←前へ   トップへ   次へ→  
                         
                         
     5. Pabbatasuttaṃ    
      語根 品詞 語基 意味    
      Pabbata    a 依(属)    
      suttaṃ  sīv a 経、糸    
    訳文                  
     「山経」(『相応部』15-5    
                         
                         
                         
    128-1.                  
     128. Sāvatthiyaṃ viharati…pe…     
      語根 品詞 語基 意味    
      Sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー    
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      viharati…pe…  vi-hṛ 住する    
    訳文                  
     〔あるとき世尊は〕サーヴァッティーの、    
                         
                         
                         
    128-2.                  
     ārāme.     
      語根 品詞 語基 意味    
      ārāme.    a    
    訳文                  
     〔ジェータ林、アナータピンディカ〕園に住しておられた。    
                         
                         
                         
    128-3.                  
     Atha kho aññataro bhikkhu yena bhagavā tenupasaṅkami;     
      語根 品詞 語基 意味    
      Atha    不変 ときに、また、そこに    
      kho    不変 じつに、たしかに    
      aññataro    代的 とある、随一の    
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘    
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)    
      bhagavā    ant 世尊    
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ    
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた    
    訳文                  
     ときに、とある比丘が世尊へ近づいた。    
                         
                         
                         
    128-4.                  
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdi.     
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく    
      語根 品詞 語基 意味    
      bhagavantaṃ    ant 世尊    
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する    
      語根 品詞 語基 意味    
      ekamantaṃ    不変 一方に    
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      nisīdi.  ni-sad 坐る    
    訳文                  
     近づいて、世尊へ礼拝し、一方へ坐った。    
                         
                         
                         
    128-5.                  
     Ekamantaṃ nisinno kho so bhikkhu bhagavantaṃ etadavoca –     
      語根 品詞 語基 意味    
      Ekamantaṃ    不変 一方に    
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った    
      kho    不変 じつに、たしかに    
      so    代的 それ、彼    
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘    
      bhagavantaṃ    ant 世尊    
      etad    代的 これ    
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      avoca –  vac いう    
    訳文                  
     一方へ坐ったその比丘は、世尊へこう言った。    
                         
                         
                         
    128-6.                  
     ‘‘kīvadīgho nu kho, bhante, kappo’’ti?     
      語根 品詞 語基 意味    
      ‘‘kīva    不変 どれほど    
      dīgho    a 長い    
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか    
      kho,    不変 じつに、たしかに    
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ    
      kappo’’    名形 a 中(男)    
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
    訳文                  
     「尊者よ、いったい、劫はどれほど長いのでしょうか」と。    
    メモ                  
     ・kappaは辞書類では中性名詞もしくは形容詞とされているためここでも一応それに従ったが、それは「適した」の意味の場合であって、「劫」という神話的時間をいう場合は、ほぼ全て男性名詞として曲用しているように見える。    
                         
                         
                         
    128-7.                  
     ‘‘Dīgho kho, bhikkhu, kappo.     
      語根 品詞 語基 意味    
      ‘‘Dīgho    a 長い    
      kho,    不変 じつに、たしかに    
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘    
      kappo.    名形 a 中(男)    
    訳文                  
     「比丘よ、劫はじつに長いものです。    
                         
                         
                         
    128-8.                  
     So na sukaro saṅkhātuṃ ettakāni vassāni iti vā, ettakāni vassasatāni iti vā, ettakāni vassasahassāni iti vā, ettakāni vassasatasahassāni iti vā’’ti.    
      語根 品詞 語基 意味    
      So    代的 それ、彼    
      na    不変 ない    
      sukaro  su-kṛ a 成し易い、容易な    
      saṅkhātuṃ  saṃ-khyā 不定 数えること、考量すること    
      ettakāni    a これだけの、それほど多くの    
      vassāni  vṛṣ a 雨、安居、年    
      iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
      vā,    不変 あるいは    
      ettakāni    a これだけの、それほど多くの    
      vassa  vṛṣ a 男中 雨、安居、年    
      satāni    a    
      iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
      vā,    不変 あるいは    
      ettakāni    a これだけの、それほど多くの    
      vassa  vṛṣ a 男中 雨、安居、年    
      sahassāni    a    
      iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
      vā,    不変 あるいは    
      ettakāni    a これだけの、それほど多くの    
      vassa  vṛṣ a 男中 雨、安居、年    
      sata    a 有(帯)    
      sahassāni    a    
      iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
      vā’’    不変 あるいは    
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
    訳文                  
     それは、『幾年である』とか、『幾百年である』とか、『幾千年である』とか、『幾百千年である』というように数えることは容易ではありません」    
                         
