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     3. Asurindakasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Asurindaka    a 依(属) 人名、アスリンダカ  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「アスリンダカ経」(『相応部』7-3  
                       
                       
                       
    189-1.                
     189. Ekaṃ samayaṃ bhagavā rājagahe viharati veḷuvane kalandakanivāpe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      rājagahe    a 地名、ラージャガハ、王舎城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      veḷuvane    a 竹林  
      kalandakanivāpe.  ni-vap a 地名、カランダカニヴァーパ(リスの餌場)  
    訳文                
     あるとき世尊はラージャガハの竹林、カランダカニヴァーパに住しておられた。  
                       
                       
                       
    189-2.                
     Assosi kho asurindakabhāradvājo brāhmaṇo –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Assosi  śru 聞く  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      asurindaka    a 人名、アスリンダカ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo –  bṛh a 婆羅門  
    訳文                
     アスリンダカ・バーラドヴァージャ婆羅門は聞いた。  
                       
                       
                       
    189-3.                
     ‘‘bhāradvājagotto brāhmaṇo kira samaṇassa gotamassa santike agārasmā anagāriyaṃ pabbajito’’ti kupito anattamano yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘bhāradvāja    a 有(持) 人名、バーラドヴァージャ  
      gotto    a 中→男 姓、氏姓、種姓、家系  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      kira    不変 伝え言う、〜という話だ  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      santike    a 付近、面前  
      agārasmā    a 家、舎、家屋、俗家  
      anagāriyaṃ    a 非家の  
      pabbajito’’  pra-vraj 名過分 a 出家した、遁世した  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kupito  kup 過分 a 怒った  
      anattamano    a 適意ならぬ、悦意ならぬ  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     「バーラドヴァージャ姓の婆羅門が、沙門ゴータマの面前で俗家より非家へと出家したらしい」と。〔そこで〕彼は、怒り、不愉快となって、世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    189-4.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ asabbhāhi pharusāhi vācāhi akkosati paribhāsati.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      asabbhāhi    a 不作法な、卑しい  
      pharusāhi    a 粗悪な、粗暴な  
      vācāhi  vac ā 語、言葉 →悪口  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akkosati  ā-kruś 罵る、謗る  
      paribhāsati.  pari-bhāṣ 誹謗する、謗る  
    訳文                
     近づいて、不作法な悪口によって世尊を罵り、誹謗した。  
                       
                       
                       
    189-5.                
     Evaṃ vutte, bhagavā tuṇhī ahosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a いわれた  
      bhagavā    ant 世尊  
      tuṇhī    不変 沈黙して、黙って  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi.  bhū ある、なる  
    訳文                
     このように言われて、世尊は沈黙された。  
                       
                       
                       
    189-6.                
     Atha kho asurindakabhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      asurindaka    a 人名、アスリンダカ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     そこでアスリンダカ・バーラドヴァージャ婆羅門は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    189-7.                
     ‘‘jitosi, samaṇa, jitosi, samaṇā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘jito  ji a 勝たれた、征服された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asi,  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇa,  śram a 沙門  
      jito  ji a 勝たれた、征服された  
      asi,  同上  
      samaṇā’’  śram a 沙門  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「沙門よ、あなたは敗北した。沙門よ、あなたは敗北した」と。  
                       
                       
                       
    189-8.                
     ‘‘Jayaṃ ve maññati bālo, vācāya pharusaṃ bhaṇaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Jayaṃ  ji 現分 ant 勝つ、勝利者  
      ve    不変 じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññati  man 考える  
      語根 品詞 語基 意味  
      bālo,    a 愚かな、無知の、若い  
      vācāya  vac ā 言葉、語  
      pharusaṃ    a 副対 粗暴な、麁悪な  
      bhaṇaṃ;  bhaṇ 現分 ant 話す、語る  
    訳文                
     〔世尊曰く〕「♪愚者は粗暴に言葉を発することで、〔自分は〕勝者だ〔と〕考える。  
                       
                       
                       
