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     Rājaaparihāniyadhammā  
      語根 品詞 語基 意味  
      Rāja    an 依(属)  
      aparihāniya  a-pari-hā  a 不衰退、不減退  
      dhammā dhṛ a 男中  
    訳文                
     【王の不衰退法】  
                       
                       
                       
    134-1.                
     134. Tena kho pana samayena āyasmā ānando bhagavato piṭṭhito ṭhito hoti bhagavantaṃ bījayamāno [vījayamāno (sī.), vījiyamāno (syā.)].   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      ānando  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      bhagavato    ant 世尊  
      piṭṭhito    ī 副奪 背後より、背後に  
      ṭhito  sthā 過分 a 立った  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      bījayamāno.  vīj 現分 a 扇ぐ  
    訳文                
     じつにその時、尊者アーナンダが、世尊の背後に立って世尊を扇いでいた。  
                       
                       
                       
    134-2.                
     Atha kho bhagavā āyasmantaṃ ānandaṃ āmantesi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      āyasmantaṃ    ant 尊者、具寿  
      ānandaṃ  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantesi –    呼びかける、話す、相談する  
    訳文                
     ときに世尊は尊者アーナンダへ呼びかけられた。  
                       
                       
                       
    134-3.                
     ‘‘kinti te, ānanda, sutaṃ, ‘vajjī abhiṇhaṃ sannipātā sannipātabahulā’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kinti    不変 (疑問符)  
      te,    代的 あなた  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      sutaṃ,  śru 名過分 a 聞かれた  
      ‘vajjī    ī 地名、ヴァッジー国  
      abhiṇhaṃ    不変 しばしば、引き続いて  
      sannipātā  saṃ-ni-pat a 男→女 集合、結合、和合  
      sannipāta  saṃ-ni-pat a 有(持) 集合、結合、和合  
      bahulā’    a 多い  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「アーナンダよ、あなたは『ヴァッジー国〔の人々〕は、たびたび集結し、多くの集会をもつ』と聞いていませんか」  
    メモ                
     ・kintiは、kin tiと分解して、「アーナンダよ、あなたはどうだと聞いていますか。『ヴァッジー国〔の人々〕は、たびたび集結し、多くの集会をもつ』とは〔聞いていませんか〕」とすることも考えたが、kintiが二回出る134-28. の処置に困り、けっきょくやむを得ずkiṃciの異体とみた。  
                       
                       
                       
    134-4.                
     ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sutaṃ  śru 過分 a 聞かれた  
      me    代的  
      etaṃ,    代的 これ  
      bhante –  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     「尊者よ、私は、こう聞いています。  
                       
                       
                       
    134-5.                
     ‘vajjī abhiṇhaṃ sannipātā sannipātabahulā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘vajjī abhiṇhaṃ sannipātā sannipātabahulā’’ti. (134-3.)  
    訳文                
     『ヴァッジー国〔の人々〕は、たびたび集結し、多くの集会をもつ』と」  
                       
                       
                       
    134-6.                
     ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, vajjī abhiṇhaṃ sannipātā sannipātabahulā bhavissanti, vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yāvakīvañ    不変 〜の間は  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      vajjī abhiṇhaṃ sannipātā sannipātabahulā (134-3.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissanti,  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      vuddhi  vṛdh i 増長、増大  
      yeva,    不変 まさに、のみ、じつに  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      vajjīnaṃ    ī 地名、ヴァッジー国  
      pāṭikaṅkhā,  prati-kāṅkṣ 未分 a 待望の、期待されるべき  
      no    不変 ない、否/〜かどうか  
      parihāni. pari-hā  i 衰退、衰亡  
    訳文                
     「アーナンダよ、ヴァッジー国〔の人々〕が、たびたび集結し、多くの集会をもっているかぎり、アーナンダよ、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません。  
                       
                       
                       
    134-7.                
     ‘‘Kinti te, ānanda, sutaṃ, ‘vajjī samaggā sannipatanti, samaggā vuṭṭhahanti, samaggā vajjikaraṇīyāni karontī’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kinti    不変 (疑問符)  
      te,    代的 あなた  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      sutaṃ,  śru 名過分 a 聞かれた  
      ‘vajjī    ī 地名、ヴァッジー国  
      samaggā    a 和合した、統一の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sannipatanti,  saṃ-ni-pat 集まる、集合する  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaggā    a 和合した、統一の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuṭṭhahanti,  ud-sthā 立ち上がる、出定する  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaggā    a 和合した、統一の  
      vajji   ī 依(属) 地名、ヴァッジー国  
      karaṇīyāni  kṛ 名未分 a 成されるべき事、所作、義務  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      karontī’  kṛ なす、作る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     アーナンダよ、あなたは『ヴァッジー国〔の人々〕は、和合して集結し、和合して立ち上がり、和合してヴァッジー国の義務を果たす』と聞いていませんか」  
                       
