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     Nigaṇṭhanāṭaputtavādo  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nigaṇṭha   a 人名、ニガンタ(尼乾陀)  
      nāṭaputta   a 依(属) 人名、ナータプッタ(若提子、ナータの息子)  
      vādo vad a 説、語、論  
    訳文                
     【ニガンタ・ナータプッタの説】  
                       
                       
                       
    176-1.                
     176. ‘‘Ekamidāhaṃ, bhante, samayaṃ yena nigaṇṭho nāṭaputto tenupasaṅkamiṃ; upasaṅkamitvā nigaṇṭhena nāṭaputtena saddhiṃ sammodiṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ekam   代的 副対 一、とある  
      idaṃ   代的 これ  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      samayaṃ    a 副対 時、集会  
      yena    代的 (関係代名詞)  
      nigaṇṭho   a 人名、ニガンタ  
      nāṭaputto   a 人名、ナータプッタ  
      tena   代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamiṃ;  upa-saṃ-kram 近づく  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      nigaṇṭhena   a 人名、ニガンタ  
      nāṭaputtena   a 人名、ナータプッタ  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodiṃ.  saṃ-mud 喜ぶ、相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     尊者よ、ある時この私は、ニガンタ・ナータプッタに近づきました。近づいて、ニガンタ・ナータプッタと挨拶しました。  
                       
                       
                       
    176-2.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdiṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃ.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わしてから、私は一方へ坐りました。  
                       
                       
                       
    176-3.                
     Ekamantaṃ nisinno kho ahaṃ, bhante, nigaṇṭhaṃ nāṭaputtaṃ etadavocaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a すわった  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      nigaṇṭhaṃ   a 人名、ニガンタ  
      nāṭaputtaṃ   a 人名、ナータプッタ  
      etad   代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avocaṃ –  vac いう  
    訳文                
     じつに尊者よ、一方へ坐った私は、ニガンタ・ナータプッタへこう言いました。  
                       
                       
                       
    176-4.                
     ‘yathā nu kho imāni, bho aggivessana, puthusippāyatanāni…pe… sakkā nu kho, bho aggivessana, evameva diṭṭheva dhamme sandiṭṭhikaṃ sāmaññaphalaṃ paññapetu’nti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘yathā    不変 その如く  
      nu    不変 〜かどうか、〜ではないか  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      imāni,    代的 これら  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ  
      aggivessana,   a 人名、アッギヴェッサナ  
      puthu   u 個々の、別々の、広い、多数の  
      sippa   a 有(属) 技術、技芸、工巧、職技、職人  
      āyatanāni,    a 処 →技能  
      …pe…   (略)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkā  śak 可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      nu    不変 〜かどうか、〜ではないか  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ  
      aggivessana,   a 人名、アッギヴェッサナ  
      evam   不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      diṭṭhe dṛś 過分 a 男中 見られた、見、所見  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      dhamme  dhṛ a 男中 法、教法、真理、正義、もの →現法、現世  
      sandiṭṭhikaṃ  saṃ-dṛś a 現世の、現に見られた、現証の、自見の  
      sāmañña śram a 依(属) 沙門性、沙門位、沙門法  
      phalaṃ  phal a 果、果実  
      paññapetu’n pra-jñā  不定 知らしめること、告知・施設・用意すること  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『尊者アッギヴェッサナよ、じつに、かくのごときこれら多くの技能をもったものたちがいるではありませんか。……尊者アッギヴェッサナよ、じつにあなたはこのような、まさしく現法において目に見える沙門であることの果報を説明することがかないましょうか』と。  
    メモ                
     ・アッギヴェッサナは水野辞書には「王族やバラモン族の姓」、『パーリ』の注には、「族(バラモン)名による呼称」とある。  
                       
                       
                       
    177-1.                
     177. ‘‘Evaṃ vutte, bhante, nigaṇṭho nāṭaputto maṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a 男中 いわれた  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      nigaṇṭho   a 人名、ニガンタ  
      nāṭaputto   a 人名、ナータプッタ  
      maṃ    代的  
      etad   代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     尊者よ、このようにいわれて、ニガンタ・ナータプッタは私にこう言いました。  
                       