                         
                         
    128-9.                  
     ‘‘Sakkā pana, bhante, upamaṃ kātu’’nti?     
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      ‘‘Sakkā  śak できる、可能である    
      語根 品詞 語基 意味    
      pana,    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて    
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ    
      upamaṃ  upa-mā? ā 譬喩    
      kātu’’n  kṛ 不定 なすこと    
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
    訳文                  
     「しからば尊者よ、譬喩をなすことは可能でしょうか」    
                         
                         
                         
    128-10.                  
     ‘‘Sakkā, bhikkhū’’ti bhagavā avoca.     
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      ‘‘Sakkā,  śak できる、可能である    
      語根 品詞 語基 意味    
      bhikkhū’’  bhikṣ u 比丘    
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
      bhagavā    ant 世尊    
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      avoca.  vac いう    
    訳文                  
     「比丘よ、可能です」と世尊は仰った。    
                         
                         
                         
    128-11.                  
     ‘‘Seyyathāpi, bhikkhu, mahāselo pabbato yojanaṃ āyāmena yojanaṃ vitthārena yojanaṃ ubbedhena acchinno asusiro ekagghano.     
      語根 品詞 語基 意味    
      ‘‘Seyyathā    不変 その如き、たとえば    
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ    
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘    
      mahā    ant 有(持) 大きい    
      selo    名形 a 岩の    
      pabbato    a    
      yojanaṃ  yuj a ヨージャナ、由旬    
      āyāmena    a 広がり、長さ、直径    
      yojanaṃ  yuj a ヨージャナ、由旬    
      vitthārena  vi-stṛ 使 a 広説、詳細    
      yojanaṃ  yuj a ヨージャナ、由旬    
      ubbedhena  ud-vyadh a 高さ    
      acchinno  a-chid 過分 a 分断されない    
      asusiro    a 孔なき、空洞なき、空間なき    
      eka    代的 一、とある    
      ghano.    名形 a 堅い、厚い、堅肉    
    訳文                  
     「たとえば比丘よ、長さにして一ヨージャナ、幅にして一ヨージャナ、高さにして一ヨージャナの、隙間なく、空洞なく、一塊の大岩山がある〔としましょう〕。    
    メモ                  
     ・yojanaṃ āyāmena云々については「由旬を長さとしてそなえた」といった意味合いの対格及び具格と解したが、これでよいかどうか。    
                         
                         
                         
    128-12.                  
     Tamenaṃ puriso vassasatassa vassasatassa accayena kāsikena vatthena sakiṃ sakiṃ parimajjeyya.     
      語根 品詞 語基 意味    
      Tam    代的 それ    
      enaṃ    代的 これ    
      puriso    a 人、男    
      vassa  vṛṣ a 男中 雨、安居、年    
      satassa    a    
      vassa  vṛṣ a 男中 雨、安居、年    
      satassa    a    
      accayena  ati-i a 副具 過ぎてから    
      kāsikena    a カーシ産の    
      vatthena  vas a 衣、衣服、衣装    
      sakiṃ    不変 一度    
      sakiṃ    不変 一度    
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      parimajjeyya.  pari-mṛj 掃く、触れる、磨く、擦る    
    訳文                  
     それを、〔とある〕男が、百年の過ぎるごとに、カーシ産の衣で一度ずつ撫でるとしましょう。    
                         
                         
                         
    128-13.                  
     Khippataraṃ kho so, bhikkhu, mahāselo pabbato iminā upakkamena parikkhayaṃ pariyādānaṃ gaccheyya, na tveva kappo.     
      語根 品詞 語基 意味    
      Khippataraṃ    a より急速な    
      kho    不変 じつに、たしかに    
      so,    代的 それ、彼    
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘    
      mahā    ant 有(持) 大きい    
      selo    名形 a 岩の    
      pabbato    a    
      iminā    代的 これ    
      upakkamena  upa-kram a 対策、行動、攻撃、修治    
      parikkhayaṃ  pari-kṣi a 遍尽、滅尽    
      pariyādānaṃ  pari-ā-dā a 遍取、尽滅    
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味    
      gaccheyya,  gam 行く    
      語根 品詞 語基 意味    
      na    不変 ない    
      tv    不変 という(ti)、しかし(tu)    
      eva    不変 まさに、のみ、じつに    
      kappo.    名形 a 中(男)    
    訳文                  
     比丘よ、より素早いのは、この行動によってその大岩山があまねく尽き、あまねく取り去られるに至ることの方であって、劫ではないのです。    
    メモ                  
     ・文意を取るため、関係代名詞による複文ふうに意訳した。    
                         