                       
                       
    134-8.                
     ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante – (134-4.)  
    訳文                
     「尊者よ、私は、こう聞いています。  
                       
                       
                       
    134-9.                
     ‘vajjī samaggā sannipatanti, samaggā vuṭṭhahanti, samaggā vajjikaraṇīyāni karontī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘vajjī samaggā sannipatanti, samaggā vuṭṭhahanti, samaggā vajjikaraṇīyāni karontī’’ti. (134-7.)  
    訳文                
     『ヴァッジー国〔の人々〕は、和合して集結し、和合して立ち上がり、和合してヴァッジー国の義務を果たす』と」  
                       
                       
                       
    134-10.                
     ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, vajjī samaggā sannipatissanti, samaggā vuṭṭhahissanti, samaggā vajjikaraṇīyāni karissanti, vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, vajjī (134-6.)  
      vajjī samaggā sannipatissanti, samaggā vuṭṭhahissanti, samaggā vajjikaraṇīyāni karissanti, (134-7.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sannipatissanti,  saṃ-ni-pat 集まる、集合する  
      vuṭṭhahissanti,  ud-sthā 立ち上がる、出定する  
      karissanti,  kṛ なす、作る  
      語根 品詞 語基 意味  
      vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni. (134-6.)  
    訳文                
     「アーナンダよ、ヴァッジー国〔の人々〕が、和合して集結し、和合して立ち上がり、和合してヴァッジー国のつとめを果たすかぎり、アーナンダよ、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません。  
                       
                       
                       
    134-11.                
     ‘‘Kinti te, ānanda, sutaṃ, ‘vajjī apaññattaṃ na paññapenti, paññattaṃ na samucchindanti, yathāpaññatte porāṇe vajjidhamme samādāya vattantī’’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kinti    不変 (疑問符)  
      te,    代的 あなた  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      sutaṃ,  śru 名過分 a 聞かれた  
      ‘vajjī    ī 地名、ヴァッジー国  
      apaññattaṃ  a-pra-jṅā 使 過分 a 未所制の、未施設の  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paññapenti,  a-pra-jṅā 使 知らしめる、告知する、施設する  
      語根 品詞 語基 意味  
      paññattaṃ  pra-jṅā 使 過分 a 知らしめられた、施設された、用意した  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samucchindanti,  saṃ-ud-chid 断ずる、断絶する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      paññatte  pra-jṅā 使 過分 a 男中 処絶 知らしめられた、施設された、用意した  
      porāṇe    名形 a 処絶 往昔の、古い、古聖  
      vajji    ī 依(属) 地名、ヴァッジー国  
      dhamme  dhṛ a 男中 処絶  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samādāya  saṃ-ā-dā 取る、受ける、受持する  
      vattantī’’’  vṛt 転ずる、起こる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     アーナンダよ、あなたは『ヴァッジー国〔の人々〕は、定められていない〔法〕を〔新たに〕定めず、定められた〔法〕を断絶せず、古いヴァッジー国の法が定められたときのとおりに受持している』と聞いていませんか」  
                       
                       
                       
    134-12.                
     ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante – (134-4.)  
    訳文                
     「尊者よ、私は、こう聞いています。  
                       
                       
                       
    134-13.                
     ‘vajjī apaññattaṃ na paññapenti, paññattaṃ na samucchindanti, yathāpaññatte porāṇe vajjidhamme samādāya vattantī’’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘vajjī apaññattaṃ na paññapenti, paññattaṃ na samucchindanti, yathāpaññatte porāṇe vajjidhamme samādāya vattantī’’’ti. (134-11.)  
    訳文                
     『ヴァッジー国〔の人々〕は、定められていない〔法〕を〔新たに〕定めず、定められた〔法〕を断絶せず、古いヴァッジー国の法が定められたときのとおりに受持している』と」  
                       
                       
                       