                       
                       
    177-2.                
     ‘idha, mahārāja, nigaṇṭho cātuyāmasaṃvarasaṃvuto hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘idha,    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      nigaṇṭho    a 人名、ニガンタ  
      cātu   有(帯)  
      yāma yam a 禁制、夜分  
      saṃvara saṃ-vṛ a 依(具) 防護、律儀、摂護  
      saṃvuto  saṃ-vṛ 過分 a 防護した、抑制した、閉じた、結んだ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti.  bhū ある  
    訳文                
     大王よ、ここなるニガンタは四つの禁制よりなる防御によって守られている。  
    メモ                
     ・yāmaを『パーリ』、『原始』は「部分」と訳す。『註』の「四つの部分を持つ防御によって守られた」cātuyāmasaṃvarasaṃvutoti catukoṭṭhāsena saṃvarena saṃvuto.という記述にしたがってのことと思われる。ここでは『南伝』やPTS辞書の“restraint, only as cpd. cātu yāma”という説明に従って訳してみた。   
                       
                       
                       
    177-3.                
     Kathañca, mahārāja, nigaṇṭho cātuyāmasaṃvarasaṃvuto hoti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kathañ   不変 いかに、なぜに  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      mahārāja, nigaṇṭho cātuyāmasaṃvarasaṃvuto hoti? (177-2.)  
    訳文                
     では大王よ、いかにニガンタは四つの禁制よりなる防御によって守られているか。  
                       
                       
                       
    177-4.                
     Idha, mahārāja, nigaṇṭho sabbavārivārito ca hoti, sabbavāriyutto ca, sabbavāridhuto ca, sabbavāriphuṭo ca.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idha,    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      nigaṇṭho    a 人名、ニガンタ  
      sabba   名形 代的 すべて  
      vāri   i 依(具)  
      vārito  vṛ 使 過分 a 防止された、妨げられた  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti,  bhū ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      sabba   名形 代的 すべて  
      vāri   i 依(具)  
      yutto  yuj 過分 a 軛した、対偶の、整えた、相応した、適当な  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      sabba   名形 代的 すべて  
      vāri   i 依(具)  
      dhuto  dhū 過分 a 除遣する、掃蕩する、頭陀  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      sabba   名形 代的 すべて  
      vāri   i 依(具)  
      phuṭo  sphar 過分 a 遍満した、滲透した、拡がった、ゆきわたった、充満した  
      ca.    不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     大王よ、ここなるニガンタは、全ての水によって守られ、全ての水によって結ばれ、全ての水によって除かれ、全ての水によって広がっている。  
    メモ                
     ・全く意味のわからない一文。諸訳も理解に苦しんでか、基本的に『註』の解釈を踏襲している。以下註の解釈。  
     ・「Sabbavārivārito cāとは、防御された全ての水をもつもの、全ての冷水を拒むという意味である。かれは冷水に有情想を持つのだという。ゆえにそれを用いない」Sabbavārivārito cāti vāritasabbaudako paṭikkhittasabbasītodakoti attho. So kira sītodake sattasaññī hoti, tasmā na taṃ vaḷañjeti. 『中部』56「ウパーリ経」にはニガンタが冷水を用いないという文が出る。  
     ・「Sabbavāriyuttoとは、全ての悪の防護によって結ばれた、ということである」Sabbavāriyuttoti sabbena pāpavāraṇena yutto.   
     ・「Sabbavāridhutoとは、全ての悪の防護によって悪が除かれた、ということである。」Sabbavāridhutoti sabbena pāpavāraṇena dhutapāpo.   
     ・「Sabbavāriphuṭoとは、全ての悪の防護によって触れた、ということである。」Sabbavāriphuṭoti sabbena pāpavāraṇena phuṭṭho.  
     ・結局、『註』を見ても文意は不明瞭である。ここでは訳の語義解釈をはなれ、意味不明なままに直訳した。  
     ・複合は『註』にならい持業釈および具格の依主釈と解したが、これも根拠があるわけではない。たとえば有財釈化した持業釈と与格の依主釈によって「全ての水を持つものたちのため」云々などとも解しうる訳ではある。  
     ・なおphuṭoは「広がる、充満する」pharatiの過去分詞であって、「触れる」phassatiとは語根からして異なる。  
                       