    189-9.                
     Jayañcevassa taṃ hoti, yā titikkhā vijānato.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Jayañ  ji a 男(中) 勝利  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      assa    代的 これ  
      taṃ    代的 それ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti,  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
          代的 (関係代名詞)  
      titikkhā  tij 意 ā 忍耐、隠忍  
      vijānato.  vi-jñā 現分 ant 了知する、識知する  
    訳文                
     ♪しかし、了知者の忍耐、それこそがかれの勝利である。  
                       
                       
                       
    189-10.                
     ‘‘Tasseva tena pāpiyo, yo kuddhaṃ paṭikujjhati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tassa    代的 それ、彼  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      pāpiyo,    as より悪い  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      kuddhaṃ  krudh 過分 a 怒った  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭikujjhati;  prati-krudh 怒り返す  
    訳文                
     ♪怒った者に怒り返すようなら、それによってその者にこそ、より悪しきものが生じる。  
                       
                       
                       
    189-11.                
     Kuddhaṃ appaṭikujjhanto, saṅgāmaṃ jeti dujjayaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kuddhaṃ  krudh 過分 a 怒った  
      appaṭikujjhanto,  a-prati-krudh 現分 ant 怒り返さない  
      saṅgāmaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jeti  ji 勝つ  
      語根 品詞 語基 意味  
      dujjayaṃ.  dur-ji a 勝ちがたい  
    訳文                
     ♪怒った者に怒り返さない者は、勝ちがたい戦に勝つ。  
    メモ                
     ・偈の以下は前経に同じ。  
                       
                       
                       
    189-12.                
     ‘‘Ubhinnamatthaṃ carati, attano ca parassa ca;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ubhinnam    二つ、両方  
      atthaṃ    a 男中 副対 義、意味、目的、利益  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      carati,  car 行ずる  
      語根 品詞 語基 意味  
      attano    an 自己、我  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      parassa    代的 他の  
      ca;    不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     ♪かれは自己と他者の両方の利益のために行じている。  
                       
                       
                       
    189-13.                
     Paraṃ saṅkupitaṃ ñatvā, yo sato upasammati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Paraṃ    代的 他の  
      saṅkupitaṃ  saṃ-kup 過分 a 激怒した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ñatvā,  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      sato  smṛ 過分 a 憶念した、念の、念のある、具念、正念の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasammati.  upa-śam 静まる、寂静する  
    訳文                
     ♪激怒した他者を知り、念をそなえて寂静する者は。  
                       
                       
                       
    189-14.                
     ‘‘Ubhinnaṃ tikicchantānaṃ, attano ca parassa ca;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ubhinnaṃ    二つ、両方  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      tikicchantānaṃ,  cit 意 現分 ant 癒やす、療治する  
      attano    an 自己、我  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      parassa    代的 他の  
      ca;    不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     ♪〔しかし〕自己と他者、両方の療治者たちを、  
                       
                       
                       
    189-15.                
     Janā maññanti bāloti, ye dhammassa akovidā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Janā    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññanti  man 考える  
      語根 品詞 語基 意味  
      bālo    a 愚かな、無知の、若い  
      ti,    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      ye    代的 (関係代名詞)  
      dhammassa  dhṛ a 男中  
      akovidā’’    a 熟知しない、賢明でない  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪諸法を熟知しない人々は、『愚者だ』と考える」  
                       
                       
                       
    189-16.                
     Evaṃ vutte, asurindakabhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a いわれた  
      asurindaka    a 人名、アスリンダカ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このように言われて、アスリンダカ・バーラドヴァージャ婆羅門は世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    189-17.                
     ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘abhikkantaṃ,  abhi-kram 名過分 a 偉なるかな、奇なるかな、希有なり、素晴らしい  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama…pe…    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     「素晴らしい、尊者ゴータマよ」……  
                       
                       
                       
    189-18.                
     abbhaññāsi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhaññāsi.  abhi-jñā 証知する、自証する  
    訳文                
     ……自証した。  
                       
                       
                       
    189-19.                
     Aññataro ca panāyasmā bhāradvājo arahataṃ ahosī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Aññataro    代的 随一の、二者の一、とある、一つの  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      arahataṃ  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosī’’  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     尊者バーラドヴァージャもまた、阿羅漢たちの一人となったのである。  
                       
                       
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