    134-14.                
     ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, ‘‘vajjī apaññattaṃ na paññapessanti, paññattaṃ na samucchindissanti, yathāpaññatte porāṇe vajjidhamme samādāya vattissanti, vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, (134-6.)  
      ‘‘vajjī apaññattaṃ na paññapessanti, paññattaṃ na samucchindissanti, yathāpaññatte porāṇe vajjidhamme samādāya vattissanti, (134-11.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paññapessanti,  pra-jṅā 使 知らしめる、告知する、施設する  
      samucchindissanti,  saṃ-ud-chid 断ずる、断絶する  
      vattissanti,  vṛt 転ずる、起こる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni. (134-6.)  
    訳文                
     「アーナンダよ、ヴァッジー国〔の人々〕が、定められていない〔法〕を〔新たに〕定めず、定められた〔法〕を断絶せず、古いヴァッジー国の法が定められたときのとおりに受持しているかぎり、アーナンダよ、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません。  
                       
                       
                       
    134-15.                
     ‘‘Kinti te, ānanda, sutaṃ, ‘vajjī ye te vajjīnaṃ vajjimahallakā, te sakkaronti garuṃ karonti [garukaronti (sī. syā. pī.)] mānenti pūjenti, tesañca sotabbaṃ maññantī’’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kinti    不変 (疑問符)  
      te,    代的 あなた  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      sutaṃ,  śru 名過分 a 聞かれた  
      ‘vajjī    ī 地名、ヴァッジー国  
      ye    代的 (関係代名詞)  
      te    代的 それら、彼ら  
      vajjīnaṃ    ī 地名、ヴァッジー国  
      vajji    ī 依(属) 地名、ヴァッジー国  
      mahallakā,    a 老練の、高齢  
      te    代的 それら、彼ら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkaronti  sat-kṛ 恭敬する、尊敬する  
      語根 品詞 語基 意味  
      garuṃ    名形 u 重い、重要な、師  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      karonti  kṛ なす →尊敬する  
      mānenti  man 使 尊敬する、奉仕する  
      pūjenti,  pūj 供養する、尊敬する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tesañ    代的 それら、彼ら  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      sotabbaṃ  śru 未分 a 聞くべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññantī’’’  man 考える、思う、思量する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     アーナンダよ、あなたは『ヴァッジー国〔の人々〕は、ヴァッジー国のうちの、かのヴァッジーの老人たち、彼らを恭敬し、尊敬し、奉仕し、供養し、彼らの〔言葉〕を聞くべきものだと考えている』と聞いていませんか」  
                       
                       
                       
    134-16.                
     ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante – (134-4.)  
    訳文                
     「尊者よ、私は、こう聞いています。  
                       
                       
                       
    134-17.                
     ‘vajjī ye te vajjīnaṃ vajjimahallakā, te sakkaronti garuṃ karonti mānenti pūjenti, tesañca sotabbaṃ maññantī’’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘vajjī ye te vajjīnaṃ vajjimahallakā, te sakkaronti garuṃ karonti mānenti pūjenti, tesañca sotabbaṃ maññantī’’’ti. (134-15.)  
    訳文                
     『ヴァッジー国〔の人々〕は、ヴァッジー国のうちの、かのヴァッジーの老人たち、彼らを恭敬し、尊敬し、奉仕し、供養し、彼らの〔言葉〕を聞くべきものだと考えている』と」  
                       
                       
                       
    134-18.                
     ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, vajjī ye te vajjīnaṃ vajjimahallakā, te sakkarissanti garuṃ karissanti mānessanti pūjessanti, tesañca sotabbaṃ maññissanti, vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, (134-6.)  
      vajjī ye te vajjīnaṃ vajjimahallakā, te sakkarissanti garuṃ karissanti mānessanti pūjessanti, tesañca sotabbaṃ maññissanti, (134-15.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkarissanti  sat-kṛ 恭敬する、尊敬する  
      karissanti  kṛ なす →尊敬する  
      mānessanti  man 使 尊敬する、奉仕する  
      pūjessanti,  pūj 供養する、尊敬する  
      maññissanti,  man 考える、思う、思量する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni. (134-6.)  
    訳文                
     「アーナンダよ、ヴァッジー国〔の人々〕が、ヴァッジー国のうちの、かのヴァッジーの老人たち、彼らを恭敬し、尊敬し、奉仕し、供養し、彼らの〔言葉〕を聞くべきものだと考えているかぎり、アーナンダよ、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません。  
                       
