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     8. Piṇḍasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Piṇḍa    a 円いもの、団食、食物、集団  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「団食経」(『相応部』4-18  
                       
                       
                       
    154-1.                
     154. Ekaṃ samayaṃ bhagavā magadhesu viharati pañcasālāyaṃ brāhmaṇagāme.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      magadhesu    a 地名、マガダ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      pañcasālāyaṃ    ā 地名、パンチャサーラー  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      gāme.    a  
    訳文                
     あるとき世尊はマガダ国のパンチャサーラーという婆羅門の村に住しておられた。  
                       
                       
                       
    154-2.                
     Tena kho pana samayena pañcasālāyaṃ brāhmaṇagāme kumārikānaṃ pāhunakāni bhavanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      pañcasālāyaṃ    ā 地名、パンチャサーラー  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      gāme    a  
      kumārikānaṃ    ā 少女、童女  
      pāhunakāni    a 男中 客人、饗宴、贈与交換祭  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavanti.  bhū ある、なる  
    訳文                
     さてそのときパンチャサーラーという婆羅門の村では、童女たちの贈り物の祭があった。  
                       
                       
                       
    154-3.                
     Atha kho bhagavā pubbaṇhasamayaṃ nivāsetvā pattacīvaramādāya pañcasālaṃ brāhmaṇagāmaṃ piṇḍāya pāvisi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      pubbaṇha    a 依(属) 午前  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nivāsetvā  ni-vas 使 着衣する、内衣を着る  
      語根 品詞 語基 意味  
      patta    a 男中  
      cīvaram    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādāya  ā-dā 取って  
      語根 品詞 語基 意味  
      pañcasālaṃ    ā 地名、パンチャサーラー  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      gāmaṃ    a  
      piṇḍāya    a 団食、(与格で「托鉢のため」)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pāvisi.  pra-viś 入る  
    訳文                
     ときに世尊は早朝、内衣を付け、鉢と衣をとってパンチャサーラーという婆羅門の村に托鉢のため入られた。  
                       
                       
                       
    154-4.                
     Tena kho pana samayena pañcasāleyyakā brāhmaṇagahapatikā mārena pāpimatā anvāviṭṭhā bhavanti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      pañcasāleyyakā    a パンチャサーラーの  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      gahapatikā    a 居士の、居士  
      mārena  mṛ a  
      pāpimatā    ant 悪しき者、悪魔、波旬  
      anvāviṭṭhā  anu-ā-viś 過分 a 入られる、魅入られる、訪ねられる  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavanti –  bhū ある、なる  
    訳文                
     しかるにそのとき、パンチャサーラーの婆羅門や居士たちは、悪魔に魅入られていた。  
                       
                       
                       
    154-5.                
     mā samaṇo gotamo piṇḍamalatthāti.  
      語根 品詞 語基 意味  
          不変 なかれ  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      piṇḍam    a 丸いもの、団食  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      alatthā  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者ゴータマは団食を得るなかれ」と。  
                       
                       
                       
    154-6.                
     Atha kho bhagavā yathādhotena pattena pañcasālaṃ brāhmaṇagāmaṃ piṇḍāya pāvisi tathādhotena [yathādhotena (?)] pattena paṭikkami.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      dhotena  dhāv 過分 a 男中 洗浄された、清い  
      pattena    a 男中  
      pañcasālaṃ    ā 地名、パンチャサーラー  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      gāmaṃ    a  
      piṇḍāya    a 団食、(与格で「托鉢のため」)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pāvisi  pra-viś 入る  
      語根 品詞 語基 意味  
      tathā    不変 かく、その如く  
      dhotena  dhāv 過分 a 男中 洗浄された、清い  
      pattena    a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭikkami.  prati-kram 戻る、退く、減退する  
    訳文                
     そこで世尊は、きれいな鉢をもってパンチャサーラーという婆羅門の村に托鉢のため入られた、そのままのきれいな鉢をもって退かれた。  
                       
                       
                       
    154-7.                
     Atha kho māro pāpimā yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha kho māro pāpimā yena bhagavā tenupasaṅkami; (153-8.)  
    訳文                
     そこで悪魔は世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    154-8.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     近づいて、世尊へこう言った  
                       
                       
                       
    154-9.                
     ‘‘api tvaṃ, samaṇa, piṇḍamalatthā’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      samaṇa,  śram a 沙門  
      piṇḍam    a 丸いもの、団食  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      alatthā’’  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「沙門よ、あなたは団食を得られましたか」と。  
                       
                       
                       
