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     8. Abhayarājakumārasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Abhaya    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumāra    a 依(属) 童子  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「アバヤ王子経」(『中部』58  
                       
                       
                       
    83-1.                
     83. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ   不変 このように  
      me   代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた、所聞  
    訳文                
     このように私は聞いた。  
                       
                       
                       
    83-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā rājagahe viharati veḷuvane kalandakanivāpe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      rājagahe    a 地名、ラージャガハ、王舎城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      veḷu    u 依(属)  
      vane    a  
      kalandaka    a 有(属) リス  
      nivāpe.  ni-vap a 撒き餌、えさ  
    訳文                
     あるとき世尊は、ラージャガハの竹林にあるリス飼育所に住しておられた。  
                       
                       
                       
    83-3.                
     Atha kho abhayo rājakumāro yena nigaṇṭho nāṭaputto tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      abhayo    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumāro    a 童子  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      nigaṇṭho    a 人名、ニガンタ、ジャイナ教徒  
      nāṭaputto    a 人名、ナータプッタ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに、アバヤ王子はニガンタ・ナータプッタのもとへ近づいた。  
    メモ                
     ・アバヤ王子について『註』は「ビンビサーラの嗣子」bimbisārassa orasaputtoであるとしている。アジャータサットゥの兄弟であろうか。あるいは阿闍世本人の別名か。  
     ・ニガンタが登場するということは、『長部』「清浄経」などニガンタ没後の事跡を述べた諸経よりも前の出来事ということになる。『中部』56「ウパーリ経」とはいずれが先のことであろうか。  
                       
                       
                       
    83-4.                
     upasaṅkamitvā nigaṇṭhaṃ nāṭaputtaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      nigaṇṭhaṃ    a 人名、ニガンタ、ジャイナ教徒  
      nāṭaputtaṃ    a 人名、ナータプッタ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     近づいて、ニガンタ・ナータプッタへ礼拝し、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    83-5.                
     Ekamantaṃ nisinnaṃ kho abhayaṃ rājakumāraṃ nigaṇṭho nāṭaputto etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinnaṃ  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      abhayaṃ    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumāraṃ    a 童子  
      nigaṇṭho    a 人名、ニガンタ、ジャイナ教徒  
      nāṭaputto    a 人名、ナータプッタ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐ったアバヤ王子へ、ニガンタ・ナータプッタはこういった。  
                       
                       
                       
    83-6.                
     ‘‘ehi tvaṃ, rājakumāra, samaṇassa gotamassa vādaṃ āropehi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘ehi    いざ、行け、来い  
      語根 品詞 語基 意味  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      rāja    an 依(属)  
      kumāra,    a 童子  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      vādaṃ  vad a 説、誤、論  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropehi.  ā-ruh 使 上らせる →議論にのせる、論破する  
    訳文                
     「いざ、王子よ、あなたは沙門ゴータマを論破なさい。  
                       
                       
                       
    83-7.                
     Evaṃ te kalyāṇo kittisaddo abbhuggacchissati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      te    代的 あなた  
      kalyāṇo    a 善い  
      kitti    i, ī 依(属) 称讃、名声  
      saddo    a 音、声、語  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhuggacchissati –  abhi-ud-gam あがる、昇る  
    訳文                
     あなたには、このような善き称讃の声があがるはずです。  
                       
                       
                       
    83-8.                
     ‘abhayena rājakumārena samaṇassa gotamassa evaṃ mahiddhikassa evaṃ mahānubhāvassa vādo āropito’’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘abhayena    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumārena    a 童子  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      maha    ant 有(持) 大きい  
      iddhikassa    a 神通、神変の  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      maha    ant 有(持) 大きい  
      anubhāvassa    a 威力、勢力  
      vādo  vad a 説、誤、論  
      āropito’’’  ā-ruh 使 過分 a 上らせられた →論破された  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『アバヤ王子によって、かくも大神通、大威力ある沙門ゴータマが論破された』と」  
                       
