←前へ   トップへ   次へ→
                       
                       
    345-1.                
     345. ‘‘Tasmiṃ kho, brāhmaṇa, yaññe neva gāvo haññiṃsu, na ajeḷakā haññiṃsu, na kukkuṭasūkarā haññiṃsu, na vividhā pāṇā saṃghātaṃ āpajjiṃsu, na rukkhā chijjiṃsu yūpatthāya, na dabbhā lūyiṃsu barihisatthāya [parihiṃsatthāya (syā. ka. sī. ka.), parahiṃsatthāya (ka.)].   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tasmiṃ    代的 それ、彼  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      yaññe  yaj a 供犠、祭式  
      na    不変 ない  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      gāvo    o 牛、牝牛  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      haññiṃsu,   han 受 能反 殺された  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      aja    a 山羊  
      eḷakā    a 羊、山羊  
      haññiṃsu,  同上  
      na    不変 ない  
      kukkuṭa    a  
      sūkarā    a 豚、猪  
      haññiṃsu,  同上  
      na    不変 ない  
      vividhā    a 種々の  
      pāṇā  pra-an a 生き物  
      saṃghātaṃ  saṃ-han a 殺戮、集合  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āpajjiṃsu,  ā-pad 能反 来る、あう、遭遇する、到達する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      rukkhā    a 木、樹木  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      chijjiṃsu  chid 受 能反 切られる  
      語根 品詞 語基 意味  
      yūpa   a 犠牲獣を縛る柱、宮殿  
      atthāya,    a 男中 義、利益、道理、意味、必要、裁判、営務  
      na    不変 ない  
      dabbhā    a 吉祥草  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      lūyiṃsu   受 能反 切られる、刈られる  
      語根 品詞 語基 意味  
      barihisa   a 犠牲祭の草(座)  
      atthāya    a 男中 義、利益、道理、意味、必要、裁判、営務  
    訳文                
     じつに婆羅門よ、その供犠においては、牛は殺されず、山羊、羊は殺されず、鶏、豚は殺されず、種々の生きものたちは害されることなく、樹木が柱のため切られることなく、吉祥草が座のために刈られることもありませんでした。  
                       
                       
                       
    345-2.                
     Yepissa ahesuṃ dāsāti vā pessāti vā kammakarāti vā, tepi na daṇḍatajjitā na bhayatajjitā na assumukhā rudamānā parikammāni akaṃsu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye    代的 (関係代名詞)  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      assa    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahesuṃ  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      dāsā   a 奴隷、奴僕  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
          不変 あるいは  
      pessā pra-iṣ 名未分 a 召使い、使用人  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
          不変 あるいは  
      kamma  kṛ an 有(属) 業、行為、仕事  
      karā kṛ 名形 a なす、つくる →雑役夫  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      vā,    不変 あるいは  
      te    代的 それら、彼ら  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      na    不変 ない  
      daṇḍa   a 依(具)  
      tajjitā  tarj 使 過分 a 恐れさせられた、脅かされた、叱責された  
      na    不変 ない  
      bhaya bhī a 男中 (具) 恐怖  
      tajjitā  tarj 使 過分 a 恐れさせられた、脅かされた、叱責された  
      na    不変 ない  
      assu   u 有(属)  
      mukhā    a 中→男 顔、口  
      rudamānā  rud 現分 a なく、嘆く  
      parikammāni  pari-kṛ a 浄治、遍作、準備、予備修行  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akaṃsu.  kṛ なす  
    訳文                
     また、この〔供犠の〕ために奴僕、召使い、あるいは雑役夫となったものたち、彼らも、鞭で脅かされたり、恐怖に脅かされたりせず、涙に濡れて嘆くことなく支度をしたのでした。  
    メモ                
     ・『パーリ』、『原始』にならって訳したが、assaは「彼(マハーヴィジタ王)の」であるかもしれない。  
                       
                       
                       
    345-3.                
     Atha kho ye icchiṃsu, te akaṃsu, ye na icchiṃsu, na te akaṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ye    代的 (関係代名詞)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      icchiṃsu,  iṣ 欲する、求める  
      語根 品詞 語基 意味  
      te    代的 それら、彼ら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akaṃsu,  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      ye    代的 (関係代名詞)  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      icchiṃsu,  iṣ 欲する、求める  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      te    代的 それら、彼ら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akaṃsu;  kṛ なす  
    訳文                
     じつにそこでは、望んだものたちが〔仕事を〕なし、望まぬものたちはなしませんでした。  
    メモ                
     ・強制的な徴用ではなく、任意の雇用であったということであろう。  
                       
