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     Pakudhakaccāyanavādo  
      語根 品詞 語基 意味  
      Pakudha   a 人名、パクダ(迦羅鳩駄)  
      kaccāyana   a 依(属) 人名、カッチャーヤナ(迦旃延)  
      vādo vad a 説、語、論  
    訳文                
     【パクダ・カッチャーヤナの説】  
                       
                       
                       
    173-1.                
     173. ‘‘Ekamidāhaṃ, bhante, samayaṃ yena pakudho kaccāyano tenupasaṅkamiṃ; upasaṅkamitvā pakudhena kaccāyanena saddhiṃ sammodiṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ekam   代的 副対 一、とある  
      idaṃ   代的 これ  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      samayaṃ    a 副対 時、集会  
      yena    代的 (関係代名詞)  
      pakudho   a 人名、パクダ  
      kaccāyano   a 人名、カッチャーヤナ  
      tena   代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamiṃ;  upa-saṃ-kram 近づく  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      pakudhena   a 人名、パクダ  
      kaccāyanena   a 人名、カッチャーヤナ  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodiṃ.  saṃ-mud 喜ぶ、相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     尊者よ、ある時この私は、パクダ・カッチャーヤナに近づきました。近づいて、パクダ・カッチャーヤナと挨拶しました。  
                       
                       
                       
    173-2.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdiṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃ.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わしてから、私は一方へ坐りました。  
                       
                       
                       
    173-3.                
     Ekamantaṃ nisinno kho ahaṃ, bhante, pakudhaṃ kaccāyanaṃ etadavocaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a すわった  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      pakudhaṃ   a 人名、パクダ  
      kaccāyanaṃ   a 人名、カッチャーヤナ  
      etad   代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avocaṃ –  vac いう  
    訳文                
     じつに尊者よ、一方へ坐った私は、パクダ・カッチャーヤナへこう言いました。  
                       
                       
                       
    173-4.                
     ‘yathā nu kho imāni, bho kaccāyana, puthusippāyatanāni…pe… sakkā nu kho, bho kaccāyana, evameva diṭṭheva dhamme sandiṭṭhikaṃ sāmaññaphalaṃ paññapetu’nti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘yathā    不変 その如く  
      nu    不変 〜かどうか、〜ではないか  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      imāni,    代的 これら  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ  
      kaccāyana,   a 人名、パクダ  
      puthu   u 個々の、別々の、広い、多数の  
      sippa   a 有(属) 技術、技芸、工巧、職技、職人  
      āyatanāni,    a 処 →技能  
      …pe…   (略)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkā  śak 可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      nu    不変 〜かどうか、〜ではないか  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ  
      kaccāyana,   a 人名、パクダ  
      evam   不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      diṭṭhe dṛś 過分 a 男中 見られた、見、所見  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      dhamme  dhṛ a 男中 法、教法、真理、正義、もの →現法、現世  
      sandiṭṭhikaṃ  saṃ-dṛś a 現世の、現に見られた、現証の、自見の  
      sāmañña śram a 依(属) 沙門性、沙門位、沙門法  
      phalaṃ  phal a 果、果実  
      paññapetu’n pra-jñā  不定 知らしめること、告知・施設・用意すること  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『尊者カッチャーヤナよ、じつに、かくのごときこれら多くの技能をもったものたちがいるではありませんか。……尊者カッチャーヤナよ、じつにあなたはこのような、まさしく現法において目に見える沙門であることの果報を説明することがかないましょうか』と。  
                       
                       
                       
    174-1.                
     174. ‘‘Evaṃ vutte, bhante, pakudho kaccāyano maṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a 男中 いわれた  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      pakudho   a 人名、パクダ  
      kaccāyano   a 人名、カッチャーヤナ  
      maṃ    代的  
      etad   代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     尊者よ、このようにいわれて、パクダ・カッチャーヤナは私にこう言いました。  
                       
                       
                       