                       
                       
    83-9.                
     ‘‘Yathā kathaṃ panāhaṃ, bhante, samaṇassa gotamassa evaṃ mahiddhikassa evaṃ mahānubhāvassa vādaṃ āropessāmī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      samaṇassa gotamassa evaṃ mahiddhikassa evaṃ mahānubhāvassa (83-8.)  
      vādaṃ  vad a 説、誤、論  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropessāmī’’  ā-ruh 使 上らせる →議論にのせる、論破する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しかし尊者よ、いかようにして、私が、かくも大神通、大威力ある沙門ゴータマを論破できましょうか」  
                       
                       
                       
    83-10.                
     ‘‘Ehi tvaṃ, rājakumāra, yena samaṇo gotamo tenupasaṅkama;   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Ehi    いざ、行け、来い  
      語根 品詞 語基 意味  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      rāja    an 依(属)  
      kumāra,    a 童子  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkama;  upa-saṃ-kram 近づく  
    訳文                
     「いざ、王子よ、あなたは沙門ゴータマへ近づきなさい。  
                       
                       
                       
    83-11.                
     upasaṅkamitvā samaṇaṃ gotamaṃ evaṃ vadehi –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vadehi –  vad 言う  
    訳文                
     近づいて、沙門ゴータマへこういいなさい。  
                       
                       
                       
    83-12.                
     ‘bhāseyya nu kho, bhante, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’ti?   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘bhāseyya  bhāṣ 話す、語る、いう  
      語根 品詞 語基 意味  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      tathāgato  tathā-(ā-)gam a 如来  
      taṃ    代的 それ  
      vācaṃ  vac ā 言葉  
          代的 (関係代名詞)  
          代的 それ、彼女  
      vācā    ā 言葉  
      paresaṃ    代的 他の  
      appiyā    a 不愛の、不可愛の、怨憎の  
      amanāpā’    a 不可意の、不適意の  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『尊者よ、いったい如来は、およそその言葉が他者たちにとって不可愛、不適意な言葉、そのような言葉を語るものなのでしょうか』と。  
                       
                       
                       
    83-13.                
     Sace te samaṇo gotamo evaṃ puṭṭho evaṃ byākaroti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sace    不変 もし  
      te    代的 それら、彼ら  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākaroti –  vi-ā-kṛ 解答する、授記する  
    訳文                
     もし、問われた沙門ゴータマが、あなたへこのように解答したとしましょう。  
                       
                       
                       
    83-14.                
     ‘bhāseyya, rājakumāra, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’ti, tamenaṃ tvaṃ evaṃ vadeyyāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘bhāseyya, rājakumāra, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’ti, (83-12.)  
      rāja    an 依(属)  
      kumāra,    a 童子  
      tam    代的 それ  
      enaṃ    代的 これ  
      tvaṃ    代的 あなた  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vadeyyāsi –  vad いう  
    訳文                
     『王子よ、如来は、およそその言葉が他者たちにとって不可愛、不適意な言葉、そのような言葉を語るものです』と。その彼へ、あなたはこのようにいえばよろしい。  
                       
                       
                       
    83-15.                
     ‘atha kiñcarahi te, bhante, puthujjanena nānākaraṇaṃ?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘atha    不変 ときに、また、そこに  
      kiñ    代的 何、なぜ、いかに  
      carahi    不変 それでは、しからば  
      te,    代的 あなた  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      puthu   u 多くの、別々の、広い  
      janena    a 人 →凡夫  
      nānā    不変 種々の、異なって  
      karaṇaṃ?  kṛ a 所作、遂行 →殊異  
    訳文                
     『それでは尊者よ、あなたには、凡夫と何の違いがあるのでしょうか。  
                       
                       
                       