                       
                       
    345-4.                
     yaṃ icchiṃsu, taṃ akaṃsu, yaṃ na icchiṃsu, na taṃ akaṃsu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      icchiṃsu,  iṣ 欲する、求める  
      語根 品詞 語基 意味  
      taṃ    代的 それ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akaṃsu,  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      icchiṃsu,  iṣ 欲する、求める  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      taṃ    代的 それ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akaṃsu.  kṛ なす  
    訳文                
     〔彼らは〕望んだそれ(仕事)をなし、望まぬそれ(仕事)はなしませんでした。  
                       
                       
                       
    345-5.                
     Sappitelanavanītadadhimadhuphāṇitena ceva so yañño niṭṭhānamagamāsi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sappi    is 酥、バター、熟酥  
      tela   a 油、ごま油  
      navanīta    a 酥、生酥  
      dadhi    i 酪、凝乳、ヨーグルト  
      madhu    u 蜜、蜂蜜  
      phāṇitena    a 砂糖、糖、糖蜜、石蜜  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      so    代的 それ、彼  
      yañño  yaj a 供犠、祭式  
      niṭṭhānam  nis-sthā a 完成、終局  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      agamāsi. gam 来た  
    訳文                
     そして、その供犠は、熟酥、油、生酥、蜜、砂糖のみで完了に至ったのでした。  
                       
                       
                       
    346-1.                
     346. ‘‘Atha kho, brāhmaṇa, khattiyā ānuyantā negamā ceva jānapadā ca, amaccā pārisajjā negamā ceva jānapadā ca, brāhmaṇamahāsālā negamā ceva jānapadā ca, gahapatinecayikā negamā ceva jānapadā ca pahūtaṃ sāpateyyaṃ ādāya rājānaṃ mahāvijitaṃ upasaṅkamitvā evamāhaṃsu –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      khattiyā    a クシャトリヤ、刹帝利、王族  
      ānuyantā  anu-yā  現分 ant 従う、随従する、訪問する  
      negamā    名形 a 町民、町の人  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      jānapadā    a 地方、国、国土、田舎  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      amaccā    a 同僚、知己、大臣、朝臣  
      pārisajjā    a 侍臣、廷臣、会衆、衆  
      negamā    名形 a 町民、町の人  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      jānapadā    a 地方、国、国土、田舎  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      mahā    ant 有(持) 大、偉大  
      sālā    ā 女→男 堂、家 →大家、有名人  
      negamā    名形 a 町民、町の人  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      jānapadā    a 地方、国、国土、田舎  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      gahapati    i 家主、居士、資産家  
      necayikā    a 富んだ、貯蔵した  
      negamā    名形 a 町民、町の人  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      jānapadā    a 地方、国、国土、田舎  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pahūtaṃ  pra-bhū 過分 a 多くの、広大の、広長の  
      sāpateyyaṃ    a 自己の所有物、財産  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādāya  ā-dā 取って  
      語根 品詞 語基 意味  
      rājānaṃ    an  
      mahāvijitaṃ    a 人名、マハーヴィジタ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āhaṃsu –  ah いう  
    訳文                
     婆羅門よ、ときに、町の、また地方の、〔王に〕従う刹帝利たち、町の、また地方の、大臣や廷臣たち、町の、また地方の、婆羅門中の大家たち、町の、また地方の居士や富豪たちが、多くの財産を携えてマハーヴィジタ王へ近づき、こういいました。  
                       
                       
                       
    346-2.                
     ‘idaṃ, deva, pahūtaṃ sāpateyyaṃ devaññeva uddissābhataṃ, taṃ devo paṭiggaṇhātū’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘idaṃ,    代的 これ  
      deva,    a 天、神、王、陛下  
      pahūtaṃ  pra-bhū 過分 a 多くの、広大の、広長の  
      sāpateyyaṃ    a 自己の所有物、財産  
      devaṃ    a 天、神、王、陛下  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      uddissa  ud-diś 不変 関して、ついて、対して、指定して(連続体の副詞化)  
      ābhataṃ,  ā-bhṛ 過分 a 運ばれた、持ち来たった  
      taṃ    代的 それ  
      devo    a 天、神、王、陛下  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭiggaṇhātū’  prati-grah 受納する、領受する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『陛下、この多くの財は、陛下のため持ち来たったものです。陛下はこれをお受け取りください』と。  
                       
