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     8. Kakudhasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kakudha    a 依(属) 神名、カクダ  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「カクダ経」(『相応部』2-18  
                       
                       
                       
    99-1.                
     99. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      me    代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 所聞、聞かれた  
    訳文                
     私はこのように聞いた。  
                       
                       
                       
    99-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā sākete viharati añjanavane migadāye.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      sākete    a 地名、サーケータ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      añjana    a 依(属) 点眼薬、塗り薬、漆黒樹  
      vane    a 森、林  
      migadāye.    a 鹿野苑  
    訳文                
     あるとき世尊はサーケータのアンジャナ樹林における鹿野苑に住しておられた。  
                       
                       
                       
    99-3.                
     Atha kho kakudho devaputto abhikkantāya rattiyā abhikkantavaṇṇo kevalakappaṃ añjanavanaṃ obhāsetvā yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      kakudho    a 神名、カクダ  
      deva    a 依(属) 天、神、陛下  
      putto    a 息子  
      abhikkantāya  abhi-kram 過分 a 過ぎ去った、進んだ、超えた、素晴らしい  
      rattiyā    i  
      abhikkanta  abhi-kram 過分 a 有(持) 過ぎ去った、進んだ、超えた、素晴らしい  
      vaṇṇo    a 色、容色  
      kevalakappaṃ    不変 全面に  
      añjana    a 依(属) 点眼薬、塗り薬、漆黒樹  
      vanaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      obhāsetvā  ava-bhās 使 照らす  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに、すぐれた容色をもったカクダ天子が、夜更けに、アンジャナ樹林を全面に照らしながら、世尊のもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    99-4.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ aṭṭhāsi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      aṭṭhāsi.  sthā 立つ  
    訳文                
     近づいて世尊へ礼拝し、一方へ立った。  
                       
                       
                       
    99-5.                
     Ekamantaṃ ṭhito kho kakudho devaputto bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      ṭhito  sthā 過分 a 立つ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      kakudho    a 神名、カクダ  
      deva    a 依(属) 天、神、陛下  
      putto    a 息子  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ立ったカクダ天子は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    99-6.                
     ‘‘nandasi, samaṇā’’ti?   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘nandasi,  nand 喜ぶ、歓喜する  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇā’’  śram a 沙門  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「沙門よ、あなたは歓喜するのですか」と。  
                       
                       
                       
    99-7.                
     ‘‘Kiṃ laddhā, āvuso’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      laddhā,  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      āvuso’’    不変 友よ  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、何を得たというのでしょうか」  
    メモ                
     ・動詞は一人称でないのでややおかしい。他の解釈がありうるか。  
                       
                       
                       
    99-8.                
     ‘‘Tena hi, samaṇa, socasī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      hi,    不変 じつに、なぜなら →しからば  
      samaṇa,  śram a 沙門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      socasī’’  śuc 愁う、悲しむ  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しからば沙門よ、あなたは愁悲するのでしょうか」  
                       
                       
                       
    99-9.                
     ‘‘Kiṃ jīyittha, āvuso’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jīyittha,  ji 受 失う、破れる  
      語根 品詞 語基 意味  
      āvuso’’    不変 友よ  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、何を失ったというのでしょうか」  
                       
                       
                       
    99-10.                
     ‘‘Tena hi, samaṇa, neva nandasi na ca [neva (sī. syā. kaṃ.)] socasī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      hi,    不変 じつに、なぜなら →しからば  
      samaṇa,  śram a 沙門  
      na    不変 ない  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nandasi  nand 喜ぶ、歓喜する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      socasī’’  śuc 愁う、悲しむ  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しからば沙門よ、あなたは歓喜するのでもなく、愁悲するのでもないのですか」  
                       
                       
                       
    99-11.                
     ‘‘Evamāvuso’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evam    不変 このように、かくの如き  
      āvuso’’    不変 友よ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、その通りです」  
                       
                       
                       
    99-12.                
     ‘‘Kacci tvaṃ anagho [anigho (sabbattha)] bhikkhu, kacci nandī [nandi (sī. syā. kaṃ.)] na vijjati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kacci    不変 〜かどうか  
      tvaṃ    代的 あなた  
      anagho    a 罪なき、痛みなき、禍なき  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      kacci    不変 〜かどうか  
      nandī  nand ī 歓喜、喜悦  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vijjati;  vid 受 見出される、存在する  
    訳文                
     「♪比丘よ、あなたは煩いなき者なのか。歓喜は存在しないのか。  
                       