    83-16.                
     Puthujjanopi hi taṃ vācaṃ bhāseyya yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Puthu    u 多くの、別々の、広い  
      jano    a 人 →凡夫  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      taṃ vācaṃ bhāseyya yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’ti. (83-14.)  
    訳文                
     なんとなれば、凡夫もまた、およそその言葉が他者たちにとって不可愛、不適意な言葉、そのような言葉を語るものなのですから』と。  
                       
                       
                       
    83-17.                
     Sace pana te samaṇo gotamo evaṃ puṭṭho evaṃ byākaroti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sace pana te samaṇo gotamo evaṃ puṭṭho evaṃ byākaroti – (83-13.)  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
    訳文                
     また、もし、問われた沙門ゴータマが、あなたへこのように解答したとしましょう。  
                       
                       
                       
    83-18.                
     ‘na, rājakumāra, tathāgato taṃ vācaṃ bhāseyya yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’ti, tamenaṃ tvaṃ evaṃ vadeyyāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘na,    不変 ない  
      rājakumāra, tathāgato taṃ vācaṃ bhāseyya yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’ti, tamenaṃ tvaṃ evaṃ vadeyyāsi – (83-14.)  
    訳文                
     『王子よ、如来は、およそその言葉が他者たちにとって不可愛、不適意な言葉、そのような言葉を語らないものです』と。その彼へ、あなたはこのようにいえばよろしい。  
                       
                       
                       
    83-19.                
     ‘atha kiñcarahi te, bhante, devadatto byākato –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘atha    不変 ときに、また、そこに  
      kiñ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      carahi    不変 それでは、しからば  
      te,    代的 あなた  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      devadatto    a 人名、デーヴァダッタ  
      byākato –  vi-ā-kṛ 過分 a 解答された、授記された  
    訳文                
     『それでは尊者よ、なぜデーヴァダッタは、あなたに授記されたのでしょうか。  
                       
                       
                       
    83-20.                
     ‘‘āpāyiko devadatto, nerayiko devadatto, kappaṭṭho devadatto, atekiccho devadatto’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘āpāyiko    a 悪趣の、苦界の  
      devadatto,    a 人名、デーヴァダッタ  
      nerayiko    a 地獄の、堕地獄者  
      devadatto,    a 人名、デーヴァダッタ  
      kappa    名形 a 依(処)  
      ṭho  sthā a 立った、ある →劫住の  
      devadatto,    a 人名、デーヴァダッタ  
      atekiccho    a 不可救の、不可療の  
      devadatto’’    a 人名、デーヴァダッタ  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     デーヴァダッタは堕悪趣者なり、デーヴァダッタは堕地獄者なり、デーヴァダッタは劫住者なり、デーヴァダッタは不可救者なりと。  
    メモ                
     ・劫住者とは、『複註』によれば無間地獄avīciに一劫とどまる者とのことである。  
                       
                       
                       
    83-21.                
     Tāya ca pana te vācāya devadatto kupito ahosi anattamano’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tāya    代的 それ、彼女  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      te    代的 あなた  
      vācāya  vac ā 言葉  
      devadatto    a 人名、デーヴァダッタ  
      kupito  kup 過分 a 怒った  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      anattamano’    a 不適意、不悦意  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     しかるに、あなたのその言葉によって、デーヴァダッタは怒り、不愉快になったのではありませんか』と。  
                       
                       
                       
    83-22.                
     Imaṃ kho te, rājakumāra, samaṇo gotamo ubhatokoṭikaṃ pañhaṃ puṭṭho samāno neva sakkhiti uggilituṃ na sakkhiti ogilituṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Imaṃ    代的 これ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te,    代的 あなた  
      rāja    an 依(属)  
      kumāra,    a 童子  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      ubhato    不変 両方より  
      koṭikaṃ    a 点の、終辺の  
      pañhaṃ    a 問い  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      samāno  as 現分 a ある、なる  
      na    不変 ない  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkhiti  śak できる、可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      uggilituṃ  ud-gṛ 不定 つばを吐くこと、吐くこと  
      na    不変 ない  
      sakkhiti  同上  
      ogilituṃ.  ava-gil 不定 嚥下すること、飲み下すこと  
    訳文                
     王子よ、沙門ゴータマは、あなたによってこの両極端の問いを問われて、吐き出すことも飲み込むこともできなくなることでしょう。  
                       
