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     8. Aggikasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Aggika    a 依(属) 人名、アッギカ  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「アッギカ経」(『相応部』7-8  
                       
                       
                       
    194-1.                
     194. Ekaṃ samayaṃ bhagavā rājagahe viharati veḷuvane kalandakanivāpe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekaṃ samayaṃ bhagavā rājagahe viharati veḷuvane kalandakanivāpe. (189-1.)  
    訳文                
     あるとき世尊はラージャガハの竹林、カランダカニヴァーパに住しておられた。  
                       
                       
                       
    194-2.                
     Tena kho pana samayena aggikabhāradvājassa brāhmaṇassa sappinā pāyaso sannihito hoti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      aggika    a 人名、アッギカ  
      bhāradvājassa    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      sappinā    is 酥、バター  
      pāyaso    a 粥、乳粥  
      sannihito  saṃ-ni-śri 過分 a 定置の、貯蔵の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti –  bhū ある、なる、存在する  
    訳文                
     さてその時、アッギカ・バーラドヴァージャ婆羅門に、酥を添えた粥が支度された。  
                       
                       
                       
    194-3.                
     ‘‘aggiṃ juhissāmi, aggihuttaṃ paricarissāmī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘aggiṃ    i 火、火神  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      juhissāmi,  hu 献供する、供養する  
      語根 品詞 語基 意味  
      aggi    i 依(与) 火、火神  
      huttaṃ    a 供犠、供物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paricarissāmī’’  pari-car 奉仕する、仕える、尊敬する、歩き回る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『私は火を供養しよう、私は火への供物を捧げよう』と。  
                       
                       
                       
    194-4.                
     Atha kho bhagavā pubbaṇhasamayaṃ nivāsetvā pattacīvaramādāya rājagahaṃ piṇḍāya pāvisi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      pubbaṇha    a 依(属) 午前  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nivāsetvā  ni-vas 使 着衣する、内衣を着る  
      語根 品詞 語基 意味  
      patta    a 男中  
      cīvaram    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādāya  ā-dā 取って  
      語根 品詞 語基 意味  
      rājagahaṃ    a 男(中) 地名、ラージャガハ、王舎城  
      piṇḍāya    a 団食、(与格で「托鉢のため」)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pāvisi.  pra-viś 入る  
    訳文                
     ときに世尊は午前中、内衣を付け、鉢と衣をとって、ラージャガハへ托鉢のため入られた。  
                       
                       
                       
    194-5.                
     Rājagahe sapadānaṃ piṇḍāya caramāno yena aggikabhāradvājassa brāhmaṇassa nivesanaṃ tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Rājagahe    a 地名、ラージャガハ、王舎城  
      sapadānaṃ    a 副対 次第の、順次の  
      piṇḍāya    a 団食、(与格で「托鉢のため」)  
      caramāno  car 現分 a 行ずる、行く  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      aggika    a 人名、アッギカ  
      bhāradvājassa    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      nivesanaṃ  ni-viś a 住居  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ラージャガハで順次に托鉢を行じ、アッギカ・バーラドヴァージャ婆羅門の住居へ近づかれた。  
                       
                       
                       
    194-6.                
     upasaṅkamitvā ekamantaṃ aṭṭhāsi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      aṭṭhāsi.  sthā 立つ  
    訳文                
     近づいて一方へ立たれた。  
                       
                       
                       
    194-7.                
     Addasā kho aggikabhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ piṇḍāya ṭhitaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Addasā  dṛś 見た  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      aggika    a 人名、アッギカ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      piṇḍāya    a 団食、(与格で「托鉢のため」)  
      ṭhitaṃ.  sthā 過分 a 立った、とどまった  
    訳文                
     アッギカ・バーラドヴァージャ婆羅門は、托鉢のために立った世尊を見た。  
                       
                       
                       
    194-8.                
     Disvāna bhagavantaṃ gāthāya ajjhabhāsi –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Disvāna  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      gāthāya    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     見て、世尊へ偈をもって語りかけた。  
                       
                       
                       
