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     Pañcasikhagītagāthā  
      語根 品詞 語基 意味  
      Pañcasikha    a 依(具) 神名、パンチャシカ  
      gīta  gai 名過分 a 歌、讃歌  
      gāthā   ā  
    訳文                
     【パンチャシカによる偈頌】  
                       
                       
                       
    348-1.                
     348. Ekamantaṃ ṭhito kho pañcasikho gandhabbadevaputto beluvapaṇḍuvīṇaṃ [veḷuvapaṇḍuvīṇaṃ ādāya (syā.)] assāvesi, imā ca gāthā abhāsi buddhūpasañhitā dhammūpasañhitā saṅghūpasañhitā arahantūpasañhitā kāmūpasañhitā –  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      ṭhito  sthā 過分 a 立った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pañcasikho    a 神名、パンチャシカ  
      gandhabba    a 依(属) 乾達婆、ガンダッバ  
      deva    a 依(属) 天、神  
      putto    a 息子  
      beluva    a 依(属) 植物名、ベールヴァ、木瓜、橡  
      paṇḍu    u 黄色の  
      vīṇaṃ    ā 琵琶  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assāvesi,  śru 使 聞かせる、告げる、述べる  
      語根 品詞 語基 意味  
      imā    代的 これら  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      gāthā    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhāsi  bhāṣ 話す、語る、いう  
      語根 品詞 語基 意味  
      buddha  budh 名過分 a 依(属) 仏陀  
      upasañhitā  upa-saṃ-dhā 過分 a 伴った、具えた、関係した  
      dhamma  dhṛ a 男中 依(属)  
      upasañhitā  upa-saṃ-dhā 過分 a 伴った、具えた、関係した  
      saṅgha  saṃ-hṛ a 依(属) 僧伽  
      upasañhitā  upa-saṃ-dhā 過分 a 伴った、具えた、関係した  
      arahanta  arh 名現分 ant 依(属) 阿羅漢  
      upasañhitā  upa-saṃ-dhā 過分 a 伴った、具えた、関係した  
      kāma    a 男中 依(属)  
      upasañhitā – upa-saṃ-dhā 過分 a 伴った、具えた、関係した  
    訳文                
     一方へ立ったガンダッバ天子パンチャシカは、ベールヴァの実のような黄色い琵琶を弾いて、これらの、仏に関し、法に関し、僧に関し、阿羅漢に関し、愛欲に関する諸偈をとなえた。  
    メモ                
     ・『原始仏典』第二巻の解題では、この偈は「仏教以外の古い相聞歌」であろうとしている。たしかに、kāmaの譬喩として三宝や阿羅漢が用いられるというのは、ニカーヤの他のテクストに比してもやや異質に感ぜられる。  
                       
                       
                       
    348-2.                
     ‘‘Vande te pitaraṃ bhadde, timbaruṃ sūriyavacchase;  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Vande    礼拝する、尊敬する  
      語根 品詞 語基 意味  
      te    代的 あなた  
      pitaraṃ    ar  
      bhadde,    ā 神名、バッダー  
      timbaruṃ    ū 神名、ティンバルー  
      sūriya    a 依(属) 太陽  
      vacchase;   ā 光ある、輝ける女  
    訳文                
     「♪太陽のように輝くバッダーよ、私は、あなたの父ティンバルーに礼拝する。  
    メモ                
     ・「大集会経」では、パンチャシカと並んでこの二神が名を出す。そのときは、sūriyavacchasāを「スーリヤ・ヴァッチャサー」という固有名詞として訳した。なお辞書にはvaccasāという形ででる。  
                       
                       
                       
    348-3.                
     Yena jātāsi kalyāṇī, ānandajananī mama.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      jātā  jan  過分 a 生じた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      kalyāṇī,    in 美しい、幸運の、適当の  
      ānanda  ā-nand a 依(属) 歓喜  
      jananī    ī  
      mama.   代的  
    訳文                
     ♪美しき、我が喜びの母(バッダー)は、彼によって生じた。  
    メモ                
     ・yenaは「それゆえ」と訳すべきかもしれない。  
                       
                       
                       
