←前へ   トップへ   次へ→
                       
                       
     Uttaramāṇavavatthu  
      語根 品詞 語基 意味  
      Uttara    a 人名、ウッタラ  
      māṇava    a 依(属) 学童、青年、若い婆羅門  
      vatthu vas us 事、対象、理由、根拠  
    訳文                
     【ウッタラ青年のこと】  
                       
                       
                       
    439-1.                
     439. Atha kho pāyāsi rājañño dānaṃ paṭṭhapesi samaṇabrāhmaṇakapaṇaddhikavaṇibbakayācakānaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pāyāsi    i 人名、パーヤーシ  
      rājañño    a 王族、高官  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭṭhapesi  pra-sthā 使 前に置く、与える  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇa  śram a 沙門  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      kapaṇa   a 貧困な、哀れな  
      addhika    a 旅行している、路上にある  
      vaṇibbaka   a 乞食、旅人、浮浪者  
      yācakānaṃ.  yāc 名形 a 乞求者  
    訳文                
     そこで王族パーヤーシは、沙門、婆羅門、貧困者、放浪者、浮浪者、乞求者たちへ、布施を与えた。  
                       
                       
                       
    439-2.                
     Tasmiṃ kho pana dāne evarūpaṃ bhojanaṃ dīyati kaṇājakaṃ bilaṅgadutiyaṃ, dhorakāni [thorakāni (sī. pī.), corakāni (syā.)] ca vatthāni guḷavālakāni [guḷagāḷakāni (ka.)].   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tasmiṃ    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      dāne  a 布施、施与  
      evarūpaṃ    a かくのごとき  
      bhojanaṃ  bhuj a 食物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dīyati   受 与えられる  
      語根 品詞 語基 意味  
      kaṇājakaṃ    a 屑米飯、糠飯  
      bilaṅga    a 有(持) 酸粥  
      dutiyaṃ,    名形 a 男→中 第二の、伴侶  
      dhorakāni    a 服の  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vatthāni  vas a 衣服  
      guḷa    a 有(持) 玉、毛玉  
      vālakāni.    a やっかいな、つまらぬ  
    訳文                
     しかし、その布施においては、かくのごとき受用物が与えられたのである。〔すなわち〕酸粥を添えた屑米飯、また毛玉のやっかいな衣服が。  
    メモ                
     ・dhorakāniの語は、辞書類にはPTS辞書のTherakaの項のみに見られたので、そこでのof clothesという説明に従って訳した。  
                       
                       
                       
    439-3.                
     Tasmiṃ kho pana dāne uttaro nāma māṇavo vāvaṭo [byāvaṭo (sī. pī.)] ahosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tasmiṃ    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      dāne  a 布施、施与  
      uttaro    a 人名、ウッタラ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      vāvaṭo    a 営務の、多忙の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi.  bhū ある、なる  
    訳文                
     さてその布施においては、ウッタラという名の青年が営務官であった。  
                       
                       
                       
    439-4.                
     So dānaṃ datvā evaṃ anuddisati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      datvā  与える  
      語根 品詞 語基 意味  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anuddisati –  anu-diś 示す、指示する  
    訳文                
     かれは、布施を施してから、このように〔望みを〕示した。  
    メモ                
     ・anuddisatiは、雲井辞書に出るanudisatiの異体とみた。an-udisatianu-uddisatiの可能性もあるか。布施に関わった功徳をもって、どのような来世を希望するかを表白した、ということと思われる。  
                       
                       
                       
    439-5.                
     ‘‘imināhaṃ dānena pāyāsiṃ rājaññameva imasmiṃ loke samāgacchiṃ, mā parasmi’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘iminā    代的 これ  
      ahaṃ    代的  
      dānena  a 布施、施与  
      pāyāsiṃ    i 人名、パーヤーシ  
      rājaññam    a 王族、高官  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      imasmiṃ    代的 これ  
      loke    a 世界  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samāgacchiṃ,  saṃ-ā-gam 来集する、到来する、会合する  
      語根 品詞 語基 意味  
          不変 なかれ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      parasmi’’n    代的 他の  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「私はこの布施によって王族パーヤーシとこの世で出会ったが、あの世では〔出会うことの〕ないように」と。  
                       
