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     7. Cūḷataṇhāsaṅkhayasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Cūḷa    a 小さい  
      taṇhā    ā 依(属) 渇愛、愛  
      saṅkhaya  saṃ-kṣi a 依(属) 尽、滅尽  
      suttaṃ sīv a 経、糸  
    訳文                
     「小愛尽経」(『中部』37  
                       
                       
                       
    390-1.                
     390. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ   不変 このように  
      me   代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた、所聞  
    訳文                
     このように私は聞いた。  
                       
                       
                       
    390-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā sāvatthiyaṃ viharati pubbārāme migāramātupāsāde.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      pubba    代的 昔の、東の  
      ārāme    a  
      migāramātu    ar 依(属) 人名、ミガーラマータル(鹿母)  
      pāsāde.  pra-ā-sad a 殿堂、重閣、高楼、講堂  
    訳文                
     あるとき世尊は、サーヴァッティーの東園のミガーラマータル高楼に滞在しておられた。  
                       
                       
                       
    390-3.                
     Atha kho sakko devānamindo yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sakko    a 神名、サッカ、帝釈天  
      devānam    a 天、神  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     時に、神々の王サッカが世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    390-4.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ aṭṭhāsi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      aṭṭhāsi.  sthā 立つ  
    訳文                
     近づいて、世尊へ礼拝し、一方へ立った。  
                       
                       
                       
    390-5.                
     Ekamantaṃ ṭhito kho sakko devānamindo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      ṭhito  sthā 過分 a 立った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sakko    a 神名、サッカ、帝釈天  
      devānam    a 天、神  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ立った神々の王サッカは、世尊へこういった。  
                       
                       
                       
    390-6.                
     ‘‘kittāvatā nu kho, bhante, bhikkhu saṃkhittena taṇhāsaṅkhayavimutto hoti accantaniṭṭho accantayogakkhemī accantabrahmacārī accantapariyosāno seṭṭho devamanussāna’’nti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kittāvatā    不変 どれほど、どれだけ  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      saṃkhittena  saṃ-kṣip 過分 a 副具 要略するに  
      taṇhā    ā 依(属) 渇愛、愛  
      saṅkhaya  saṃ-kṣi a 依(具) 尽、滅尽  
      vimutto  vi-muc 過分 a 解脱した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      accanta    a 有(持) 究竟の、最終の  
      niṭṭho  nis-sthā ā 女→男 究竟、終結  
      accanta    a 有(持) 究竟の、最終の  
      yoga  yuj a 依(奪) 軛、束縛  
      khemī    in 安穏な  
      accanta    a 有(持) 究竟の、最終の  
      brahmacārī  bṛh, car in 梵行の  
      accanta    a 有(持) 究竟の、最終の  
      pariyosāno  pari-ava-sā a 中→男 終末、終結、完了  
      seṭṭho    a 最上の、殊勝の  
      deva    a 天、神  
      manussāna’’n    a  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者よ、要略すれば、どれほどをもって比丘は渇愛の滅尽による解脱者、究竟なる終結者、究竟なる軛安穏者、究竟なる梵行者、究竟なる完了者、神々と人々のうちで最上の者となるのでしょうか」と。  
                       
                       
                       
    390-7.                
     ‘‘Idha, devānaminda, bhikkhuno sutaṃ hoti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Idha,    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      devānam    a 天、神  
      inda,    a インドラ、帝王、王  
      bhikkhuno  bhikṣ u 比丘  
      sutaṃ  śru 名過分 a 聞かれた、処聞  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti –  bhū ある、存在する  
    訳文                
     「神々の王よ、ここに比丘が聞いた〔としましょう〕。  
                       
                       
                       
    390-8.                
     ‘sabbe dhammā nālaṃ abhinivesāyā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘sabbe    名形 代的 中→男 すべて  
      dhammā  dhṛ a 男中  
      na    不変 ない  
      alaṃ    不変 適切だ、十分だ  
      abhinivesāyā’    a 執持、現貪、執着  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『一切諸法は執着に適切でない』と。  
                       
                       
                       
