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     5. Cūḷasaccakasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Cūḷa    a 小さい  
      saccaka    a 依(属) 人名、サッチャカ  
      suttaṃ sīv a 経、糸  
    訳文                
     「小サッチャカ経」(『中部』35  
                       
                       
                       
    353-1.                
     353. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ   不変 このように  
      me   代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた、所聞  
    訳文                
     このように私は聞いた。  
                       
                       
                       
    353-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā vesāliyaṃ viharati mahāvane kūṭāgārasālāyaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ    a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      vesāliyaṃ    ī 地名、ヴェーサーリー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      mahā    ant  
      vane    a 森、林  
      kūṭa    a 男中 有(属) 尖頂、屋頂、楼、山頂  
      agāra    a 家、舎、家屋、俗家 →二階屋、重閣  
      sālāyaṃ.    ā 会堂、講堂、家屋、小屋  
    訳文                
     あるとき世尊は、ヴェーサーリー近くの大林にある二階建ての講堂に住していた。  
                       
                       
                       
    353-3.                
     Tena kho pana samayena saccako nigaṇṭhaputto vesāliyaṃ paṭivasati bhassappavādako paṇḍitavādo sādhusammato bahujanassa.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      vesāliyaṃ    ī 地名、ヴェーサーリー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭivasati  pra-viś 住む、居を構える  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhassa  bhāṣ a 依(具) 談話、言説、論議  
      pavādako  pra-vad a 議論する、議論好きの →論議者  
      paṇḍita    a 有(属) 賢い  
      vādo  vad a 論、説  
      sādhu  sādh u よく  
      sammato  saṃ-man 過分 a 考えられた、尊敬された、選ばれた  
      bahu    u 多い  
      janassa.    a 人々  
    訳文                
     さてそのとき、論争者、巧みな論者であり、多くの人々によく尊敬されたニガンタの徒輩の息子サッチャカが、ヴェーサーリーに居を構えていた。  
    メモ                
     ・『註』はサッチャカをeko nigaṇṭho ca nigaṇṭhīの息子としているので、ここでのnigaṇṭhaとはニガンタ・ナータプッタではなくジャイナ教徒の意であろう。  
     ・『パーリ』、『原始』はpaṇḍitavādoを、おそらく『註』に従い、「賢者を自称し」としている。ここでは「論に巧みなる者」という南伝にならった。  
                       
                       
                       
    353-4.                
     So vesāliyaṃ parisati evaṃ vācaṃ bhāsati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      vesāliyaṃ    ī 地名、ヴェーサーリー  
      parisati    ā 会衆、集会所  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vācaṃ  vac ā 言葉  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhāsati –  bhāṣ いう、語る  
    訳文                
     かれはヴェーサーリーの会衆のうちにおいてこのような言葉を語った。  
                       
                       
                       
    353-5.                
     ‘‘nāhaṃ taṃ passāmi samaṇaṃ vā brāhmaṇaṃ vā, saṅghiṃ gaṇiṃ gaṇācariyaṃ, api arahantaṃ sammāsambuddhaṃ paṭijānamānaṃ, yo mayā vādena vādaṃ samāraddho na saṅkampeyya na sampakampeyya na sampavedheyya, yassa na kacchehi sedā mucceyyuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘na    不変 ない  
      ahaṃ    代的  
      taṃ    代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passāmi  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
          不変 あるいは  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門  
      vā,    不変 あるいは  
      saṅghiṃ  saṃ-hṛ in 僧伽を有する  
      gaṇiṃ    in 衆ある  
      gaṇa    a 依(属) 衆、会衆  
      ācariyaṃ,  ā-car a  
      api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      arahantaṃ  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      sammā    不変 正しい、正しく  
      sambuddhaṃ  saṃ-budh 名過分 a 等覚  
      paṭijānamānaṃ,  prati-jñā 現分 a 自称する、公言する、認める  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      mayā    代的  
      vādena  vad a 論、説  
      vādaṃ  vad a 論、説  
      samāraddho  saṃ-ā-rabh 過分 a はじめた、励んだ、努力した  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      saṅkampeyya  saṃ-kamp 震える、震動する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sampakampeyya  saṃ-pra-kamp 震動する、大いに震える  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sampavedheyya,  saṃ-pra-vyath 大いに震動する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yassa    代的 (関係代名詞)  
      na    不変 ない  
      kacchehi    a 男中  
      sedā  svid a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      mucceyyuṃ.  muc 受使 放出する  
    訳文                
     「私は、僧伽を有し、会衆を有し、依衆の師であり、阿羅漢・正等覚者を自称する沙門あるいは婆羅門で、およそ私と議論を交わして震えず、震動せず、動揺せず、その者の脇から汗が出ないような、その者を見たことがありません。  
    メモ                
     ・『パーリ』、『原始』のように、vādena vādaを「議論」と意訳した。  
                       