                       
                       
    134-19.                
     ‘‘Kinti te, ānanda, sutaṃ, ‘vajjī yā tā kulitthiyo kulakumāriyo, tā na okkassa pasayha vāsentī’’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kinti    不変 (疑問符)  
      te,    代的 あなた  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      sutaṃ,  śru 名過分 a 聞かれた  
      ‘vajjī    ī 地名、ヴァッジー国  
          代的 (関係代名詞)  
          代的 それら、彼女ら  
      kula    a 依(属) 家、族姓  
      itthiyo    i 女性、婦人  
      kula    a 依(属) 家、族姓  
      kumāriyo,    i 童女  
          代的 それら、彼女ら  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      okkassa  ava-kṛṣ 引き下ろす、除き去る  
      pasayha  pra-sah 征服する、圧迫する、強いる  
      vāsentī’’’  vas 使 住まわせる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     アーナンダよ、あなたは『ヴァッジー国〔の人々〕は、かの家の婦人たち、家の童女たち、彼女らを、引きずり、強いて住まわせない』と聞いていませんか」  
    メモ                
     ・『註』は「かれら諸王が力ずくでとらえ、自分の家に住まわせる」ime rājāno balakkārena gahetvā attano ghare vāsentī と領民vijite manussā が考える、という事例を挙げる。  
     ・okkassaokassaの異体とみた。  
                       
                       
                       
    134-20.                
     ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante – (134-4.)  
    訳文                
     「尊者よ、私は、こう聞いています。  
                       
                       
                       
    134-21.                
     ‘vajjī yā tā kulitthiyo kulakumāriyo tā na okkassa pasayha vāsentī’’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘vajjī yā tā kulitthiyo kulakumāriyo tā na okkassa pasayha vāsentī’’’ti. (134-19.)  
    訳文                
     『ヴァッジー国〔の人々〕は、かの家の婦人たち、家の童女たち、彼女らを、引きずり、強いて住まわせない』と」  
                       
                       
                       
    134-22.                
     ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, vajjī yā tā kulitthiyo kulakumāriyo, tā na okkassa pasayha vāsessanti, vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, (134-6.)  
      vajjī yā tā kulitthiyo kulakumāriyo, tā na okkassa pasayha vāsessanti, (134-19.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vāsessanti,  vas 使 住まわせる  
      語根 品詞 語基 意味  
      vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni. (134-6.)  
    訳文                
     「アーナンダよ、ヴァッジー国〔の人々〕が、かの家の婦人たち、家の童女たち、彼女らを、引きずり、強いて住まわせないかぎり、アーナンダよ、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません。  
                       
                       
                       
    134-23.                
     ‘‘Kinti te, ānanda, sutaṃ, ‘vajjī yāni tāni  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kinti    不変 (疑問符)  
      te,    代的 あなた  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      sutaṃ,  śru 名過分 a 聞かれた  
      ‘vajjī    ī 地名、ヴァッジー国  
      yāni    代的 (関係代名詞)  
      tāni   代的 それら  
    訳文                
     アーナンダよ、あなたは聞いていませんか。『ヴァッジー国〔の人々〕は、  
    メモ                
     ・VRICST4はここだけ独立の文のように表記されている(しかもなぜかセンタリングされている)が、これはおそらく何かのミスで、次文へ続いているのであろう。そこで、yāni tāniは次文に含めて訳した。  
                       
                       
                       
    134-24.                
     Vajjīnaṃ vajjicetiyāni abbhantarāni ceva bāhirāni ca, tāni sakkaronti garuṃ karonti mānenti pūjenti, tesañca dinnapubbaṃ katapubbaṃ dhammikaṃ baliṃ no parihāpentī’’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Vajjīnaṃ    ī 地名、ヴァッジー国  
      vajji    ī 依(属) 地名、ヴァッジー国  
      cetiyāni  ci? a 塔廟、霊祠  
      abbhantarāni    名形 a 内の、内部  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      bāhirāni    a  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      tāni    代的 それら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkaronti  sat-kṛ 恭敬する、尊敬する  
      語根 品詞 語基 意味  
      garuṃ    名形 u 重い、重要な、師  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      karonti  kṛ なす →尊敬する  
      mānenti  man 使 尊敬する、奉仕する  
      pūjenti,  pūj 供養する、尊敬する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tesañ    代的 それら、彼ら  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      dinna  過分 a 有(持) 与えられた、所施の  
      pubbaṃ    代的 前の、先の、昔の  
      kata  kṛ 過分 a 有(持) なされた  
      pubbaṃ    代的 前の、先の、昔の  
      dhammikaṃ  dhṛ 名形 a 如法の  
      baliṃ    i 犠牲、供養、供物  
      no    不変 ない、否/〜かどうか  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      parihāpentī’’’  pari-hā 使 退失させる、衰損させる、捨てる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ヴァッジー国の内外のヴァッジーの諸廟、それらを恭敬し、尊敬し、奉仕し、供養し、それらのための、昔から施され、昔からなされた如法の供物を捨てない』と」  
                       