    348-4.                
     ‘‘Vātova sedataṃ kanto, pānīyaṃva pipāsato;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Vāto  a  
      iva    不変 如き  
      sedataṃ  svid 使 現分 ant 蒸発させる、熱する、発汗させる  
      kanto,    過分 a 可愛の、所愛の  
      pānīyaṃ  名未分 a 飲物、水  
      iva    不変 如き  
      pipāsato;  意 現分 ant のどが渇く  
    訳文                
     ♪汗をかく者たちにとっての愛すべき風の如く、乾いた者にとっての水の如し。  
                       
                       
                       
    348-5.                
     Aṅgīrasi piyāmesi, dhammo arahatāmiva.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Aṅgīrasi    ī 天女  
      piyā    a 可愛の、所愛の  
      me    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asi,  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      dhammo  dhṛ a 男中  
      arahatām  arh 名現分 ant 阿羅漢  
      iva.   不変 如き  
    訳文                
     ♪我が所愛の天女は、阿羅漢たちにとっての法の如きである。  
    メモ                
     ・arahantの複数属格はarahatamもしくはarahatānamのはずだが。  
                       
                       
                       
    348-6.                
     ‘‘Āturasseva bhesajjaṃ, bhojanaṃva jighacchato;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Āturassa    a 苦悩した、病んだ  
      iva    不変 如き  
      bhesajjaṃ,    a  
      bhojanaṃ  bhuj a 食物  
      iva    不変 如き  
      jighacchato; gras 意 現分 ant 飢える  
    訳文                
     ♪病める者にとっての薬の如く、飢える者にとっての食物の如し。  
                       
                       
                       
    348-7.                
     Parinibbāpaya maṃ bhadde, jalantamiva vārinā.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Parinibbāpaya  pari-nir-vā? 使 般涅槃させる、寂静ならしむ  
      語根 品詞 語基 意味  
      maṃ    代的  
      bhadde,    ā 神名、バッダー  
      jalantam  jval 現分 ant 燃える、輝く  
      iva    不変 如き  
      vārinā.   i  
    訳文                
     ♪バッダーよ、燃える〔火〕を水によって〔消す〕如く、私を寂静ならしめよ。  
                       
                       
                       
    348-8.                
     ‘‘Sītodakaṃ pokkharaṇiṃ, yuttaṃ kiñjakkhareṇunā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sīta    a 有(持) 冷たい、寒い  
      udakaṃ    a 中→女  
      pokkharaṇiṃ,    ī 蓮池  
      yuttaṃ  yuj 過分 a 結んだ、相応した、整えた  
      kiñjakkha    a 男中 花糸、蓮の花、糸  
      reṇunā;   u 花粉  
    訳文                
     ♪冷たい水をたたえ、花糸と花粉でおおわれた蓮池〔の如き〕  
    メモ                
     ・kiñjakkhaは水野辞書に依れば「雄ずい」すなわち「おしべ」のこと。ゆえに、ここでは諸訳に同じく相違釈としたが、奪格の依主釈で「おしべからの花粉」かもしれない。  
                       
                       
                       
    348-9.                
     Nāgo ghammābhitattova, ogāhe te thanūdaraṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nāgo    a 蛇、竜、象  
      ghamma    a 依(具) 炎暑  
      abhitatto  abhi-tap 過分 a 焦げた、干上がった  
      iva,    不変 如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ogāhe  ava-gāh 使 入らしめる、潜入させる  
      語根 品詞 語基 意味  
      te    代的 あなた  
      thana    a 乳房  
      udaraṃ.   a 胃、腹  
    訳文                
     ♪あなたの胸元へ、炎暑によって干上がった象の如き〔私を〕入らしめよ。  
                       
                       
                       
    348-10.                
     ‘‘Accaṅkusova nāgova, jitaṃ me tuttatomaraṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Accaṅkuso    a 鉤を超えた  
      iva    不変 如き  
      nāgo    a 蛇、竜、象  
      iva,    不変 如き  
      jitaṃ  ji 過分 a 打ち勝った、征服した  
      me    代的  
      tutta    a 突き棒  
      tomaraṃ;   a 男中 突き棒、槍  
    訳文                
     ♪鉤を超えた象の如く、私は突き棒と槍に打ち勝った。  
    メモ                
     ・AccaṅkusoAti-aṅkusoという複合。 aṅkusaとは象を御するための手鉤をいうらしい。  
                       