                       
                       
    346-3.                
     ‘Alaṃ, bho, mamāpidaṃ pahūtaṃ sāpateyyaṃ dhammikena balinā abhisaṅkhataṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Alaṃ,    不変 適当なる、当然の、十分に、満足し、沢山だ  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      mama    代的  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      idaṃ    代的 これ  
      pahūtaṃ  pra-bhū 過分 a 多くの、広大の、広長の  
      sāpateyyaṃ    a 自己の所有物、財産  
      dhammikena    名形 a 如法の  
      balinā    i 犠牲、供祭、供養、租税、供物  
      abhisaṅkhataṃ;  abhi-saṃ-kṛ 過分 a 為作、行作、調合、現行された  
    訳文                
     『友よ、だが私には、法にかなった租税によって支度された、この十分な多くの財がある。  
                       
                       
                       
    346-4.                
     tañca vo hotu, ito ca bhiyyo harathā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      tañ    代的 それ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vo    代的 あなたたち  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hotu,  bhū ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      ito    不変 これより、ここより  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      bhiyyo    不変 より多い、さらに多く  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      harathā’  hṛ 運ぶ、持ち来る、持ち去る、除く、奪う  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     それ(持ってきた財)はあなた方のものとせよ。またここ(王の財)からより多くを持ち帰るがいい』  
                       
                       
                       
    346-5.                
     Te raññā paṭikkhittā ekamantaṃ apakkamma evaṃ samacintesuṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      raññā    an  
      paṭikkhittā  prati-kṣip 過分 a 拒絶された、反対の  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      apakkamma  apa-kram 去る  
      語根 品詞 語基 意味  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samacintesuṃ –  saṃ-cint 思念する、考察する  
    訳文                
     王に固辞された彼らは、一方へ下がって、このように考えました。  
                       
                       
                       
    346-6.                
     ‘na kho etaṃ amhākaṃ patirūpaṃ, yaṃ mayaṃ imāni sāpateyyāni punadeva sakāni gharāni paṭihareyyāma.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      etaṃ    代的 これ  
      amhākaṃ    代的 私たち  
      patirūpaṃ,    a 適当な、相応しい  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      mayaṃ    代的 私たち  
      imāni    代的 これら  
      sāpateyyāni    a 自己の所有物、財産  
      puna    不変 さらに、ふたたび  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      sakāni    a 自分の  
      gharāni    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭihareyyāma.  prati-hṛ 使 撃退する、避ける  
    訳文                
     『我々がこれらの財を再び自分たちの家へ取り下げるようなこと、これは我々にとって、じつに適切でない。  
    メモ                
     ・paṭiharatiは諸訳は「持ち帰る」としている。  
                       
                       
                       
    346-7.                
     Rājā kho mahāvijito mahāyaññaṃ yajati, handassa mayaṃ anuyāgino homā’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Rājā    an  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      mahā    ant 大、偉大  
      yaññaṃ  yaj a 供犠、祭式  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      yajati,  yaj まつる、供養する、犠牲とする  
      語根 品詞 語基 意味  
      handa    不変 いざ  
      assa    代的 これ  
      mayaṃ    代的 私たち  
      anuyāgino  anu-yaj in 他に従って献供する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      homā’  bhū ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     じつにマハーヴィジタ王は大祭式をつとめた。いざ、我々は彼に続いて供犠をなすとしよう』と。  
                       
                       
                       
    347-1.                
     347. ‘‘Atha kho, brāhmaṇa, puratthimena yaññavāṭassa [yaññāvāṭassa (sī. pī. ka.)] khattiyā ānuyantā negamā ceva jānapadā ca dānāni paṭṭhapesuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      puratthimena    a 副具 東方の  
      yañña yaj a 依(属) 供犠、祭式  
      vāṭassa    a 柵、囲まれた土地  
      khattiyā    a クシャトリヤ、刹帝利、王族  
      ānuyantā  anu-yā  現分 ant 従う、随従する、訪問する  
      negamā    名形 a 町民、町の人  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      jānapadā    a 地方、国、国土、田舎  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      dānāni  a 布施  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭṭhapesuṃ.  pra-sthā 使 前に置く、与える  
    訳文                
     ときに婆羅門よ、じつに東の供犠処では、町の、また地方の〔王に〕従う刹帝利たちが、施物を供えました。  
                       
