←前へ   トップへ   次へ→
                       
                       
     8. Rajanīyasaṇṭhitasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Rajanīya  raj 未分 a 依(具) 染まるべき、貪染の、染心をあおる  
      saṇṭhita  saṃ-sthā 過分 a 依(属) 定立した、樹立した、構成した  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「染心定立経」(『相応部』22-70  
    メモ                
     ・『註』はrajanīyasaṇṭhitanti rajanīyena ākārena saṇṭhitaṃと述べている。『パーリ』はこれを「貪り染まるべき行相によって」としているが、ここではasの意味の具格と取ってみた。つまり「染心をあおるものとして定立したもの」であるが、いかにも長いため、経中ではsaṇṭhitaをコピュラとみなして略し、ただ「染心のもの」とした。  
                       
                       
                       
    70-1.                
     70. Sāvatthinidānaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sāvatthi    ī 有(処) 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      nidānaṃ.    a 因縁、因由  
    訳文                
     サーヴァッティーでのことである。  
                       
                       
                       
    70-2.                
     Atha kho aññataro bhikkhu…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      aññataro    代的 とある、随一の  
      bhikkhu…pe…  bhikṣ u 比丘  
    訳文                
     ときに、とある比丘が……  
                       
                       
                       
    70-3.                
     ekamantaṃ nisinno kho so bhikkhu bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐ったその比丘は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    70-4.                
     ‘‘sādhu me, bhante, bhagavā saṃkhittena dhammaṃ desetu, yamahaṃ bhagavato dhammaṃ sutvā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘sādhu  sādh 不変 善哉、なにとぞ  
      me,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhagavā    ant 世尊  
      saṃkhittena  saṃ-kṣip a 副具 要略すれば、簡潔には  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      desetu,  diś 使 示す  
      語根 品詞 語基 意味  
      yam    代的 男中 (関係代名詞)  
      ahaṃ    代的  
      bhagavato    ant 世尊  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sutvā…pe…  śru 聞く  
    訳文                
     「尊者よ、なにとぞ世尊は私のため、簡略に法を教示ください。私が世尊のその法を聞いて……  
                       
                       
                       
    70-5.                
     vihareyya’’nti.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vihareyya’’n  vi-hṛ 能反 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ……住することができるように」と。  
                       
                       
                       
    70-6.                
     ‘‘Yaṃ kho, bhikkhu, rajanīyasaṇṭhitaṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      rajanīya  raj 未分 a 依(具) 染まるべき、貪染の、染心をあおる  
      saṇṭhitaṃ;  saṃ-sthā 過分 a 定立した、樹立した、構成した  
    訳文                
     「比丘よ、およそ染心のもの。  
                       
                       
                       
    70-7.                
     tatra te chando pahātabbo’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      tatra    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      te    代的 あなた  
      chando    a 欲、意欲、志欲  
      pahātabbo’’  pra-hā 未分 a 捨断されるべき  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     あなたは、それに関する欲求を捨断すべきです」  
                       
                       
                       
    70-8.                
     ‘‘Aññātaṃ, bhagavā;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Aññātaṃ  ā-jñā 過分 a 了解された  
      bhagavā;    ant 世尊  
    訳文                
     「了解です、世尊よ。  
                       
                       
                       
    70-9.                
     aññātaṃ, sugatā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      aññātaṃ  ā-jñā 過分 a 了解された  
      sugatā’’  su-gam 名過分 a 善逝  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     了解です、善逝よ」  
                       
                       
                       
    70-10.                
     ‘‘Yathā kathaṃ pana tvaṃ, bhikkhu, mayā saṃkhittena bhāsitassa vitthārena atthaṃ ājānāsī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      mayā    代的  
      saṃkhittena  saṃ-kṣip a 副具 要略すれば、簡潔には  
      bhāsitassa  bhāṣ 名過分 a 語った、所説  
      vitthārena  vi-stṛ 使 a 副具 広説すれば、詳細には  
      atthaṃ    a 男中 義、意味  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ājānāsī’’  ā-jñā 了解する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しからば比丘よ、あなたは、私によって簡略に語られたことの詳細な意味を、いかように了解したのでしょうか」  
                       
                       
                       
    70-11.                
     ‘‘Rūpaṃ kho, bhante, rajanīyasaṇṭhitaṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Rūpaṃ    a 色、物質、肉体、形相  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      rajanīya  raj 未分 a 依(具) 染まるべき、貪染の、染心をあおる  
      saṇṭhitaṃ;  saṃ-sthā 過分 a 定立した、樹立した、構成した  
    訳文                
     「尊者よ、〈色〉は染心のものです。  
                       
                       
                       
    70-12.                
     tatra me chando pahātabbo.   
      語根 品詞 語基 意味  
      tatra    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      me    代的  
      chando    a 欲、意欲、志欲  
      pahātabbo.  pra-hā 未分 a 捨断されるべき  
    訳文                
     私は、それに関する欲求を捨断すべきです。  
                       
                       
                       
    70-13.                
     Vedanā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Vedanā…  vid ā 受、感受、苦痛  
    訳文                
     〈受〉は……  
                       
                       
                       
    70-14.                
     saññā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      saññā…  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
    訳文                
     〈想〉は……  
                       