                       
                       
    177-5.                
     Evaṃ kho, mahārāja, nigaṇṭho cātuyāmasaṃvarasaṃvuto hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      mahārāja, nigaṇṭho cātuyāmasaṃvarasaṃvuto hoti.  (177-2.)  
    訳文                
     大王よ、このようにじつにニガンタは四つの禁制よりなる防御によって守られているか。  
                       
                       
                       
    177-6.                
     Yato kho, mahārāja, nigaṇṭho evaṃ cātuyāmasaṃvarasaṃvuto hoti;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば  
      kho, mahārāja, nigaṇṭho evaṃ cātuyāmasaṃvarasaṃvuto hoti;   (177-5.)  
    訳文                
     大王よ、このようにじつにニガンタは四つの禁制よりなる防御によって守られているゆえに、  
    メモ                
     ・重複部分、語順はやや異なる。  
                       
                       
                       
    177-7.                
     ayaṃ vuccati, mahārāja, nigaṇṭho [nigaṇṭho nāṭaputto (syā. ka.)] gatatto ca yatatto ca ṭhitatto cā’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ayaṃ    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuccati,  vac 受 いわれる  
      語根 品詞 語基 意味  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      nigaṇṭho    a 人名、ニガンタ  
      gata gam 過分 a 有(持) 行った  
      atto    a 我、自己、アートマン →自ら至った、完成した  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      yata yam 過分 a 有(持) 自制した、制御した  
      atto    a 我、自己、アートマン →自ら制御せる  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      ṭhita sthā 過分 a 有(持) 立った  
      atto    a 我、自己、アートマン →自ら確立せる  
      cā’   不変 と、また、そして、しかし  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     大王よ、このニガンタは自ら至ったもの、自ら制御せるもの、自ら確立せるものといわれるのである』と。  
                       
                       
                       
    178-1.                
     178. ‘‘Itthaṃ kho me, bhante, nigaṇṭho nāṭaputto sandiṭṭhikaṃ sāmaññaphalaṃ puṭṭho samāno cātuyāmasaṃvaraṃ byākāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Itthaṃ    不変 かかる  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      me,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      nigaṇṭho   a 人名、ニガンタ  
      nāṭaputto   a 人名、ナータプッタ  
      sandiṭṭhikaṃ  saṃ-dṛś a 現世の、現に見られた、現証の、自見の  
      sāmañña śram a 依(属) 沙門性、沙門位、沙門法  
      phalaṃ  phal a 果、果実  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      samāno  as 現分 a ありつつ  
      cātu   有(帯)  
      yāma yam a 禁制、夜分  
      saṃvaraṃ saṃ-vṛ a 防護、律儀、摂護  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākāsi. vi-ā-kṛ 解答する、解説する  
    訳文                
     じつに尊者よ、私に目に見える沙門の果報を問われてありながら、ニガンタ・ナータプッタは、かかる四つの禁制からなる防御を説いたのです。  
                       
                       
                       
    178-2.                
     Seyyathāpi, bhante, ambaṃ vā puṭṭho labujaṃ byākareyya, labujaṃ vā puṭṭho ambaṃ byākareyya;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathā    不変 たとえば、その如き  
      pi,   不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      ambaṃ    a マンゴー  
          不変 あるいは  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      labujaṃ    a パンノキ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākareyya,  vi-ā-kṛ 解答する、解説する  
      語根 品詞 語基 意味  
      labujaṃ    a パンノキ  
          不変 あるいは  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      ambaṃ    a マンゴー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākareyya;  vi-ā-kṛ 解答する、解説する  
    訳文                
     尊者よ、まるで、マンゴーについて問われてパンノキについて答え、パンノキについて問われてマンゴーについて答えるようなものです。  
                       