    174-2.                
     ‘sattime, mahārāja, kāyā akaṭā akaṭavidhā animmitā animmātā vañjhā kūṭaṭṭhā esikaṭṭhāyiṭṭhitā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘satta    
      ime,    代的 これら  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      kāyā    a 身、集まり  
      akaṭā  a-kṛ a なされない、作られない、不作の、自然の  
      akaṭa a-kṛ a なされない、作られない、不作の、自然の  
      vidhā    名形 a 種類、類、〜の如き  
      animmitā  a-nir-mā/mi a 化作でない  
      animmātā  a-nir-mā/mi ar 化作者でない  
      vañjhā    a 不毛の、むなしい、何も生まないもの  
      kūṭa    a 男中 依(属) 尖頂、屋頂、楼、山頂  
      ṭhā sthā a 立てる、在る、存続する →不動の  
      esika   a 依(属) 石柱  
      ṭhāyi  sthā in 状態にある、処在する  
      ṭhitā. sthā 過分 a 住立した、立った、停住の、在世の、生存の  
    訳文                
     『大王よ、これら七つの集合は、作られたものでなく、作られた種類でなく、化作されたものでなく、化作するものでなく、何も生まず、山頂のように不動で、石柱のように安立している。  
    メモ                
     ・諸訳はakaṭavidhāを「作らせられたものではなく(『パーリ』)」というように使役の過去受動分詞ふうに訳するが、その理由は不明。『原始』は『註』にその旨あるように自身の注で述べるが、VRI版の註には、Akaṭavidhāti akatavidhānāとしか説明はない。  
     ・「梵網経」31-5.などと同じ定型句。  
                       
                       
                       
    174-3.                
     Te na iñjanti, na vipariṇamanti, na aññamaññaṃ byābādhenti, nālaṃ aññamaññassa sukhāya vā dukkhāya vā sukhadukkhāya vā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      iñjanti,  iṅg 動揺する、動く  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vipariṇamanti,  vi-pari-nam? 変化する、変壊する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      aññamaññaṃ    代的 互い  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byābādhenti,  vi-ā-bādh 使 害する、加害する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na   不変 ない  
      alaṃ    不変 適当なる、当然の、十分に、満足して、沢山だ  
      aññamaññassa    代的 互い  
      sukhāya    名形 a  
          不変 あるいは  
      dukkhāya    名形 a  
          不変 あるいは  
      sukha   名形 a  
      dukkhāya    名形 a  
      vā.    不変 あるいは  
    訳文                
     それらは、動揺せず、変壊せず、互いに加害せず、互いの楽、苦、あるいは楽苦となり得ない。  
    メモ                
     ・vipariṇamantivipariṇāmentiの異体と解した。  
                       
                       
                       
    174-4.                
     Katame satta?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Katame    代的 いずれが、どちらが  
      satta?     
    訳文                
     何が七つ〔の集合〕か。  
                       
                       
                       
    174-5.                
     Pathavikāyo, āpokāyo, tejokāyo, vāyokāyo, sukhe, dukkhe, jīve sattame –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Pathavi   ī 依(属)  
      kāyo,    a 身体、集まり →地界  
      āpo   as 依(属)  
      kāyo,    a 身体、集まり →水界  
      tejo   as 依(属)  
      kāyo,    a 身体、集まり →火界  
      vāyo   as 依(属)  
      kāyo,    a 身体、集まり →風界  
      sukhe,    名形 a(代) 中(男)  
      dukkhe,    名形 a(代) 中(男)  
      jīve  jīv a(代) 中(男) 生命、命、霊魂  
      sattame –    a(代) 第七  
    訳文                
     地の集合、水の集合、火の集合、風の集合、楽、苦、第七に生命である。  
    メモ                
     ・四大種は「集合」なので単数だが、楽、苦、生命は(おそらく)複数形である点に注意。  
                       
                       
                       
    174-6.                
     ime satta kāyā akaṭā akaṭavidhā animmitā animmātā vañjhā kūṭaṭṭhā esikaṭṭhāyiṭṭhitā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ime satta kāyā akaṭā akaṭavidhā animmitā animmātā vañjhā kūṭaṭṭhā esikaṭṭhāyiṭṭhitā. (174-2.)  
    訳文                
     これら七つの集合は、作られたものでなく、作られた種類でなく、化作されたものでなく、化作するものでなく、何も生まず、山頂のように不動で、石柱のように安立している。  
    メモ                
     ・語順が少し違い、「大王よ」の語がないが、ほぼ174-2.と同文である。  
                       
                       
                       