                       
                       
    353-6.                
     Thūṇaṃ cepāhaṃ acetanaṃ vādena vādaṃ samārabheyyaṃ, sāpi mayā vādena vādaṃ samāraddhā saṅkampeyya sampakampeyya sampavedheyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Thūṇaṃ    ā  
      ce    不変 もし、たとえ  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ahaṃ    代的  
      acetanaṃ  a-cit ā 意思なき  
      vādena  vad a 論、説  
      vādaṃ  vad a 論、説  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samārabheyyaṃ,  saṃ-ā-rabh 能反 はじめる、励む  
      語根 品詞 語基 意味  
          代的 それ、彼女  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      mayā    代的  
      vādena  vad a 論、説  
      vādaṃ  vad a 論、説  
      samāraddhā  saṃ-ā-rabh 過分 a はじめた、励んだ、努力した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      saṅkampeyya  saṃ-kamp 震える、震動する  
      sampakampeyya  saṃ-pra-kamp 震動する、大いに震える  
      sampavedheyya.  saṃ-pra-vyath 大いに震動する  
    訳文                
     もし私が意思なき柱と議論を交わしたとすれば、それすらも私と議論を交わして、震え、震動し、動揺することでしょう。  
                       
                       
                       
    353-7.                
     Ko pana vādo manussabhūtassā’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ko    代的 何、誰  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      vādo  vad a 論、説  
      manussa    a 依(属) 人間  
      bhūtassā’’  bhū 過分 a 男中 存在した →人身  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     しかるに、いかにいわんや、人の身にあっては」と。  
                       
                       
                       
    353-8.                
     Atha kho āyasmā assaji pubbaṇhasamayaṃ nivāsetvā pattacīvaramādāya vesāliṃ piṇḍāya pāvisi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      assaji    i 人名、アッサジ  
      pubbaṇha    a 依(属) 午前  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nivāsetvā  ni-vas 使 着衣する、内衣を着る  
      語根 品詞 語基 意味  
      patta    a 男中  
      cīvaram    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādāya  ā-dā 取って  
      語根 品詞 語基 意味  
      vesāliṃ    ī 地名、ヴェーサーリー  
      piṇḍāya    a 団食、(与格で「托鉢のため」)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pāvisi.  pra-viś 入る  
    訳文                
     ときに、尊者アッサジが、午前中に、内衣をつけ、鉢と衣を取って、托鉢のためヴェーサーリーへ入った。  
                       
                       
                       
    353-9.                
     Addasā kho saccako nigaṇṭhaputto vesāliyaṃ jaṅghāvihāraṃ anucaṅkamamāno anuvicaramāno āyasmantaṃ assajiṃ dūratova āgacchantaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Addasā  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      vesāliyaṃ    ī 地名、ヴェーサーリー  
      jaṅghā    ā 有(属) すね  
      vihāraṃ  vi-hṛ a 副対 住、住居、精舎、僧房 →脚住、歩行の状態  
      anucaṅkamamāno  anu-kram 強 現分 a 遊歩、随歩、経行  
      anuvicaramāno  anu-vi-car 現分 a 従い歩く、徘徊する、探し求める  
      āyasmantaṃ    ant 尊者、具寿  
      assajiṃ    i 人名、アッサジ  
      dūrato    a 副奪 遠い  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      āgacchantaṃ.  ā-gam 現分 ant 来る  
    訳文                
     ヴェーサーリーで、徒歩で遊歩し散策していたニガンタの徒輩の息子サッチャカは、遠くからやってくる尊者アッサジを見た。  
                       
                       
                       
    353-10.                
     Disvāna yenāyasmā assaji tenupasaṅkami;   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Disvāna  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      assaji    i 人名、アッサジ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     見て、尊者アッサジのもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    353-11.                
     upasaṅkamitvā āyasmatā assajinā saddhiṃ sammodi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      āyasmatā    ant 尊者、具寿  
      assajinā    i 人名、アッサジ  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodi.  saṃ-mud 相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     近づいて、尊者アッサジと挨拶を交わした。  
                       
                       
                       
    353-12.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ aṭṭhāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      aṭṭhāsi.  sthā 立つ  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わしてから、一方へ立った。  
                       
                       
                       
    353-13.                
     Ekamantaṃ ṭhito kho saccako nigaṇṭhaputto āyasmantaṃ assajiṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      ṭhito  sthā 過分 a 立った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      āyasmantaṃ    ant 尊者、具寿  
      assajiṃ    i 人名、アッサジ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ立ったニガンタの徒輩の息子サッチャカは、尊者アッサジへこういった。  
                       