                       
                       
    178-3.                
     evameva kho me, bhante, nigaṇṭho nāṭaputto sandiṭṭhikaṃ sāmaññaphalaṃ puṭṭho samāno cātuyāmasaṃvaraṃ byākāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      evam   不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho me, bhante, nigaṇṭho nāṭaputto sandiṭṭhikaṃ sāmaññaphalaṃ puṭṭho samāno cātuyāmasaṃvaraṃ byākāsi. (178-1.)  
    訳文                
     じつに尊者よ、私に目に見える沙門の果報を問われてありながら、ニガンタ・ナータプッタは、まさにこのように四つの禁制からなる防御を説いたのです。  
                       
                       
                       
    178-4.                
     Tassa mayhaṃ, bhante, etadahosi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tassa    代的 それ、彼  
      mayhaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      etad   代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi –  bhū ある  
    訳文                
     尊者よ、その私に、この〔思い〕が生じました。  
                       
                       
                       
    178-5.                
     ‘kathañhi nāma mādiso samaṇaṃ vā brāhmaṇaṃ vā vijite vasantaṃ apasādetabbaṃ maññeyyā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘kathañ   不変 如何に、何故に  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに →一体どういう訳で  
      mādiso  maṃ-dṛś a 私如き、私に等しい  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
          不変 あるいは  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門  
          不変 あるいは  
      vijite  vi-ji 名形 a 打ち勝った/領土、王国  
      vasantaṃ  vas 現分 ant 住まう  
      apasādetabbaṃ  apa-sad 未分 a 拒否、非難、叱責されるべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññeyyā’ man 考える、思う  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『一体どうして私如きが、王国に住まう沙門あるいは婆羅門を、非難されるべき者と考えようか』と。  
                       
                       
                       
    178-6.                
     So kho ahaṃ, bhante, nigaṇṭhassa nāṭaputtassa bhāsitaṃ neva abhinandiṃ nappaṭikkosiṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      nigaṇṭhassa   a 人名、ニガンタ  
      nāṭaputtassa   a 人名、ナータプッタ  
      bhāsitaṃ  bhāṣ 名過分 a 話した、語った  
      neva    不変 じつになし(na-eva  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhinandiṃ  abhi-nand 歓喜する、喜ぶ  
      語根 品詞 語基 意味  
      na   不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭikkosiṃ. prati-kruś 叱る、非難する  
    訳文                
     じつに尊者よ、それで私は、ニガンタ・ナータプッタの語ったことに歓喜することもしないが、非難することもありませんでした。  
                       
                       
                       
    178-7.                
     Anabhinanditvā appaṭikkositvā anattamano anattamanavācaṃ anicchāretvā tameva vācaṃ anuggaṇhanto anikkujjanto uṭṭhāyāsanā pakkamiṃ.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Anabhinanditvā  an-abhi-nand 歓喜する、喜ぶ  
      appaṭikositvā  a-prati-kruś 叱る、非難する  
      語根 品詞 語基 意味  
      anattamano  man a 不適意、不悦意、不喜  
      anattamana man a 依(属) 不適意、不悦意、不喜  
      vācaṃ  vac ā 言葉  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anicchāretvā  a-niś-car 出す  
      語根 品詞 語基 意味  
      tam   代的 それ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      vācaṃ  vac ā 言葉  
      anuggaṇhanto  anu-grah 現分 a 摂受する、摂益する、資助する、教護する  
      anikkujjanto    現分 a 倒れない、顛倒しない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      uṭṭhāya ud-sthā 立ち上がる  
      語根 品詞 語基 意味  
      āsanā  ās a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pakkamiṃ. pra-kram 出発する、進む  
    訳文                
     歓喜せず非難もせず、不満ではあったが不満の言葉出さず、じつにその言葉を受け取りながら、傾倒することなく、座より立って立ち去ったのです。  
                       
                       
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