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     2. Dutiyagilānasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Dutiya    名形 a 第二の、伴侶  
      gilāna    a 依(属) 病んだ、病人  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「第二の病者経」(『相応部』35-75  
                       
                       
                       
    75-1.                
     75. Atha kho aññataro bhikkhu…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      aññataro    代的 とある、随一の  
      bhikkhu…pe…  bhikṣ u 比丘  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami…pe…  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときにとある比丘が世尊へ近づいた……  
                       
                       
                       
    75-2.                
     bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    75-3.                
     ‘‘amukasmiṃ, bhante, vihāre aññataro bhikkhu navo appaññāto ābādhiko dukkhito bāḷhagilāno.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘amukasmiṃ,    代的 それ  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      vihāre  vi-hṛ a 住、精舎  
      aññataro    代的 とある、随一の  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      navo    a 新しい  
      appaññāto  a-pra-jñā 過分 a 知られない、有名でない  
      ābādhiko  ā-bādh a 病気の  
      dukkhito    過分 a 苦しむ  
      bāḷha    a 激しい、甚だしい  
      gilāno.    a 病んだ、病人  
    訳文                
     「尊者よ、その精舎に、新参で、名の知られていないとある比丘がおり、病気で、苦しみ、激しく病んでいます。  
                       
                       
                       
    75-4.                
     Sādhu, bhante, bhagavā yena so bhikkhu tenupasaṅkamatu anukampaṃ upādāyā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sādhu,  sādh 不変 善き、善哉、なにとぞ  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhagavā    ant 世尊  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamatu  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      anukampaṃ  anu-kamp ā 同情、憐愍  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upādāyā’’  upa-ā-dā 取る、執着する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     尊者よ、なにとぞ世尊は、憐愍をもってその比丘へお近づき下さい」と。  
                       
                       
                       
    75-5.                
     Atha kho bhagavā navavādañca sutvā gilānavādañca, ‘‘appaññāto bhikkhū’’ti iti viditvā yena so bhikkhu tenupasaṅkami.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      nava    a 依(属) 新しい  
      vādañ  vad a 言葉  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sutvā  śru 聞く  
      語根 品詞 語基 意味  
      gilāna    a 依(属) 病んだ、病人  
      vādañ  vad a 言葉  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      ‘‘appaññāto  a-pra-jñā 過分 a 知られない、有名でない  
      bhikkhū’’  bhikṣ u 比丘  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viditvā  vid 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami.  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこで世尊は、新参者についての話、病気の話を聞き、『知られていない比丘がいる』と、そのように知って、その比丘へ近づかれた。  
                       
                       
                       
    75-6.                
     Addasā kho so bhikkhu bhagavantaṃ dūratova āgacchantaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Addasā  dṛś 見た  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      dūrato    a 遠く  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      āgacchantaṃ.  ā-gaṃ 現分 ant 来る  
    訳文                
     その比丘は、遠くからやってくる世尊を見た。  
                       
                       
                       
    75-7.                
     Disvāna mañcake samadhosi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Disvāna  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      mañcake    a 臥床  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samadhosi.  saṃ-dhū? 動く?  
    訳文                
     見て、〔起きようとして〕臥床で動いた。  
                       
                       
                       
    75-8.                
     Atha kho bhagavā taṃ bhikkhuṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      taṃ    代的 それ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     ときに世尊はその比丘へこう仰った。  
                       
                       
                       
    75-9.                
     ‘‘alaṃ, bhikkhu, mā tvaṃ mañcake samadhosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘alaṃ,    不変 適当な、当然の、十分に、満足して、沢山だ  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
          不変 なかれ  
      tvaṃ    代的 あなた  
      mañcake    a 臥床  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samadhosi.  saṃ-dhū? 動く?  
    訳文                
     「かまいません、比丘よ、あなたは〔起きようとして〕臥床で動いてはいけません。  
                       
                       
                       
    75-10.                
     Santimāni āsanāni paññattāni, tatthāhaṃ nisīdissāmī’’ti.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Santi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      imāni    代的 これら  
      āsanāni  ās a 坐具、坐処、座  
      paññattāni,  pra-jñā 使 過分 a 知らしめられた、用意された  
      tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      ahaṃ    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdissāmī’’  ni-sad 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     これらの用意された座があります。そこへ私は坐ることにします」と。  
                       
                       
                       
    75-11.                
     Nisīdi bhagavā paññatte āsane.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Nisīdi  ni-sad 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavā    ant 世尊  
      paññatte  pra-jñā 使 過分 a 知らしめられた、告知、用意、施設された  
      āsane.  ās a 坐処  
    訳文                
     世尊は用意された座に坐られた。  
                       