                       
                       
    353-14.                
     ‘‘kathaṃ pana, bho assaji, samaṇo gotamo sāvake vineti, kathaṃbhāgā ca pana samaṇassa gotamassa sāvakesu anusāsanī bahulā pavattatī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      pana,    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      assaji,    i 人名、アッサジ  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      sāvake  śru a 声聞、弟子  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vineti,  vi-nī 調伏する、教導する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      bhāgā  bhaj a 部分、領域  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      sāvakesu  śru a 声聞、弟子  
      anusāsanī  anu-śās ī 教誡、教訓  
      bahulā    a 多く  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pavattatī’’  pra-vṛt 転起する、おこる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「さて、友、アッサジよ、沙門ゴータマはいかに弟子たちを教導するのでしょうか。また、いかなる部分より、沙門ゴータマの弟子たちのうちに、多くの教誡が転起するのでしょうか」と。  
    メモ                
     ・bhāgāについて『南伝』は「如何なる部門をもって」と具格ふうに訳す。『原始』では「部分の教誡」、『パーリ』では「部分が教誡として」となっている。これらはおそらく女性単数や男性複数の主格と解しているのであろう。ここでは、そこから多くの派生的教誡が転起するような教義の基礎的な部分について問われたものと解し、単数奪格で解した。  
     ・縁起法頌のエピソードといい、尊者アッサジは基本的教義を問われる役所となることが多いようである。  
                       
                       
                       
    353-15.                
     ‘‘Evaṃ kho, aggivessana, bhagavā sāvake vineti, evaṃbhāgā ca pana bhagavato sāvakesu anusāsanī bahulā pavattati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      aggivessana,    a 人名、アッギヴェッサナ  
      bhagavā    ant 世尊  
      sāvake  śru a 声聞、弟子  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vineti,  vi-nī 調伏する、教導する  
      語根 品詞 語基 意味  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      bhāgā  bhaj a 部分、領域  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhagavato    ant 世尊  
      sāvakesu  śru a 声聞、弟子  
      anusāsanī  anu-śās ī 教誡、教訓  
      bahulā    a 多く  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pavattati –  pra-vṛt 転起する、おこる  
    訳文                
     「アッギヴェッサナよ、世尊はこのように弟子たちを教導されます。また、このような部分より、世尊の弟子たちのうちに、多くの教誡が転起します。  
    メモ                
     ・アッギヴェッサナはサッチャカの族姓という。「沙門果経」ではアジャータシャトル王がニガンタ・ナータプッタをアッギヴェッサナと呼んでいるが、このこととどう関連するか。  
                       
                       
                       
    353-16.                
     ‘rūpaṃ, bhikkhave, aniccaṃ, vedanā aniccā, saññā aniccā, saṅkhārā aniccā, viññāṇaṃ aniccaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘rūpaṃ,    a 色、物質、肉体、形相  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      aniccaṃ,    a 無常の  
      vedanā  vid ā 受、感受、苦痛  
      aniccā,    a 無常の  
      saññā  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
      aniccā,    a 無常の  
      saṅkhārā  saṃ-kṛ a 行、為作、形成力、現象  
      aniccā,    a 無常の  
      viññāṇaṃ  vi-jñā a  
      aniccaṃ.    a 無常の  
    訳文                
     『比丘たちよ、〈色〉は無常なり。〈受〉は無常なり。〈想〉は無常なり。〈諸行〉は無常なり。〈色〉は無常なり。  
                       
                       
                       
    353-17.                
     Rūpaṃ, bhikkhave, anattā, vedanā anattā, saññā anattā, saṅkhārā anattā, viññāṇaṃ anattā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Rūpaṃ,    a 色、物質、肉体、形相  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      anattā,    an 無我、非我  
      vedanā  vid ā 受、感受、苦痛  
      anattā,    an 無我、非我  
      saññā  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
      anattā,    an 無我、非我  
      saṅkhārā  saṃ-kṛ a 行、為作、形成力、現象  
      anattā,    an 無我、非我  
      viññāṇaṃ  vi-jñā a  
      anattā.    an 無我、非我  
    訳文                
     比丘たちよ、〈色〉は非我なり。〈受〉は非我なり。〈想〉は非我なり。〈諸行〉は非我なり。〈色〉は非我なり。  
    メモ                
     ・この文言は一般に「無我相経」と呼ばれている。しかし、おそらくここでのanattanは「我(アートマン)ではない」の義であり、ゆえに訳語としては「非我」を採用せねばならぬであろう。とはいえその場合でも「五蘊のいずれも我ではないから、我というものはどこにも存在しない。すなわち無我である」というふうに、最終的にはやはり仏教の綱領として「無我」が示されるとみるべきであろう。  
     ・ただそれも、いわゆる人無我の観点からであって、「五蘊のいずれにも永遠固有の自性はない」という法無我ふうの解釈を取れば、「無我」とも訳し得よう。次文などはおそらく法無我的なニュアンスである可能性が高いから、悩ましいところである。諸訳はいずれも無我としている。  
                       