                       
                       
    348-11.                
     Kāraṇaṃ nappajānāmi, sammatto lakkhaṇūruyā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāraṇaṃ  kṛ a 原因、根拠、所作  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāmi,  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sammatto  saṃ-mad 過分 a 理性を失った、夢中の  
      lakkhaṇa    a 有(持) 相、特相  
      ūruyā.   u 男→女  
    訳文                
     ♪私は、訳も分からず、際だった腿をもつ者(バッダー)に夢中となった。  
                       
                       
                       
    348-12.                
     ‘‘Tayi gedhitacittosmi, cittaṃ vipariṇāmitaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tayi    代的 あなた  
      gedhita  gṛdh 過分 a 有(持) 貪求した  
      citto  cit a 中→男  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asmi,  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      cittaṃ  cit a  
      vipariṇāmitaṃ;   過分 a 変化する、変壊する  
    訳文                
     ♪私は、あなたについて貪求する心をもつ者となった。心は変化してしまった。  
                       
                       
                       
    348-13.                
     Paṭigantuṃ na sakkomi, vaṅkaghastova ambujo.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Paṭigantuṃ  prati-gam 不定 向かって行くこと、放棄すること  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkomi,  śak できる、可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      vaṅka    名形 a 依(対) 曲がった、釣り針  
      ghasto  gras 過分 a 食べた  
      iva    不変 如き  
      ambujo.   a  
    訳文                
     ♪魚が釣り針を飲み込んだが如く、〔その心を〕捨てることはできない。  
                       
                       
                       
    348-14.                
     ‘‘Vāmūru saja maṃ bhadde, saja maṃ mandalocane;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Vāma    a 有(持) 美しい  
      ūru    u 男→女  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      saja  svaj 抱擁する  
      語根 品詞 語基 意味  
      maṃ    代的  
      bhadde,    ā 神名、バッダー  
      saja  同上  
      maṃ    代的  
      manda    a 有(持) 遅い、遅鈍の  
      locane; loc, lok a 男→女  
    訳文                
     ♪美しい腿をもつ者よ、あなたは私を抱擁せよ。ゆったりしたまなざしのバッダーよ、あなたは私を抱擁せよ。  
                       
                       
                       
    348-15.                
     Palissaja maṃ kalyāṇi, etaṃ me abhipatthitaṃ.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Palissaja  pari-svaj 抱く、抱擁する  
      語根 品詞 語基 意味  
      maṃ    代的  
      kalyāṇi,    in 美人  
      etaṃ    代的 これ  
      me    代的  
      abhipatthitaṃ. abhi-pra-arth 過分 a 希求された、欲求された  
    訳文                
     ♪美しい人よ、あなたは私を抱擁せよ。これが私の望みである。  
    メモ                
     ・女性呼格kalyāṇiは本当ならkalyāṇīのはずである。   
                       
                       
                       
    348-16.                
     ‘‘Appako vata me santo, kāmo vellitakesiyā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Appako    a 少ない、微小の  
      vata    不変 じつに  
      me    代的  
      santo,  as 現分 a ある、なる  
      kāmo    a 男中 欲、愛欲  
      vellita    a 曲がった、縮れ毛の  
      kesiyā;   ī 毛髪ある  
    訳文                
     ♪私の、じつにわずかな愛欲は、巻き毛の者(バッダー)によって、  
                       
                       
                       
    348-17.                
     Anekabhāvo samuppādi, arahanteva dakkhiṇā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Aneka    代的 有(持) 一つならぬ、多様の  
      bhāvo  bhū a 性質、状態  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samuppādi,  saṃ-ud-pad 生ずる  
      語根 品詞 語基 意味  
      arahante  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      iva    不変 如き  
      dakkhiṇā.   ā 施物、供養  
    訳文                
     ♪阿羅漢に対する施物の如く、多様な状態となった。  
                       