                       
                       
    347-2.                
     Dakkhiṇena yaññavāṭassa amaccā pārisajjā negamā ceva jānapadā ca dānāni paṭṭhapesuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Dakkhiṇena    代的 副具 南方の  
      yaññavāṭassa amaccā pārisajjā negamā ceva jānapadā ca dānāni paṭṭhapesuṃ. (347-1.)  
      amaccā    a 同僚、知己、大臣、朝臣  
      pārisajjā    a 侍臣、廷臣、会衆、衆  
    訳文                
     南の供犠処では、町の、また地方の大臣や廷臣たちが、施物を供えました。  
                       
                       
                       
    347-3.                
     Pacchimena yaññavāṭassa brāhmaṇamahāsālā negamā ceva jānapadā ca dānāni paṭṭhapesuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Pacchimena    a 副具 西方の  
      yaññavāṭassa brāhmaṇamahāsālā negamā ceva jānapadā ca dānāni paṭṭhapesuṃ. (347-.)  
      brāhmaṇa bṛh a 依(属) 婆羅門  
      mahā    ant 有(持) 大、偉大  
      sālā    ā 女→男 堂、家 →大家、有名人  
    訳文                
     西の供犠処では、町の、また地方の婆羅門中の大家たちが、施物を供えました。  
                       
                       
                       
    347-4.                
     Uttarena yaññavāṭassa gahapatinecayikā negamā ceva jānapadā ca dānāni paṭṭhapesuṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Uttarena    代的 副具 北方の  
      yaññavāṭassa gahapatinecayikā negamā ceva jānapadā ca dānāni paṭṭhapesuṃ. (347-1.)  
      gahapati    i 家主、居士、資産家  
      necayikā    a 富んだ、貯蔵した  
    訳文                
     北の供犠処では、町の、また地方の居士や富豪たちが、施物を供えました。  
                       
                       
                       
    347-5.                
     ‘‘Tesupi kho, brāhmaṇa, yaññesu neva gāvo haññiṃsu, na ajeḷakā haññiṃsu, na kukkuṭasūkarā haññiṃsu, na vividhā pāṇā saṃghātaṃ āpajjiṃsu, na rukkhā chijjiṃsu yūpatthāya, na dabbhā lūyiṃsu barihisatthāya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tesu    代的 それら、彼ら  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      yaññesu  yaj a 供犠、祭式  
      neva gāvo haññiṃsu, na ajeḷakā haññiṃsu, na kukkuṭasūkarā haññiṃsu, na vividhā pāṇā saṃghātaṃ āpajjiṃsu, na rukkhā chijjiṃsu yūpatthāya, na dabbhā lūyiṃsu barihisatthāya. (345-1.)  
    訳文                
     婆羅門よ、それらの供犠においても、牛は殺されず、山羊、羊は殺されず、鶏、豚は殺されず、種々の生きものたちは害されることなく、樹木が柱のため切られることなく、吉祥草が座のために刈られることもありませんでした。  
                       
                       
                       
    347-6.                
     Yepi nesaṃ ahesuṃ dāsāti vā pessāti vā kammakarāti vā, tepi na daṇḍatajjitā na bhayatajjitā na assumukhā rudamānā parikammāni akaṃsu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye    代的 (関係代名詞)  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      nesaṃ    代的 それら、彼ら  
      ahesuṃ dāsāti vā pessāti vā kammakarāti vā, tepi na daṇḍatajjitā na bhayatajjitā na assumukhā rudamānā parikammāni akaṃsu. (345-2.)  
    訳文                
     また、これらの〔供犠の〕ために奴僕、召使い、あるいは雑役夫となったものたち、彼らも、鞭で脅かされたり、恐怖に脅かされたりせず、涙に濡れて嘆くことなく支度をしたのでした。  
                       
                       
                       
    347-7.                
     Atha kho ye icchiṃsu, te akaṃsu, ye na icchiṃsu, na te akaṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha kho ye icchiṃsu, te akaṃsu, ye na icchiṃsu, na te akaṃsu; (345-3.)  
    訳文                
     じつにそこでは、望んだものたちが〔仕事を〕なし、望まぬものたちはなしませんでした。  
                       
                       
                       