                       
                       
    353-18.                
     Sabbe saṅkhārā aniccā, sabbe dhammā anattā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sabbe    名形 代的 すべて  
      saṅkhārā  saṃ-kṛ a 行、為作、形成力、現象  
      aniccā,    a 無常の  
      sabbe    名形 代的 すべて  
      dhammā  dhṛ a 男中  
      anattā’    an 無我、非我  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     一切の諸行は無常なり。一切の諸法は無我なり』と。  
    メモ                
     ・前述の理由からこちらでは「無我」とした。  
     ・ここでのsaṅkhārāは五蘊の一つではなく、有為法の義であろうから、〈〉でくくっていない。saṅkhārāanattāも前文とは用法が(おそらく)違うわけで、これは異なる系統の教説が接ぎ木されているのかも知れない。  
                       
                       
                       
    353-19.                
     Evaṃ kho, aggivessana, bhagavā sāvake vineti, evaṃbhāgā ca pana bhagavato sāvakesu anusāsanī bahulā pavattatī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ kho, aggivessana, bhagavā sāvake vineti, evaṃbhāgā ca pana bhagavato sāvakesu anusāsanī bahulā pavattatī’’ (353-15.)  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     アッギヴェッサナよ、世尊はこのように弟子たちを教導されます。また、このような部分より、世尊の弟子たちのうちに、多くの教誡が転起します」  
                       
                       
                       
    353-20.                
     ‘‘Dussutaṃ vata, bho assaji, assumha ye mayaṃ evaṃvādiṃ samaṇaṃ gotamaṃ assumha.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Dussutaṃ  dur-śru 過分 a 聞き難い  
      vata,    不変 じつに  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      assaji,    i 人名、アッサジ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assumha   śru 聞く  
      語根 品詞 語基 意味  
      ye    代的 (関係代名詞)  
      mayaṃ    代的 私たち  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vādiṃ  vad in 説者  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assumha.  同上  
    訳文                
     「友、アッサジよ、およそ我々は沙門ゴータマをそのような論者である〔と〕聞いたが、じつに聞くに耐えない事を聞いたものです。  
                       
                       
                       
    353-21.                
     Appeva nāma mayaṃ kadāci karahaci tena bhotā gotamena saddhiṃ samāgaccheyyāma, appeva nāma siyā kocideva kathāsallāpo, appeva nāma tasmā pāpakā diṭṭhigatā viveceyyāmā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Appeva    不変 おそらく  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      mayaṃ    代的 私たち  
      kadāci    不変 いつか、ある時  
      karahaci    不変 いつか、何時にか  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      bhotā  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamena    a 人名、ゴータマ  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samāgaccheyyāma,  saṃ-ā-gam 来集する、会合する  
      語根 品詞 語基 意味  
      appeva    不変 おそらく  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      siyā  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      koci    代的 何らかの、何者であれ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kathā    ā  
      sallāpo,  saṃ-lap a 会話  
      appeva    不変 おそらく  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      tasmā    代的 それ、彼  
      pāpakā    a 悪しき  
      diṭṭhi  dṛś i 見、見解、意見、謬見  
      gatā  gam 過分 a いった →悪見、成見  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viveceyyāmā’’  vi-vic 使 離れさせる、遠離させる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     おそらく我々はいつか、尊者ゴータマと出会うでしょう。おそらく、何らかの対話があるでしょう。おそらく我々は、その悪しき謬見から〔彼を〕離れさせることでしょう」  
                       
                       
                       
    354-1.                
     354. Tena kho pana samayena pañcamattāni licchavisatāni santhāgāre [sandhāgāre (ka.)] sannipatitāni honti kenacideva karaṇīyena.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      pañca     
      mattāni    a 量、程度の  
      licchavi    i 種族名、リッチャヴィ  
      satāni    a  
      santhāgāre    a 公会堂、会議所  
      sannipatitāni  saṃ-ni-pat a 集まった  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      honti  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kenaci    代的 何らかの、何者であれ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      karaṇīyena.  kṛ 名未分 a 作されるベき、所作、義務、必須  
    訳文                
     さてその時、五百人程のリッチャヴィ族が、なにがしかの所用で、公会堂へ集まっていた。  
                       
                       
                       