                       
                       
    83-23.                
     Seyyathāpi nāma purisassa ayosiṅghāṭakaṃ kaṇṭhe vilaggaṃ, so neva sakkuṇeyya uggilituṃ na sakkuṇeyya ogilituṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      purisassa    a 人、男  
      ayo    as 依(属)  
      siṅghāṭakaṃ    a 男中 四辻、十字路  
      kaṇṭhe    a  
      vilaggaṃ,    a 男中 固着した、細い  
      so    代的 それ、彼  
      na    不変 ない  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkuṇeyya  śak できる、可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      uggilituṃ  ud-gṛ 不定 つばを吐くこと、吐くこと  
      na    不変 ない  
      sakkuṇeyya  同上  
      ogilituṃ;  ava-gil 不定 嚥下すること、飲み下すこと  
    訳文                
     あたかも、男の喉に鉄の十字鉤が引っかかって、彼が吐き出すことも飲み込むこともできなくなる、  
    メモ                
     ・ayosiṅghāṭakaṃについてPTS辞書はperhaps an iron ring (in the shape of a square or triangle)としている。これも参考に、上記のように訳した。  
                       
                       
                       
    83-24.                
     evameva kho te, rājakumāra, samaṇo gotamo imaṃ ubhatokoṭikaṃ pañhaṃ puṭṭho samāno neva sakkhiti uggilituṃ na sakkhiti ogilitu’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho te, rājakumāra, samaṇo gotamo imaṃ ubhatokoṭikaṃ pañhaṃ puṭṭho samāno neva sakkhiti uggilituṃ na sakkhiti ogilitu’’n (83-22.)  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     まさにそのように、王子よ、沙門ゴータマは、あなたによってこの両極端の問いを問われて、吐き出すことも飲み込むこともできなくなることでしょう」  
                       
                       
                       
    83-25.                
     ‘‘Evaṃ, bhante’’ti kho abhayo rājakumāro nigaṇṭhassa nāṭaputtassa paṭissutvā uṭṭhāyāsanā nigaṇṭhaṃ nāṭaputtaṃ abhivādetvā padakkhiṇaṃ katvā yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ,    不変 このように、かくの如き  
      bhante’’  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      abhayo    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumāro    a 童子  
      nigaṇṭhassa    a 人名、ニガンタ、ジャイナ教徒  
      nāṭaputtassa    a 人名、ナータプッタ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭissutvā  prati-śru 同意する、応諾する、答える  
      uṭṭhāya  ud-sthā 立つ  
      語根 品詞 語基 意味  
      āsanā  ās a  
      nigaṇṭhaṃ    a 人名、ニガンタ、ジャイナ教徒  
      nāṭaputtaṃ    a 人名、ナータプッタ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      padakkhiṇaṃ    a 右回り、有繞、幸福な、器用な  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      katvā  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     「そのように、尊者よ」と、アバヤ王子はニガンタ・ナータプッタへ応え、座より立つとニガンタ・ナータプッタへ礼拝し、右繞をなしてから、世尊のもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    83-26.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdi.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     近づいて、世尊へ礼拝し、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    84-1.                
     84. Ekamantaṃ nisinnassa kho abhayassa rājakumārassa sūriyaṃ [suriyaṃ (sī. syā. kaṃ. pī.)] ulloketvā etadahosi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinnassa  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      abhayassa    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumārassa    a 童子  
      sūriyaṃ    a 太陽  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ulloketvā  ud-lok 見上げる、期待する  
      語根 品詞 語基 意味  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi –  bhū ある、なる  
    訳文                
     一方に坐って太陽を見上げると、アバヤ王子にこの〔思い〕がおこった。  
    メモ                
     ・文の主語と連続体のそれが合っていないが、パーリニカーヤではまれにあることである。  
                       