    390-9.                
     Evañcetaṃ, devānaminda, bhikkhuno sutaṃ hoti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evañ    不変 このように、かくの如き  
      ce    不変 もし  
      etaṃ,    代的 これ  
      devānaminda, bhikkhuno sutaṃ hoti – (390-7.)  
    訳文                
     神々の王よ、もし比丘が、  
                       
                       
                       
    390-10.                
     ‘sabbe dhammā nālaṃ abhinivesāyā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘sabbe dhammā nālaṃ abhinivesāyā’ti. (390-8.)  
    訳文                
     『一切諸法は執着に適切でない』と、このようにこれを聞いたならば、  
                       
                       
                       
    390-11.                
     So sabbaṃ dhammaṃ abhijānāti;   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      sabbaṃ    名形 代的 すべて  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhijānāti;  abhi-jñā 証知する、自証する  
    訳文                
     彼は一切法を証知します。  
                       
                       
                       
    390-12.                
     sabbaṃ dhammaṃ abhiññāya sabbaṃ dhammaṃ parijānāti;   
      語根 品詞 語基 意味  
      sabbaṃ    名形 代的 すべて  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhiññāya  abhi-jñā 証知する、自証する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sabbaṃ    名形 代的 すべて  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      parijānāti;  pari-jñā 暁了する、遍知する  
    訳文                
     一切法を証知し、一切法を遍知します。  
                       
                       
                       
    390-13.                
     sabbaṃ dhammaṃ pariññāya yaṃ kiñci vedanaṃ vedeti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      sabbaṃ    名形 代的 すべて  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pariññāya  pari-jñā 暁了する、遍知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      kiñci    代的 女(中) 何らかの、何者であれ  
      vedanaṃ  vid ā 受、感受、苦痛  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vedeti –  vid 使 感受する、経験する、知る  
    訳文                
     一切法を遍知し、およそいかなる感受をも経験します。  
    メモ                
     ・女性形は本来kañciの筈である。  
                       
                       
                       
    390-14.                
     sukhaṃ vā dukkhaṃ vā adukkhamasukhaṃ vā, so tāsu vedanāsu aniccānupassī viharati, virāgānupassī viharati, nirodhānupassī viharati, paṭinissaggānupassī viharati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      sukhaṃ    名形 a  
          不変 あるいは  
      dukkhaṃ    名形 a  
          不変 あるいは  
      adukkhamasukhaṃ    a 不苦不楽  
      vā,    不変 あるいは  
      so    代的 それ、彼  
      tāsu    代的 それら、彼女ら  
      vedanāsu  vid ā 受、感受、苦痛  
      anicca    a 依(対) 無常の  
      anupassī  anu-paś in 観察する、随観する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati,  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      virāga  vi-raj a 依(対) 離貪、遠離  
      anupassī  anu-paś in 観察する、随観する  
      viharati,  同上  
      nirodha  ni-rudh 受 a 依(対)  
      anupassī  anu-paś in 観察する、随観する  
      viharati,  同上  
      paṭinissagga    a 依(対) 捨遺、捨離  
      anupassī  anu-paś in 観察する、随観する  
      viharati.  同上  
    訳文                
     楽を、苦を、あるいは不苦不楽を。彼はそれらの感受に関して無常を観察して住し、離貪を観察して住し、滅尽を観察して住し、捨離を観察して住します。  
                       
                       
                       
    390-15.                
     So tāsu vedanāsu aniccānupassī viharanto, virāgānupassī viharanto, nirodhānupassī viharanto, paṭinissaggānupassī viharanto na kiñci loke upādiyati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So tāsu vedanāsu aniccānupassī viharanto, virāgānupassī viharanto, nirodhānupassī viharanto, paṭinissaggānupassī viharanto (390-14.)  
      viharanto,  vi-hṛ 現分 ant 住する  
      na    不変 ない  
      kiñci    代的 何らかの、何者であれ  
      loke    a 世界、世間  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upādiyati.  upa-ā-dā 取る、執受する  
    訳文                
     それらの感受に関して無常を観察して住し、離貪を観察して住し、滅尽を観察して住し、捨離を観察して住する彼は、世間におけるいかなるものをも執取しません。  
                       
