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     4. Bākulasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Bākula    a 依(属) 人名、バークラ  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「バークラ経」(『中部』124  
                       
                       
                       
    209-1.                
     209. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      me    代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 所聞、聞かれた  
    訳文                
     このように私は聞いた。  
                       
                       
                       
    209-2.                
     ekaṃ samayaṃ āyasmā bākulo [bakkulo (sī. syā. kaṃ. pī.)] rājagahe viharati veḷuvane kalandakanivāpe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      bākulo    a 人名、バークラ  
      rājagahe    a 地名、ラージャガハ、王舎城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      veḷuvane    a 竹林  
      kalandakanivāpe.  ni-vap a 地名、カランダカニヴァーパ(リスの餌場)  
    訳文                
     あるとき尊者バークラは、王舎城の竹林にあるカランダカニヴァーパに住していた。  
                       
                       
                       
    209-3.                
     Atha kho acelakassapo āyasmato bākulassa purāṇagihisahāyo yenāyasmā bākulo tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      acela    a 衣のない、裸形の  
      kassapo    a 人名、カッサパ  
      āyasmato    ant 尊者、具寿  
      bākulassa    a 人名、バークラ  
      purāṇa    名形 a 昔の、以前の、古い  
      gihi    名形 in, ī 依(処) 在家の  
      sahāyo  saha-i a 朋友、仲間  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      bākulo    a 人名、バークラ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに、尊者バークラの在家時代の古い友人である裸行者カッサパが、尊者バークラのもとへ近づいた。  
    メモ                
     ・『長部』「大獅子吼経」にも裸行者カッサパなる人物が出て、釈尊と対話し、出家して阿羅漢となっている。本経とは経緯が異なるわけで、これは同名の別人か。  
     ・そもそもバークラが出家して八十年となるというから、その出家が釈尊成道以降のこととすれば本経は少なくとも釈尊入滅後三十五年は経過している計算になるから、時代が違う可能性もある。  
     ・じっさい『註』は「この経は第二結集で合誦されたものである」Idaṃ pana suttaṃ dutiyasaṅgahe saṅgītanti.としている。  
                       
                       
                       
    209-4.                
     upasaṅkamitvā āyasmatā bākulena saddhiṃ sammodi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      āyasmatā    ant 尊者、具寿  
      bākulena    a 人名、バークラ  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodi.  saṃ-mud 相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     近づいて、尊者バークラとともに挨拶した。  
                       
                       
                       
    209-5.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わして、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    209-6.                
     Ekamantaṃ nisinno kho acelakassapo āyasmantaṃ bākulaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      acela    a 衣のない、裸形の  
      kassapo    a 人名、カッサパ  
      āyasmantaṃ    ant 尊者、具寿  
      bākulaṃ    a 人名、バークラ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐った裸行者カッサパは、尊者バークラへこう言った。  
                       
                       
                       
    209-7.                
     ‘‘Kīvaciraṃ pabbajitosi, āvuso bākulā’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kīva    不変 どれだけ、どれほど  
      ciraṃ    a 副対 久しく  
      pabbajito  pra-vraj 名過分 a 出家  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asi,  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      āvuso    不変 友よ  
      bākulā’’    a 人名、バークラ  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友、バークラよ、あなたは出家してどれだけになりますか」と。  
                       
                       
                       
    209-8.                
     ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti    i 八十  
      me,    代的 属絶  
      āvuso,    不変 友よ  
      vassāni  vṛṣ a 雨、安居、年  
      pabbajitassā’’  pra-vraj 名過分 a 属絶 出家  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、私が出家して、八十年になります」  
                       
                       
                       
    209-9.                
     ‘‘Imehi pana te, āvuso bākula, asītiyā vassehi katikkhattuṃ methuno dhammo paṭisevito’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Imehi    代的 これら  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      te,    代的 あなた  
      āvuso    不変 友よ  
      bākula,    a 人名、バークラ  
      asītiyā    i 八十  
      vassehi  vṛṣ a 雨、安居、年  
      kati    不変 いくら、どれだけ  
      khattuṃ    不変 度、回  
      methuno    名形 a 中→男 婬、婬欲、交会  
      dhammo  dhṛ a 男中  
      paṭisevito’’  prati-sev 過分 a 受用された、行われた  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しからば友、バークラよ、それら八十年で、あなたには何回、婬法が行われたのでしょうか」  
                       