                       
                       
    439-6.                
     Assosi kho pāyāsi rājañño –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Assosi  śru 聞く  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pāyāsi    i 人名、パーヤーシ  
      rājañño –    a 王族、高官  
    訳文                
     じつに王族パーヤーシは聞いた。  
                       
                       
                       
    439-7.                
     ‘‘uttaro kira māṇavo dānaṃ datvā evaṃ anuddisati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘uttaro    a 人名、ウッタラ  
      kira    不変 伝え言う、〜という話だ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      dānaṃ datvā evaṃ anuddisati – (439-4.)  
    訳文                
     「ウッタラ青年は、布施を施してから、このように〔望みを〕示したという。  
                       
                       
                       
    439-8.                
     ‘imināhaṃ dānena pāyāsiṃ rājaññameva imasmiṃ loke samāgacchiṃ, mā parasmi’’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘imināhaṃ dānena pāyāsiṃ rājaññameva imasmiṃ loke samāgacchiṃ, mā parasmi’’’nti. (439-5.)  
    訳文                
     『私はこの布施によって王族パーヤーシとこの世で出会ったが、あの世では〔出会うことの〕ないように』」と。  
                       
                       
                       
    439-9.                
     Atha kho pāyāsi rājañño uttaraṃ māṇavaṃ āmantāpetvā etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pāyāsi    i 人名、パーヤーシ  
      rājañño    a 王族、高官  
      uttaraṃ    a 人名、ウッタラ  
      māṇavaṃ    a 学童、青年、若い婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantāpetvā    招待する、迎えにやる  
      語根 品詞 語基 意味  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     そこで王族パーヤーシは、ウッタラ青年を招いて、こういった。  
                       
                       
                       
    439-10.                
     ‘‘saccaṃ kira tvaṃ, tāta uttara, dānaṃ datvā evaṃ anuddisasi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘saccaṃ    a 真実  
      kira    不変 伝え言う、〜という話だ  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      tāta    不変 (男性への呼称)  
      uttara,    a 人名、ウッタラ  
      dānaṃ datvā evaṃ (439-4.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anuddisasi –  anu-diś 示す、指示する  
    訳文                
     「きみ、ウッタラよ、あなたが、布施を施してから、このように〔望みを〕示したというが、まことでしょうか。  
                       
                       
                       
    439-11.                
     ‘imināhaṃ dānena pāyāsiṃ rājaññameva imasmiṃ loke samāgacchiṃ, mā parasmi’’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘imināhaṃ dānena pāyāsiṃ rājaññameva imasmiṃ loke samāgacchiṃ, mā parasmi’’’nti? (439-5.)  
    訳文                
     『私はこの布施によって王族パーヤーシとこの世で出会ったが、あの世では〔出会うことの〕ないように』」と。  
                       
                       
                       
    439-12.                
     ‘‘Evaṃ, bho’’.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ,    不変 このように、かくの如き  
      bho’’.  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
    訳文                
     「尊き方よ、その通りです」  
                       
                       
                       
    439-13.                
     ‘‘Kissa pana tvaṃ, tāta uttara, dānaṃ datvā evaṃ anuddisasi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kissa    代的 何、誰  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      tvaṃ, tāta uttara, dānaṃ datvā evaṃ anuddisasi – (439-10.)  
    訳文                
     「しかし、きみ、ウッタラよ、あなたはなぜ、布施を施してから、このように〔望みを〕示したのでしょうか。  
                       
                       
                       
    439-14.                
     ‘imināhaṃ dānena pāyāsiṃ rājaññameva imasmiṃ loke samāgacchiṃ, mā parasmi’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘imināhaṃ dānena pāyāsiṃ rājaññameva imasmiṃ loke samāgacchiṃ, mā parasmi’nti? (439-5.)  
    訳文                
     『私はこの布施によって王族パーヤーシとこの世で出会ったが、あの世では〔出会うことの〕ないように』と。  
                       
                       
                       