    354-2.                
     Atha kho saccako nigaṇṭhaputto yena te licchavī tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      te    代的 それら、彼ら  
      licchavī    i 種族名、リッチャヴィ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこで、ニガンタの徒輩の息子サッチャカは、彼らリッチャヴィ族たちのもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    354-3.                
     upasaṅkamitvā te licchavī etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      te    代的 それら、彼ら  
      licchavī    i 種族名、リッチャヴィ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     近づいて、彼らリッチャヴィ族たちへこういった。  
                       
                       
                       
    354-4.                
     ‘‘abhikkamantu bhonto licchavī, abhikkamantu bhonto licchavī, ajja me samaṇena gotamena saddhiṃ kathāsallāpo bhavissati.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘abhikkamantu  abhi-kram 前進する、近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhonto  bhū 名現分 ant(特) 尊者らよ、君らよ、友らよ、ああ、おお  
      licchavī,    i 種族名、リッチャヴィ  
      abhikkamantu  同上  
      bhonto  bhū 名現分 ant(特) 尊者らよ、君らよ、友らよ、ああ、おお  
      licchavī,    i 種族名、リッチャヴィ  
      ajja    不変 今日、いま  
      me    代的  
      samaṇena  śram a 沙門  
      gotamena    a 人名、ゴータマ  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      kathā    ā  
      sallāpo  saṃ-lap a 会話  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissati.  bhū ある、なる  
    訳文                
     「寄られよ、友なるリッチャヴィ族たちよ。寄られよ、友なるリッチャヴィ族たちよ。今日、私と沙門ゴータマとの対話があるでしょう。  
                       
                       
                       
    354-5.                
     Sace me samaṇo gotamo tathā patiṭṭhissati yathā ca me [yathāssa me (sī. pī.)] ñātaññatarena sāvakena assajinā nāma bhikkhunā patiṭṭhitaṃ, seyyathāpi nāma balavā puriso dīghalomikaṃ eḷakaṃ lomesu gahetvā ākaḍḍheyya parikaḍḍheyya samparikaḍḍheyya, evamevāhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ vādena vādaṃ ākaḍḍhissāmi parikaḍḍhissāmi samparikaḍḍhissāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sace    不変 もし  
      me    代的  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      tathā    不変 かく、その如く  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      patiṭṭhissati  prati-sthā 住立する、確立する、止住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      me    代的  
      ñāta  jñā 過分 a 知られた、有名な、理解する  
      aññatarena    代的 随一の、とある  
      sāvakena    a 声聞、弟子  
      assajinā    i 人名、アッサジ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      bhikkhunā  bhikṣ u 比丘  
      patiṭṭhitaṃ,  prati-sthā 過分 a 住立した、止住した  
      seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      balavā    ant 力ある  
      puriso    a 人、男  
      dīgha    a 長い  
      lomikaṃ    a 毛の  
      eḷakaṃ    a 羊、山羊  
      lomesu    an  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gahetvā  grah 掴む  
      ākaḍḍheyya  ā-kṛṣ 引く、牽引する  
      parikaḍḍheyya  pari-kṛṣ 引き入れる、誘う  
      samparikaḍḍheyya,  saṃ-pari-kṛṣ 引き回す  
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      ahaṃ    代的  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      vādena  vad a 論、説  
      vādaṃ  vad a 論、説  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ākaḍḍhissāmi  ā-kṛṣ 引く、牽引する  
      parikaḍḍhissāmi  pari-kṛṣ 引き入れる、誘う  
      samparikaḍḍhissāmi.  saṃ-pari-kṛṣ 引き回す  
    訳文                
     「もし私に対し、沙門ゴータマが、高名な弟子の一人であるアッサジという比丘が私に対して止住したように、〔その主張に〕止住するならば、あたかも力の強い男が毛の長い山羊の毛を掴んで引っ張り、引き込み、引き回す、まさにそのように、私は沙門ゴータマを議論によって引っ張り、引き込み、引き回すことになるでしょう。  
    メモ                
     ・patiṭṭhissatiについて、『南伝』は「確言、主張する」と、『パーリ』は「主張する」、『原始』は「たちむかう」としている。  
     ・ここもvādena vādaについては意訳した。直訳すれば「論をもって論を引っ張り……」となろうか。  
                       
                       
                       