                       
                       
    390-16.                
     Anupādiyaṃ na paritassati, aparitassaṃ paccattaññeva parinibbāyati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Anupādiyaṃ  an-upa-ā-dā 現分 ant 執取しない  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paritassati,  pari-tras 震える、恐れる、悩む  
      語根 品詞 語基 意味  
      aparitassaṃ  a-pari-tras 現分 ant 震えない、恐れない  
      paccattaññ    a 副対 各自に  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      parinibbāyati –  pari-nir-vā 般涅槃する  
    訳文                
     執取なき者は動揺せず、動揺なき者はおのおの般涅槃します。  
                       
                       
                       
    390-17.                
     ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘khīṇā  kṣī 受 過分 ā 尽きた  
      jāti,  jan i  
      vusitaṃ  ava-sā? 過分 a 完成した  
      brahma bṛh 名形 an(特)  
      cariyaṃ,  car a  
      kataṃ  kṛ 過分 a なされた  
      karaṇīyaṃ,  kṛ 名未分 a なされるべきこと  
      na    不変 ない  
      aparaṃ    代的 副対 後、他  
      itthattāyā’    a かくの如き状態、現状、ここ[輪廻]の状態  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti.  pra-jñā 知る、了知する  
    訳文                
     『生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ない』と知るのです。  
                       
                       
                       
    390-18.                
     Ettāvatā kho, devānaminda, bhikkhu saṃkhittena taṇhāsaṅkhayavimutto hoti accantaniṭṭho accantayogakkhemī accantabrahmacārī accantapariyosāno seṭṭho devamanussāna’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ettāvatā    不変 これだけ、この範囲で  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      devānam    a 天、神  
      inda,    a インドラ、帝王、王  
      bhikkhu saṃkhittena taṇhāsaṅkhayavimutto hoti accantaniṭṭho accantayogakkhemī accantabrahmacārī accantapariyosāno seṭṭho devamanussāna’’nti. (390-6.)  
    訳文                
     神々の王よ、要略すれば、これだけをもって、比丘は渇愛の滅尽による解脱者、究竟なる終結者、究竟なる軛安穏者、究竟なる梵行者、究竟なる完了者、神々と人々のうちで最上の者となるのです」  
                       
                       
                       
    390-19.                
     Atha kho sakko devānamindo bhagavato bhāsitaṃ abhinanditvā anumoditvā bhagavantaṃ abhivādetvā padakkhiṇaṃ katvā tatthevantaradhāyi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sakko    a 神名、サッカ、帝釈天  
      devānam    a 天、神、陛下  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      bhagavato    ant 世尊  
      bhāsitaṃ  bhāṣ 名過分 a 語った、説いた、言説、所説  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhinanditvā  abhi-nand 歓喜する  
      anumoditvā  anu-mud 随喜する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      padakkhiṇaṃ    a 右回り、有繞、幸福な、器用な  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      katvā  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      antaradhāyi. antara-dhā 滅没する、消失する  
    訳文                
     ときに神々の王サッカは、世尊の所説に歓喜し、随喜して、礼拝し、右繞をなして、そこから消失した。  
                       
                       
                       
    391-1.                
     391. Tena kho pana samayena āyasmā mahāmoggallāno bhagavato avidūre nisinno hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      mahāmoggallāno    a 人名、マハーモッガッラーナ  
      bhagavato    ant 世尊  
      avidūre    不変 遠くないところに、近くに  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti.  bhū ある、存在する  
    訳文                
     さてそのとき、尊者マハーモッガッラーナが、世尊の近くに坐っていた。  
                       
                       
                       
    391-2.                
     Atha kho āyasmato mahāmoggallānassa etadahosi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      āyasmato    ant 尊者、具寿  
      mahāmoggallānassa    a 人名、マハーモッガッラーナ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi –  bhū ある、なる  
    訳文                
     ときに尊者マハーモッガッラーナに、この〔思い〕がおこった。  
                       
                       
                       