    194-9.                
     ‘‘Tīhi vijjāhi sampanno, jātimā sutavā bahū;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tīhi     
      vijjāhi  vid ā 明智、明呪、魔術、学問  
      sampanno,  saṃ-pad 過分 a 具足した、成就した  
      jātimā    ant よい生まれの、純粋な、高貴な、すぐれた  
      sutavā  śru ant 聞をそなえた、有聞の、博聞の  
      bahū;    u 多くの  
    訳文                
     「♪三つの明智を具足し、生まれが良く、有聞なる、  
    メモ                
     ・これもバラモン教の文脈のvijjāなのであろう。  
                       
                       
                       
    194-10.                
     Vijjācaraṇasampanno, somaṃ bhuñjeyya pāyasa’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vijjā  vid ā 明智、明呪、魔術、学問  
      caraṇa  car a 依(具) 行、行為、実践、徳行  
      sampanno,  saṃ-pad 過分 a 具足した、成就した →明行足  
      somaṃ    a ソーマ、神酒  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhuñjeyya  bhuj 食べる、受用する  
      語根 品詞 語基 意味  
      pāyasa’’n    a 粥、乳粥  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪明智と行を具足した者は、ソーマを、粥を受用すべし」と。  
                       
                       
                       
    194-11.                
     ‘‘Bahumpi palapaṃ jappaṃ, na jaccā hoti brāhmaṇo;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Bahumpi palapaṃ jappaṃ, na jaccā hoti brāhmaṇo; (193-8.)  
    訳文                
     〔世尊曰く〕「♪多くの呪文を唱えようと、生まれのゆえに婆羅門となるのではない。  
                       
                       
                       
    194-12.                
     Antokasambu saṃkiliṭṭho, kuhanāparivārito.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Antokasambu saṃkiliṭṭho, (193-9.)  
      kuhanā    ā 依(具) 詐欺、欺瞞  
      parivārito.  pari-vṛ 使 過分 a 囲繞された  
    訳文                
     ♪内に汚濁あり、汚染された、欺瞞に囲繞された者は〔婆羅門ではない〕。  
                       
                       
                       
    194-13.                
     ‘‘Pubbenivāsaṃ yo vedī, saggāpāyañca passati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Pubbe    不変 前に、以前に  
      nivāsaṃ  ni-vas a 居住、住居 →宿住  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      vedī,  vid in 知る  
      sagga    a 天界  
      apāyañ  apa-i a 苦界、苦処  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passati;  paś 見る  
    訳文                
     ♪宿住を知り、天界と悪趣を見る者、  
                       
                       
                       
    194-14.                
     Atho jātikkhayaṃ patto, abhiññāvosito muni.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atho    不変 ときに、また、そこに  
      jāti  jan i 依(属) 生、誕生、生まれ、種類  
      khayaṃ  kṣī a 滅尽  
      patto,  pra-āp 過分 a 得達した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhiññā  abhi-jñā 証知する、自証する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vosito  vi-ava-sā 過分 a 完成した、完結した  
      muni.    i 牟尼、聖者  
    訳文                
     ♪そして生の滅尽を得達した者は、証知して、完成した牟尼となる。  
                       
                       
                       
    194-15.                
     ‘‘Etāhi tīhi vijjāhi, tevijjo hoti brāhmaṇo;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Etāhi    代的 これ  
      tīhi     
      vijjāhi,  vid ā 明智  
      te    有(帯)  
      vijjo  vid ā 女→男 明智  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      brāhmaṇo;  bṛh a 婆羅門  
    訳文                
     ♪これら三明智によって、三明をそなえた婆羅門となるのである。  
                       
                       
                       
    194-16.                
     Vijjācaraṇasampanno, somaṃ bhuñjeyya pāyasa’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vijjācaraṇasampanno, somaṃ bhuñjeyya pāyasa’’nti. (194-10.)  
    訳文                
     ♪明行足は、ソーマを、粥を受用すべし」  
    メモ                
     ・こちらは仏教的に換骨奪胎されたVijjāが言われているので、訳し分けた。  
                       
                       
                       
    194-17.                
     ‘‘Bhuñjatu bhavaṃ gotamo.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Bhuñjatu  bhuj 食べる、受用する、享受する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo.    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     「尊者ゴータマはお召し上がり下さい。  
                       
                       
                       
    194-18.                
     Brāhmaṇo bhava’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhava’’n  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     尊者は婆羅門でいらっしゃいます」  
                       
                       
                       