    154-10.                
     ‘‘Tathā nu tvaṃ, pāpima, akāsi yathāhaṃ piṇḍaṃ na labheyya’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tathā    不変 かく、その如く  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      pāpima,    ant 悪しき者  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akāsi  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      ahaṃ    代的  
      piṇḍaṃ    a 丸いもの、団食  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      labheyya’’n    能反 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「悪しき者よ、私が団食を得られないように、あなたが計らったのではありませんか」  
                       
                       
                       
    154-11.                
     ‘‘Tena hi, bhante, bhagavā dutiyampi pañcasālaṃ brāhmaṇagāmaṃ piṇḍāya pavisatu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      hi,    不変 じつに、なぜなら →しからば  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhagavā    ant 世尊  
      dutiyam    名形 a 副対 第二の、伴侶  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      pañcasālaṃ    ā 地名、パンチャサーラー  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      gāmaṃ    a  
      piṇḍāya    a 団食、(与格で「托鉢のため」)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pavisatu.  pra-viś 入る  
    訳文                
     「しからば尊者よ、世尊はふたたびパンチャサーラーという婆羅門の村へ托鉢にお入り下さい。  
                       
                       
                       
    154-12.                
     Tathāhaṃ karissāmi yathā bhagavā piṇḍaṃ lacchatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Tathā    不変 かく、その如く  
      ahaṃ    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      karissāmi  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      bhagavā    ant 世尊  
      piṇḍaṃ    a 丸いもの、団食  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      lacchatī’’  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     世尊が団食を得られるように、私が計らいましょう」  
    メモ                
     ・『註』は「この者はこう偽って言った」idaṃ so musā bhāsati.とする。 何度も托鉢に行かせて笑いものにしようということのようである。  
                       
                       
                       
    154-13.                
     ‘‘Apuññaṃ pasavi māro, āsajja naṃ tathāgataṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Apuññaṃ    a 非福の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pasavi  pra-su 産出する、生ずる  
      語根 品詞 語基 意味  
      māro,  mṛ a 魔、死魔  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āsajja  ā-sad 使 近くに、接近して、任意に、喜んで、叱責して  
      語根 品詞 語基 意味  
      naṃ    代的 それ、彼  
      tathāgataṃ;  tathā-(ā-)gam a 如来  
    訳文                
     「♪かの如来を攻撃して、魔は非福を生み出した。  
                       
                       
                       
    154-14.                
     Kiṃ nu maññasi pāpima, na me pāpaṃ vipaccati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññasi  man 考える  
      語根 品詞 語基 意味  
      pāpima,    ant 悪しき者  
      na    不変 ない  
      me    代的  
      pāpaṃ    名形 a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vipaccati.  vi-pac 受 異熟する、果報する  
    訳文                
     ♪悪しき者よ、そなたは何を考えているやら。私に悪は結実しない。  
    メモ                
     ・ここは異熟ではなく、「その悪しき企みは成功しない」という意味であろう。  
                       
                       
                       
    154-15.                
     ‘‘Susukhaṃ vata jīvāma, yesaṃ no natthi kiñcanaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Susukhaṃ    a 副対 善き安楽の  
      vata    不変 じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jīvāma,  jīv 生きる、生存する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yesaṃ    代的 (関係代名詞)  
      no    代的 私たち  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      kiñcanaṃ;    名形 a 何者か、障碍  
    訳文                
     ♪我々に何の〔施食〕がなくとも、我々は平安に生きる。  
    メモ                
     ・『パーリ』は『註』に従ってkiñcanaを「障碍」としているが、ここでは前後の文脈からして上記のように判断した。  
                       
                       
                       
    154-16.                
     Pītibhakkhā bhavissāma, devā ābhassarā yathā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Pīti    i 依(対) 喜、喜悦  
      bhakkhā    名形 a 食する、食物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissāma,  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      devā    a  
      ābhassarā  ā-bhā, svar? a 光音天、極光浄天  
      yathā’’    不変 〜のごとくに、〜のように  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪光音天の神々の如く、我々は喜悦を食す者たちとなろう」  
                       
                       
                       
    154-17.                
     Atha kho māro pāpimā ‘‘jānāti maṃ bhagavā, jānāti maṃ sugato’’ti dukkhī dummano tatthevantaradhāyīti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      māro  mṛ a 魔、死魔  
      pāpimā    ant 悪しき者  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘jānāti  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      maṃ    代的  
      bhagavā,    ant 世尊  
      jānāti  同上  
      maṃ    代的  
      sugato’’  su-gam 名過分 a よく行ったもの、善逝  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      dukkhī    in 苦ある  
      dummano  dur-man a 不快意の、落胆した  
      tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      antaradhāyī  dhā 滅没する、消失する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     そこで悪魔は「世尊は私を知っている。善逝は私を知っている」と苦しみ、落胆し、そこから消失した。  
                       
                       
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