                       
                       
    75-12.                
     Nisajja kho bhagavā taṃ bhikkhuṃ etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Nisajja  ni-sad 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      taṃ    代的 それ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     坐って、世尊はその比丘へこう仰った。  
                       
                       
                       
    75-13.                
     ‘‘kacci te, bhikkhu, khamanīyaṃ, kacci yāpanīyaṃ, kacci dukkhā vedanā paṭikkamanti no abhikkamanti, paṭikkamosānaṃ paññāyati no abhikkamo’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kacci    不変 〜かどうか  
      te,    代的 あなた  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      khamanīyaṃ,  kṣam 未分 a 堪え忍ばれるべき  
      kacci    不変 〜かどうか  
      yāpanīyaṃ,   使 未分 a 生きながらえるべき  
      kacci    不変 〜かどうか  
      dukkhā    名形 a 中→女  
      vedanā  vid ā 受、感受、苦痛  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭikkamanti  prati-kram 戻る、減退する  
      語根 品詞 語基 意味  
      no    不変 ない、否  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhikkamanti,  abhi-kram 前進する、近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      paṭikkama  prati-kram a 依(具) 減退、退歩  
      osānaṃ  ava-sā a 終末  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paññāyati  pra-jñā 受 知られる、認められる  
      語根 品詞 語基 意味  
      no    不変 ない、否  
      abhikkamo’’  abhi-kram a 進行、増進  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「比丘よ、あなたは堪え忍ぶことができそうですか。生きながらえることができそうですか。諸々の苦受は進行せず、減退していますか。進行ではなく、減退による結末は見られませんか」  
                       
                       
                       
    75-14.                
     ‘‘Na me, bhante, khamanīyaṃ, na yāpanīyaṃ…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      me,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      khamanīyaṃ,  kṣam 未分 a 堪え忍ばれるべき  
      na    不変 ない  
      yāpanīyaṃ…pe…   使 未分 a 生きながらえるべき  
    訳文                
     「尊者よ、私は堪え忍ぶことができません。生きながらえることができません……  
                       
                       
                       
    75-15.                
     na kho maṃ [me (sabbattha)], bhante, attā sīlato upavadatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      maṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      sīlato    a 戒、習慣  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upavadatī’’  upa-vad 非難する、罵る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ……尊者よ、戒のゆえに己が私を責めているのではありません」  
                       
                       
                       
    75-16.                
     ‘‘No ce kira te, bhikkhu, attā sīlato upavadati, atha kiñca te kukkuccaṃ ko ca vippaṭisāro’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘No    不変 ない、否  
      ce    不変 もし、たとえ  
      kira    不変 伝え言う、〜という話だ  
      te,    代的 あなた  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      attā    an 我、自己  
      sīlato    a 戒、習慣  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upavadati,  upa-vad 非難する  
      語根 品詞 語基 意味  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      kiñ    代的 何、なぜ、いかに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      te    代的 あなた  
      kukkuccaṃ    a 悪作、悔  
      ko    代的 何、誰  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vippaṭisāro’’  vi-prati-smṛ a 追悔、後悔  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「もしも、比丘よ、戒のゆえに己があなたを責めているのでないのであれば、その場合、あなたにはいかなる悔いがあり、いかなる後悔があるのでしょうか」  
                       
                       
                       
    75-17.                
     ‘‘Na khvāhaṃ, bhante, sīlavisuddhatthaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      sīla    a 依(具)  
      visuddha  vi-śudh 過分 a 有(持) 清い、清浄の、純粋な  
      atthaṃ    a 男中 義、意味、目的  
      bhagavatā    ant 世尊  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      desitaṃ  diś 使 過分 a 男中 示された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ājānāmī’’  ā-jñā よく知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者よ、私は、世尊によって教示された、戒による清浄を目的とする法を了知していないのです」  
                       
                       
                       