                       
                       
    84-2.                
     ‘‘akālo kho ajja bhagavato vādaṃ āropetuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘akālo    a 非時の  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ajja    不変 今、今日  
      bhagavato    ant 世尊  
      vādaṃ  vad a 説、誤、論  
      āropetuṃ.  ā-ruh 使 不定 上らせるため →論破するため  
    訳文                
     「いまは、世尊を論破するに相応しい時ではない。  
                       
                       
                       
    84-3.                
     Sve dānāhaṃ sake nivesane bhagavato vādaṃ āropessāmī’’ti bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sve    不変 明日  
      dāni    不変 今、いまや  
      ahaṃ    代的  
      sake    a 自分の  
      nivesane    a 居住、住処  
      bhagavato    ant 世尊  
      vādaṃ  vad a 説、誤、論  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropessāmī’’  ā-ruh 使 上らせる →議論にのせる、論破する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     「いまや私は、明日、自分の住居で世尊を論破することとしよう」と。〔そして〕彼は世尊へこういった。  
                       
                       
                       
    84-4.                
     ‘‘adhivāsetu me, bhante, bhagavā svātanāya attacatuttho bhatta’’nti.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘adhivāsetu  adhi-vas 使 同意する、承認する、忍住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      me,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhagavā    ant 世尊  
      svātanāya    a 男中 明日の  
      atta    an 有(持) 自分  
      catuttho    a 第四の  
      bhatta’’n  bhaj 名過分 a 食事、奉仕された  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者よ、世尊は、ご自身を含め四人で、私より明日の食をお受けくださいますよう」と。  
                       
                       
                       
    84-5.                
     Adhivāsesi bhagavā tuṇhībhāvena.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Adhivāsesi  adhi-vas 使 同意する、承認する、忍住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavā    ant 世尊  
      tuṇhī    不変 沈黙して、黙って  
      bhāvena.  bhū a 本性、性、状態、態  
    訳文                
     世尊は沈黙によって承認された。  
                       
                       
                       
    84-6.                
     Atha kho abhayo rājakumāro bhagavato adhivāsanaṃ viditvā uṭṭhāyāsanā bhagavantaṃ abhivādetvā padakkhiṇaṃ katvā pakkāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      abhayo    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumāro    a 童子  
      bhagavato    ant 世尊  
      adhivāsanaṃ  adhi-vas 使 a 忍、忍受、承認  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viditvā  vid 知る  
      uṭṭhāya  ud-sthā 立ち上がる  
      語根 品詞 語基 意味  
      āsanā  ās a  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      padakkhiṇaṃ    a 右回り、右繞、幸福な、器用な  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      katvā  kṛ なす  
      pakkāmi.  pra-kram  出発する  
    訳文                
     ときにアバヤ王子は、世尊の承認を知って、座より立ち、礼拝して右繞をなし、立ち去った。  
                       
                       
                       
    84-7.                
     Atha kho bhagavā tassā rattiyā accayena pubbaṇhasamayaṃ nivāsetvā pattacīvaramādāya yena abhayassa rājakumārassa nivesanaṃ tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      tassā    代的 それ、彼女  
      rattiyā    i  
      accayena  ati-i a 副具 経過、死去  
      pubbaṇha    a 依(属) 午前  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nivāsetvā  ni-vas 使 着衣する、内衣を着る  
      語根 品詞 語基 意味  
      patta    a 男中  
      cīvaram    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādāya  ā-dā 取って  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      abhayassa    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumārassa    a 童子  
      nivesanaṃ    a 居住、住処  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに世尊は、その夜が過ぎると、午前時に、内衣をつけ、鉢と外衣を取ってアバヤ王子の住居へ近づかれた。  
                       