    391-3.                
     ‘‘kiṃ nu kho so yakkho bhagavato bhāsitaṃ abhisamecca anumodi udāhu no;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kiṃ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      so    代的 それ、彼  
      yakkho    a 夜叉、ヤッカ  
      bhagavato    ant 世尊  
      bhāsitaṃ  bhāṣ 名過分 a 語った、説いた、言説、所説  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhisamecca  abhi-saṃ-i? 現観する、領解する  
      anumodi  anu-mud 随喜する  
      語根 品詞 語基 意味  
      udāhu    不変 あるいは、または、然らざれば  
      no;    不変 ない、否  
    訳文                
     「かの夜叉は世尊の所説を領解して随喜したのであろうか、あるいは違うのであろうか。  
                       
                       
                       
    391-4.                
     yaṃnūnāhaṃ taṃ yakkhaṃ jāneyyaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃnūna    不変 〜してはどうか  
      ahaṃ    代的  
      taṃ    a それ  
      yakkhaṃ    a 夜叉、ヤッカ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jāneyyaṃ –  jñā 能反 知る  
    訳文                
     私は、かの夜叉について知ることにしてはどうだろうか。  
                       
                       
                       
    391-5.                
     yadi vā so yakkho bhagavato bhāsitaṃ abhisamecca anumodi yadi vā no’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      yadi    不変 もし  
          不変 あるいは  
      so yakkho bhagavato bhāsitaṃ abhisamecca anumodi (391-3.)  
      yadi    不変 もし  
          不変 あるいは  
      no’’    不変 ない、否  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     かの夜叉は世尊の所説を領解して随喜せるや否や〔を〕」と。  
                       
                       
                       
    391-6.                
     Atha kho āyasmā mahāmoggallāno –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      mahāmoggallāno –    a 人名、マハーモッガッラーナ  
    訳文                
     そこで尊者マハーモッガッラーナは、  
                       
                       
                       
    391-7.                
     seyyathāpi nāma balavā puriso samiñjitaṃ vā bāhaṃ pasāreyya, pasāritaṃ vā bāhaṃ samiñjeyya, evameva –   
      語根 品詞 語基 意味  
      seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      balavā    ant 力ある  
      puriso    a 男、人  
      samiñjitaṃ  saṃ-iṅg 過分 a 動いた、曲がった  
          不変 あるいは  
      bāhaṃ    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pasāreyya,  pra-sṛ 使 伸ばす  
      語根 品詞 語基 意味  
      pasāritaṃ  pra-sṛ 使 過分 a 伸ばした  
          不変 あるいは  
      bāhaṃ    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samiñjeyya,  saṃ-iṅg 動かす、曲げる  
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      eva –    不変 まさに、のみ、じつに  
    訳文                
     あたかも力ある男が曲がった腕を伸ばし、あるいは伸びた腕を曲げる、まさにそのように、  
                       
                       
                       
    391-8.                
     pubbārāme migāramātupāsāde antarahito devesu tāvatiṃsesu pāturahosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      pubba    代的 昔の、東の  
      ārāme    a  
      migāramātu    ar 依(属) 人名、ミガーラマータル(鹿母)  
      pāsāde  pra-ā-sad a 殿堂、重閣、高楼、講堂  
      antarahito  antara-dhā 過分 a 消失した  
      devesu    a 天、神  
      tāvatiṃsesu    a 三十三  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pāturahosi.  pātur-bhū 明らかになる、顕現する  
    訳文                
     東園のミガーラマータル高楼より消失して三十三〔天〕の神々のうちへ現れた。  
                       
                       
                       
    391-9.                
     Tena kho pana samayena sakko devānamindo ekapuṇḍarīke uyyāne dibbehi pañcahi tūriyasatehi [turiyasatehi (sī. syā. kaṃ. pī.)] samappito samaṅgībhūto paricāreti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      sakko    a 神名、サッカ、帝釈天  
      devānam    a 天、神、陛下  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      ekapuṇḍarīke    a 地名、エーカプンダリーカ(一白蓮の意)  
      uyyāne    a 園、庭園  
      dibbehi    a 天の  
      pañcahi     
      tūriya    a 楽器、器楽  
      satehi    a  
      samappito  saṃ-ṛ 使 過分 a 引き渡された、与えられた、具備した、所有する  
      samaṅgī    in 具足した  
      bhūto  bhū 過分 a あった  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paricāreti.  pari-car 使 仕える、楽しむ  
    訳文                
     さてそのとき、神々の王サッカはエーカプンダリーカ園において、五百の天の器楽を具備し、具足して楽しんでいた。  
                       