    75-18.                
     ‘‘No ce kira tvaṃ, bhikkhu, sīlavisuddhatthaṃ mayā dhammaṃ desitaṃ ājānāsi, atha kimatthaṃ carahi tvaṃ, bhikkhu, mayā dhammaṃ desitaṃ ājānāsī’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘No    不変 ない、否/〜かどうか  
      ce    不変 もし、たとえ  
      kira    不変 伝え言う、〜という話だ  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      sīla    a 依(具)  
      visuddha  vi-śudh 過分 a 有(持) 清い、清浄の、純粋な  
      atthaṃ    a 男中 義、意味、目的  
      mayā    代的  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      desitaṃ  diś 使 過分 a 男中 示された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ājānāsi,  ā-jñā よく知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      kim    代的 有(持) 何、なぜ、いかに  
      atthaṃ    a 男中 義、意味、目的  
      carahi    不変 しからば  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      mayā    代的  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      desitaṃ  diś 使 過分 a 男中 示された  
      ājānāsī’’  同上  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「比丘よ、もしあなたが、私によって教示された、戒による清浄を目的とする法を了知していないというのであれば、しからばそのばあい、あなたは、何を目的とする法を、私によって教示されたものとして了知しているのでしょうか」  
                       
                       
                       
    75-19.                
     ‘‘Anupādāparinibbānatthaṃ khvāhaṃ, bhante, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmī’’ti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Anupādā  an-upa-ā-dā 取著なき  
      語根 品詞 語基 意味  
      parinibbāna  pari-nir-vā? a 有(持) 般涅槃、円寂  
      atthaṃ khvāhaṃ, bhante, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmī’’ti. (75-17.)  
    訳文                
     「尊者よ、私は、取着なき般涅槃を目的とする法を、世尊によって教示されたものとして了知しています」  
                       
                       
                       
    75-20.                
     ‘‘Sādhu sādhu, bhikkhu!   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sādhu  sādh u 善き、善哉、なにとぞ  
      sādhu,  sādh u 善き、善哉、なにとぞ  
      bhikkhu!  bhikṣ u 比丘  
    訳文                
     「善きかな、善きかな、比丘よ。  
                       
                       
                       
    75-21.                
     Sādhu kho tvaṃ, bhikkhu, anupādāparinibbānatthaṃ mayā dhammaṃ desitaṃ ājānāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sādhu  sādh u 善き、善哉、なにとぞ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      tvaṃ, bhikkhu, anupādāparinibbānatthaṃ mayā dhammaṃ desitaṃ ājānāsi. (75-18, 19.)  
    訳文                
     善きかな、比丘よ、あなたが、取着なき般涅槃を目的とする法を、私によって教示されたものとして了知している〔ことは〕。  
                       
                       
                       
    75-22.                
     Anupādāparinibbānattho hi, bhikkhu, mayā dhammo desito.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Anupādā  an-upa-ā-dā 取著なき  
      語根 品詞 語基 意味  
      parinibbāna  pari-nir-vā? a 有(持) 般涅槃、円寂  
      attho    a 男中 義、意味  
      hi,    不変 じつに、なぜなら  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      mayā    代的  
      dhammo  dhṛ a 男中  
      desito.  diś 使 過分 a 示された  
    訳文                
     なぜなら比丘よ、取着なき般涅槃を目的とする法は、私によって教示されたものだからです。  
                       
                       
                       
    75-23.                
     ‘‘Taṃ kiṃ maññasi, bhikkhu, cakkhu niccaṃ vā aniccaṃ vā’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Taṃ    代的 それ  
      kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññasi,  man 考える  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      cakkhu    us  
      niccaṃ    a 常の、常住の  
          不変 あるいは  
      aniccaṃ    a 無常の  
      vā’’    不変 あるいは  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     比丘よ、これをどう考えますか。〈眼〉は常住でしょうか、あるいは無常でしょうか」  
                       
                       
                       
    75-24.                
     ‘‘Aniccaṃ, bhante’’.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Aniccaṃ,    a 無常の  
      bhante’’.  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     「尊者よ、無常です」  
                       
                       
                       
    75-25.                
     ‘‘Yaṃ…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yaṃ…pe…    代的 (関係代名詞)  
    訳文                
     「およそ……  
                       
                       
                       
    75-26.                
     sotaṃ…   
      語根 品詞 語基 意味  
      sotaṃ…  śru as  
    訳文                
     〈耳〉は……  
                       
                       
                       
    75-27.                
     ghānaṃ…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ghānaṃ…    a  
    訳文                
     〈鼻〉は……  
                       
                       
                       
    75-28.                
     jivhā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      jivhā…    ā  
    訳文                
     〈舌〉は……  
                       
                       
                       
    75-29.                
     kāyo…   
      語根 品詞 語基 意味  
      kāyo…    a 身体  
    訳文                
     〈身〉は……  
                       
                       
                       
    75-30.                
     mano…   
      語根 品詞 語基 意味  
      mano…  man as  
    訳文                
     〈意〉は……  
                       
                       
                       