                       
                       
    70-15.                
     saṅkhārā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      saṅkhārā…  saṃ-kṛ a 行、為作、潜勢力、現象  
    訳文                
     〈諸行〉は……  
                       
                       
                       
    70-16.                
     viññāṇaṃ rajanīyasaṇṭhitaṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      viññāṇaṃ  vi-jñā a  
      rajanīya  raj 未分 a 依(具) 染まるべき、貪染の、染心をあおる  
      saṇṭhitaṃ;  saṃ-sthā 過分 a 定立した、樹立した、構成した  
    訳文                
     〈識〉は染心のものです。  
                       
                       
                       
    70-17.                
     tatra me chando pahātabbo.   
      語根 品詞 語基 意味  
      tatra me chando pahātabbo. (70-12.)  
    訳文                
     私は、それに関する欲求を捨断すべきです。  
                       
                       
                       
    70-18.                
     Imassa khvāhaṃ, bhante, bhagavatā saṃkhittena bhāsitassa evaṃ vitthārena atthaṃ ājānāmī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Imassa    代的 これ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhagavatā    ant 世尊  
      saṃkhittena  saṃ-kṣip a 副具 要略すれば、簡潔には  
      bhāsitassa  bhāṣ 名過分 a 語った、所説  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vitthārena  vi-stṛ 使 a 副具 広説すれば、詳細には  
      atthaṃ    a 男中 義、意味  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ājānāmī’’  ā-jñā よく知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     尊者よ、私は、この世尊によって簡略に語られたことの詳細な意味を、このように了解したのです」  
                       
                       
                       
    70-19.                
     ‘‘Sādhu sādhu bhikkhu!   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sādhu  sādh u 善き、善哉、なにとぞ  
      sādhu,  sādh u 善き、善哉、なにとぞ  
      bhikkhu!  bhikṣ u 比丘  
    訳文                
     「善きかな、善きかな、比丘よ。  
                       
                       
                       
    70-20.                
     Sādhu kho tvaṃ, bhikkhu, mayā saṃkhittena bhāsitassa vitthārena atthaṃ ājānāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sādhu  sādh u 善き、善哉、なにとぞ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      tvaṃ, bhikkhu, mayā saṃkhittena bhāsitassa vitthārena atthaṃ ājānāsi. (70-10.)  
    訳文                
     善きかな、比丘よ、あなたは、私によって簡略に語られたことの詳細な意味を了解しています。  
                       
                       
                       
    70-21.                
     Rūpaṃ kho, bhikkhu, rajanīyasaṇṭhitaṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Rūpaṃ    a 色、物質、肉体、形相  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      rajanīya  raj 未分 a 依(具) 染まるべき、貪染の、染心をあおる  
      saṇṭhitaṃ;  saṃ-sthā 過分 a 定立した、樹立した、構成した  
    訳文                
     比丘よ、〈色〉は染心のものです。  
                       
                       
                       
    70-22.                
     tatra te chando pahātabbo.   
      語根 品詞 語基 意味  
      tatra te chando pahātabbo. (70-7.)  
    訳文                
     あなたは、それに関する欲求を捨断すべきです。  
                       
                       
                       
    70-23.                
     Vedanā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Vedanā…  vid ā 受、感受、苦痛  
    訳文                
     〈受〉は……  
                       
                       
                       
    70-24.                
     saññā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      saññā…  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
    訳文                
     〈想〉は……  
                       
                       
                       
    70-25.                
     saṅkhārā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      saṅkhārā…  saṃ-kṛ a 行、為作、潜勢力、現象  
    訳文                
     〈諸行〉は……  
                       
                       
                       
    70-26.                
     viññāṇaṃ rajanīyasaṇṭhitaṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      viññāṇaṃ rajanīyasaṇṭhitaṃ; (70-16.)  
    訳文                
     〈識〉は非我所です。  
                       
                       
                       
    70-27.                
     tatra te chando pahātabbo.   
      語根 品詞 語基 意味  
      tatra te chando pahātabbo. (70-7.)  
    訳文                
     あなたは、それに関する欲求を捨断すべきです。  
                       
                       
                       
    70-28.                
     Imassa kho, bhikkhu, mayā saṃkhittena bhāsitassa evaṃ vitthārena attho daṭṭhabbo’’ti…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Imassa kho, bhikkhu, mayā saṃkhittena bhāsitassa evaṃ vitthārena attho daṭṭhabbo’’ti…pe…  (70-10, 18.)  
      attho    a 男中 義、意味  
      daṭṭhabbo’’  dṛś 未分 a 見られるべき  
    訳文                
     比丘よ、この私によって簡略に語られたことの詳細な意味は、このように見られるべきです」……  
                       
                       
                       
    70-29.                
     aññataro ca pana so bhikkhu arahataṃ ahosīti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      aññataro    代的 随一の、二者の一、とある、一つの  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      arahataṃ  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosī  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ……その比丘もまた、阿羅漢たちの一人となったのである。  
                       
                       
                       
     Aṭṭhamaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Aṭṭhamaṃ.    a 第八の  
    訳文                
     第八〔経〕。  
                       
                       
  ←前へ   トップへ   次へ→
inserted by FC2 system