                       
                       
    209-10.                
     ‘‘Na kho maṃ, āvuso kassapa, evaṃ pucchitabbaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      maṃ,    代的  
      āvuso    不変 友よ  
      kassapa,    a 人名、カッサパ  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      pucchitabbaṃ –  prach 未分 a 問われるべき  
    訳文                
     「友、カッサパよ、私に対し、そのように問われるべきではありません。  
                       
                       
                       
    209-11.                
     ‘imehi pana te, āvuso bākula, asītiyā vassehi katikkhattuṃ methuno dhammo paṭisevito’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘imehi pana te, āvuso bākula, asītiyā vassehi katikkhattuṃ methuno dhammo paṭisevito’ti. (209-9.)  
    訳文                
     『しからば友、バークラよ、それら八十年で、あなたには何回、婬法が行われたのでしょうか』とは。  
                       
                       
                       
    209-12.                
     Evañca kho maṃ, āvuso kassapa, pucchitabbaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evañca kho maṃ, āvuso kassapa, pucchitabbaṃ – (209-10.)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     友、カッサパよ、私に対しては、このように問われるべきです。  
                       
                       
                       
    209-13.                
     ‘imehi pana te, āvuso bākula, asītiyā vassehi katikkhattuṃ kāmasaññā uppannapubbā’’’ti? ( ) [(imehi pana te āvuso bakkula asītiyo vassehi katikkhattuṃ kāmasaññā uppannapubbāti.) (sī. pī.)]  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘imehi pana te, āvuso bākula, asītiyā vassehi katikkhattuṃ kāmasaññā uppannapubbā’’’ti? (209-9.)  
      kāma    a 男中 依(属)  
      saññā  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
      uppanna  ud-pad 過分 a 有(持) 生起した、発生した  
      pubbā’’’    代的 過去の  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『しからば友、バークラよ、それら八十年で、あなたには何回、欲想が過去に起こったのでしょうか』と。  
    メモ                
     ・異版の()は、カッサパがそのように問い直した台詞と思われるが、ここでは割愛した。  
                       
                       
                       
    210-1.                
     210. ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi kāmasaññaṃ uppannapubbaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti    i 八十  
      me,    代的 属絶  
      āvuso,    不変 友よ  
      vassāni  vṛṣ a 雨、安居、年  
      pabbajitassa  pra-vraj 名過分 a 属絶 出家  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhijānāmi  abhi-jñā 証知する、自証する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kāma    a 男中 依(属)  
      saññaṃ  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
      uppanna  ud-pad 過分 a 有(持) 生起した、発生した  
      pubbaṃ.    代的 過去の  
    訳文                
     友よ、私は出家して八十年になりますが、欲想が過去に起こったことを、私は記憶していません」  
                       
                       
                       
    210-2.                
     Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti kāmasaññaṃ uppannapubbaṃ idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      bākulo    a 人名、バークラ  
      asītiyā    i 八十  
      vassehi  vṛṣ a 雨、安居、年  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhijānāti  abhi-jñā 証知する、自証する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kāmasaññaṃ uppannapubbaṃ (210-1.)  
      idam    代的 これ  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      mayaṃ    代的 私たち  
      āyasmato    ant 尊者、具寿  
      bākulassa    a 人名、バークラ  
      acchariyaṃ    a 希有の  
      abbhuta  a-bhū 名形 a 未曾有の  
      dhammaṃ  dhṛ a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dhārema.  dhṛ 使 保持する、憶持する  
    訳文                
     およそ尊者バークラが八十年で、欲想が過去に起こったことを記憶していないという、そのこと。我々はそのことを、尊者バークラの希有未曾有法として憶持すべし。  
    メモ                
     ・「Yaṃpāyasmā云々の諸句は、全ての繰り返しにおいて、法の〔第二〕結集における長老たちにより、決定して置かれたものである」Yaṃpāyasmātiādīni padāni sabbavāresu dhammasaṅgāhakattherehi niyametvā ṭhapitāni.と『註』はしている。これに従った。  
                       
                       
                       