    354-6.                
     Seyyathāpi nāma balavā soṇḍikākammakāro mahantaṃ soṇḍikākiḷañjaṃ gambhīre udakarahade pakkhipitvā kaṇṇe gahetvā ākaḍḍheyya parikaḍḍheyya samparikaḍḍheyya, evamevāhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ vādena vādaṃ ākaḍḍhissāmi parikaḍḍhissāmi samparikaḍḍhissāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathāpi nāma balavā soṇḍikākammakāro mahantaṃ soṇḍikākiḷañjaṃ gambhīre udakarahade pakkhipitvā kaṇṇe gahetvā ākaḍḍheyya parikaḍḍheyya samparikaḍḍheyya, evamevāhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ vādena vādaṃ ākaḍḍhissāmi parikaḍḍhissāmi samparikaḍḍhissāmi. (354-5.)  
      soṇḍikā    a 依(属) 泥酔者、酒屋、醸造器  
      kamma  kṛ an 依(属) 業、行為  
      kāro  kṛ a 行為、作者 →醸造者  
      mahantaṃ    ant 大きい  
      soṇḍikā    a 依(属) 泥酔者、酒屋、醸造器  
      kiḷañjaṃ    ā むしろ、敷物  
      gambhīre    a 深い  
      udaka    a 依(属)  
      rahade    a 池、湖、沼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pakkhipitvā  pra-kṣip 投げ入れる、含める  
      語根 品詞 語基 意味  
      kaṇṇe    a 耳、隅  
    訳文                
     あたかも力の醸造人が、大きな醸造用のむしろを深い水の池に投げ入れて、端を掴んで引っ張り、引き込み、引き回す、まさにそのように、私は沙門ゴータマを議論によって引っ張り、引き込み、引き回すことになるでしょう。  
    メモ                
     ・女性名詞kiḷañjaṃにかかっているのだから、本来mahantiṃとなるべきであろう。  
                       
                       
                       
    354-7.                
     Seyyathāpi nāma balavā soṇḍikādhutto vālaṃ [thālaṃ (ka.)] kaṇṇe gahetvā odhuneyya niddhuneyya nipphoṭeyya [nicchādeyya (sī. pī. ka.), nicchoṭeyya (ka.), nippoṭheyya (syā. kaṃ.)] evamevāhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ vādena vādaṃ odhunissāmi niddhunissāmi nipphoṭessāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathāpi nāma balavā soṇḍikādhutto vālaṃ kaṇṇe gahetvā (354-6.)  
      dhutto    a 悪人、賭博者 →酒漉人  
      vālaṃ    a 毛、毛のふるい  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      odhuneyya  ava-dhū 振り放す、除去する  
      niddhuneyya  nir-dhū 振り放つ  
      nipphoṭeyya  nis-puth 打ち砕く、打擲する  
      evamevāhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ vādena vādaṃ (354-6.)  
      odhunissāmi  ava-dhū 振り放す、除去する  
      niddhunissāmi  nir-dhū 振り放つ  
      nipphoṭessāmi.  nis-puth 打ち砕く、打擲する  
    訳文                
     あたかも力の酒漉人が、毛のふるいを、端を掴んで振り、振り放ち、叩きつける、まさにそのように、私は沙門ゴータマを議論によって振り、振り放ち、叩きつけることになるでしょう。  
                       
                       
                       
    354-8.                
     Seyyathāpi nāma kuñjaro saṭṭhihāyano gambhīraṃ pokkharaṇiṃ ogāhetvā sāṇadhovikaṃ nāma kīḷitajātaṃ kīḷati, evamevāhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ sāṇadhovikaṃ maññe kīḷitajātaṃ kīḷissāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      kuñjaro    a  
      saṭṭhi    i 有(帯) 六十  
      hāyano    a 中→男  
      gambhīraṃ    a 深い  
      pokkharaṇiṃ    ī 蓮池  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ogāhetvā  ava-gāh 潜入する、水に入る  
      語根 品詞 語基 意味  
      sāṇadhovikaṃ  dhāv a, ā 中女 麻洗い  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      kīḷita  krīd 名形 a 遊んだ、遊戯  
      jātaṃ  jan 過分 a 生じた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kīḷati,  krīd 遊ぶ、戯れる  
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      ahaṃ    代的  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      sāṇadhovikaṃ  dhāv a, ā 中女 麻洗い  
      maññe    不変 私思うに、まるで  
      kīḷita  krīd 名形 a 遊んだ、遊戯  
      jātaṃ  jan 過分 a 生じた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kīḷissāmi.  krīd 遊ぶ、戯れる  
    訳文                
     あたかも六十歳の象が深い蓮池に入って、麻洗いという名の遊戯の種類に戯れる、まさにそのように、私は沙門ゴータマに対し、まるで麻洗い〔という〕遊戯の種類のように戯れることになるでしょう。  
    メモ                
     ・麻洗いとは、『註』によればどうも象の鼻による水浴びのことであるらしい。  
     ・jātajātikaのように「種類」と訳したが、これでよいかどうか。  
                       
                       
                       
    354-9.                
     Abhikkamantu bhonto licchavī, abhikkamantu bhonto licchavī, ajja me samaṇena gotamena saddhiṃ kathāsallāpo bhavissatī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Abhikkamantu bhonto licchavī, abhikkamantu bhonto licchavī, ajja me samaṇena gotamena saddhiṃ kathāsallāpo bhavissatī’’ (354-4.)  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     寄られよ、友なるリッチャヴィ族たちよ。寄られよ、友なるリッチャヴィ族たちよ。今日、私と沙門ゴータマとの対話があるでしょう」と。  
                       