                       
                       
    134-25.                
     ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante – (134-4.)  
    訳文                
     「尊者よ、私は、こう聞いています。  
                       
                       
                       
    134-26.                
     ‘vajjī yāni tāni vajjīnaṃ vajjicetiyāni abbhantarāni ceva bāhirāni ca, tāni sakkaronti garuṃ karonti mānenti pūjenti tesañca dinnapubbaṃ katapubbaṃ dhammikaṃ baliṃ no parihāpentī’’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘vajjī yāni tāni vajjīnaṃ vajjicetiyāni abbhantarāni ceva bāhirāni ca, tāni sakkaronti garuṃ karonti mānenti pūjenti tesañca dinnapubbaṃ katapubbaṃ dhammikaṃ baliṃ no parihāpentī’’’ti.  (134-23, 24.)  
    訳文                
     『ヴァッジー国〔の人々〕は、ヴァッジー国の、かのヴァッジーの諸廟、それらを恭敬し、尊敬し、奉仕し、供養し、それらのための、昔から施され、昔からなされた如法の供物を捨てない』と」  
                       
                       
                       
    134-27.                
     ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, vajjī yāni tāni vajjīnaṃ vajjicetiyāni abbhantarāni ceva bāhirāni ca, tāni sakkarissanti garuṃ karissanti mānessanti pūjessanti, tesañca dinnapubbaṃ katapubbaṃ dhammikaṃ baliṃ no parihāpessanti, vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, (134-6.)  
       vajjī yāni tāni vajjīnaṃ vajjicetiyāni abbhantarāni ceva bāhirāni ca, tāni sakkarissanti garuṃ karissanti mānessanti pūjessanti, tesañca dinnapubbaṃ katapubbaṃ dhammikaṃ baliṃ no parihāpessanti, (134-23, 24.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkarissanti  sat-kṛ 恭敬する、尊敬する  
      karissanti  kṛ なす →尊敬する  
      mānessanti  man 使 尊敬する、奉仕する  
      pūjessanti,  pūj 供養する、尊敬する  
      parihāpessanti,  pari-hā 使 退失させる、衰損させる、捨てる  
      語根 品詞 語基 意味  
      vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihāni. (134-6.)  
    訳文                
     「アーナンダよ、ヴァッジー国〔の人々〕が、ヴァッジー国の、かのヴァッジーの諸廟、それらを恭敬し、尊敬し、奉仕し、供養し、それらのための、昔から施され、昔からなされた如法の供物を捨てないかぎり、アーナンダよ、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません。  
                       
                       
                       
    134-28.                
     ‘‘Kinti te, ānanda, sutaṃ, ‘vajjīnaṃ arahantesu dhammikā rakkhāvaraṇagutti susaṃvihitā, kinti anāgatā ca arahanto vijitaṃ āgaccheyyuṃ, āgatā ca arahanto vijite phāsu vihareyyu’’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kinti    不変 (疑問符)  
      te,    代的 あなた  
      ānanda,  ā-nand a 人名、アーナンダ  
      sutaṃ,  śru 名過分 a 聞かれた  
      ‘vajjīnaṃ    ī 地名、ヴァッジー国  
      arahantesu  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      dhammikā  dhṛ 名形 a 如法の  
      rakkhā  rakṣ ā 守護、保護、護経  
      āvaraṇa  ā-vṛ a 障碍、防ぐこと  
      gutti  gup i 守護、保護  
      susaṃvihitā,  su-saṃ-vi-dhā 過分 a よく整えられた、よく用意された  
      kinti    不変 (疑問符)  
      anāgatā  an-ā-gam a 未来の  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      arahanto  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      vijitaṃ  vi-ji 名形 a 征服した、領土の、王国  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgaccheyyuṃ,  ā-gam 来る  
      語根 品詞 語基 意味  
      āgatā  a-gam 過分 a 来た  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      arahanto  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      vijite  vi-ji 名形 a 征服した、領土の、王国  
      phāsu    u 副対 安楽な、安穏な、愉快な  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vihareyyu’’’n  vi-hṛ 住す  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     アーナンダよ、あなたは『ヴァッジー国には、―未だ来たらぬ阿羅漢が、王国へやってくるであろうか、また、来たった阿羅漢が王国において快適に滞在できるであろうか―と、阿羅漢への、如法の守護、防護、保護が、よく準備されている』と聞いていませんか」  
    メモ                
     ・tiが二重にかかっていると取った。  
     ・phāsuhetuのように-uの形で副詞的対格であると見た。  
     ・二度目のkinti は、あるいは「誰であれ」か。  
                       