    210-3.                
     ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi byāpādasaññaṃ…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi byāpādasaññaṃ…pe… (210-1.)  
      byāpāda  vi-ā-pad a 依(属) 瞋恚  
    訳文                
     「友よ、私は出家して八十年になりますが、瞋想が過去に起こったことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    210-4.                
     vihiṃsāsaññaṃ uppannapubbaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      vihiṃsā  vi-hiṃs ā 依(属) 害意、悩害  
      sāsaññaṃ uppannapubbaṃ. (210-1.)  
    訳文                
     ……害想〔が過去に起こったことを、私は記憶していません〕」  
                       
                       
                       
    210-5.                
     Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti vihiṃsāsaññaṃ uppannapubbaṃ, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti vihiṃsāsaññaṃ uppannapubbaṃ, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema. (210-1, 4.)  
    訳文                
     およそ尊者バークラが八十年で、害想が過去に起こったことを記憶していないという、そのこと。我々はそのことを、尊者バークラの希有未曾有法として憶持すべし。  
                       
                       
                       
    210-6.                
     ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi kāmavitakkaṃ uppannapubbaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi kāmavitakkaṃ uppannapubbaṃ. (210-1.)  
      vitakkaṃ    a 尋、尋求、思惟、考察  
    訳文                
     「友よ、私は出家して八十年になりますが、欲尋が過去に起こったことを、私は記憶していません」  
                       
                       
                       
    210-7.                
     Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti kāmavitakkaṃ uppannapubbaṃ, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti kāmavitakkaṃ uppannapubbaṃ, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema. (210-2, 6.)  
    訳文                
     およそ尊者バークラが八十年で、欲尋が過去に起こったことを記憶していないという、そのこと。我々はそのことを、尊者バークラの希有未曾有法として憶持すべし。  
                       
                       
                       
    210-8.                
     ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi byāpādavitakkaṃ…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi byāpādavitakkaṃ…pe… (210-3, 6.)  
    訳文                
     「友よ、私は出家して八十年になりますが、瞋尋が過去に起こったことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    210-9.                
     vihiṃsāvitakkaṃ uppannapubbaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      vihiṃsāvitakkaṃ uppannapubbaṃ. (210-4, 6.)  
    訳文                
     ……害尋〔が過去に起こったことを、私は記憶していません〕」  
                       
                       
                       
    210-10.                
     Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti vihiṃsāvitakkaṃ uppannapubbaṃ, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti vihiṃsāvitakkaṃ uppannapubbaṃ, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema. (210-5, 6.)  
    訳文                
     およそ尊者バークラが八十年で、害尋が過去に起こったことを記憶していないという、そのこと。我々はそのことを、尊者バークラの希有未曾有法として憶持すべし。  
                       
                       
                       
    211-1.                
     211. ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi gahapaticīvaraṃ sāditā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi (210-1.)  
      gahapati    i 依(奪) 家主、居士、資産家  
      cīvaraṃ    a  
      sāditā.  svad ar 享受者  
    訳文                
     「友よ、私は出家して八十年になりますが、居士からの衣を享受したことを、私は記憶していません」  
                       
                       
                       
    211-2.                
     Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti gahapaticīvaraṃ sāditā, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti gahapaticīvaraṃ sāditā, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema. (210-2, 211-1.)  
    訳文                
     およそ尊者バークラが八十年で、居士からの衣を享受したことを記憶していないという、そのこと。我々はそのことを、尊者バークラの希有未曾有法として憶持すべし。  
                       
                       
                       
    211-3.                
     ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi satthena cīvaraṃ chinditā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi (210-1.)  
      satthena    a 刀、剣  
      cīvaraṃ    a  
      chinditā.  chid ar 切断者  
    訳文                
     「友よ、私は出家して八十年になりますが、刀で衣を裁断したことを、私は記憶していません」  
                       
                       
                       
    211-4.                
     Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti satthena cīvaraṃ chinditā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti satthena cīvaraṃ chinditā…pe… (210-2, 211-3.)  
    訳文                
     およそ尊者バークラが八十年で、刀で衣を裁断したことを記憶していないという……  
                       
                       
                       
    211-5.                
     dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      dhārema.(210-2.)  
    訳文                
     ……憶持すべし。  
                       
                       
                       
