati [passati (sī. pī.)];  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Jātassa  jan 過分 a 生じた  
      maraṇaṃ  mṛ a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti,  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      jāto  jan 過分 a 生まれた  
      dukkhāni    名形 a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      phussati;  spṛś 触れる、接触する、触達する  
    訳文                
     〔比丘尼曰く〕「♪生まれた者には死が存在する。生まれた者は諸苦に触れる。  
                       
                       
                       
    167-11.                
     Bandhaṃ vadhaṃ pariklesaṃ, tasmā jātiṃ na rocaye.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Bandhaṃ  bandh a 束縛  
      vadhaṃ  vadh a 殺害  
      pariklesaṃ,  pari-kliś a 煩悩、惑悩  
      tasmā    代的 それ  
      jātiṃ  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      rocaye.  ruc 使 能反 喜ぶ、同意する、選択する  
    訳文                
     ♪〔すなわち〕束縛、殺害、煩悩に。それゆえ私は〈生〉を喜ばない。  
                       
                       
                       
    167-12.                
     ‘‘Buddho dhammamadesesi, jātiyā samatikkamaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Buddho  budh 名過分 a 仏陀、覚者  
      dhammam  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      adesesi,  diś 示す  
      語根 品詞 語基 意味  
      jātiyā  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
      samatikkamaṃ;  saṃ-ati-kram a 男中 超越した  
    訳文                
     ♪仏陀は〈生〉を超越した法を教示された。  
                       
                       
                       
    167-13.                
     Sabbadukkhappahānāya, so maṃ sacce nivesayi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sabba    名形 代的 すべて  
      dukkha    名形 a 依(属)  
      pahānāya,  pra-hā a 捨断  
      so    代的 それ、彼  
      maṃ    代的  
      sacce    a 真実、真理、諦  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nivesayi.  ni-viś 使 入らせる、住立させる  
    訳文                
     ♪すべての苦の捨断のため、彼は私を真理に住立させた。  
                       
                       
                       
    167-14.                
     ‘‘Ye ca rūpūpagā sattā, ye ca arūpaṭṭhāyino;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ye    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      rūpa    a 依(対) 色、物質、肉体、形相  
      upagā  upa-gam 過分 a 至る、経験する、属する  
      sattā,    a 有情、衆生  
      ye    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      arūpa    a 非色の  
      ṭhāyino;  sthā in 状態にある、所在する  
    訳文                
     ♪およそ色〔界〕に属する有情たち、また非色の状態にある者たちは、  
    メモ                
     ・『相応部』5-4「ヴィジャヤー経」に同じ句あり。  
                       
                       
                       
    167-15.                
     Nirodhaṃ appajānantā, āgantāro punabbhava’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nirodhaṃ  ni-rudh 受 a 滅、滅尽  
      appajānantā,  a-pra-jñā 現分 ant 知らない  
      āgantāro  a-gam ar 帰来者  
      puna    不変 さらに、ふたたび  
      bhava’’n  bhū a  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪滅尽を知らず、再有へ帰来する〔が、自分はそうではない〕」  
                       
                       
                       
    167-16.                
     Atha kho māro pāpimā ‘‘jānāti maṃ cālā bhikkhunī’’ti dukkhī dummano tatthevantaradhāyīti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      māro  mṛ a 魔、死魔  
      pāpimā    ant 悪しき者  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘jānāti  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      maṃ    代的  
      cālā    ā 人名、チャーラー  
      bhikkhunī’’  bhikṣ ī 比丘尼  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      dukkhī    in 苦ある  
      dummano  dur-man a 不快意の、落胆した  
      tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      antaradhāyī  dhā 滅没する、消失する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     そこで悪魔は「チャーラー比丘尼は私を知っているのだ」と苦しみ、落胆し、そこから消失した。  
                       
                       
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