                       
                       
    348-18.                
     ‘‘Yaṃ me atthi kataṃ puññaṃ, arahantesu tādisu;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      me    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      kataṃ  kṛ 過分 a なされた  
      puññaṃ,    a 福徳、善  
      arahantesu  arh ant 阿羅漢、応供  
      tādisu;   in そのような  
    訳文                
     ♪およそ、そのような阿羅漢たちに対して、私によってなされてきた善根がある。  
                       
                       
                       
    348-19.                
     Taṃ me sabbaṅgakalyāṇi, tayā saddhiṃ vipaccataṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ    代的 それ  
      me    代的  
      sabba    名形 代的 すべての  
      aṅga    a 依(処) 支分、肢体  
      kalyāṇi,    in 美人  
      tayā    代的 あなた  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      vipaccataṃ. vi-pac 受 過分 a 異熟した、果報した、熟れた  
    訳文                
     ♪すべての肢体において美しい人よ、それは、私とあなた、ともに異熟したのである。  
                       
                       
                       
    348-20.                
     ‘‘Yaṃ me atthi kataṃ puññaṃ, asmiṃ pathavimaṇḍale;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yaṃ me atthi kataṃ puññaṃ, (348-18.)  
      asmiṃ    代的 これ  
      pathavi   ī 依(属) 大地  
      maṇḍale;   a 曼陀羅、円  
    訳文                
     ♪およそ、この大地一円に対して、私によってなされてきた善根がある。  
                       
                       
                       
    348-21.                
     Taṃ me sabbaṅgakalyāṇi, tayā saddhiṃ vipaccataṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ me sabbaṅgakalyāṇi, tayā saddhiṃ vipaccataṃ. (348-19.)  
    訳文                
     ♪すべての肢体において美しい人よ、それは、私とあなた、ともに異熟したのである。  
                       
                       
                       
    348-22.                
     ‘‘Sakyaputtova jhānena, ekodi nipako sato;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sakya    a 依(属) 釈迦、釈迦族、釈子  
      putto    a 息子 →釈子  
      iva    不変 如き  
      jhānena,  dhyai a 禅定  
      ekodi    i 専一の、一点の  
      nipako    名形 a 賢明の、慎重な  
      sato; smṛ 過分 a 正念の  
    訳文                
     ♪禅定によって専一、賢明、正念の者となった、釈迦族の〔王〕子たる、  
    メモ                
     ・水野辞書によれば、sakyasakyaputtaも、 釈迦、釈迦族、釈子という三つの意味を表しうるようである。ここでは釈迦牟尼の意としたが、釈子と訳すべき可能性も十分にあろう。  
                       
                       
                       
    348-23.                
     Amataṃ muni jigīsāno [jigiṃsāno (sī. syā. pī.)], tamahaṃ sūriyavacchase.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Amataṃ  a-mṛ 名過分 a 不死  
      muni    i 聖者、牟尼  
      jigīsāno,    a 貪求者  
      tam    代的 あなた  
      ahaṃ    代的  
      sūriya    a 有(属) 太陽  
      vacchase.   ā 光ある、輝ける女  
    訳文                
     ♪牟尼が不死を求めたように、太陽のように輝ける者(バッダー)よ、私もあなたを〔求める〕。  
                       
                       
                       
    348-24.                
     ‘‘Yathāpi muni nandeyya, patvā sambodhimuttamaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      muni    i 聖者、牟尼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nandeyya,  nand 喜ぶ、歓喜する  
      patvā  pra-āp 得る、到達する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sambodhim  saṃ-budh i 正覚、等覚  
      uttamaṃ;   a 最上の、無上の  
    訳文                
     ♪牟尼が無上の等覚を得て歓喜する如く、  
                       
                       
                       
    348-25.                
     Evaṃ nandeyyaṃ kalyāṇi, missībhāvaṃ gato tayā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nandeyyaṃ  nand 能反 喜ぶ  
      語根 品詞 語基 意味  
      kalyāṇi,    in 美人  
      missī    ī 依(属) 混合の、結合の  
      bhāvaṃ  bhū a 性質、状態 →性交、合一  
      gato  gam 過分 a 行った  
      tayā.   代的 あなた  
    訳文                
     ♪美しい人よ、そのように私は、あなたとの交わりに及んで、歓喜するであろう。  
                       