    211-6.                
     ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi sūciyā cīvaraṃ sibbitā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi (210-1.)  
      sūciyā    i  
      cīvaraṃ    a  
      sibbitā…pe…  sīv ar 裁縫者  
    訳文                
     「友よ、私は出家して八十年になりますが、針で衣を裁縫したことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-7.                
     nābhijānāmi rajanena cīvaraṃ rajitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      cīvaraṃ    a  
      rajitā…  raj ar 染色者  
    訳文                
     衣を染めたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-8.                
     nābhijānāmi kathine [kaṭhine (sī. syā. kaṃ. pī.)] cīvaraṃ sibbitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi kathine cīvaraṃ sibbitā… (211-6.)  
      kathine    a カティナ衣(綿衣)  
    訳文                
     カティナ衣について衣を裁縫したことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-9.                
     nābhijānāmi sabrahmacārīnaṃ cīvarakamme vicāritā [sabrahmacārī cīvarakamme byāpāritā (sī. pī.)] …   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      sabrahmacārīnaṃ  sa-bṛh, car in 同梵行者  
      cīvara    a 依(属)  
      kamme  kṛ an 業、行為 →作衣  
      vyāpāritā vi-ā-pṛ ar 営務者、従事者  
    訳文                
     同梵行者たちの作衣に従事したことを、私は記憶していません……  
    メモ                
     ・一部異版を採用。  
                       
                       
                       
    211-10.                
     nābhijānāmi nimantanaṃ sāditā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      nimantanaṃ    a 招待  
      sāditā…  svad ar 享受者  
    訳文                
     招待を享受したことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-11.                
     nābhijānāmi evarūpaṃ cittaṃ uppannapubbaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      evarūpaṃ    a かくのごとき  
      cittaṃ  cit a  
      uppanna  ud-pad 過分 a 有(持) 生起した、発生した  
      pubbaṃ –    代的 過去の  
    訳文                
     かくのごとき心が過去に起こったことを、私は記憶していません。  
                       
                       
                       
    211-12.                
     ‘aho vata maṃ koci nimanteyyā’ti…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘aho    不変 ああ(感嘆詞)  
      vata    不変 じつに  
      maṃ    代的  
      koci    代的 何らかの、何者であれ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nimanteyyā’  manteyyā’  招待する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti…    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     〔すなわち〕『ああ、誰かが私を招待しないだろうか』という〔心を〕……  
                       
                       
                       
    211-13.                
     nābhijānāmi antaraghare nisīditā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      antara    名形 a 依(属) 中の  
      ghare    a 家、俗家  
      nisīditā…  ni-sad ar 坐者  
    訳文                
     家の中で坐ったことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-14.                
     nābhijānāmi antaraghare bhuñjitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi antaraghare (211-13.)  
      bhuñjitā…  bhuj  ar 受用者  
    訳文                
     家の中で受用したことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-15.                
     nābhijānāmi mātugāmassa anubyañjanaso nimittaṃ gahetā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      mātugāmassa    a 女性、婦人  
      anubyañjanaso  anu-vi-añj a 副奪 随相  
      nimittaṃ    a 相、特相  
      gahetā…  grah ar 把持者  
    訳文                
     婦人の相を詳しく把持したことを、私は記憶していません……  
    メモ                
     ・PTS辞書によれば、anubyañjanasoとはin detailということである。  
                       
                       
                       
