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     7. Addhavaggo  
      語根 品詞 語基 意味  
      Addha    a 依(属) 征服?  
      vaggo    a 章、品  
    訳文                
     「征服品」(『相応部』1-61  
    メモ                
     ・『南伝』は「勝品」、『パーリ』は「征服の章」、『原始』は「打ち勝つ」としている。  
     ・addhaは本来、「半分」「ぬれた」「執着した」「道」「時」などの意味である。しかしここの章題は61-1.addhabhaviの語に関わるものであろう。この語はadhi-bhūのアオリストであるから、addhaは本当は接頭辞adhiとアオリストの加増音aが連声を起こしたもののはずだが、章題を付ける時に「征服」「超克」という意味のaddhaという単語があるのだと勘違いされたのではないか。一応そう解して訳した。  
     ・『南伝』は、anva-vaggaであるとする「註釋」について言及するが、当該の解説は発見できなかった。  
                       
                       
                       
     1. Nāmasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nāma    an 依(属) 名前  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「名経」  
                       
                       
                       
    61-1.                
     61. ‘‘Kiṃsu sabbaṃ addhabhavi [anvabhavi (sī.)], kismā bhiyyo na vijjati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      su    不変 〜かどうか、じつに  
      sabbaṃ    名形 代的 すべて  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      addhabhavi,  adhi-bhū 征服する、超克する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kismā    代的  
      bhiyyo    不変 さらに多く  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vijjati;  vid 受 見出される、存在する  
    訳文                
     〔神霊曰く〕「♪何が一切を征服するのか。それより多数がないものは何なのか。  
                       
                       
                       
    61-2.                
     Kissassu ekadhammassa, sabbeva vasamanvagū’’ti [vasamaddhagū (ka.)].  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kissa    代的 男中 何、誰  
      assu    不変 じつに  
      eka    代的 一、とある  
      dhammassa,  dhṛ a 男中  
      sabbe    名形 代的 中→男 すべて  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      vasam    a 男中 力、自在、影響  
      anvagū’’  anu-ā-gam 名形 ū 随行者 →従する、勢力に従う  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪いかなる一法に、一切は従属するのか」  
                       
                       
                       
    61-3.                
     ‘‘Nāmaṃ sabbaṃ addhabhavi, nāmā bhiyyo na vijjati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Nāmaṃ    an  
      sabbaṃ addhabhavi, nāmā bhiyyo na vijjati; (61-1.)  
      nāmā    an 名前  
    訳文                
     〔世尊曰く〕「♪名が一切を征服する。それより多数がないものは名である。  
    メモ                
     ・名辞による概念の把握は万象に適用されうる、というような話であろうか。あるいはこれは「名色」の「名」、すなわち心のことか。次経はまさにそのような偈である。  
                       
                       
                       
    61-4.                
     Nāmassa ekadhammassa, sabbeva vasamanvagū’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nāmassa    an 名前  
      ekadhammassa, sabbeva vasamanvagū’’ti. (61-2.)  
    訳文                
     ♪名という一法に、一切は従属する」  
                       
                       
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