                       
                       
    134-29.                
     ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante ‘vajjīnaṃ arahantesu dhammikā rakkhāvaraṇagutti susaṃvihitā kinti anāgatā ca arahanto vijitaṃ āgaccheyyuṃ, āgatā ca arahanto vijite phāsu vihareyyu’’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sutaṃ metaṃ, bhante (134-4.)  
      ‘vajjīnaṃ arahantesu dhammikā rakkhāvaraṇagutti susaṃvihitā kinti anāgatā ca arahanto vijitaṃ āgaccheyyuṃ, āgatā ca arahanto vijite phāsu vihareyyu’’’nti. (134-28.)  
    訳文                
     「尊者よ、私は、こう聞いています。『ヴァッジー国には、―未だ来たらぬ阿羅漢が、王国へやってくるであろうか、また、来たった阿羅漢が王国において快適に滞在できるであろうか―と、阿羅漢への、如法の守護、防護、保護が、よく準備されている』と」  
                       
                       
                       
    134-30.                
     ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, vajjīnaṃ arahantesu dhammikā rakkhāvaraṇagutti susaṃvihitā bhavissati, kinti anāgatā ca arahanto vijitaṃ āgaccheyyuṃ, āgatā ca arahanto vijite phāsu vihareyyunti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yāvakīvañca, ānanda, (134-6.)  
      vajjīnaṃ arahantesu dhammikā rakkhāvaraṇagutti susaṃvihitā bhavissati, kinti anāgatā ca arahanto vijitaṃ āgaccheyyuṃ, āgatā ca arahanto vijite phāsu vihareyyunti.  (134-28.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissati,  bhū ある、なる  
    訳文                
     「アーナンダよ、ヴァッジー国に『未だ来たらぬ阿羅漢が、王国へやってくるであろうか、また、来たった阿羅漢が王国において快適に滞在できるであろうか』と、阿羅漢への、如法の守護、防護、保護が、よく準備されているかぎり、  
                       
                       
                       
    134-31.                
     Vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihānī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vuddhiyeva, ānanda, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihānī’’(134-6.)  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     アーナンダよ、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません」  
                       
                       
                       
    135-1.                
     135. Atha kho bhagavā vassakāraṃ brāhmaṇaṃ magadhamahāmattaṃ āmantesi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      vassakāraṃ    a 人名、ヴァッサカーラ  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門  
      magadha    a 依(属) 地名、マガダ国  
      mahā    ant 大きい  
      amattaṃ    a 大臣、朝臣  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantesi –    呼びかける、話す、相談する  
    訳文                
     ときに世尊は、マガダ国の大臣ヴァッサカーラ婆羅門へ話しかけられた。  
                       
                       
                       
    135-2.                
    ‘‘ekamidāhaṃ, brāhmaṇa, samayaṃ vesāliyaṃ viharāmi sārandade [sānandare (ka.)] cetiye.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ekam    代的 副対 一、とある  
      idaṃ    代的 これ  
      ahaṃ,    代的  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      samayaṃ    a 副対  
      vesāliyaṃ    ī 地名、ヴェーサーリー(ヴァッジー国の首都)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharāmi  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sārandade    a 地名、サーランダダ  
      cetiye.  ci? a 塔廟、霊祠  
    訳文                
     「婆羅門よ、あるときこの私は、ヴェーサーリーのサーランダダ廟に滞在しました。  
    メモ                
     ・サーランダダとは、『註』によれば、そこにいた夜叉の名前という。  
                       