    211-16.                
     nābhijānāmi mātugāmassa dhammaṃ desitā antamaso catuppadampi gāthaṃ…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      mātugāmassa    a 女性、婦人  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      desitā  diś 使 ar 説示者  
      antamaso    a 副奪 乃至  
      catu    有(帯)  
      padam    a 歩、句  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      gāthaṃ…    ā  
    訳文                
     たとえ四句の偈であれ、婦人へ法を説いたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-17.                
     nābhijānāmi bhikkhunupassayaṃ upasaṅkamitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      bhikkhuni  bhikṣ i 依(属) 比丘  
      upassayaṃ  upa-śri a 住房  
      upasaṅkamitā…  upa-saṃ-kram ar 接近者  
    訳文                
     比丘尼の住房へ近づいたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-18.                
     nābhijānāmi bhikkhuniyā dhammaṃ desitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi bhikkhuniyā dhammaṃ desitā… (211-15.)  
      bhikkhuniyā  bhikṣ ī 比丘尼  
    訳文                
     比丘尼へ法を説いたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-19.                
     nābhijānāmi sikkhamānāya dhammaṃ desitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi sikkhamānāya dhammaṃ desitā… (211-15.)  
      sikkhamānāya  śiks 名現分 ā 式叉摩那、正学女  
    訳文                
     式叉摩那へ法を説いたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-20.                
     nābhijānāmi sāmaṇeriyā dhammaṃ desitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi sāmaṇeriyā dhammaṃ desitā… (211-15.)  
      sāmaṇeriyā  śram ī 沙弥尼  
    訳文                
     沙弥尼へ法を説いたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-21.                
     nābhijānāmi pabbājetā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      pabbājetā…  pra-vraj 使 ar 令出家者  
    訳文                
     出家させたことを、私は記憶していません……  
    メモ                
     ・並びからして、女性を、であろうか。  
                       
                       
                       
    211-22.                
     nābhijānāmi upasampādetā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      upasampādetā…  upa-sam-pad 使 ar 令受戒者  
    訳文                
     受戒させたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-23.                
     nābhijānāmi nissayaṃ dātā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      nissayaṃ  ni-śri a 依止、所依  
      dātā…  ar 施者、施与者  
    訳文                
     依止を与えたことを、私は記憶していません……  
    メモ                
     ・このnissayaとは、新人の比丘が和尚の元で規定の五年を学んで、まだ進歩のないときの後援指導をいったものであるらしい。  
                       
                       
                       
    211-24.                
     nābhijānāmi sāmaṇeraṃ upaṭṭhāpetā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      sāmaṇeraṃ  śram a 沙弥  
      upaṭṭhāpetā…  upa-sthā 使 ar 令奉仕者  
    訳文                
     沙弥に仕えさせたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-25.                
     nābhijānāmi jantāghare nhāyitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      jantāghare    a 温室、浴室  
      nhāyitā…  snā ar 沐浴者  
    訳文                
     浴室で沐浴したことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-26.                
     nābhijānāmi cuṇṇena nhāyitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      cuṇṇena  carv 名過分 a 粉末、洗粉  
      nhāyitā…  snā ar 沐浴者  
    訳文                
     洗粉で沐浴したことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-27.                
     nābhijānāmi sabrahmacārīgattaparikamme vicāritā [byāpāritā (sī. pī.)] …   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      sabrahmacārī  sa-bṛh, car in 依(属) 同梵行者  
      gatta    a 依(属) 肢体、身体  
      parikamme  pari-kṛ a 浄治、準備、予備動作  
      vyāpāritā…  vi-ā-pṛ ar 営務者、従事者  
    訳文                
     同梵行者たちの身体の按摩に従事したことを、私は記憶していません……  
    メモ                
     ・ここも異版の形を採用。  
     ・Gattaparikammeti sarīrasambāhanakamme.という『註』に従って意訳した。  
                       
                       
                       
    211-28.                
     nābhijānāmi ābādhaṃ uppannapubbaṃ, antamaso gaddūhanamattampi…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      ābādhaṃ  ā-bādh a 病気  
      uppanna  ud-pad 過分 a 有(持) 生起した、発生した  
      pubbaṃ,    代的 過去の  
      antamaso    a 副奪 乃至  
      gaddūhana    a 僅少  
      mattam    a 量、適量、少量、のみ  
      pi…    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
    訳文                
     ごく僅かですら、病気が過去に起こったことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-29.                
     nābhijānāmi bhesajjaṃ upaharitā, antamaso haritakikhaṇḍampi…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      bhesajjaṃ    a 薬、医薬品  
      upaharitā,  upa-hṛ ar 将来者  
      antamaso    a 副奪 乃至  
      haritaki    i 依(属) ハリタキ  
      khaṇḍam    a 男中 破片、断片  
      pi…    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
    訳文                
     ハリタキ草の欠片ですら、薬をとらなかったことを、私は記憶していません……  
    メモ                
     ・Haritaka (nt.) [harita+ka] a pot -- herb の異体と見た。  
                       
                       
                       