                       
                       
    348-26.                
     ‘‘Sakko ce me varaṃ dajjā, tāvatiṃsānamissaro;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sakko    a サッカ、帝釈天  
      ce    不変 もし、たとえ  
      me    代的  
      varaṃ    名形 a 男中 すぐれた、高貴の、最上の、恵与、福利、願望  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dajjā,  与える  
      語根 品詞 語基 意味  
      tāvatiṃsānam    a 三十三〔天〕の  
      issaro;   a 自在者、主宰者  
    訳文                
     ♪もし三十三天の主宰者たるサッカが、私の希望を叶えてくれるならば、  
                       
                       
                       
    348-27.                
     Tāhaṃ bhadde vareyyāhe, evaṃ kāmo daḷho mama.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ    代的 あなた  
      ahaṃ    代的  
      bhadde    ā 神名、バッダー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vareyyāhe,  vṛ 望む  
      語根 品詞 語基 意味  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      kāmo    a 男中 欲、愛欲  
      daḷho    a 堅固な、確固たる  
      mama.   代的  
    訳文                
     ♪バッダーよ、私はあなたを望む。かくのごとく、私の愛欲は堅固である。  
    メモ                
     ・vareyyāheの三人称単数現在形となるvaratiなる動詞は辞書類に見られなかったが、PTS辞書では名詞varato wishの意味を持つとされているため、その名動詞であろうと推測した。また活用語尾は-yyāmheの異体と見た。  
                       
                       
                       
    348-28.                
     ‘‘Sālaṃva na ciraṃ phullaṃ, pitaraṃ te sumedhase;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sālaṃ    a サーラ樹  
      iva    不変 如き  
      na    不変 ない  
      ciraṃ    a 久しい  
      phullaṃ,  phal 過分 a 開花した、破壊した  
      pitaraṃ    ar  
      te    代的 あなた  
      sumedhase;   a ? ? 善慧の、賢い  
    訳文                
     ♪善慧のもの(バッダー)よ、開花して間もないサーラ樹の如きあなたの父を、  
    メモ                
     ・sumedhaの語はsumedhoという形も出るためa語基としているが、PTS辞書にはVedic medhas, as a-base とあり、しばしば特殊な曲用を見せる。  
                       
                       
                       
    348-29.                
     Vandamāno namassāmi, yassā setādisī pajā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vandamāno  vand 現分 a 礼拝する、尊敬する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      namassāmi,    礼拝する、拝む  
      語根 品詞 語基 意味  
      yassā    代的 (関係代名詞)  
          代的 それ、彼女  
      etādisī    ī かくのごとき  
      pajā’’  pra-jan ā 人々、子孫  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪私は恭敬し、礼拝する。この〔あなたという〕かくのごときの後裔、その〔父を〕」  
    メモ                
     ・setādisīsā etādisīと解したが、これが正しいかどうか不明。  
                       
                       
                       
    349-1.                
     349. Evaṃ vutte bhagavā pañcasikhaṃ gandhabbadevaputtaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte  vac 受 過分 a 男中 いわれた  
      bhagavā    ant 世尊  
      pañcasikhaṃ    a 神名、パンチャシカ  
      gandhabba    a 依(属) 乾達婆、ガンダッバ  
      deva    a 依(属) 天、神  
      puttaṃ    a 息子  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このようにいわれて、世尊はガンダッバ天子パンチャシカにこう仰った。  
                       
                       
                       
    349-2.                
     ‘‘saṃsandati kho te, pañcasikha, tantissaro gītassarena, gītassaro ca tantissarena;   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘saṃsandati  saṃ-syand 交際する、合流する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te,    代的 あなた  
      pañcasikha,    a 神名、パンチャシカ  
      tanti    i 依(属) 弦、伝統、教典  
      saro  svar a 声、音  
      gīta  gai 名過分 a 依(属)  
      sarena,  svar a 声、音  
      gīta  gai 名過分 a 依(属)  
      saro  svar a 声、音  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      tanti    i 依(属) 弦、伝統、教典  
      sarena;  svar a 声、音  
    訳文                
     「パンチャシカよ、あなたの弦音は歌声に、歌声は弦音に調和しています。  
                       