                       
                       
    354-10.                
     Tatrekacce licchavī evamāhaṃsu –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tatra    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      ekacce    代的 一類の  
      licchavī    i 種族名、リッチャヴィ  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āhaṃsu –  ah いう  
    訳文                
     そこで、一部のリッチャヴィ族たちはこのようにいった。  
                       
                       
                       
    354-11.                
     ‘‘kiṃ samaṇo gotamo saccakassa nigaṇṭhaputtassa vādaṃ āropessati, atha kho saccako nigaṇṭhaputto samaṇassa gotamassa vādaṃ āropessatī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kiṃ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      saccakassa    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      puttassa    a 息子  
      vādaṃ  vad a 語、説、論  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropessati,  ā-ruh 使 上らせる、挙げる →論破する  
      語根 品詞 語基 意味  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      vādaṃ  vad a 語、説、論  
      āropessatī’’  同上  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「沙門ゴータマがニガンタの徒輩の息子サッチャカを論破するのであろうか。ニガンタの徒輩の息子サッチャカが沙門ゴータマを論破するのであろうか」と。  
                       
                       
                       
    354-12.                
     Ekacce licchavī evamāhaṃsu –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekacce licchavī evamāhaṃsu – (354-10.)  
    訳文                
     一部のリッチャヴィ族たちはこのようにいった。  
                       
                       
                       
    354-13.                
     ‘‘kiṃ so bhavamāno saccako nigaṇṭhaputto yo bhagavato vādaṃ āropessati, atha kho bhagavā saccakassa nigaṇṭhaputtassa vādaṃ āropessatī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kiṃ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      so    代的 それ、彼  
      bhavamāno  bhū 現分 a 尊者、勝存者  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      bhagavato    ant 世尊  
      vādaṃ  vad a 語、説、論  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropessati,  ā-ruh 使 上らせる、挙げる →論破する  
      語根 品詞 語基 意味  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      saccakassa    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      puttassa    a 息子  
      vādaṃ  vad a 語、説、論  
      āropessatī’’  同上  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「かの勝存者たるニガンタの徒輩の息子サッチャカが、およそ世尊を論破するであろう者なのか。世尊が、ニガンタの徒輩の息子サッチャカを論破するのであろうか」と。  
    メモ                
     ・bhavamānoを『南伝』、『原始』は「大言者」とする。『パーリ』は『註』に従い「何者になって」としている。ここではbhavantと同じくbhūの現在分詞であることから、その同義語であるとみなして訳した。  
                       
                       
                       
    354-14.                
     Atha kho saccako nigaṇṭhaputto pañcamattehi licchavisatehi parivuto yena mahāvanaṃ kūṭāgārasālā tenupasaṅkami.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      pañca     
      mattehi    a 量、程度の  
      licchavi    i 種族名、リッチャヴィ  
      satehi    a  
      parivuto  pari-vṛ 過分 a 囲まれた  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      mahā    ant  
      vanaṃ    a 森、林  
      kūṭa    a 男中 有(属) 尖頂、屋頂、楼、山頂  
      agāra    a 家、舎、家屋、俗家 →二階屋、重閣  
      sālā    ā 会堂、講堂、家屋、小屋  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami. upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこで、五百人程のリッチャヴィ族たちに囲まれたニガンタの徒輩の息子サッチャカは、大林にある二階建ての講堂へ近づいた。  
                       
                       
                       
    355-1.                
     355. Tena kho pana samayena sambahulā bhikkhū abbhokāse caṅkamanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具 時、集会  
      sambahulā    a 多くの、衆多の  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      abbhokāse  abhi-ava-kāś a 露地、野天、屋外、野外、開かれた場所  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      caṅkamanti.  kram 経行する、散歩する  
    訳文                
     さて、じつにその時、多くの比丘たちが野外を経行していた。  
    メモ                
     ・このあたり「アンバッタ経」【アンバッタ青年】にパラレル。  
                       
                       
                       
    355-2.                
     Atha kho saccako nigaṇṭhaputto yena te bhikkhū tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときにニガンタの徒輩の息子サッチャカは、その比丘たちへ近づいた。  
                       
                       
                       
    355-3.                
     upasaṅkamitvā te bhikkhū etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     近づいて彼ら比丘たちへこういった。  
                       
                       
                       