    439-15.                
     Nanu mayaṃ, tāta uttara, puññatthikā dānasseva phalaṃ pāṭikaṅkhino’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Nanu    不変 〜にあらずや、じつに  
      mayaṃ,    代的 私たち  
      tāta    不変 (男性への呼称)  
      uttara,    a 人名、ウッタラ  
      puñña    a 依(対) 福徳、善  
      atthikā    a 希求する、欲求する  
      dānassa  a 布施、施与  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      phalaṃ    a 果、結果  
      pāṭikaṅkhino’’  prati-kāṅkṣ in 期待する者  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     きみ、ウッタラよ、我々は〔共に〕功徳を希求する者たち、布施の果報を期待する者たちではなかったのですか」  
                       
                       
                       
    439-16.                
     ‘‘Bhoto kho dāne evarūpaṃ bhojanaṃ dīyati kaṇājakaṃ bilaṅgadutiyaṃ, yaṃ bhavaṃ pādāpi [pādāsi (ka.)] na iccheyya samphusituṃ [chupituṃ (pī. ka.)], kuto bhuñjituṃ, dhorakāni ca vatthāni guḷavālakāni, yāni bhavaṃ pādāpi [acittikataṃ (ka.)] na iccheyya samphusituṃ, kuto paridahituṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Bhoto  bhū 名現分 ant(特) 尊者  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      dāne evarūpaṃ bhojanaṃ dīyati kaṇājakaṃ bilaṅgadutiyaṃ, (439-2.)  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      pāde    a  
      api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      iccheyya  iṣ 欲する、求める  
      語根 品詞 語基 意味  
      samphusituṃ,  saṃ-spṛś 不定 触れること  
      kuto    不変 どこから、いかなる理由で  
      bhuñjituṃ,  bhuj 不定 受用すること、食べること  
      dhorakāni ca vatthāni guḷavālakāni, (439-2.)  
      yāni    代的 (関係代名詞)  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      pādāpi na iccheyya samphusituṃ, (同上)  
      kuto    不変 どこから、いかなる理由で  
      paridahituṃ.  pari-dhā 不定 周りに置くこと、まとうこと、着ること  
    訳文                
     「じつに、尊き方の布施において、かくのごとき受用物が与えられました。〔すなわち〕酸粥を添えた屑米飯です。〔しかし〕それは、尊き方が足においてすら触れようと思わないようなものです。〔そんなものが〕どうして食べられましょうか。〔また〕毛玉のやっかいな衣服がありました。〔しかし〕それは、尊き方が足においてすら触れようと思わないようなものです。〔そんなものが〕どうして着られましょうか。  
    メモ                
     ・pādāpipādā piという奪格の可能性も考えたが、上記のように処格で解することとした。異版のいうpādāsi(「与える」のアオリスト)という解釈もありうるが、それだとyaṃによる従属文の構文がおかしくなるか。  
                       
                       
                       
    439-17.                
     Bhavaṃ kho panamhākaṃ piyo manāpo, kathaṃ mayaṃ manāpaṃ amanāpena saṃyojemā’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      amhākaṃ    代的 私たち  
      piyo    a 可愛の、所愛の  
      manāpo,    a 適意の、悦意の  
      kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      mayaṃ    代的 私たち  
      manāpaṃ    a 適意の、悦意の  
      amanāpena    a 不適意の、不悦意の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      saṃyojemā’’  saṃ-yuj 使 結合する、与える  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     じつに、尊き方は我々にとって愛すべき、好ましい方です。我々は好ましい方を好ましくないものと結合させることはできません」  
    メモ                
     ・よく分からない文だが、先の「あの世で出会わないように」というのが、「このような粗末な供養の営務をなした自分はあまりよくない来世へ趣くことだろうが、愛すべきパーヤーシはよりよい帰趣に生まれて欲しい」という意味であったとすれば、一応の平仄は合うことになる。もっとも、本心は「施主であるパーヤーシが趣くであろうような低級な世界は御免だ」というものであったものを、このような御為ごかしで糊塗した、とも解し得ようが、それは下衆の勘繰りというものか。  
                       
                       
                       