                         
                         
    128-14.                  
     Evaṃ dīgho, bhikkhu, kappo.     
      語根 品詞 語基 意味    
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き    
      dīgho,    a 長い    
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘    
      kappo.    名形 a 中(男)    
    訳文                  
     比丘よ、劫はこのように長いのです。    
                         
                         
                         
    128-15.                  
     Evaṃ dīghānaṃ kho, bhikkhu, kappānaṃ neko kappo saṃsito, nekaṃ kappasataṃ saṃsitaṃ, nekaṃ kappasahassaṃ saṃsitaṃ, nekaṃ kappasatasahassaṃ saṃsitaṃ.     
      語根 品詞 語基 意味    
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き    
      dīghānaṃ    a 長い    
      kho,    不変 じつに、たしかに    
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘    
      kappānaṃ    名形 a    
      na    不変 ない    
      eko    代的 一、とある    
      kappo    名形 a 中(男)    
      saṃsito,  saṃ-sṛ 過分 a 輪廻された    
      na    不変 ない    
      ekaṃ    代的 一、とある    
      kappa    名形 a    
      sataṃ    a    
      saṃsitaṃ,  saṃ-sṛ 過分 a 輪廻された    
      na    不変 ない    
      ekaṃ    代的 一、とある    
      kappa    名形 a    
      sahassaṃ    a    
      saṃsitaṃ,  saṃ-sṛ 過分 a 輪廻された    
      na    不変 ない    
      ekaṃ    代的 一、とある    
      kappa    名形 a    
      sata    a    
      sahassaṃ    a    
      saṃsitaṃ.  saṃ-sṛ 過分 a 輪廻された    
    訳文                  
     比丘よ、このように長い劫の、一劫〔だけ〕が輪廻されたのではなく、一百劫〔だけ〕が輪廻されたのではなく、一千劫〔だけ〕が輪廻されたのではなく、一百千劫〔だけ〕が輪廻されたのではないのです。    
                         
                         
                         
    128-16.                  
     Taṃ kissa hetu?     
      語根 品詞 語基 意味    
      Taṃ    代的 それ    
      kissa    代的 何、誰    
      hetu?  hi u 副対 因、原因(属格に副対で「〜のゆえに」)    
    訳文                  
     それはなぜか。    
                         
                         
                         
    128-17.                  
     Anamataggoyaṃ, bhikkhu, saṃsāro.     
      語根 品詞 語基 意味    
      Anamataggo    a 無始の、無窮の    
      ayaṃ,    代的 これ    
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘    
      saṃsāro.  saṃ-sṛ a 輪廻、流転    
    訳文                  
     比丘たちよ、この輪廻が無始なるものだからです。    
                         
                         
                         
    128-18.                  
     Pubbā koṭi…pe…     
      語根 品詞 語基 意味    
      Pubbā    代的 前の、先の、昔の    
      koṭi…pe…    i 点、終点、頂点、辺、辺際 →前際    
    訳文                  
     前際は……    
                         
                         
                         
    128-19.                  
     yāvañcidaṃ, bhikkhu, alameva sabbasaṅkhāresu nibbindituṃ, alaṃ virajjituṃ, alaṃ vimuccitu’’nti.     
      語根 品詞 語基 意味    
      yāvañ    不変 〜の間、まで、〜の限り    
      ca    不変 と、また、そして、しかし    
      idaṃ,    代的 これ    
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘    
      alam    不変 適当な、当然の、十分に、満足して、沢山だ    
      eva    不変 まさに、のみ、じつに    
      sabba    名形 代的 すべて    
      saṅkhāresu  saṃ-kṛ a 行、為作、潜勢力、現象    
      nibbindituṃ,  nir-vid 不定 厭うこと、嫌厭すること    
      alaṃ    不変 適当な、当然の、十分に、満足して、沢山だ    
      virajjituṃ,  vi-raj 不定 離貪すること    
      alaṃ    不変 適当な、当然の、十分に、満足して、沢山だ    
      vimuccitu’’n  vi-muc 受 不定 解脱すること    
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに    
    訳文                  
     ……比丘よ、そうである以上、一切の為作されたものに関しては、厭うのが適切であり、離貪するのが適切であり、解脱するのが適切なのです」    
                         
                         
                         
     Pañcamaṃ.    
      語根 品詞 語基 意味    
      Pañcamaṃ.    a 第五の    
    訳文                  
     第五〔経〕。    
                         
                         
  ←前へ   トップへ   次へ→  
inserted by FC2 system