    347-8.                
     yaṃ icchiṃsu, taṃ akaṃsu, yaṃ na icchiṃsu na taṃ akaṃsu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ icchiṃsu, taṃ akaṃsu, yaṃ na icchiṃsu na taṃ akaṃsu. (345-4.)  
    訳文                
     〔彼らは〕望んだそれ(仕事)をなし、望まぬそれ(仕事)はなしませんでした。  
                       
                       
                       
    347-9.                
     Sappitelanavanītadadhimadhuphāṇitena ceva te yaññā niṭṭhānamagamaṃsu.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sappitelanavanītadadhimadhuphāṇitena ceva (345-5.)  
      te    代的 それら、彼ら  
      yaññā  yaj a 供犠、祭式  
      niṭṭhānam  nis-sthā a 完成、終局  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      agamaṃsu. gam 来た  
    訳文                
     そして、それらの供犠は、熟酥、油、生酥、蜜、砂糖のみで完了に至ったのでした。  
                       
                       
                       
    347-10.                
     ‘‘Iti cattāro ca anumatipakkhā, rājā mahāvijito aṭṭhahaṅgehi samannāgato, purohito brāhmaṇo catūhaṅgehi samannāgato;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      cattāro     
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      anumati  anu-man i 依(属) 同意、承認  
      pakkhā,    a 翼、脇、側、党、宗徒、半月  
      rājā    an  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      aṭṭhahi     
      aṅgehi    a 支、部分、肢体、身分、関心、理由  
      samannāgato,  saṃ-anu-ā-gam 過分 a 具備した、具足の  
      purohito    a 輔相、帝師、司祭  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      catūhi     
      aṅgehi    a 支、部分、肢体、身分、関心、理由  
      samannāgato;  saṃ-anu-ā-gam 過分 a 具備した、具足の  
    訳文                
     かくのごとき、四の承認する人々、八の支分〔からなる条件〕を具えたマハーヴィジタ王、四の支分〔からなる条件〕を具えた顧問の婆羅門、  
                       
                       
                       
    347-11.                
     tisso ca vidhā ayaṃ vuccati brāhmaṇa tividhā yaññasampadā soḷasaparikkhārā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      tisso     
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vidhā    ā 種、種類  
      ayaṃ    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuccati  vac 受 いわれる  
      語根 品詞 語基 意味  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      ti    有(帯)  
      vidhā    ā 種、種類  
      yañña  yaj a 依(属) 供犠、祭式  
      sampadā  saṃ-pad ā 具足、成就、遂行、結果  
      soḷasa    有(帯) 十六  
      parikkhārā’’    a 資具、資財、資助、必需品、祭法  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     また三種の〔心得〕、婆羅門よ、これが三種の〔心得〕と十六の条件をそなえた供犠の成就といわれるのです」と。  
                       
                       
                       
    348-1.                
     348. Evaṃ vutte, te brāhmaṇā unnādino uccāsaddamahāsaddā ahesuṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 過分 a 男中 いわれた  
      te    代的 それら、彼ら  
      brāhmaṇā  bṛh a 婆羅門  
      unnādino    in 号叫の、大声の  
      uccā    不変 高く、上に  
      sadda    a  
      mahā    ant 有(持) 大きい  
      saddā    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahesuṃ –  bhū ある  
    訳文                
     このようにいわれて、彼ら婆羅門たちは叫び、高い声、大声を上げた。  
                       
                       
                       
    348-2.                
     ‘‘aho yañño, aho yaññasampadā’’ti!   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘aho    不変 ああ(感嘆詞)  
      yañño,  yaj a 供犠、祭式  
      aho    不変 ああ(感嘆詞)  
      yañña  yaj a 依(属) 供犠、祭式  
      sampadā’’  saṃ-pad ā 具足、成就、遂行、結果  
      ti!    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「ああ、〔みごとな〕供犠だ。ああ、〔みごとな〕供犠の成就だ」と。  
                       
                       
                       
    348-3.                
    Kūṭadanto pana brāhmaṇo tūṇhībhūtova nisinno hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kūṭadanto    a 人名、クータダンタ  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      tūṇhī    不変 沈黙して、黙って  
      bhūto  bhū 過分 a 存在した、真実、生類、鬼神、漏尽者  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti.  bhū ある、存在する  
    訳文                
     しかしクータダンタ婆羅門は、沈黙して坐っていた。  
                       