                       
                       
    391-10.                
     Addasā kho sakko devānamindo āyasmantaṃ mahāmoggallānaṃ dūratova āgacchantaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Addasā  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sakko    a 神名、サッカ、帝釈天  
      devānam    a 天、神、陛下  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      āyasmantaṃ    ant 尊者、具寿  
      mahāmoggallānaṃ    a 人名、マハーモッガッラーナ  
      dūrato    a 副奪 遠い  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      āgacchantaṃ.  ā-gam 現分 ant 来る  
    訳文                
     神々の王サッカは尊者マハーモッガッラーナが遠くからやってくるのを見た。  
                       
                       
                       
    391-11.                
     Disvāna tāni dibbāni pañca tūriyasatāni paṭippaṇāmetvā yenāyasmā mahāmoggallāno tenupasaṅkami;   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Disvāna  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      tāni    代的 それら  
      dibbāni    a 天の  
      pañca     
      tūriya    a 楽器、器楽  
      satāni    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭippaṇāmetvā  prati-pra-nam 突出する、曲げる  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      mahāmoggallāno    a 人名、マハーモッガッラーナ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     見て、五百の天の器楽を脇へやり、尊者マハーモッガッラーナへ近づいた。  
                       
                       
                       
    391-12.                
     upasaṅkamitvā āyasmantaṃ mahāmoggallānaṃ etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      āyasmantaṃ    ant 尊者、具寿  
      mahāmoggallānaṃ    a 人名、マハーモッガッラーナ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     近づいて、尊者マハーモッガッラーナへこういった。  
                       
                       
                       
    391-13.                
     ‘‘ehi kho, mārisa moggallāna, svāgataṃ, mārisa moggallāna!   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ehi  i 不変 いざ、来たれ  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      svāgataṃ,  su-gam 過分 a よく来た、歓迎した、通暁した  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna!    a 人名、モッガッラーナ  
    訳文                
     「来たれ、我が友モッガッラーナよ。歓迎します、我が友モッガッラーナよ。  
                       
                       
                       
    391-14.                
     Cirassaṃ kho, mārisa moggallāna, imaṃ pariyāyaṃ akāsi yadidaṃ idhāgamanāya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Cirassaṃ    不変 久しく、遂に  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      imaṃ    代的 これ  
      pariyāyaṃ  pari-i a 異門、法門、教説、部門、理趣、理由、方便、順序  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akāsi  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      yadidaṃ    不変 すなわち、いわゆる  
      idha    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      āgamanāya.  ā-gam a 到来、帰来  
    訳文                
     我が友モッガッラーナよ、久しぶりに、あなたが、ここへいらっしゃるための、この機会をもうけられました。  
    メモ                
     ・このあたり「ポッタパーダ経」【遍歴行者ポッタパーダのこと】にパラレル。そちらのメモも参照。『註』は、モッガラーナが三十三天を過去に訪ねたのは始めてではないとしているので、そちらとcirassaの訳語を変えた。  
                       
                       
                       
    391-15.                
     Nisīda, mārisa moggallāna, idamāsanaṃ paññatta’’nti.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Nisīda,  ni-sad 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      idam    代的 これ  
      āsanaṃ  ās a  
      paññatta’’n  pra-jñā 使 過分 a 知らしめられた、告知した、施設された、用意された  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     我が友モッガッラーナよ、この用意された座におかけください」と。  
                       
                       
                       
    391-16.                
     Nisīdi kho āyasmā mahāmoggallāno paññatte āsane.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Nisīdi  ni-sad 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      mahāmoggallāno    a 人名、マハーモッガッラーナ  
      paññatte  pra-jñā 使 過分 a 知らしめられた、告知した、施設された、用意された  
      āsane.  ās a  
    訳文                
     尊者モッガッラーナは用意された座に坐った。  
                       