    211-30.                
     nābhijānāmi apassenakaṃ apassayitā…   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      apassenakaṃ  apa-śri a 寄りかかるもの  
      apassayitā…  apa-śri ar 依止者  
    訳文                
     凭れ板に寄りかかったことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-31.                
     nābhijānāmi seyyaṃ kappetā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      nābhijānāmi (210-1.)  
      seyyaṃ  śī ā 臥処、臥床  
      kappetā.  klp ar 整備者  
    訳文                
     臥床を整えたことを、私は記憶していません……  
                       
                       
                       
    211-32.                
     Yaṃpāyasmā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃpāyasmā…pe… (210-2.)  
    訳文                
     およそ尊者……  
                       
                       
                       
    211-33.                
     dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      dhārema. (210-2.)  
    訳文                
     ……憶持すべし。  
                       
                       
                       
    211-34.                
     ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi gāmantasenāsane vassaṃ upagantā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Asīti me, āvuso, vassāni pabbajitassa nābhijānāmi (210-1.)  
      gāma    a 依(属)  
      anta    a 依(処) 極、辺  
      sena  śī a 臥具、臥処  
      āsane  ās a 坐具、坐処  
      vassaṃ  vṛṣ a 男中 雨、安居、年  
      upagantā.  upa-gam ar 接近者、着手者  
    訳文                
     「友よ、私は出家して八十年になりますが、村はずれの臥坐処で安居に入ったことを、私は記憶していません」  
                       
                       
                       
    211-35.                
     Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti gāmantasenāsane vassaṃ upagantā, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃpāyasmā bākulo asītiyā vassehi nābhijānāti gāmantasenāsane vassaṃ upagantā, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema. (210-2, 211-34.)  
    訳文                
     およそ尊者バークラが八十年で、村はずれの臥坐処で安居に入ったことを記憶していないという、そのこと。我々はそのことを、尊者バークラの希有未曾有法として憶持すべし。  
                       
                       
                       
    211-36.                
     ‘‘Sattāhameva kho ahaṃ, āvuso, saraṇo raṭṭhapiṇḍaṃ bhuñjiṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Satta     
      aham    a 副対  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      āvuso,    不変 友よ  
      saraṇo    a 有争の  
      raṭṭha    a 依(属) 国、王国  
      piṇḍaṃ    a 円いもの、団食  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhuñjiṃ;  bhuj 受用する  
    訳文                
     「友よ、私は七日の間だけ、有争の者として国の団食を受用しました。  
    メモ                
     ・『註』はsaraṇoを「煩悩ある」sakilesoと換言する。八日目からは煩悩なく受用した、ということか。  
                       
                       
                       
    211-37.                
     atha aṭṭhamiyaṃ aññā udapādi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      aṭṭhamiyaṃ    ī 第八日  
      aññā  ā-jñā ā 了知、完全智  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      udapādi.  ud-pad 生ずる  
    訳文                
     そして八日目に了知が生じたのでした」  
                       
                       
                       
    211-38.                
     Yaṃpāyasmā bākulo sattāhameva saraṇo raṭṭhapiṇḍaṃ bhuñji;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃpāyasmā bākulo sattāhameva saraṇo raṭṭhapiṇḍaṃ bhuñji; (210-2, 211-36.)  
    訳文                
     およそ尊者バークラが七日の間だけ、有争の者として国の団食を受用し、  
                       
                       
                       
    211-39.                
     atha aṭṭhamiyaṃ aññā udapādi idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema.  
      語根 品詞 語基 意味  
      atha aṭṭhamiyaṃ aññā udapādi idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema. (210-2, 211-37.)  
    訳文                
     そして八日目に了知が生じたという、そのこと。我々はそのことを、尊者バークラの希有未曾有法として憶持すべし。  
                       
                       
                       
    212-1.                
     212. ‘‘Labheyyāhaṃ, āvuso bākula, imasmiṃ dhammavinaye pabbajjaṃ, labheyyaṃ upasampada’’nti.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Labheyya  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ahaṃ,    代的  
      āvuso    不変 友よ  
      bākula,    a 人名、バークラ  
      imasmiṃ    代的 これ  
      dhamma  dhṛ a 男中  
      vinaye  vi-nī a  
      pabbajjaṃ,  pra-vraj ā 出家  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      labheyyaṃ    能反 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      upasampada’’n  upa-saṃ-pad ā 具足、受戒  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友、バークラよ、私はこの法と律において、出家することを得、具足戒を得たくおもいます」  
                       