    75-31.                
     manoviññāṇaṃ…   
      語根 品詞 語基 意味  
      mano  man as 依(属)  
      viññāṇaṃ…  vi-jñā a  
    訳文                
     〈意識〉は……  
                       
                       
                       
    75-32.                
     manosamphasso…   
      語根 品詞 語基 意味  
      mano  man as 依(属)  
      samphasso…  saṃ-spṛś a 触、摩触  
    訳文                
     〈意触〉は……  
                       
                       
                       
    75-33.                
     yampidaṃ manosamphassapaccayā uppajjati vedayitaṃ sukhaṃ vā dukkhaṃ vā adukkhamasukhaṃ vā tampi niccaṃ vā aniccaṃ vā’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      yam    代的 (関係代名詞)  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      idaṃ    代的 これ  
      mano  man as 依(属)  
      samphassa  saṃ-spṛś a 触、摩触  
      paccayā  prati-i a 縁、資具(奪格で「縁りて、ゆえに」)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      uppajjati  ud-pad 起こる、生ずる、発生する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vedayitaṃ  vid 使 過分 a 知らしめられた、感受された  
      sukhaṃ    名形 a  
          不変 あるいは  
      dukkhaṃ    名形 a  
          不変 あるいは  
      adukkhamasukhaṃ    a 不苦不楽  
          不変 あるいは  
      tam    代的 それ  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      niccaṃ vā aniccaṃ vā’’ti? (75-23.)  
    訳文                
     およそ〈意触〉に縁って生ずる楽、苦、あるいは不苦不楽の感受、それは常住でしょうか、あるいは無常でしょうか」  
                       
                       
                       
    75-34.                
     ‘‘Aniccaṃ, bhante’’.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Aniccaṃ, bhante’’.(75-24.)  
    訳文                
     「尊者よ、無常です」  
                       
                       
                       
    75-35.                
     ‘‘Yaṃ panāniccaṃ dukkhaṃ vā taṃ sukhaṃ vā’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      aniccaṃ    a 無常の  
      dukkhaṃ    名形 a  
          不変 あるいは  
      taṃ    代的 それ  
      sukhaṃ    名形 a  
      vā’’    不変 あるいは  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しからば、無常なるもの、それは苦でしょうか、あるいは楽でしょうか」  
                       
                       
                       
    75-36.                
     ‘‘Dukkhaṃ, bhante’’.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Dukkhaṃ,    名形 a  
      bhante’’.  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     「尊者よ、苦です」  
                       
                       
                       
    75-37.                
     ‘‘Yaṃ panāniccaṃ dukkhaṃ vipariṇāmadhammaṃ, kallaṃ nu taṃ samanupassituṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      aniccaṃ    a 無常の  
      dukkhaṃ    名形 a  
      vipariṇāma  vi-pari-nam  a 有(属) 変化、変易  
      dhammaṃ,  dhṛ a 男中  
      kallaṃ    a 善い、賢い、適当である  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      taṃ    代的 それ  
      samanupassituṃ –  saṃ-anu-paś 不定 見ること、みなすこと、考えること  
    訳文                
     「しからば、無常なるもの、苦なるもの、変易の性質あるもの、それを〔このように〕見なすことは適切でしょうか。  
                       
                       
                       
    75-38.                
     ‘etaṃ mama, esohamasmi, eso me attā’’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘etaṃ    代的 これ  
      mama,    代的  
      eso    代的 これ  
      aham    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asmi,  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      eso    代的 これ  
      me    代的  
      attā’    an 我、自己  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『これは私のものである。これが私である。これは私の〈我〉である』と」  
                       
                       
                       
    75-39.                
     ‘‘No hetaṃ, bhante’’.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘No    不変 ない、否  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      etaṃ    代的 これ  
      bhante’’.  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     「尊者よ、それは否です」  
                       
                       
                       
    75-40.                
     ‘‘Evaṃ passaṃ, bhikkhu, sutavā ariyasāvako cakkhusmimpi nibbindati…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      passaṃ,  paś 現分 ant 見る  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      sutavā  śru ant 聞をそなえた、有聞の、博聞の  
      ariya    名形 a 依(属) 聖なる  
      sāvako  śru a 声聞、弟子  
      cakkhusmim    us  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nibbindati…pe…  nir-vid 厭う、厭悪する  
    訳文                
     比丘よ、このように見て、聞をそなえた聖者の弟子は、〈眼〉に関しても厭悪し……  
                       
                       
                       
    75-41.                
     manasmimpi…   
      語根 品詞 語基 意味  
      manasmim  man as  
      pi…    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
    訳文                
     〈意〉に関しても……  
                       