                       
                       
    391-17.                
     Sakkopi kho devānamindo aññataraṃ nīcaṃ āsanaṃ gahetvā ekamantaṃ nisīdi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sakko    a 神名、サッカ、帝釈天  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      devānam    a 天、神、陛下  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      aññataraṃ    代的 随一、ある  
      nīcaṃ    a 低い、卑しい  
      āsanaṃ  ās a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gahetvā  grah 取る、捉える  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     神々の王サッカも、別の低い座を取って、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    391-18.                
     Ekamantaṃ nisinnaṃ kho sakkaṃ devānamindaṃ āyasmā mahāmoggallāno etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinnaṃ  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sakkaṃ    a 神名、サッカ、帝釈天  
      devānam    a 天、神、陛下  
      indaṃ    a インドラ、帝王、王  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      mahāmoggallāno    a 人名、マハーモッガッラーナ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐った神々の王サッカへ、尊者マハーモッガッラーナはこういった。  
                       
                       
                       
    391-19.                
     ‘‘yathā kathaṃ pana kho, kosiya, bhagavā saṃkhittena taṇhāsaṅkhayavimuttiṃ abhāsi?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      kosiya,    a 神名、コーシヤ  
      bhagavā    ant 世尊  
      saṃkhittena  saṃ-kṣip 過分 a 副具 要略するに  
      taṇhā    ā 依(属) 渇愛、愛  
      saṅkhaya  saṃ-kṣi a 依(具) 尽、滅尽  
      vimuttiṃ  vi-muc 受 i 解脱  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhāsi?  bhāṣ いう、語る  
    訳文                
     「さて、コーシヤよ、世尊はいかようにして、要略して渇愛の滅尽による解脱を説かれたのでしょうか。  
                       
                       
                       
    391-20.                
     Sādhu mayampi etissā kathāya bhāgino assāma savanāyā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sādhu  sādh u 善哉、なにとぞ  
      mayam    代的 私たち  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      etissā    代的 それ  
      kathāya    ā  
      bhāgino    in 分有する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assāma  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      savanāyā’’  śru a 耳、聞、聴聞  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     私も、聴聞のため、その話を分かち合う者となれるならば幸いです」  
    メモ                
     ・assāmaは条件法としたが、未来法であるかもしれない。  
     ・たがいに謙譲の複数形を用いている模様。  
                       
                       
                       
    392-1.                
     392. ‘‘Mayaṃ kho, mārisa moggallāna, bahukiccā bahukaraṇīyā –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Mayaṃ    代的 私たち  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      bahu    u 有(持) 多くの  
      kiccā  kṛ 未分 a なされるべき、所作、作用、行事、義務  
      bahu    u 有(持) 多くの  
      karaṇīyā –  kṛ 名未分 a 中→男 作されるベき、所作、義務、必須  
    訳文                
     「我が友モッガッラーナよ、私は多くの所用、多くの仕事がある者です。  
                       
                       
                       
    392-2.                
     appeva sakena karaṇīyena, api ca devānaṃyeva tāvatiṃsānaṃ karaṇīyena.   
      語根 品詞 語基 意味  
      appi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      sakena    a 自分の  
      karaṇīyena,  kṛ 名未分 a 作されるベき、所作、義務、必須  
      api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      devānaṃ    a 天、神  
      yeva    不変 まさに、のみ、じつに  
      tāvatiṃsānaṃ    a 三十三  
      karaṇīyena.  kṛ 名未分 a 作されるベき、所作、義務、必須  
    訳文                
     自分の仕事のみならず、三十三〔天〕の神々の仕事によっても。  
                       
                       
                       