                       
                       
    212-2.                
     Alattha kho acelakassapo imasmiṃ dhammavinaye pabbajjaṃ, alattha upasampadaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Alattha  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      acela    a 衣のない、裸形の  
      kassapo    a 人名、カッサパ  
      imasmiṃ    代的 これ  
      dhamma  dhṛ a 男中  
      vinaye  vi-nī a  
      pabbajjaṃ,  pra-vraj ā 出家  
      alattha  同上  
      upasampadaṃ.  upa-saṃ-pad ā 具足、受戒  
    訳文                
     裸行者カッサパは、この法と律において、出家することを得、具足戒を得た。  
                       
                       
                       
    212-3.                
     Acirūpasampanno panāyasmā kassapo eko vūpakaṭṭho appamatto ātāpī pahitatto viharanto nacirasseva –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Acira    a 有(奪) 久しからず、暫時の  
      upasampanno  upa-saṃ-pad 過分 a 受戒した  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      kassapo    a 人名、カッサパ  
      eko    代的 一、とある  
      vūpakaṭṭho  wi-ava-kṛṣ 過分 a 遠離した  
      appamatto    a 不放逸の  
      ātāpī  ā-tap in 熱心の、熱意ある  
      pahita  pra-dhā 過分 a 有(持) 熱心な、努めた  
      atto    a 自分  
      viharanto  vi-hṛ 現分 ant 住する  
      na    不変 ない  
      acirassa    a 男中 副属 ひさしく  
      eva –    不変 まさに、のみ、じつに  
    訳文                
     そして受戒してすぐに、尊者カッサパはひとり遠離し、不放逸に、熱心に、自ら励んで住し、久しからずして、  
                       
                       
                       
    212-4.                
     yassatthāya kulaputtā sammadeva agārasmā anagāriyaṃ pabbajanti tadanuttaraṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      yassa    代的 男中 (関係代名詞)  
      atthāya    a 男中  
      kula    a 依(属) 家、良家、族姓  
      puttā    a 息子 →善男子  
      sammā   不変 正しい、正しく  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      agārasmā    a 家、舎、家屋、俗家  
      anagāriyaṃ    a 非家の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pabbajanti  pra-vraj 出家する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tad    代的 それ  
      anuttaraṃ –    代的 無上の  
    訳文                
     善男子たちがそれを目的として正しく俗家から出家をなすところの、かの無上なるもの、  
                       
                       
                       
    212-5.                
     brahmacariyapariyosānaṃ diṭṭheva dhamme sayaṃ abhiññā sacchikatvā upasampajja vihāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      brahmacariya  bṛh, car a 依(属) 梵行  
      pariyosānaṃ  pari-ava-sā a 終結、完了  
      diṭṭhe  dṛś 過分 a 男中 見られた、見、所見  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      dhamme  dhṛ a 男中 法 →現法、現世  
      sayaṃ    不変 自ら、自分で  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhiññā  abhi-jñā 証知する、自証する  
      sacchikatvā  kṛ 作証する、証明をなす、さとる  
      upasampajja  upa-saṃ-pad 到達する、成就する、具足する  
      vihāsi.  vi-hṛ 住する  
    訳文                
     〔すなわち〕梵行の完成を現法において自ら証知し、作証し、成就して住した。  
                       
                       
                       
    212-6.                
     ‘Khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’ti abbhaññāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Khīṇā  kṣī 受 過分 ā 尽きた  
      jāti,  jan i  
      vusitaṃ  ava-sā? 過分 a 完成した  
      brahmacariyaṃ,  bṛh, car a 梵行  
      kataṃ  kṛ 過分 a なされた  
      karaṇīyaṃ,  kṛ 名未分 a なされるべきこと  
      na    不変 ない  
      aparaṃ    代的 副対 後、他  
      itthattāyā’    a かくの如き状態、現状、ここ[輪廻]の状態、  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhaññāsi.  abhi-jñā 証知する、自証する  
    訳文                
     「生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ない」と自証した。  
                       