    174-7.                
     Te na iñjanti, na vipariṇamanti, na aññamaññaṃ byābādhenti, nālaṃ aññamaññassa sukhāya vā dukkhāya vā sukhadukkhāya vā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      iñjanti,  iṅg 動揺する、動く  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vipariṇamanti,  vi-pari-nam? 変化する、変壊する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      aññamaññaṃ    代的 互い  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byābādhenti,  vi-ā-bādh 使 害する、加害する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na   不変 ない  
      alaṃ    不変 適当なる、当然の、十分に、満足して、沢山だ  
      aññamaññassa    代的 互い  
      sukhāya    名形 a  
          不変 あるいは  
      dukkhāya    名形 a  
          不変 あるいは  
      sukha   名形 a  
      dukkhāya    名形 a  
      vā.    不変 あるいは  
    訳文                
     それらは、動揺せず、変壊せず、互いに加害せず、互いの楽、苦、あるいは楽苦となり得ない。  
                       
                       
                       
    174-8.                
     Tattha natthi hantā vā ghātetā vā, sotā vā sāvetā vā, viññātā vā viññāpetā vā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      na   不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi  as ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      hantā  han ar 殺すもの、殺害者  
          不変 あるいは  
      ghātetā  han ar 殺されるもの  
      vā,    不変 あるいは  
      sotā  śru ar 聞くもの、聞者、能聞者  
          不変 あるいは  
      sāvetā  śru 使 ar 聞かせるもの、令文者、説者  
      vā,    不変 あるいは  
      viññātā  vi-jñā ar 識者、了知者  
          不変 あるいは  
      viññāpetā  vi-jñā 使 ar 知らせるもの、教授者  
      vā.    不変 あるいは  
    訳文                
     そこ(人間など、七つの集合が組み合わさってできた存在)には、殺すものも殺させるものも、聞くものも聞かれるものも、知るものも知らせるものも存在しない。  
    メモ                
     ・ghātetarなる語は辞書類にはないが、文脈から「殺させる」ghatetiに行為者をあらわす接尾辞-arが付いたものと類推した。  
                       
                       
                       
    174-9.                
     Yopi tiṇhena satthena sīsaṃ chindati, na koci kiñci [kañci (kaṃ.)] jīvitā voropeti;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yo   代的 (関係代名詞)  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      tiṇhena    a 鋭い、鋭利な  
      satthena    a 刀、剣  
      sīsaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      chindati,  chid 切る  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      koci    代的 何らかの、何者であれ  
      kiñci    代的 何らかの、何者であれ  
      jīvitā  jīv 名過分 a 生命、命、生きた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      voropeti;  ava-ruh 使 奪う、殺す →命を奪う  
    訳文                
     たとえ、鋭利な剣で頭を切断したとしても、誰かが誰かの生命を奪ったことにはならない。  
    メモ                
     ・直訳すると「誰かが誰かを命から奪わない」となろうか。  
                       
                       
                       
    174-10.                
     sattannaṃ tveva [sattannaṃ yeva (sī. syā. kaṃ. pī.)] kāyānamantarena satthaṃ vivaramanupatatī’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      sattannaṃ     
      tveva    不変 しかしながら(tu eva  
      kāyānam   a 身体、集まり  
      antarena    名形 a 副具 中間に  
      satthaṃ    a 刀、剣  
      vivaram vi-vṛ a 開口、さけ目、間隙、虚空、欠点、欠陥  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anupatatī’ anu-pat 従う、落ちる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     七つの集合の間を、間隙が剣〔の軌跡〕に従って〔ひらく〕のみである』と。  
    メモ                
     ・『パーリ』は主語と目的語をこことは逆に、「裂け目に剣が落ちる」としている。  
                       
                       
                       
    175-1.                
     175. ‘‘Itthaṃ kho me, bhante, pakudho kaccāyano sandiṭṭhikaṃ sāmaññaphalaṃ puṭṭho samāno aññena aññaṃ byākāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Itthaṃ    不変 かかる  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      me,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      pakudho   a 人名、パクダ  
      kaccāyano   a 人名、カッチャーヤナ  
      sandiṭṭhikaṃ  saṃ-dṛś a 現世の、現に見られた、現証の、自見の  
      sāmañña śram a 依(属) 沙門性、沙門位、沙門法  
      phalaṃ  phal a 果、果実  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      samāno  as 現分 a ありつつ  
      aññena   代的 他の、異なる  
      aññaṃ   代的 他の、異なる  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākāsi. vi-ā-kṛ 解答する、解説する  
    訳文                
     じつに尊者よ、私に目に見える沙門の果報を問われてありながら、パクダ・カッチャーヤナは、かかる他の〔方法〕による他の〔こと〕を説いたのです。  
                       
                       
                       