    392-3.                
     Api ca, mārisa moggallāna, sussutaṃyeva hoti suggahitaṃ sumanasikataṃ sūpadhāritaṃ, yaṃ no khippameva antaradhāyati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      sussutaṃ  su-śru 過分 a よく聞かれた  
      yeva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      suggahitaṃ  su-grah 過分 a よく把握された  
      sumanasikataṃ  su-man, kṛ 過分 a よく作意された  
      sūpadhāritaṃ,  su-upa-dhṛ 使 過分 a よく知られた  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      no    不変 ない、否  
      khippam  kṣip 名形 a 副対 速疾に  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      antaradhāyati.  antara-dhā 滅没する、消失する  
    訳文                
     しかし、我が友モッガッラーナよ、〔釈尊の説法は〕よく聞かれ、よく把握され、よく作意され、よく知られて、すぐに消えてしまうことはありません。  
                       
                       
                       
    392-4.                
     Bhūtapubbaṃ, mārisa moggallāna, devāsurasaṅgāmo samupabyūḷho [samūpabyuḷho (syā. kaṃ.), samūpabbūḷho (sī.)] ahosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Bhūta  bhū 過分 a 存在した  
      pubbaṃ,    代的 副対 先の、過去の、昔の →往昔  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      deva    a 天、神  
      asura    a 依(属) アスラ、阿修羅  
      saṅgāmo    a  
      samupabyūḷho  saṃ-upa-vi-vah 過分 a 集積した、群集した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi.  bhū ある、なる  
    訳文                
     〔それはさておき〕我が友モッガッラーナよ、かつて、神々とアスラたちの戦が勃発しました。  
    メモ                
     ・「帝釈天問経」【喜悦の獲得の話】にパラレル。  
     ・のちの展開を見るに、帝釈天は釈尊の説法を記憶してはいるものの、その話よりも自分の奢侈な生活を顕示することを優先しているようであるので、上記のように補訳してみた。  
                       
                       
                       
    392-5.                
     Tasmiṃ kho pana, mārisa moggallāna, saṅgāme devā jiniṃsu, asurā parājiniṃsu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tasmiṃ    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana,    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      saṅgāme    a  
      devā    a 天、神  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jiniṃsu,  ji 能反 勝利する  
      語根 品詞 語基 意味  
      asurā    a アスラ、阿修羅  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      parājiniṃsu.  parā-ji 能反 敗北する  
    訳文                
     我が友モッガッラーナよ、しかして、その戦においては、神々が勝利し、アスラたちが敗北しました。  
                       
                       
                       
    392-6.                
     So kho ahaṃ, mārisa moggallāna, taṃ saṅgāmaṃ abhivijinitvā vijitasaṅgāmo tato paṭinivattitvā vejayantaṃ nāma pāsādaṃ māpesiṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      taṃ    代的 それ  
      saṅgāmaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivijinitvā  abhi-vi-ji 征服する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vijita  vi-ji 名過分 a 有(持) 征服した、領土  
      saṅgāmo    a  
      tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭinivattitvā  prati-ni-vṛt 戻る、逆行する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vejayantaṃ    a 地名、ヴェージャヤンタ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      pāsādaṃ  pra-ā-sad a 殿堂、重閣、高楼、講堂  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      māpesiṃ.   使 築く  
    訳文                
     我が友モッガッラーナよ、その私は、その戦を征服し、戦に勝利して、それから戻り、ヴェージャヤンタという高楼を築きました。  
    メモ                
     ・「マハースダッサナ経」にはヴェージャヤンタ車という車が出る。『南伝』が「最勝殿」としているように、おそらく√vi-jiと関わる語なのであろう。  
                       
                       
                       
    392-7.                
     Vejayantassa kho, mārisa moggallāna, pāsādassa ekasataṃ niyyūhaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Vejayantassa    a 地名、ヴェージャヤンタ  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      mārisa    不変 我が師よ、我が友よ  
      moggallāna,    a 人名、モッガッラーナ  
      pāsādassa  pra-ā-sad a 殿堂、重閣、高楼、講堂  
      eka    代的  
      sataṃ    a  
      niyyūhaṃ.    a 男(中) 尖塔  
    訳文                
     我が友モッガッラーナよ、ヴェージャヤンタ高楼には百の尖塔があります。  
                       
                       
                       
    392-8.                
     Ekekasmiṃ niyyūhe satta satta kūṭāgārasatāni.