                       
                       
    99-13.                
     Kacci taṃ ekamāsīnaṃ, aratī nābhikīratī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kacci    不変 〜かどうか  
      taṃ    代的 あなた  
      ekam    代的 一、とある  
      āsīnaṃ,  ās 過分 a 坐った  
      aratī  a-ram i 不楽、不快  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhikīratī’’  abhi-kṛ 受? 圧倒する、破壊する、投げ捨てる?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪独り坐ったあなたを、不快が襲うことはないのか」  
    メモ                
     ・abhikīratiabhikiratīの異体とみた。   
                       
                       
                       
    99-14.                
     ‘‘Anagho ve ahaṃ yakkha, atho nandī na vijjati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Anagho ve ahaṃ yakkha, atho nandī na vijjati; (99-12.)  
      ve    不変 じつに  
      ahaṃ    代的  
      yakkha,    a ヤッカ、夜叉  
      atho    不変 ときに、また、そこに  
    訳文                
     「♪夜叉よ、私は煩いなき者であり、また歓喜は存在しない。  
                       
                       
                       
    99-15.                
     Atho maṃ ekamāsīnaṃ, aratī nābhikīratī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atho    不変 ときに、また、そこに  
      maṃ    代的  
      ekamāsīnaṃ, aratī nābhikīratī’’ti. (99-13.)  
    訳文                
     ♪そして、独り坐った私を不快が襲うことはない」  
                       
                       
                       
    99-16.                
     ‘‘Kathaṃ tvaṃ anagho bhikkhu, kathaṃ nandī na vijjati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      tvaṃ anagho bhikkhu, kathaṃ nandī na vijjati;(99-12.)  
    訳文                
     「♪比丘よ、あなたはいかにして煩いなき者なのか。いかにして歓喜は存在しないのか。  
                       
                       
                       
    99-17.                
     Kathaṃ taṃ ekamāsīnaṃ, aratī nābhikīratī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      taṃ ekamāsīnaṃ, aratī nābhikīratī’’ti. (99-13.)  
    訳文                
     ♪いかにして、独り坐ったあなたを不快が襲うことはないのか」  
                       
                       
                       
    99-18.                
     ‘‘Aghajātassa ve nandī, nandījātassa ve aghaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Agha    as 依(対) 罪、痛み、災い  
      jātassa  jan 過分 a 生じた  
      ve    不変 じつに  
      nandī,  nand ī 歓喜、喜悦  
      nandī  nand ī 依(対) 歓喜、喜悦  
      jātassa  jan 過分 a 生じた  
      ve    不変 じつに  
      aghaṃ;    as 罪、痛み、災い/無蓋、空  
    訳文                
     「♪煩いが生じた者に歓喜が起こり、歓喜が生じた者に煩いが起こる。  
                       
                       
                       
    99-19.                
     Anandī anagho bhikkhu, evaṃ jānāhi āvuso’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Anandī  a-nand ī 歓喜なき  
      anagho    a 罪なき、痛みなき、禍なき  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānāhi  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      āvuso’’    不変 友よ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪〔ゆえに〕比丘は、煩いなく歓喜なき者なのである。友よ、汝はそのように知るべし」  
                       
                       
                       
    99-20.                
     ‘‘Cirassaṃ vata passāmi, brāhmaṇaṃ parinibbutaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Cirassaṃ    不変 久しく、遂に  
      vata    不変 じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passāmi,  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門、司祭  
      parinibbutaṃ;  pari-nir-vā? 過分 a 般涅槃した、完成した、円寂した  
    訳文                
     「♪ついに私は円寂した婆羅門を見た。  
    メモ                
     ・『相応部』1-1「暴流度脱経」にパラレル。  
                       
                       
                       
    99-21.                
     Anandiṃ anaghaṃ bhikkhuṃ, tiṇṇaṃ loke visattika’’ntntti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Anandiṃ  a-nand ī 歓喜なき  
      anaghaṃ    a 罪なき、痛みなき、禍なき  
      bhikkhuṃ,  bhikṣ u 比丘  
      tiṇṇaṃ  tṛ 過分 a 渡った、度脱した  
      loke    a 世界、世間  
      visattika’’n    ā 執着、愛着  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪煩いなく、歓喜なく、世間における執着を度脱した比丘を」  
                       
                       
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