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     9. Piṇḍolabhāradvājasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Piṇḍola    a 人名、ピンドーラ  
      bhāradvāja    a 依(属) 人名、バーラドヴァージャ  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「ピンドーラ・バーラドヴァージャ経」(『相応部』48-49  
    メモ                
     ・中黒で区切ったが、『原始』のように続けて「ピンドーラバーラドヴァージャ」とした方がよいか。また「行乞者バーラドヴァージャ」という可能性もあるか。  
                       
                       
                       
    519-1.                
     519. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ   不変 このように  
      me   代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた、所聞  
    訳文                
     私はこのように聞いた。  
                       
                       
                       
    519-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā kosambiyaṃ viharati ghositārāme.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      kosambiyaṃ    ī 地名、コーサンビー  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ghosita    a 依(属) 人名、ゴーシタ  
      ārāme.    a  
    訳文                
     あるとき世尊はコーサンビーのゴーシタ園に住しておられた。  
                       
                       
                       
    519-3.                
     Tena kho pana samayena āyasmatā piṇḍolabhāradvājena aññā byākatā hoti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      āyasmatā    ant 尊者、具寿  
      piṇḍola    a 人名、ピンドーラ  
      bhāradvājena    a 人名、バーラドヴァージャ  
      aññā  ā-jñā  ā 了知、完全智、開悟、己知  
      byākatā  vi-ā-kṛ 過分 a 解答された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti –  bhū ある、なる、存在する  
    訳文                
     さてその時、尊者ピンドーラ・バーラドヴァージャが開悟を記説した。  
                       
                       
                       
    519-4.                
     ‘‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyāti pajānāmī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘khīṇā  kṣī 受 過分 ā 尽きた  
      jāti,  jan i  
      vusitaṃ  ava-sā? 過分 a 完成した  
      brahmacariyaṃ,  bṛh, car a 梵行  
      kataṃ  kṛ 過分 a なされた  
      karaṇīyaṃ,  kṛ 名未分 a なされるべきこと  
      na    不変 ない  
      aparaṃ    代的 副対 後、他  
      itthattāyā    a かくの如き状態、現状、ここ[輪廻]の状態、  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāmī’’  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ないと私は了知した』と。  
                       
                       
                       
    519-5.                
     Atha kho sambahulā bhikkhū yena bhagavā tenupasaṅkamiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sambahulā    a 多くの、衆多の  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamiṃsu;  upa-saṃ-kram 能反 近づいた  
    訳文                
     そこで多くの比丘たちが世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    519-6.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdiṃsu.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu.  ni-sad 能反 坐る  
    訳文                
     近付いて、世尊へ礼拝し、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    519-7.                
     Ekamantaṃ nisinnā kho te bhikkhū bhagavantaṃ etadavocuṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinnā  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avocuṃ –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐った彼ら比丘たちは、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    519-8.                
     ‘‘Āyasmatā, bhante, piṇḍolabhāradvājena aññā byākatā –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Āyasmatā, bhante, piṇḍolabhāradvājena aññā byākatā – (519-3.)  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     「尊者よ、尊者ピンドーラ・バーラドヴァージャが開悟を記説しました。  
                       
                       
                       
    519-9.                
     ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmīti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmīti. (519-4.)  
    訳文                
     『生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ないと私は了知した』と。  
                       
                       
                       
    519-10.                
     Kiṃ nu kho, bhante, atthavasaṃ sampassamānena āyasmatā piṇḍolabhāradvājena aññā byākatā –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      attha    a 男中 依(属) 義、利益、道理、意味、必要  
      vasaṃ    a 男中 力、自在、影響 →道理、義理、因由  
      sampassamānena  saṃ-paś 現分 a 見る、正観する  
      āyasmatā piṇḍolabhāradvājena aññā byākatā – (519-3.)  
    訳文                
     尊者よ、いったい、いかなる道理を正観して、尊者ピンドーラ・バーラドヴァージャは開悟を記説したのでしょうか。  
                       
                       
                       
    519-11.                
     ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmī’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmī’’ti? (519-4.)  
    訳文                
     『生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ないと私は了知した』と」  
                       
                       
                       