                       
                       
    135-3.                
     Tatrāhaṃ vajjīnaṃ ime satta aparihāniye dhamme desesiṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tatra    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      ahaṃ    代的  
      vajjīnaṃ    ī 地名、ヴァッジー国  
      ime    代的 これら  
      satta     
      aparihāniye  a-pari-hā  a 男中 不衰退、不減退  
      dhamme  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      desesiṃ.  diś 説く  
    訳文                
     そこで私は、ヴァッジー国〔の人々〕のため、これら七つの不衰退の法を説いたのです。  
                       
                       
                       
    135-4.                
     Yāvakīvañca, brāhmaṇa, ime satta aparihāniyā dhammā vajjīsu ṭhassanti, imesu ca sattasu aparihāniyesu dhammesu vajjī sandississanti, vuddhiyeva, brāhmaṇa, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihānī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yāvakīvañ    不変 〜の間は  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      ime    代的 これら  
      satta     
      aparihāniyā  a-pari-hā  a 男中 不衰退、不減退  
      dhammā  dhṛ a 男中  
      vajjīsu    ī 地名、ヴァッジー国  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ṭhassanti,  sthā 立つ、住注する  
      語根 品詞 語基 意味  
      imesu    代的 男中 これら  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      sattasu     
      aparihāniyesu  a-pari-hā  a 男中 不衰退、不減退  
      dhammesu  dhṛ a 男中  
      vajjī    ī 地名、ヴァッジー国  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sandississanti,  saṃ-dṛś 受 見られる、現れる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vuddhiyeva, brāhmaṇa, vajjīnaṃ pāṭikaṅkhā, no parihānī’’(134-6.)  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     婆羅門よ、これら七つの不衰退の法がヴァッジー国に成立し、またこれら七つの不衰退の法においてヴァッジー国が存するかぎり、婆羅門よ、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません」  
                       
                       
                       
    135-5.                
     Evaṃ vutte, vassakāro brāhmaṇo magadhamahāmatto bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a 男中 いわれた  
      vassakāro    a 人名、ヴァッサカーラ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      magadha    a 依(属) 地名、マガダ国  
      mahā    ant 大きい  
      amatto    a 大臣、朝臣  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このようにいわれて、マガダ国の大臣ヴァッサカーラ婆羅門は、世尊へこういった。  
                       
                       
                       
    135-6.                
     ‘‘ekamekenapi, bho gotama, aparihāniyena dhammena samannāgatānaṃ vajjīnaṃ vuddhiyeva pāṭikaṅkhā, no parihāni.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ekamekena    a 男中 一つ一つ  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama,    a 人名、ゴータマ  
      aparihāniyena  a-pari-hā  a 男中 不衰退、不減退  
      dhammena  dhṛ a 男中  
      samannāgatānaṃ  saṃ-anu-ā-gam 過分 a 具備した、具足の  
      vajjīnaṃ vuddhiyeva pāṭikaṅkhā, no parihāni. (134-6.)  
    訳文                
     「尊者ゴータマよ、一つ一つの不衰退の法をそなえただけでも、ヴァッジー国には繁栄のみが期待され、衰退はありません。  
                       
                       
                       
    135-7.                
     Ko pana vādo sattahi aparihāniyehi dhammehi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ko    代的 何、誰  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      vādo  vad a 言、説、論  
      sattahi     
      aparihāniyehi  a-pari-hā  a 男中 不衰退、不減退  
      dhammehi.  dhṛ a 男中  
    訳文                
     いかにいわんや、七つの不衰退の法をそなえたならば。  
                       
                       
                       