    175-2.                
     Seyyathāpi, bhante, ambaṃ vā puṭṭho labujaṃ byākareyya, labujaṃ vā puṭṭho ambaṃ byākareyya;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathā    不変 たとえば、その如き  
      pi,   不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      ambaṃ    a マンゴー  
          不変 あるいは  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      labujaṃ    a パンノキ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākareyya,  vi-ā-kṛ 解答する、解説する  
      語根 品詞 語基 意味  
      labujaṃ    a パンノキ  
          不変 あるいは  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      ambaṃ    a マンゴー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākareyya;  vi-ā-kṛ 解答する、解説する  
    訳文                
     尊者よ、まるで、マンゴーについて問われてパンノキについて答え、パンノキについて問われてマンゴーについて答えるようなものです。  
                       
                       
                       
    175-3.                
     evameva kho me, bhante, pakudho kaccāyano sandiṭṭhikaṃ sāmaññaphalaṃ puṭṭho samāno aññena aññaṃ byākāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      evam   不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho me, bhante, pakudho kaccāyano sandiṭṭhikaṃ sāmaññaphalaṃ puṭṭho samāno aññena aññaṃ byākāsi.   (175-1.)  
    訳文                
     じつに尊者よ、私に目に見える沙門の果報を問われてありながら、パクダ・カッチャーヤナは、まさにこのように他の〔方法〕による他の〔こと〕を説いたのです。  
                       
                       
                       
    175-4.                
     Tassa mayhaṃ, bhante, etadahosi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tassa    代的 それ、彼  
      mayhaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      etad   代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi –  bhū ある  
    訳文                
     尊者よ、その私に、この〔思い〕が生じました。  
                       
                       
                       
    175-5.                
     ‘kathañhi nāma mādiso samaṇaṃ vā brāhmaṇaṃ vā vijite vasantaṃ apasādetabbaṃ maññeyyā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘kathañ   不変 如何に、何故に  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに →一体どういう訳で  
      mādiso  maṃ-dṛś a 私如き、私に等しい  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
          不変 あるいは  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門  
          不変 あるいは  
      vijite  vi-ji 名形 a 打ち勝った/領土、王国  
      vasantaṃ  vas 現分 ant 住まう  
      apasādetabbaṃ  apa-sad 未分 a 拒否、非難、叱責されるべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññeyyā’ man 考える、思う  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『一体どうして私如きが、王国に住まう沙門あるいは婆羅門を、非難されるべき者と考えようか』と。  
                       
                       
                       
    175-6.                
     So kho ahaṃ, bhante, pakudhassa kaccāyanassa bhāsitaṃ neva abhinandiṃ nappaṭikkosiṃ,   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      pakudhassa   a 人名、パクダ  
      kaccāyanassa   a 人名、カッチャーヤナ  
      bhāsitaṃ  bhāṣ 名過分 a 話した、語った  
      neva    不変 じつになし(na-eva  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhinandiṃ  abhi-nand 歓喜する、喜ぶ  
      語根 品詞 語基 意味  
      na   不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭikkosiṃ,  prati-kruś 叱る、非難する  
    訳文                
     じつに尊者よ、それで私は、パクダ・カッチャーヤナの語ったことに歓喜することもしないが、非難することもありませんでした。  
                       
                       
                       
    175-7.                
     anabhinanditvā appaṭikkositvā anattamano, anattamanavācaṃ anicchāretvā tameva vācaṃ anuggaṇhanto anikkujjanto uṭṭhāyāsanā pakkamiṃ.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anabhinanditvā  an-abhi-nand 歓喜する、喜ぶ  
      appaṭikositvā  a-prati-kruś 叱る、非難する  
      語根 品詞 語基 意味  
      anattamano,  man a 不適意、不悦意、不喜  
      anattamana man a 依(属) 不適意、不悦意、不喜  
      vācaṃ  vac ā 言葉  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anicchāretvā  a-niś-car 出す  
      語根 品詞 語基 意味  
      tam   代的 それ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      vācaṃ  vac ā 言葉  
      anuggaṇhanto  anu-grah 現分 ant 摂受する、摂益する、資助する、教護する  
      anikkujjanto    現分 ant 倒れない、顛倒しない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      uṭṭhāya ud-sthā 立ち上がる  
      語根 品詞 語基 意味  
      āsanā  ās a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pakkamiṃ  pra-kram 出発する、進む  
    訳文                
     歓喜せず非難もせず、不満ではあったが不満の言葉出さず、じつにその言葉を受け取りながら、傾倒することなく、座より立って立ち去ったのです。  
                       
                       
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