    194-19.                
     ‘‘Gāthābhigītaṃ me abhojaneyyaṃ,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Gāthā    ā 依(具)  
      abhigītaṃ  abhi-gai 過分 a 歌われた  
      me    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhojaneyyaṃ,  a-bhuj 未分 a 食べられるべきでない  
    訳文                
     「♪誦唱された偈によって〔得た〕ものを、私は食べるべきでない。  
    メモ                
     ・偈を商品のように扱い、その対価として食物を受けるようなことではいけない、という趣旨なのであろう。構文や文脈からして、ヴェーダにうたわれた祭式そのままの供物は受けられない、という意味かとも考えたが、『相応部』7-11「カシ・バーラドヴァージャ経」では農作業中の配食に対して同じ偈が述べられるから、これは可能性薄か。  
                       
                       
                       
    194-20.                
     Sampassataṃ brāhmaṇa nesa dhammo;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sampassataṃ  saṃ-paś 現分 ant 見る、正見する  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      na    不変 ない  
      esa    代的 これ  
      dhammo;  dhṛ a 男中  
    訳文                
     ♪婆羅門よ、正見者たちにとって、それは法ではない。  
                       
                       
                       
    194-21.                
     Gāthābhigītaṃ panudanti buddhā,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Gāthā    ā 依(具)  
      abhigītaṃ  abhi-gai 過分 a 歌われた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      panudanti  pra-nud 排除する、除去する  
      語根 品詞 語基 意味  
      buddhā,  budh 名過分 a 仏陀  
    訳文                
     ♪誦唱された偈によって〔得た〕ものを、諸仏は拒む。  
                       
                       
                       
    194-22.                
     Dhamme sati brāhmaṇa vuttiresā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Dhamme  dhṛ a 男中 処絶  
      sati  as 現分 ant 男中 処絶 ある、なる  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      vutti   i 行為、生活、習慣  
      esā.    代的 これ  
    訳文                
     ♪婆羅門よ、法があるとき、それがふるまいとなる。  
                       
                       
                       
    194-23.                
     ‘‘Aññena ca kevalinaṃ mahesiṃ,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Aññena    代的 他の、異なる  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      kevalinaṃ    in 完全の、独存の、  
      maha    ant 大きい  
      isiṃ,    i 仙人、聖者  
    訳文                
     ♪完全なる大仙、  
    メモ                
     ・Aññenaの訳は次次文へ。  
                       
                       
                       
    194-24.                
     Khīṇāsavaṃ kukkuccavūpasantaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Khīṇa  kṣī 受 過分 a 有(持) 尽きた  
      āsavaṃ  ā-sru a  
      kukkucca    a 有(持) 悪作、悔  
      vūpasantaṃ;  vi-upa-śam 過分 a 静まった、寂静となった  
    訳文                
     ♪漏尽の、悪作が静まった者へ、  
                       
                       
                       
    194-25.                
     Annena pānena upaṭṭhahassu,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Annena    a 食物  
      pānena  a 飲物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upaṭṭhahassu,  upa-sthā 仕える、看護する、現れる  
    訳文                
     ♪そなたは別の飲食を持って奉仕せよ。  
                       
                       
                       
    194-26.                
     Khettañhi taṃ puññapekkhassa hotī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Khettañ    a 田畑、土地、国土  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      taṃ    代的  それ   
      puñña     a 有(持) 福、善、功徳  
      apekkhassa  apa-īkṣ ā 女→男 願望、欲求、希望  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hotī’’  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪なぜならそれは、功徳を望む者にとって、〔実りをもたらす〕田となるのだから」  
                       
                       
                       
    194-27.                
     Evaṃ vutte, aggikabhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ vutte, aggikabhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca – (189-16.)  
      aggika    a 人名、アッギカ  
    訳文                
     このように言われて、アッギカ・バーラドヴァージャ婆羅門は世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    194-28.                
     ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama…pe… (189-17.)  
    訳文                
     「素晴らしい、尊者ゴータマよ」……  
                       
                       
                       
    194-29.                
     aññataro ca panāyasmā aggikabhāradvājo arahataṃ ahosī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      aññataro ca panāyasmā aggikabhāradvājo arahataṃ ahosī’’ti. (189-19.)  
    訳文                
     尊者アッギカ・バーラドヴァージャもまた、阿羅漢たちの一人となったのである。  
                       
                       
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