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     5. Sattisuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Satti    i 依(属) 刀、刃物、槍  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「刃経」(『相応部』20-5  
                       
                       
                       
    227-1.                
     227. Sāvatthiyaṃ viharati…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati…pe…  vi-hṛ 住する  
    訳文                
     〔あるとき世尊は〕サーヴァッティーに住しておられた……  
                       
                       
                       
    227-2.                
     ‘‘seyyathāpi, bhikkhave, satti tiṇhaphalā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      satti    i 刀、刃物、槍  
      tiṇha    a 有(持) 鋭い  
      phalā.    a 中→女 切っ先、剣先  
    訳文                
     「比丘たちよ、例えば、切っ先の鋭い刃物がある〔としましょう〕。  
                       
                       
                       
    227-3.                
     Atha puriso āgaccheyya –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      puriso    a 人、男  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgaccheyya –  ā-gam 来る  
    訳文                
     そこへ男がやって来たとします。  
                       
                       
                       
    227-4.                
     ‘ahaṃ imaṃ sattiṃ tiṇhaphalaṃ pāṇinā vā muṭṭhinā vā paṭileṇissāmi paṭikoṭṭissāmi paṭivaṭṭessāmī’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘ahaṃ    代的  
      imaṃ    代的 これ  
      sattiṃ    i 刀、刃物、槍  
      tiṇha    a 有(持) 鋭い  
      phalaṃ    a 中→女 切っ先、剣先  
      pāṇinā    i  
          不変 あるいは  
      muṭṭhinā    i  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭileṇissāmi  prati-lī 使 撤退する、触れない、独処する、退かせる  
      paṭikoṭṭissāmi  prati-kuṭ 使 避けさせる、反対に打つ、避ける  
      paṭivaṭṭessāmī’  prati-vṛt 使 反転させる、戻らせる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『私はこの切っ先の鋭い刃物を、手あるいは拳で、先を折り曲げ、真ん中を折り曲げ、戻してみせよう』といって。  
    メモ                
     ・「先を打って綿の灯心のように曲げ、樹脂の灯心のように一つになしてくっつけるのがpaṭileṇetiということである。真ん中を打って刀身を曲げ、あるいは二つの刀身を一つにくっつけるのがpaṭikoṭṭetiということである。綿打ちの仕事のようになして、ながらく束ねられていた蓆を伸ばし、また束ねるようなことがpaṭivaṭṭetiといわれる」と『註』はいう。諸訳のようにこれに従った。  
     ・原文。agge paharitvā kappāsavaṭṭiṃ viya nāmento niyyāsavaṭṭiṃ viya ca ekato katvā alliyāpento paṭileṇeti nāma. Majjhe paharitvā nāmetvā dhārāya vā paharitvā dvepi dhārā ekato alliyāpento paṭikoṭṭeti nāma. Kappāsavaṭṭanakaraṇīyaṃ viya pavattento cirakālaṃ saṃvellitakilañjaṃ pasāretvā puna saṃvellento viya ca paṭivaṭṭeti nāma.  
                       
                       
                       
    227-5.                
     Taṃ kiṃ maññatha, bhikkhave, bhabbo nu kho so puriso amuṃ sattiṃ tiṇhaphalaṃ pāṇinā vā muṭṭhinā vā paṭileṇetuṃ paṭikoṭṭetuṃ paṭivaṭṭetu’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ    代的 それ  
      kiṃ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññatha,  man 考える  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhabbo  bhū 未分 a できる、可能な  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      so    代的 それ、彼  
      puriso    a 人、男  
      amuṃ    代的 それ、あれ  
      sattiṃ tiṇhaphalaṃ pāṇinā vā muṭṭhinā vā (227-4.)  
      paṭileṇetuṃ  prati-lī 使 不定 撤退すること、触れないこと、独処すること  
      paṭikoṭṭetuṃ  prati-kuṭ 使 不定 避けさせること、反対に打つこと、避けること  
      paṭivaṭṭetu’’n  prati-vṛt 使 不定 反転させること、戻らせること  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     比丘たちよ、これをどう考えますか。いったいその男は、その切っ先の鋭い刃物を、手あるいは拳で、先を折り曲げ、真ん中を折り曲げ、戻して見せることができるでしょうか」  
                       
                       
                       
    227-6.                
     ‘‘No hetaṃ, bhante’’.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘No    不変 ない、否  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      etaṃ,    代的 これ  
      bhante’’.  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     「尊者よ、それは否です」  
                       
                       
                       
    227-7.                
     ‘‘Taṃ kissa hetu’’?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Taṃ    代的 それ、彼、彼女、そのとき(副対)  
      kissa    代的 何、誰  
      hetu’’?  hi u 副対 因、原因(属格に副対で「〜のゆえに」)  
    訳文                
     「それはなぜでしょうか」  
                       
                       
                       