                       
                       
    349-3.                
     na ca pana [neva pana (syā.)] te pañcasikha, tantissaro gītassaraṃ ativattati, gītassaro ca tantissaraṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      te pañcasikha, tantissaro gītassaraṃ ativattati, gītassaro ca tantissaraṃ. (349-2.)  
      saraṃ  svar a 声、音  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ativattati,  ati-vṛt 超える、超過する、征服する、打ち勝つ  
    訳文                
     またパンチャシカよ、あなたの弦音は歌声を、歌声は弦音をころしていません。  
                       
                       
                       
    349-4.                
     Kadā saṃyūḷhā pana te, pañcasikha, imā gāthā buddhūpasañhitā dhammūpasañhitā saṅghūpasañhitā arahantūpasañhitā kāmūpasañhitā’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kadā    不変 いつ  
      saṃyūḷhā  saṃ-vi-vah 過分 a 集められた、結合した  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      te,    代的 あなた  
      pañcasikha,    a 神名、パンチャシカ  
      imā gāthā buddhūpasañhitā dhammūpasañhitā saṅghūpasañhitā arahantūpasañhitā kāmūpasañhitā’’ (348-1.)  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     しかるにパンチャシカよ、これらの、仏に関し、法に関し、僧に関し、阿羅漢に関し、愛欲に関する諸偈は、いつ、あなたによってまとめられたのでしょうか。  
    メモ                
     ・348-1.との重複部分の単語は、348-1.では女性複数対格だったが、ここでは主格である。同形でも格が違うため注意。  
                       
                       
                       
    349-5.                
     ‘‘Ekamidaṃ, bhante, samayaṃ bhagavā uruvelāyaṃ viharati najjā nerañjarāya tīre ajapālanigrodhe paṭhamābhisambuddho.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ekam    代的 副対 一、とある  
      idaṃ,    代的 副対 これ  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      uruvelāyaṃ    ā 地名、ウルヴェーラー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      najjā    ī  
      nerañjarāya    ā 地名、ネーランジャラー  
      tīre    a  
      ajapāla    a 固有名詞、アジャパーラ(山羊飼いの意)  
      nigrodhe    a 植物名、ニグローダ  
      paṭhamaṃ    a 副対 第一の、最初の  
      abhisambuddho.  abhi-saṃ-budh 過分 a 現等覚した  
    訳文                
     「尊者よ、あるとき現等覚された世尊は、はじめ、ウルヴェーラーはネーランジャラー河の岸、アジャパーラ・ニグローダに住しておられました。  
    メモ                
     ・Ekamidaṃidaṃについて、『中部』121「小空性経」に対する『註』はTattha idanti nipātamattameva. と、虚辞である旨を述べている。  
                       
                       
                       
    349-6.                
     Tena kho panāhaṃ, bhante, samayena bhaddā nāma sūriyavacchasā timbaruno gandhabbarañño dhītā, tamabhikaṅkhāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      samayena    a 副具  
      bhaddā    ā 神名、バッダー  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      sūriya    a 依(属) 太陽  
      vacchasā    ā 光ある、輝ける女  
      timbaruno    ū 神名、ティンバルー  
      gandhabba    a 依(属) 乾達婆、ガンダッバ  
      rañño    an  
      dhītā,    ā  
      tam    代的 それ、彼女  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhikaṅkhāmi.  abhi-kāṅkṣ 希望する、欲求する  
    訳文                
     さてそのとき、尊者よ、バッダーという名の、太陽のように輝く、ガンダッバ王ティンバルーの娘がおりますが、私は彼女を求めていました。  
                       
                       
                       