    439-18.                
     ‘‘Tena hi tvaṃ, tāta uttara, yādisāhaṃ bhojanaṃ bhuñjāmi, tādisaṃ bhojanaṃ paṭṭhapehi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      hi    不変 じつに、なぜなら(tena hiで「しからば」)  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      tāta    不変 (男性への呼称)  
      uttara,    a 人名、ウッタラ  
      yādisaṃ    a どのように、いかなる、いかにに些少でも  
      ahaṃ    代的  
      bhojanaṃ  bhuj a 食物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhuñjāmi,  bhuj 食べる  
      語根 品詞 語基 意味  
      tādisaṃ    a そのごとき、そのような  
      bhojanaṃ  bhuj a 食物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭṭhapehi.  pra-sthā 使 前に置く、与える  
    訳文                
     「しからばきみ、ウッタラよ、あなたは、私が食物を食べる場合のような食物を与えて下さい。  
                       
                       
                       
    439-19.                
     Yādisāni cāhaṃ vatthāni paridahāmi, tādisāni ca vatthāni paṭṭhapehī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yādisāni    a どのように、いかなる、いかにに些少でも  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      ahaṃ    代的  
      vatthāni  vas a 衣服  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paridahāmi,  pari-dhā 周りに置く、まとう、着る  
      語根 品詞 語基 意味  
      tādisāni    a そのごとき、そのような  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vatthāni  vas a 衣服  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭṭhapehī’’  pra-sthā 使 前に置く、与える  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     また、私が衣服を着る場合のような衣服を与えて下さい」  
                       
                       
                       
    439-20.                
     ‘‘Evaṃ, bho’’ti kho uttaro māṇavo pāyāsissa rājaññassa paṭissutvā yādisaṃ bhojanaṃ pāyāsi rājañño bhuñjati, tādisaṃ bhojanaṃ paṭṭhapesi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ,    不変 このように、かくの如き  
      bho’’  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      uttaro    a 人名、ウッタラ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      pāyāsissa    i 人名、パーヤーシ  
      rājaññassa    a 王族、高官  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭissutvā  prati-śru 同意する、応諾する、答える  
      語根 品詞 語基 意味  
      yādisaṃ    a どのように、いかなる、いかにに些少でも  
      bhojanaṃ  bhuj a 食物  
      pāyāsi    i 人名、パーヤーシ  
      rājañño    a 王族、高官  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhuñjati,  bhuj 食べる  
      語根 品詞 語基 意味  
      tādisaṃ    a そのごとき、そのような  
      bhojanaṃ  bhuj a 食物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭṭhapesi.  pra-sthā 使 前に置く、与える  
    訳文                
     「尊き方よ、そのように」とウッタラ青年は王族パーヤーシへ応え、王族パーヤーシが食物を食べる場合のような食物を与えた。  
                       
                       
                       
    439-21.                
     Yādisāni ca vatthāni pāyāsi rājañño paridahati, tādisāni ca vatthāni paṭṭhapesi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yādisāni    a どのように、いかなる、いかにに些少でも  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vatthāni  vas a 衣服  
      pāyāsi    i 人名、パーヤーシ  
      rājañño    a 王族、高官  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paridahati,  pari-dhā 周りに置く、まとう、着る  
      語根 品詞 語基 意味  
      tādisāni    a どのように、いかなる、いかにに些少でも  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vatthāni  vas a 衣服  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭṭhapesi. pra-sthā 使 前に置く、与える  
    訳文                
     また、王族パーヤーシが衣服を着る場合のような衣服を与えた。  
                       
                       
                       