                       
                       
    348-4.                
    Atha kho te brāhmaṇā kūṭadantaṃ brāhmaṇaṃ etadavocuṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te    代的 それら、彼ら  
      brāhmaṇā  bṛh a 婆羅門  
      kūṭadantaṃ    a 人名、クータダンタ  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avocuṃ –  vac いう  
    訳文                
     そこで、彼ら婆羅門たちはクータダンタ婆羅門へこういった。  
                       
                       
                       
    348-5.                
     ‘‘kasmā pana bhavaṃ kūṭadanto samaṇassa gotamassa subhāsitaṃ subhāsitato nābbhanumodatī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kasmā    代的 何、誰  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      kūṭadanto    a 人名、クータダンタ  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      subhāsitaṃ  su-bhāṣ 過分 a よく説かれた、善説  
      subhāsitato  su-bhāṣ 過分 a よく説かれた、善説  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhanumodatī’’ abhi-anu-mud 大いに随喜する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「なぜ尊者クータダンタは、沙門ゴータマの善説に、善説ゆえの随喜をなさないのでしょうか」と。  
                       
                       
                       
    348-6.                
     ‘‘Nāhaṃ, bho, samaṇassa gotamassa subhāsitaṃ subhāsitato nābbhanumodāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      ahaṃ,    代的  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      subhāsitaṃ  su-bhāṣ 過分 a よく説かれた、善説  
      subhāsitato  su-bhāṣ 過分 a よく説かれた、善説  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhanumodāmi.  abhi-anu-mud 大いに随喜する  
    訳文                
     「友よ、私は、沙門ゴータマの善説に、善説ゆえの随喜をなさないのではないのです。  
                       
                       
                       
    348-7.                
     Muddhāpi tassa vipateyya, yo samaṇassa gotamassa subhāsitaṃ subhāsitato nābbhanumodeyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Muddhā   an 頭、頂  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      tassa    代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vipateyya,  vi-paṭ 裂ける、破壊する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      subhāsitaṃ  su-bhāṣ 過分 a よく説かれた、善説  
      subhāsitato  su-bhāṣ 過分 a よく説かれた、善説  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhanumodeyya.  abhi-anu-mud 大いに随喜する  
    訳文                
     沙門ゴータマの善説に、善説ゆえの随喜をなさないようなもの、彼の頭は裂けてしまうことでしょう。  
                       
                       
                       
    348-8.                
     Api ca me, bho, evaṃ hoti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      me,    代的  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti –  bhū ある、存在する  
    訳文                
     ただ友よ、私にはこのような〔思い〕があるのです。  
                       
                       
                       
    348-9.                
     samaṇo gotamo na evamāha –   
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      na    不変 ない  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āha –  ah いう  
    訳文                
     『沙門ゴータマはこのようにいっていない。  
                       
                       
                       
    348-10.                
     ‘evaṃ me suta’nti vā ‘evaṃ arahati bhavitu’nti vā;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      me    代的  
      suta’n  śru 名過分 a 聞かれた  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
          不変 あるいは  
      ‘evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      arahati  arh 相応しい、価値ある、値する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhavitu’n  bhū 不定 あること、存在すること  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      vā;    不変 あるいは  
    訳文                
     私はこのように聞いたと。あるいはこのようであるのが相応しいと。  
    メモ                
     ・伝聞でも推測でもなく、自分で見聞きしたかのように話しているのが不思議だ、ということであろう。  
                       
                       
                       
    348-11.                
     api ca samaṇo gotamo –   
      語根 品詞 語基 意味  
      api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo –    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     しかるに沙門ゴータマは、  
                       
                       
                       
    348-12.                
     ‘evaṃ tadā āsi, itthaṃ tadā āsi’ tveva bhāsati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      tadā    不変 そのとき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āsi,  as あった  
      語根 品詞 語基 意味  
      itthaṃ    不変 かかる  
      tadā    不変 そのとき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āsi’  as あった  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhāsati.  bhāṣ 語る、話す  
    訳文                
     その時はこのようであった。その時はこうであったと語っている』  
    メモ                
     ・tvevatu evaだけでなくti evaである場合もあるようである。  
                       
                       
                       
    348-13.                
     Tassa mayhaṃ bho evaṃ hoti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tassa    代的 それ、彼  
      mayhaṃ    代的  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti –  bhū ある、存在する  
    訳文                
     友よ、この私には、このような〔思い〕があるのです。  
                       