    349-7.                
     Sā kho pana, bhante, bhaginī parakāminī hoti;   
      語根 品詞 語基 意味  
          代的 それ、彼女  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana,    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhaginī    ī 姉妹  
      para    代的 依(対) 他の  
      kāminī    ī 愛欲ある  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti;  bhū ある、なる  
    訳文                
     しかし尊者よ、かの娘は、他の者を愛していました。  
    メモ                
     ・『註』に曰く、「『姉妹』というこれは慣用句であって、天の娘という意味である」Bhaginīti vohāravacanametaṃ, devadhītāti attho.とのこと。これを受けて、同族の娘への親族呼称とみなし、そのように意訳した。  
                       
                       
                       
    349-8.                
     sikhaṇḍī nāma mātalissa saṅgāhakassa putto, tamabhikaṅkhati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      sikhaṇḍī    in 神名、シカンディン(孔雀の意)  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      mātalissa    i 神名、マータリ  
      saṅgāhakassa  saṃ-grah 名形 a 集合の、御者  
      putto,    a 息子  
      tam    代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhikaṅkhati.  abhi-kāṅkṣ 希望する、欲求する  
    訳文                
     シカンディンという名の御者マータリの息子がおり、彼を求めていました。  
                       
                       
                       
    349-9.                
     Yato kho ahaṃ, bhante, taṃ bhaginiṃ nālatthaṃ kenaci pariyāyena.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば(yaの奪格)  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      taṃ    代的 それ、彼女  
      bhaginiṃ    ī 姉妹  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      alatthaṃ  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      kenaci    代的 何らかの、何者であれ  
      pariyāyena.  pari-i a 法門、方法  
    訳文                
     尊者よ、それゆえ私は、いかなる方法をもってしても、その娘を得られませんでした。  
                       
                       
                       
    349-10.                
     Athāhaṃ beluvapaṇḍuvīṇaṃ ādāya yena timbaruno gandhabbarañño nivesanaṃ tenupasaṅkamiṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      ahaṃ    代的  
      beluva    a 依(属) 植物名、ベールヴァ、木瓜、橡  
      paṇḍu    u 黄色の  
      vīṇaṃ    ā 琵琶  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādāya  ā-dā 取る  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      timbaruno    ū 神名、ティンバルー  
      gandhabba    a 依(属) 乾達婆、ガンダッバ  
      rañño    an  
      nivesanaṃ  ni-vas a 住居  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamiṃ;  upa-saṃ-kram 近づく  
    訳文                
     そこで私は、ベールヴァの実のような黄色い琵琶をとって、ガンダッバ王ティンバルーの住まいへ近づきました。  
                       
                       
                       
    349-11.                
     upasaṅkamitvā beluvapaṇḍuvīṇaṃ assāvesiṃ, imā ca gāthā abhāsiṃ buddhūpasañhitā dhammūpasañhitā saṅghūpasañhitā arahantūpasañhitā kāmūpasañhitā –  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      beluvapaṇḍuvīṇaṃ assāvesiṃ, imā ca gāthā abhāsiṃ buddhūpasañhitā dhammūpasañhitā saṅghūpasañhitā arahantūpasañhitā kāmūpasañhitā – (348-1.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assāvesiṃ,  śru 使 聞かせる、告げる、述べる  
      abhāsiṃ  bhāṣ 話す、語る、いう  
    訳文                
     近づいて、ベールヴァの実のような黄色い琵琶を弾いて、これらの、仏に関し、法に関し、僧に関し、阿羅漢に関し、愛欲に関する諸偈をとなえました。  
                       
                       
                       
    349-12.                
     ‘‘Vande te pitaraṃ bhadde, timbaruṃ sūriyavacchase;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Vande te pitaraṃ bhadde, timbaruṃ sūriyavacchase; (348-2.)  
    訳文                
     『♪太陽のように輝くバッダーよ、私は、あなたの父ティンバルーに礼拝する。  
                       
                       
                       
    349-13.                
     Yena jātāsi kalyāṇī, ānandajananī mama. …pe…  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yena jātāsi kalyāṇī, ānandajananī mama. (348-3.)  
      …pe…   (略)  
    訳文                
     ♪美しき、我が喜びの母(バッダー)は、彼によって生じた……(略)  
                       
                       
                       