    355-4.                
     ‘‘kahaṃ nu kho, bho, etarahi so bhavaṃ gotamo viharati?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kahaṃ    不変 どこに  
      nu    不変 〜かどうか、〜ではないか  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      etarahi    不変 いま  
      so    代的 それ、彼  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 現存者、勝存者、尊師  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati?  vi-hṛ 住する  
    訳文                
     「友よ、かの尊者ゴータマは今、一体どこに住しておられますか。  
                       
                       
                       
    355-5.                
     Dassanakāmā hi mayaṃ taṃ bhavantaṃ gotama’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Dassana  dṛś a 有(持) 見、見ること  
      kāmā    a 男中  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      mayaṃ    代的 私たち  
      taṃ    代的 それ、彼  
      bhavantaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotama’’n    a 人名、ゴータマ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     我々は、かの尊者ゴータマとまみえることを欲しています」と。  
                       
                       
                       
    355-6.                
     ‘‘Esa, aggivessana, bhagavā mahāvanaṃ ajjhogāhetvā aññatarasmiṃ rukkhamūle divāvihāraṃ nisinno’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Esa,    代的 それ  
      aggivessana,    a 人名、アッギヴェッサナ  
      bhagavā    ant 世尊  
      mahā    ant  
      vanaṃ    a 森、林  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhogāhetvā  adhi-ava-gāh 潜入する、入る  
      語根 品詞 語基 意味  
      aññatarasmiṃ    代的 とある、随一の  
      rukkha    a 依(属) 木、樹木  
      mūle    a  
      divā    不変 日中に  
      vihāraṃ  vi-hṛ a 住 →昼住、食後の休憩  
      nisinno’’  ni-sad 過分 a 坐った  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「アッギヴェッサナよ、かの世尊は大林へ入り、ある木の根元で昼住に坐っておられます」  
                       
                       
                       
    355-7.                
     Atha kho saccako nigaṇṭhaputto mahatiyā licchaviparisāya saddhiṃ mahāvanaṃ ajjhogāhetvā yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      saccako    a 人名、サッチャカ  
      nigaṇṭha    a 依(属) ニガンタ、ジャイナ教徒  
      putto    a 息子  
      mahatiyā    ant 大きい  
      licchavi    i 依(属) 種族名、リッチャヴィ  
      parisāya    ā 会衆  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      mahā    ant 大きい  
      vanaṃ    a 森、林  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhogāhetvā  adhi-ava-gāh 潜入する、入る  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこでニガンタの徒輩の息子サッチャカはリッチャヴィ族の大会衆とともに大林へ入り、世尊のもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    355-8.                
     upasaṅkamitvā bhagavatā saddhiṃ sammodi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavatā    ant 世尊  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodi.  saṃ-mud 相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     近づいて、世尊と挨拶した。  
                       
                       
                       
    355-9.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わしてから、一方へ立った。  
                       
                       
                       
    355-10.                
     Tepi kho licchavī appekacce bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdiṃsu, appekacce bhagavatā saddhiṃ sammodiṃsu, sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdiṃsu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      licchavī    i 種族名、リッチャヴィ  
      appekacce    代的 一類の  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu,  ni-sad 能反 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      appekacce    代的 一類の  
      bhagavatā    ant 世尊  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodiṃsu,  saṃ-mud 能反 喜ぶ、相喜ぶ、挨拶する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisīdiṃsu.  同上  
    訳文                
     彼らリッチャヴィ族たちも、一部の者たちは、世尊へ礼拝してから一方へ坐った。一部の者たちは、世尊と挨拶し、喜ばしき慶賀の言葉を交わしてから一方へ立った。  
                       
                       
                       
    355-11.                
     Appekacce yena bhagavā tenañjaliṃ paṇāmetvā ekamantaṃ nisīdiṃsu, appekacce bhagavato santike nāmagottaṃ sāvetvā ekamantaṃ nisīdiṃsu, appekacce tuṇhībhūtā ekamantaṃ nisīdiṃsu.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Appekacce    代的 一類の  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
       añjaliṃ   i 合掌  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṇāmetvā  pra-nam 向ける、さし出す、閉じる、放逐する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu,  ni-sad 能反 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      appekacce    代的 一類の  
      bhagavato    ant 世尊  
      santike    a 面前  
      nāma    an  
      gottaṃ    a 氏、氏姓、種姓、家系  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sāvetvā  śru 使 聞かせる、告げる、述べる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisīdiṃsu,  同上  
      appekacce    代的 一類の  
      tuṇhī    不変 沈黙して、黙って  
      bhūtā  bhū 過分 a あった  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisīdiṃsu. 同上  
    訳文                
     一部の者たちは、世尊へ合掌を向けてから一方へ坐った。一部の者たちは世尊の面前で姓名を告げてから一方へ坐った。一部の者たちは黙って一方へ坐った。  
                       
                       
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