                       
                       
    212-7.                
     Aññataro kho panāyasmā kassapo arahataṃ ahosi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Aññataro    代的 随一の、二者の一、とある、一つの  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      kassapo    a 人名、カッサパ  
      arahataṃ  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi.  bhū ある、なる  
    訳文                
     じつに、尊者カッサパもまた、阿羅漢たちの一人となったのである。  
                       
                       
                       
    212-8.                
     Atha kho āyasmā bākulo aparena samayena avāpuraṇaṃ [apāpuraṇaṃ (sī. syā. kaṃ. pī.)] ādāya vihārena vihāraṃ upasaṅkamitvā evamāha –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      bākulo    a 人名、バークラ  
      aparena    代的 副具 他の、後の  
      samayena    a 副具  
      avāpuraṇaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādāya  ā-dā 取る  
      語根 品詞 語基 意味  
      vihārena  vi-hṛ a 住、精舎、僧房  
      vihāraṃ  vi-hṛ a 住、精舎、僧房  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āha –  ah いう  
    訳文                
     ときに尊者バークラは、後日、鍵を取って僧房から僧房へと近づいて、このように言った。  
                       
                       
                       
    212-9.                
     ‘‘abhikkamathāyasmanto, abhikkamathāyasmanto.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘abhikkamatha  abhi-kram 去る、出発する  
      語根 品詞 語基 意味  
      āyasmanto,    ant 尊者、具寿  
      abhikkamatha  同上  
      āyasmanto.    ant 尊者、具寿  
    訳文                
     「立ち去られよ、尊者がた。立ち去られよ、尊者がた。  
                       
                       
                       
    212-10.                
     Ajja me parinibbānaṃ bhavissatī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ajja    不変 今日、いま  
      me    代的  
      parinibbānaṃ  pari-nir-vā? a 般涅槃、円寂  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissatī’’  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     私は今日、般涅槃します」と。  
    メモ                
     ・parinibbānaの語が、成覚ではなく、成覚した人間の死をさして用いられている。これはニカーヤに一貫した用法かどうか、今後も要注意。  
                       
                       
                       
    212-11.                
     ‘‘Yaṃpāyasmā bākulo avāpuraṇaṃ ādāya vihārena vihāraṃ upasaṅkamitvā evamāha –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yaṃpāyasmā bākulo avāpuraṇaṃ ādāya vihārena vihāraṃ upasaṅkamitvā evamāha – (210-2, 211-38.)  
    訳文                
     およそ尊者バークラが鍵を取って僧房から僧房へと近づき、  
    メモ                
     ・訳を一部後へ。  
                       
                       
                       
    212-12.                
     ‘abhikkamathāyasmanto, abhikkamathāyasmanto;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘abhikkamathāyasmanto, abhikkamathāyasmanto; (212-9.)  
    訳文                
     「立ち去られよ、尊者がた。立ち去られよ、尊者がた。  
                       
                       
                       
    212-13.                
     ajja me parinibbānaṃ bhavissatī’ti, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema’’.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ajja me parinibbānaṃ bhavissatī’ti, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhārema’’. (210-2, 211-39.)  
    訳文                
     私は今日、般涅槃します」とそのように言った、そのこと。我々はそのことを、尊者バークラの希有未曾有法として憶持すべし。  
                       
                       
                       
    212-14.                
     Āyasmā bākulo majjhe bhikkhusaṅghassa nisinnakova parinibbāyi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Āyasmā    ant 尊者、具寿  
      bākulo    a 人名、バークラ  
      majjhe    名形 a 中の、中間の  
      bhikkhu  bhikṣ u 依(属) 比丘  
      saṅghassa  saṃ-hṛ a 僧伽、衆  
      nisinnako  ni-sad a 坐って  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      parinibbāyi.  pari-nir-vā? 般涅槃する  
    訳文                
     尊者バークラは比丘僧伽の中心で、坐って般涅槃した。  
                       
                       
                       
    212-15.                
     ‘‘Yaṃpāyasmā bākulo majjhe bhikkhusaṅghassa nisinnakova parinibbāyi, idampi mayaṃ āyasmato bākulassa acchariyaṃ abbhutadhammaṃ dhāremā’’ti.