    227-8.                
     ‘‘Asu hi, bhante, satti tiṇhaphalā na sukarā pāṇinā vā muṭṭhinā vā paṭileṇetuṃ paṭikoṭṭetuṃ paṭivaṭṭetuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asu    代的 それ  
      hi,    不変 じつに、なぜなら  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      satti    i 刀、刃物、槍  
      tiṇha    a 有(持) 鋭い  
      phalā    a 中→女 切っ先、剣先  
      na    不変 ない  
      sukarā  su-kṛ 過分 a なしやすい、容易の  
      pāṇinā vā muṭṭhinā vā paṭileṇetuṃ paṭikoṭṭetuṃ paṭivaṭṭetuṃ. (227-5.)  
    訳文                
     「なぜなら尊者よ、その切っ先の鋭い刃物は、手あるいは拳で、先を折り曲げ、真ん中を折り曲げ、戻して見せることが容易ではないからです。  
                       
                       
                       
    227-9.                
     Yāvadeva ca pana so puriso kilamathassa vighātassa bhāgī assā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yāva    不変 〜だけ、〜まで、〜の限り  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      so    代的 それ、彼  
      puriso    a 人、男  
      kilamathassa  klam a 疲労  
      vighātassa  vi-han? a 破壊、困惑、悩害  
      bhāgī  bhaj in 分有する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assā’’  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     それだけで、その男は疲労困憊してしまうことでしょう」  
                       
                       
                       
    227-10.                
     ‘‘Evameva kho, bhikkhave, yassa kassaci bhikkhuno mettācetovimutti bhāvitā bahulīkatā yānīkatā vatthukatā anuṭṭhitā paricitā susamāraddhā, tassa ce amanusso cittaṃ khipitabbaṃ maññeyya;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      yassa    代的 (関係代名詞)  
      kassaci    代的 何らかの、何者であれ  
      bhikkhuno  bhikṣ u 比丘  
      mettā    ā  
      ceto  cit as 依(属)  
      vimutti  vi-muc 受 i 解脱  
      bhāvitā  bhū 使 過分 a 修習された  
      bahulīkatā  bahulī-kṛ 過分 a 多修された  
      yānī  in 依(属) 車の  
      katā  kṛ 過分 a なされた →習慣になった  
      vatthu  vas us 依(処) 土地、基礎  
      katā  kṛ 過分 a なされた →徹底的に実践した  
      anuṭṭhitā  anu-ud-sthā 過分 a 実行された、経験された、力を及ぼされた  
      paricitā  pari-ci 過分 a 集めた、積んだ、慣れた、熟知した  
      susamāraddhā,  su-saṃ-ā-ramb a よく努力された、善精進の  
      tassa    代的 それ、彼  
      ce    不変 もし、たとえ  
      amanusso    a 非人間  
      cittaṃ  cit a  
      khipitabbaṃ  kṣip 未分 a 投げ捨てられるべき、混乱させされる  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññeyya;  man 考える  
    訳文                
     「比丘たちよ、まさにそのように、誰であれ比丘の慈なる心解脱が修習され、多修され、習慣的になされ、徹底してなされ、実行され、熟知され、よく努力されたものであるならば、もし人ならざる者が彼の心を混乱させようと考えたとしても、  
                       
                       
                       
    227-11.                
     atha kho sveva amanusso kilamathassa vighātassa bhāgī assa.   
      語根 品詞 語基 意味  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      so    代的 それ、彼  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      amanusso    a 非人間  
      kilamathassa vighātassa bhāgī assa. (227-9.)  
    訳文                
     そのばあい、その人ならざる者は疲労困憊してしまうことでしょう。  
                       
                       
                       
    227-12.                
     Tasmātiha, bhikkhave, evaṃ sikkhitabbaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tasmā    代的 それ、彼  
      iha,    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      sikkhitabbaṃ –  śak 意 未分 a 学ばれるべき  
    訳文                
     比丘たちよ、それゆえここに、このように学ばれるべきです。  
                       
                       
                       
    227-13.                
     ‘mettā no cetovimutti bhāvitā bhavissati bahulīkatā yānīkatā vatthukatā anuṭṭhitā paricitā susamāraddhā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘mettā    ā  
      no    代的 私たち  
      ceto  cit as 依(属)  
      vimutti  vi-muc 受 i 解脱  
      bhāvitā  bhū 使 過分 a 修習された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissati  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      bahulīkatā  bahulī-kṛ 過分 a 多修された  
      yānī  in 依(属) 車の  
      katā  kṛ 過分 a なされた →習慣になった  
      vatthu  vas us 依(処) 土地、基礎  
      katā  kṛ 過分 a なされた →徹底的に実践した  
      anuṭṭhitā  anu-ud-sthā 過分 a 実行された、経験された、力を及ぼされた  
      paricitā  pari-ci 過分 a 集めた、積んだ、慣れた、熟知した  
      susamāraddhā’  su-saṃ-ā-ramb a よく努力された、善精進の  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『我々の慈なる心解脱が修習され、多修され、習慣的になされ、徹底してなされ、実行され、熟知され、よく努力されたものとなるようにしよう』と。  
                       
                       
                       
    227-14.                
     Evañhi vo, bhikkhave, sikkhitabba’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evañ    不変 このように、かくの如き  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      vo,    代的 あなたたち  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      sikkhitabba’’n  śak 意 未分 a 学ばれるべき  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     比丘たちよ、あなたがたによって、そのように学ばれるべきです」  
                       
                       
                       
     Pañcamaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Pañcamaṃ.    a 第五の  
    訳文                
     第五〔経〕。  
                       
                       
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