    440-1.                
     440. Atha kho pāyāsi rājañño asakkaccaṃ dānaṃ datvā asahatthā dānaṃ datvā acittīkataṃ dānaṃ datvā apaviddhaṃ dānaṃ datvā kāyassa bhedā paraṃ maraṇā cātumahārājikānaṃ devānaṃ sahabyataṃ upapajji suññaṃ serīsakaṃ vimānaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pāyāsi    i 人名、パーヤーシ  
      rājañño    a 王族、高官  
      asakkaccaṃ  a-sat-kṛ a 副対 不恭順の  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      datvā  与える  
      語根 品詞 語基 意味  
      asahatthā    名形 a 自分の手ならず  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      datvā  同上  
      acittīkataṃ  a-cit, kṛ a 副対 尊重しない、不誠心の  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      datvā  同上  
      apaviddhaṃ  apa-vyadh 過分 a 捨てられた  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      datvā  同上  
      kāyassa    a 体、身体  
      bhedā  bhid a 破壊、不和合、離間、種類、区分  
      paraṃ    代的 副対 更に、他に、超えて  
      maraṇā  mṛ a 死 →死後に  
      cātu     
      mahā    ant 大きい  
      rājikānaṃ    a 王の →四天王の  
      devānaṃ    a 天、神  
      sahabyataṃ    a 共住、友誼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upapajji  upa-pad 再生する、往生する  
      語根 品詞 語基 意味  
      suññaṃ    名形 a 空の  
      serīsakaṃ    a 地名、セーリーサカ  
      vimānaṃ.    a 天宮、宮殿  
    訳文                
     ときに王族パーヤーシは、恭しからずして布施を与え、自らの手によらず布施を与え、まごころなく布施を与え、捨てられた〔ようなものによる〕布施を与えて、身破れて死後、四大王天の神々の眷属として、空虚なるセーリーサカ天宮へ生まれ変わった。  
    メモ                
     ・「梵網経」【一部常住論】には「空虚なる梵天の宮殿」suññaṃ brahmavimānaṃなるものが登場するが、何か関連があるのであろうか。  
     ・apaviddhaṃ dānaṃを、『原始』は「なにかものを捨てるような布施」、『パーリ』は「捨てられている布施」としている。『註』はchaḍḍitaṃ vippatitaṃとしているが、vippatitaなる語が辞書類に出ず、意趣が不明である(「捨てる」vippajahatiの過去分詞としてvippahīnaとすべき所を誤ったか?)。『南伝』は「悋惜施」とするが、これはapaviddhaṃを「捨てられざる」a-paviddhaṃ と読んでのことか。しかしこれでは、対になる次次文のanapaviddhaṃの意味がとれなくなるのでおかしい。ここでは『原始』に近いニュアンスで補訳した。  
                       
                       
                       
    440-2.                
     Yo pana tassa dāne vāvaṭo ahosi uttaro nāma māṇavo.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yo    代的 (関係代名詞)  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      tassa    代的 それ、彼  
      dāne vāvaṭo ahosi uttaro nāma māṇavo. (439-3.)  
    訳文                
     しかし、彼の布施における営務官であったウッタラという名の青年、  
                       
                       
                       
    440-3.                
     So sakkaccaṃ dānaṃ datvā sahatthā dānaṃ datvā cittīkataṃ dānaṃ datvā anapaviddhaṃ dānaṃ datvā kāyassa bhedā paraṃ maraṇā sugatiṃ saggaṃ lokaṃ upapajji devānaṃ tāvatiṃsānaṃ sahabyataṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      sakkaccaṃ  sat-kṛ a 副対 恭敬して、恭しく  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      datvā  与える  
      語根 品詞 語基 意味  
      sahatthā    名形 a 自分の手  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      datvā  同上  
      cittīkataṃ  cit, kṛ a 副対 尊重した、誠心の  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      datvā  同上  
      anapaviddhaṃ  an-apa-vyadh 過分 a 捨てられざる  
      dānaṃ  a 布施、施与  
      datvā  同上  
      kāyassa    a 体、身体  
      bhedā  bhid a 破壊、不和合、離間、種類、区分  
      paraṃ    代的 副対 更に、他に、超えて  
      maraṇā  mṛ a 死 →死後に  
      sugatiṃ  su-gam i 善趣  
      saggaṃ    a  
      lokaṃ    a 世界  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upapajji  upa-pad 再生する、往生する  
      語根 品詞 語基 意味  
      devānaṃ    a 天、神  
      tāvatiṃsānaṃ    a 三十三〔天〕の  
      sahabyataṃ.   a 共住、友誼  
    訳文                
     彼は、恭しく布施を与え、自らの手より布施を与え、まごころをもって布施を与え、捨てられざる〔ものによる〕布施を与えて、身破れて死後、三十三天の神々の眷属として、善趣たる天界へ生まれ変わった。  
                       
                       
  ←前へ   トップへ   次へ→
inserted by FC2 system