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     5. Sekkhasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sekkha  śikṣ a 依(属) 有学  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「有学経」(『増支部』3-86  
                       
                       
                       
    86-1.                
     86. Atha kho aññataro bhikkhu yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      aññataro    代的 とある、随一の  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに、とある比丘が世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    86-2.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     近付いて、世尊へ礼拝し、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    86-3.                
     Ekamantaṃ nisinno kho so bhikkhu bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐ったその比丘は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    86-4.                
     ‘‘‘Sekho, sekho’ti, bhante, vuccati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Sekho,  śikṣ a 有学  
      sekho’  śikṣ a 有学  
      ti,    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuccati.  vac 受 いわれる  
    訳文                
     「尊者よ、『有学、有学』といわれます。  
                       
                       
                       
    86-5.                
     Kittāvatā nu kho, bhante, sekho hotī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kittāvatā    不変 どれだけで、どの範囲で、どの点から  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      sekho  śikṣ a 有学  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hotī’’  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     尊者よ、いったいどれだけをもって有学となるのでしょうか」と。  
                       
                       
                       
    86-6.                
     ‘‘Sikkhatīti kho, bhikkhu, tasmā sekhoti vuccati.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Sikkhatī  śikṣ 学ぶ、学得する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      tasmā    代的 それ、彼  
      sekho  śikṣ a 有学  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuccati.  vac 受 いわれる  
    訳文                
     「比丘よ、『彼は学得する』という、そのことゆえに有学というのです。  
                       
                       
                       
    86-7.                
     Kiñca sikkhati?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kiñ    代的 何、なぜ、いかに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sikkhati?  śikṣ 学ぶ、学得する  
    訳文                
     では何を学得するのか。  
                       
                       
                       
    86-8.                
     Adhisīlampi sikkhati, adhicittampi sikkhati, adhipaññampi sikkhati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Adhisīlam    a 増上戒  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sikkhati,  śikṣ 学ぶ、学得する  
      語根 品詞 語基 意味  
      adhicittam  adhi-cit a 増上心、禅定  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      sikkhati,  同上  
      adhipaññam  adhi-pra-jñā a 増上慧  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      sikkhati.  同上  
    訳文                
     増上戒を学得し、増上心を学得し、増上慧を学得するのです。  
                       
                       
                       
    86-9.                
     Sikkhatīti kho, bhikkhu, tasmā sekhoti vuccatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sikkhatīti kho, bhikkhu, tasmā sekhoti vuccatī’’ (86-6.)  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     比丘よ、『彼は学得する』という、そのことゆえに有学というのです。  
                       
                       
                       
    86-10.                
     ‘‘Sekhassa sikkhamānassa, ujumaggānusārino;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sekhassa    a 属絶 有学  
      sikkhamānassa,  śikṣ 現分 a 属絶 学ぶ、学得する  
      uju    u 正しい、まっすぐな  
      magga    a 依(対)  
      anusārino;  anu-sṛ in 属絶 随行する  
    訳文                
     ♪学び、正道を随行する有学者には、  
                       
                       
                       
    86-11.                
     Khayasmiṃ paṭhamaṃ ñāṇaṃ, tato aññā anantarā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Khayasmiṃ  kṣi a 滅尽、尽滅  
      paṭhamaṃ    a 第一の、最初の  
      ñāṇaṃ,  jñā a 智、智慧  
      tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      aññā  ā-jñā  ā 了知、完全智、開悟、己知  
      anantarā.    a 男中 副奪 無間に、直接に  
    訳文                
     ♪滅尽に関する第一の智慧が起こり、それより間もなく完全智が起こる。  
    メモ                
     ・「Khayasmiṃ paṭhamaṃ ñāṇanとは第一の道智が生ずるということである。煩悩の消失ゆえに滅尽という。それに相応した智が「滅尽に関する智慧」という。Tato aññā anantarāとは、その第四の道智より間もなく完全智が生じる、阿羅漢果が生じる、という意味である」と『註』はいう。四段階ある「道智」とは何であろうか。おそらくアビダンマよりの用語であろうがここでは深い追求はさける。  
     ・その原文。Khayasmiṃ paṭhamaṃ ñāṇanti paṭhamameva maggañāṇaṃ uppajjati. Maggo hi kilesānaṃ khepanato khayo nāma, taṃsampayuttaṃ ñāṇaṃ khayasmiṃ ñāṇaṃ nāma. Tato aññā anantarāti tato catutthamaggañāṇato anantarā aññā uppajjati, arahattaphalaṃ uppajjatīti attho.  
                       
                       
                       
    86-12.                
     ‘‘Tato aññāvimuttassa [aññāvimuttiyā (ka.)], ñāṇaṃ ve [ñāṇañca (ka.)] hoti tādino;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      aññā  ā-jñā  ā 了知、完全智、開悟、己知  
      vimuttassa  vi-muc 過分 a 解脱した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tādino;    in かくのごとき  
    訳文                
     ♪それから、そのように解脱した者に智慧がおこる。  
    メモ                
     ・『原始』にしたがい、このTatoを順序をあらわすものとみたが、あるいはこれは理由の「それゆえ」と読むべきか。  
     ・またaññāvimuttassaを『南伝』のように複合語でなくaññā vimuttassaと切って読んだが、『原始』のように「智慧によって解脱した者の」という具格依主釈と見なすべきかもしれない。  
                       
                       
                       
    86-13.                
     Akuppā me vimuttīti, bhavasaṃyojanakkhaye’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Akuppā    a 不動の、堅固な  
      me    代的  
      vimuttī  vi-muc 受 i 解脱  
      ti,    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      bhava  bhū a 依(属) 有、存在、生存、幸福、繁栄  
      saṃyojana  saṃ-yuj a 依(属) 繋縛、結縛  
      khaye’’  kṣi a 滅尽、尽滅  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪有の繋縛の滅尽において、『私の解脱は不動である』という〔智慧が〕」  
                       
                       
                       
     pañcamaṃ; ( ) [(aṭṭhamaṃ bhāṇavāraṃ niṭṭhitaṃ) (ka.)]  
      語根 品詞 語基 意味  
      pañcamaṃ;    a 第五の  
    訳文                
     第五〔経〕。  
    メモ                
     ・( )内は「第八誦分、終わり」であるが、これはどういう計上か。  
                       
                       
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