    135-8.                
     Akaraṇīyāva [akaraṇīyā ca (syā. ka.)], bho gotama, vajjī [vajjīnaṃ (ka.)] raññā māgadhena ajātasattunā vedehiputtena yadidaṃ yuddhassa, aññatra upalāpanāya aññatra mithubhedā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Akaraṇīyā  a-kṛ 未分 a なすべからず、不応作の  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama,    a 人名、ゴータマ  
      vajjī    ī 地名、ヴァッジー国  
      raññā    an  
      māgadhena    a マガダ国の  
      ajātasattunā  a-jan u 人名、アジャータサットゥ、阿闍世  
      vedehi    ī 依(属) 人名、ヴェーデーヒー、韋提希  
      puttena    a 息子  
      yadidaṃ    不変 すなわち  
      yuddhassa,  yudh a 戦争  
      aññatra    不変 他所で、除いて  
      upalāpanāya  upa-lap a 談合、説得  
      aññatra    不変 他所で、除いて  
      mithu    不変 敵対して、反対の  
      bhedā.  bhid a 破壊、不和合、離間 →違和、仲違い、敵対  
    訳文                
     尊者ゴータマよ、じつに、マガダ国の王、ヴェーデーヒーの息子アジャータサットゥによって、すなわち戦によっては、ヴァッジー国に対し、できることはありません。談合を除き、離間を除いては。  
    メモ                
     ・奇妙な構文である。yuddhassaという属格は何か。またupalāpanāyaが与格なのはどういう訳か。『註』は「Akaraṇīyāとはなされるべからず、取られるべからずの意。Yadidanとは単なる不変化辞(関係代名詞的機能はないということであろう)。Yuddhassāというのは具格の意味の属格。対戦によって取ることができないという意味である。Aññatra upalāpanāyāとは談合を除いてということ」とする。これや諸訳を参考に訳した。  
     ・原文。Akaraṇīyāti akātabbā, aggahetabbāti attho. Yadidanti nipātamattaṃ. Yuddhassāti karaṇatthe sāmivacanaṃ, abhimukhayuddhena gahetuṃ na sakkāti attho. Aññatra upalāpanāyāti ṭhapetvā upalāpanaṃ.   
     ・upalāpanāya 、『註』は贈与によって「取り込むこと」saṅgahakaraṇaṃだという。「そのように取り込んで、完全な信頼により、取ることが可能となる」Evañhi saṅgahaṃ katvā kevalaṃ vissāsena sakkā gaṇhituntiというから、これは他国との同盟、もしくはヴァッジー国の反主流派との内通をいったものであろう。  
     ・いっぽうmithubhedāについては、「互いに分断して彼らを取ることが可能になる」aññamaññabhedaṃ katvāpi sakkā ete gahetunti というから、和合が強みであるヴァッジー国に内部対立を引き起こし、弱体化を狙う工作を言ったものか。  
                       
                       
                       
    135-9.                
     Handa ca dāni mayaṃ, bho gotama, gacchāma, bahukiccā mayaṃ bahukaraṇīyā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Handa    不変 いざ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      dāni    不変 いま、いまや  
      mayaṃ,    代的 私たち  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 大徳よ  
      gotama,    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gacchāma,  gam 行く  
      語根 品詞 語基 意味  
      bahu   u 有(持) 多くの  
      kiccā  kṛ 未分 a なされるべき、所作、作用、行事、義務  
      mayaṃ    代的 私たち  
      bahu   u 有(持) 多くの  
      karaṇīyā’’ kṛ 名未分 a 中→男 作されるベき、所作、義務、必須  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     いざ尊者ゴータマよ、いまや我々はおいとまいたします。我々には多くの所用、多くの仕事がございます〔ゆえ〕」  
                       
                       
                       
    135-10.                
     ‘‘Yassadāni tvaṃ, brāhmaṇa, kālaṃ maññasī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yassa    代的 (関係代名詞)  
      dāni    不変 いま、いまや  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      kālaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññasī’’  man 考える  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「婆羅門よ、あなたが今、時を〔辞去の適時だと〕お考えならば、そのために〔これでお別れとしましょう〕」  
                       
                       
                       
    135-11.                
     Atha kho vassakāro brāhmaṇo magadhamahāmatto bhagavato bhāsitaṃ abhinanditvā anumoditvā uṭṭhāyāsanā pakkāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      vassakāro    a 人名、ヴァッサカーラ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      magadha    a 依(属) 地名、マガダ国  
      mahā    ant 大きい  
      amatto    a 大臣、朝臣  
      bhagavato    ant 世尊  
      bhāsitaṃ  bhāṣ 名過分 a 語った、説いた、言説、所説  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhinanditvā  abhi-nand 歓喜する  
      anumoditvā  anu-mud 随喜する  
      uṭṭhāya  ud-sthā 立つ  
      語根 品詞 語基 意味  
      āsanā  ās a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pakkāmi.  pra-kram 進む、出発する  
    訳文                
     ときにマガダ国の大臣ヴァッサカーラ婆羅門は世尊の言葉に歓喜し、随喜して、座より立って立ち去った。  
                       
                       
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