                       
                       
    75-42.                
     manoviññāṇepi…   
      語根 品詞 語基 意味  
      mano  man as 依(属)  
      viññāṇe  vi-jñā a  
      pi…    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
    訳文                
     〈意識〉に関しても……  
                       
                       
                       
    75-43.                
     manosamphassepi nibbindati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      mano  man as 依(属)  
      samphasse  saṃ-spṛś a 触、摩触  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nibbindati.  nir-vid 厭う、厭悪する  
    訳文                
     〈意触〉に関しても厭悪します。  
                       
                       
                       
    75-44.                
     Yampidaṃ manosamphassapaccayā uppajjati vedayitaṃ sukhaṃ vā dukkhaṃ vā adukkhamasukhaṃ vā tasmimpi nibbindati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yampidaṃ manosamphassapaccayā uppajjati vedayitaṃ sukhaṃ vā dukkhaṃ vā adukkhamasukhaṃ vā (75-33.)  
      tasmim    代的 それ、彼  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nibbindati.  nir-vid 厭う、厭悪する  
    訳文                
     およそ〈意触〉に縁って生ずる楽、苦、あるいは不苦不楽の感受、それに関しても厭悪します。  
                       
                       
                       
    75-45.                
     Nibbindaṃ virajjati;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Nibbindaṃ  nir-vid 現分 ant 厭離、厭悪  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      virajjati;  vi-raj 離貪する  
    訳文                
     厭悪して離貪し、  
                       
                       
                       
    75-46.                
     virāgā vimuccati;   
      語根 品詞 語基 意味  
      virāgā  vi-raj a 離貪、遠離  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vimuccati;  vi-muc 受 解脱する  
    訳文                
     離貪の故に解脱します。  
                       
                       
                       
    75-47.                
     vimuttasmiṃ vimuttamiti ñāṇaṃ hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      vimuttasmiṃ  vi-muc 過分 a 解脱した  
      vimuttam  vi-muc 過分 a 解脱した  
      iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      ñāṇaṃ  jñā a 智、智慧  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti.  bhū ある、なる、存在する  
    訳文                
     解脱したとき『解脱した』という智がおこります。  
                       
                       
                       
    75-48.                
     ‘Khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānātī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Khīṇā  kṣī 受 過分 ā 尽きた  
      jāti,  jan i  
      vusitaṃ  ava-sā? 過分 a 完成した  
      brahma bṛh 名形 an(特)  
      cariyaṃ,  car a  
      kataṃ  kṛ 過分 a なされた  
      karaṇīyaṃ,  kṛ 名未分 a なされるべきこと  
      na    不変 ない  
      aparaṃ    代的 副対 後、他  
      itthattāyā’    a かくの如き状態、現状、ここ[輪廻]の状態  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānātī’’  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ない』と了知します」  
                       
                       
                       
    75-49.                
     Idamavoca bhagavā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idam    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca  vac いう  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavā.    ant 世尊  
    訳文                
     世尊はこう仰った。  
                       
                       
                       
    75-50.                
     Attamano so bhikkhu bhagavato bhāsitaṃ abhinandi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Attamano  man a 心に適う、適意の、悦意の  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      bhagavato    ant 世尊  
      bhāsitaṃ  bhāṣ 名過分 a いった、言説、所説  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhinandi.  abhi-nand 大いに喜ぶ、歓喜する  
    訳文                
     心に適ったその比丘は、世尊の所説に歓喜した。  
                       
                       
                       
    75-51.                
     Imasmiñca pana veyyākaraṇasmiṃ bhaññamāne tassa bhikkhussa anupādāya āsavehi cittaṃ vimuccīti [vimuccatīti (sabbattha)].   
      語根 品詞 語基 意味  
      Imasmiñ    代的 処絶 これ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      veyyākaraṇasmiṃ  vi-ā-kṛ a 処絶 解答、授記  
      bhaññamāne  bhaṇ 受 現分 a 処絶 説かれた  
      tassa    代的 それ、彼  
      bhikkhussa  bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anupādāya  an-upa-ā-dā 取着なく  
      語根 品詞 語基 意味  
      āsavehi  ā-sru a 漏、煩悩  
      cittaṃ  cit a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vimuccī  vi-muc 受 解脱する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     しかして、この授記が説かれたとき、その比丘の心は取着なく諸漏より解脱した。  
                       
                       
                       
     Dutiyaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Dutiyaṃ.    名形 a 男→中 第二の、伴侶  
    訳文                
     第二〔経〕。  
                       
                       
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