    519-12.                
     ‘‘Tiṇṇannaṃ kho, bhikkhave, indriyānaṃ bhāvitattā bahulīkatattā piṇḍolabhāradvājena bhikkhunā aññā byākatā –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tiṇṇannaṃ     
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      indriyānaṃ    a 根、感覚器官  
      bhāvitattā  bhū 使 a 修習性  
      bahulīkatattā  kṛ a 多修性  
      piṇḍola    a 人名、ピンドーラ  
      bhāradvājena    a 人名、バーラドヴァージャ  
      bhikkhunā  bhikṣ u 比丘  
      aññā  ā-jñā  ā 了知、完全智、開悟、己知  
      byākatā –  vi-ā-kṛ 過分 a 解答された  
    訳文                
     「比丘たちよ、三根の修習され、多修されたことのゆえに、ピンドーラ・バーラドヴァージャ比丘は開悟を記説したのです。  
                       
                       
                       
    519-13.                
     ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmīti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmīti. (519-4.)  
    訳文                
     『生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ないと私は了知した』と。  
                       
                       
                       
    519-14.                
     Katamesaṃ tiṇṇannaṃ?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Katamesaṃ    代的 いずれの、どちらの  
      tiṇṇannaṃ?     
    訳文                
     いかなる三〔根〕のか。  
                       
                       
                       
    519-15.                
     Satindriyassa, samādhindriyassa, paññindriyassa –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sati  smṛ i 依(属) 念、憶念、正念  
      indriyassa,    a 根、感官  
      samādhi  saṃ-ā-dhā i 依(属) 定、三昧、精神統一  
      indriyassa,    a 根、感官  
      paññā  pra-jñā ā 依(属) 智慧、般若  
      indriyassa –    a 根、感官  
    訳文                
     念根、定根、慧根のです。  
                       
                       
                       
    519-16.                
     imesaṃ kho, bhikkhave, tiṇṇannaṃ indriyānaṃ bhāvitattā bahulīkatattā piṇḍolabhāradvājena bhikkhunā aññā byākatā –   
      語根 品詞 語基 意味  
      imesaṃ    代的 これら  
      kho, bhikkhave, tiṇṇannaṃ indriyānaṃ bhāvitattā bahulīkatattā piṇḍolabhāradvājena bhikkhunā aññā byākatā – (519-12.)  
    訳文                
     比丘たちよ、これら三根の修習され、多修されたことのゆえに、ピンドーラ・バーラドヴァージャ比丘は開悟を記説したのです。  
                       
                       
                       
    519-17.                
     ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmīti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmīti. (519-4.)  
    訳文                
     『生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ないと私は了知した』と。  
                       
                       
                       
    519-18.                
     Imāni ca, bhikkhave, tīṇindriyāni kimantāni?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Imāni    代的 これら  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      tīṇi     
      indriyāni    a 根、感覚器官  
      kim    代的 有(持) 何、なぜ、いかに  
      antāni?    a 極限、辺、目的  
    訳文                
     では比丘たちよ、これら三根は何を目的としたものなのでしょうか。  
                       
                       
                       
    519-19.                
     Khayantāni.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Khaya  kṣi a 有(持)  
      antāni.    a 極限、辺、目的  
    訳文                
     滅尽を目的としたものです。  
                       
                       
                       
    519-20.                
     Kissa khayantāni?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kissa    代的 何、誰  
      khaya  kṣi a 有(持)  
      antāni?    a 極限、辺、目的  
    訳文                
     何の滅尽を目的としたものか。  
                       
                       
                       
    519-21.                
     Jātijarāmaraṇassa.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Jāti  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
      jarā  jṝ ā 老、老い  
      maraṇassa.  mṛ a  
    訳文                
     生老死の、です。  
                       
                       
                       
    519-22.                
     ‘Jātijarāmaraṇaṃ khaya’nti kho, bhikkhave, sampassamānena piṇḍolabhāradvājena bhikkhunā aññā byākatā –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Jāti  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
      jarā  jṝ ā 老、老い  
      maraṇaṃ  mṛ a  
      khaya’n  kṣī a 男→中 滅尽  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho, bhikkhave, sampassamānena piṇḍolabhāradvājena bhikkhunā aññā byākatā – (519-10, 12.)  
    訳文                
     『生老死は滅尽あるものとなった』と正観して、ピンドーラ・バーラドヴァージャ比丘は開悟を記説したのです。  
    メモ                
     ・khaya’nは一語で有財釈化したものと解したが、あるいはこれはkhata’nの誤りではないか。『南伝』は注釈でmaraṇa-khayaという複合と見なしたとしている。  
                       
                       
                       
    519-23.                
     ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti pajānāmī’’ti. (519-4.)  
    訳文                
     『生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ないと私は了知した』と」  
                       
                       
                       
     Navamaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Navamaṃ.    a 第九の  
    訳文                
     第九〔経〕。  
                       
                       
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