    349-14.                
     Sālaṃva na ciraṃ phullaṃ, pitaraṃ te sumedhase;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sālaṃva na ciraṃ phullaṃ, pitaraṃ te sumedhase; (348-28.)  
    訳文                
     ♪善慧のもの(バッダー)よ、開花して間もないサーラ樹の如きあなたの父を、  
                       
                       
                       
    349-15.                
     Vandamāno namassāmi, yassā setādisī pajā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vandamāno namassāmi, yassā setādisī pajā’’ti. (348-29.)  
    訳文                
     ♪私は恭敬し、礼拝する。この〔あなたという〕かくのごときの後裔、その〔父を〕』と。  
                       
                       
                       
    349-16.                
     ‘‘Evaṃ vutte, bhante, bhaddā sūriyavacchasā maṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a 男中 いわれた  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhaddā    ā 神名、バッダー  
      sūriya    a 依(属) 太陽  
      vacchasā    ā 光ある、輝ける女  
      maṃ    代的  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     尊者よ、このようにいわれて、太陽のように輝くバッダーは、私へこういいました。  
                       
                       
                       
    349-17.                
     ‘na kho me, mārisa, so bhagavā sammukhā diṭṭho api ca sutoyeva me so bhagavā devānaṃ tāvatiṃsānaṃ sudhammāyaṃ sabhāyaṃ upanaccantiyā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      me,    代的  
      mārisa,    不変 我が友よ、我が師よ  
      so    代的 それ、彼  
      bhagavā    ant 世尊  
      sammukhā    a 男中 副奪 面前の  
      diṭṭho  dṛś 過分 a 見られた  
      api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      suto  śru 名過分 a 中→男 聞かれた  
      yeva    不変 まさに、のみ、じつに  
      me    代的  
      so    代的 それ、彼  
      bhagavā    ant 世尊  
      devānaṃ    a 天、神  
      tāvatiṃsānaṃ    a 三十三〔天〕の  
      sudhammāyaṃ    ā 地名、スダンマー  
      sabhāyaṃ    ā 集会、集会所  
      upanaccantiyā.  upa-nṛt 現分 ī 踊る  
    訳文                
     『我が友よ、私はかの世尊にまみえたことがありませんが、しかし三十三天の神々のスダンマー集会所で踊っていた私は、かの世尊〔について〕聞いています。  
                       
                       
                       
    349-18.                
     Yato kho tvaṃ, mārisa, taṃ bhagavantaṃ kittesi, hotu no ajja samāgamo’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば(yaの奪格)  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      mārisa,    不変 我が友よ、我が師よ  
      taṃ    代的 それ、彼  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kittesi,    讃える  
      hotu  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      no    代的 私たち  
      ajja    不変 今日、今  
      samāgamo’  saṃ-ā-gam a 来集、会合、集合  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     我が友よ、あなたがかの世尊を讃えた、そのことゆえに、私たちには今日、逢瀬があるでしょう』と。  
                       
                       
                       
    349-19.                
     Soyeva no, bhante, tassā bhaginiyā saddhiṃ samāgamo ahosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ  
      yeva    不変 まさに、のみ、じつに  
      no,    代的 私たち  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      tassā    代的 それ、彼女  
      bhaginiyā    ī 姉妹  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に  
      samāgamo  saṃ-ā-gam a 来集、会合、集合  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi.  bhū ある、なる  
    訳文                
     尊者よ、まさしく我々には、かの娘との、その逢瀬がありました。  
                       
                       
                       
    349-20.                
     Na ca dāni tato pacchā’’ti.    
      語根 品詞 語基 意味  
      Na    不変 ない  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      dāni    不変 今、今や  
      tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      pacchā’’    不変 後に  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     しかしいまや、その後〔会うことが〕ありません」  
    メモ                
     ・諸訳はこの文を「ですが、その日ではなく、その後のことでありました」(『パーリ』)というように訳すが、ここでは別の解釈を採ってみた。すなわち、相聞歌などを合図に、女性が家に任意の男性を迎え入れるという、いわゆる「妻問い婚」を背景としたものとみたものである。これによりパンチャシカは一夜の同衾の機会を得たが、その後、迎え入れられていない、という趣旨の文と解した。  
                       
                       
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