                       
                       
    348-14.                
     ‘addhā samaṇo gotamo tena samayena rājā vā ahosi mahāvijito yaññassāmi purohito vā brāhmaṇo tassa yaññassa yājetā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘addhā    不変 まことに、たしかに  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      samayena    a 副具  
      rājā    an  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi  as あった  
      語根 品詞 語基 意味  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      yañña yaj a 依(属) 供犠、祭式  
      sāmi    in 主人、支配者  
      purohito    a 輔相、帝師、司祭  
          不変 あるいは  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      tassa    代的 それ、彼  
      yaññassa  yaj a 供犠、祭式  
      yājetā’  yaj ar 司祭者、祭主  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『本当は沙門ゴータマは、そのとき、供犠の主であるマハーヴィジタ王、あるいは、その供犠の司祭である顧問の婆羅門だった〔のではないか〕』と。  
                       
                       
                       
    348-15.                
     Abhijānāti pana bhavaṃ gotamo evarūpaṃ yaññaṃ yajitvā vā yājetvā vā kāyassa bhedā paraṃ maraṇā sugatiṃ saggaṃ lokaṃ upapajjitāti’’?   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Abhijānāti  abhi-jñā 証知する、自証する  
      語根 品詞 語基 意味  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      evarūpaṃ    a かかる、かくのごとき  
      yaññaṃ  yaj a 供犠、祭式  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      yajitvā  yaj まつる、供養する、犠牲とする  
      語根 品詞 語基 意味  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      yājetvā  yaj 使 まつらせる、供養させる、犠牲とさせる  
      語根 品詞 語基 意味  
          不変 あるいは  
      kāyassa    a 身体、集まり  
      bhedā  bhid a 破壊、不和合、離間、種類、区分  
      paraṃ    代的 副対 更に、他に、超えて  
      maraṇā  mṛ a 死 →死後に  
      sugatiṃ  su-gam i 善趣  
      saggaṃ    a  
      lokaṃ    a 世界  
      upapajjitā  upa-pad 過分 a 再生、転生した  
      ti’’?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     しかるに、沙門ゴータマは、〔衆生は〕かくのごとき供犠をつとめ、あるいはつとめさせてから、身破れて死後、善趣、天界に転生すると、経験的にご存じ〔なのではありませんか〕」  
    メモ                
     ・upapajjitā は辞書類に見当たらず、ニカーヤ中で本経にしか現れないようである。パラレルな「沙門果経」246-5.でのupapannāと同じものとみなして訳した。  
     ・abhijānātiPTS辞書にはto know by experienceとある。これによって訳した。ただ一般論として認めるか、という質問では、やや文脈にそぐわないからである。『註』はこれを、直裁な質問で礼を欠かぬための、「敬しての問い」parihārena pucchantoとしているが、そのように、経験を問うことで、間接的に釈尊の過去世について説明を聞き出そうという趣旨なのであろう。  
                       
                       
                       
    348-16.                
     ‘‘Abhijānāmahaṃ, brāhmaṇa, evarūpaṃ yaññaṃ yajitvā vā yājetvā vā kāyassa bhedā paraṃ maraṇā sugatiṃ saggaṃ lokaṃ upapajjitā, ahaṃ tena samayena purohito brāhmaṇo ahosiṃ tassa yaññassa yājetā’’ti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Abhijānāmi  abhi-jñā 証知する、自証する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ahaṃ,    代的  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      evarūpaṃ yaññaṃ yajitvā vā yājetvā vā kāyassa bhedā paraṃ maraṇā sugatiṃ saggaṃ lokaṃ upapajjitā, (348-15.)  
      ahaṃ    代的  
      tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      samayena    a 副具  
      purohito    a 輔相、帝師、司祭  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosiṃ  as あった  
      語根 品詞 語基 意味  
      tassa    代的 それ、彼  
      yaññassa  yaj a 供犠、祭式  
      yājetā’’  yaj ar 司祭者、祭主  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「婆羅門よ、私は、〔衆生は〕かくのごとき供犠をつとめ、あるいはつとめさせてから、身破れて死後、善趣、天界に転生すると、経験的に知っています。〔なぜなら〕私はそのとき、その供犠の司祭である顧問の婆羅門であった〔からです〕」  
                       
                       
  ←前へ   トップへ   次へ→
inserted by FC2 system