                       
                       
    84-8.                
     upasaṅkamitvā paññatte āsane nisīdi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づいて  
      語根 品詞 語基 意味  
      paññatte  pra-jñā 使 過分 a 知らしめられた、告知された、準備された  
      āsane  ās a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐った  
    訳文                
     近づいて、準備された座へ坐られた。  
                       
                       
                       
    84-9.                
     Atha kho abhayo rājakumāro bhagavantaṃ paṇītena khādanīyena bhojanīyena sahatthā santappesi sampavāresi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      abhayo    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumāro    a 童子  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      paṇītena  pra-nī 過分 a 適用された、優れた、勝妙の  
      khādanīyena  khād 名未分 a 硬食  
      bhojanīyena  bhuj 使 名未分 a 軟食  
      sahatthā    名形 a 自分の手  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      santappesi  saṃ-tṛp 使 満足させる、喜ばせる  
      sampavāresi.  saṃ-pra-vṛ 使 取らせる、提供する  
    訳文                
     ときにアバヤ王子は、世尊を、手ずから勝妙の硬食・軟食をもってもてなし、満足させた。  
                       
                       
                       
    84-10.                
     Atha kho abhayo rājakumāro bhagavantaṃ bhuttāviṃ onītapattapāṇiṃ aññataraṃ nīcaṃ āsanaṃ gahetvā ekamantaṃ nisīdi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      abhayo    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumāro    a 童子  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      bhuttāviṃ  bhuj 名形 in 食者  
      onīta  ava-nī a 有(持) おろした、はなした  
      patta   a 男中 依(奪)  
      pāṇiṃ    i  
      aññataraṃ    代的 随一、ある  
      nīcaṃ    a 低い、卑しい  
      āsanaṃ  ās a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gahetvā  grah 取る、捉える  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     時にアバヤ王子は、食べおわり、鉢から手を離した世尊に対し、別の低い座を取って、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    85-1.                
     85. Ekamantaṃ nisinno kho abhayo rājakumāro bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      abhayo    a 人名、アバヤ  
      rāja    an 依(属)  
      kumāro    a 童子  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐ったアバヤ王子は、世尊へこういった。  
                       
                       
                       
    85-2.                
     ‘‘bhāseyya nu kho, bhante, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘bhāseyya nu kho, bhante, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpā’’ti? (83-12.)  
    訳文                
     「尊者よ、いったい如来は、およそその言葉が他者たちにとって不可愛、不適意な言葉、そのような言葉を語るものなのでしょうか」  
                       
                       
                       
    85-3.                
     ‘‘Na khvettha, rājakumāra, ekaṃsenā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ettha,    不変 ここに  
      rāja    an 依(属)  
      kumāra,    a 童子  
      ekaṃsenā’’    a 副具 一向に、決定的に  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「王子よ、それに関しては、一定ではありません」  
                       
                       
                       
    85-4.                
     ‘‘Ettha, bhante, anassuṃ nigaṇṭhā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ettha,    不変 ここに  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anassuṃ  an-śru 聞かない  
      語根 品詞 語基 意味  
      nigaṇṭhā’’    a 人名、ニガンタ、ジャイナ教徒  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者よ、この場合〔どう言うべきか〕私はニガンタから聞いておりません」  
    メモ                
     ・『パーリ』、『原始』は『註』のAnassuṃ nigaṇṭhāti naṭṭhā nigaṇṭhā.という解説に従い「ニガンタたちは破滅しました」というように訳しているが、文脈からして『南伝』の「聞かざりき」が正しいであろうと考えた(アオリストassuṃanが付いたものと見た。アオリストの接頭辞は加増音aの前につく)。nigaṇṭhāは奪格で取ったが、呼格nigaṇṭhaitiと連声して長音化したものかもそれない。その場合、「尊者ニガンタよ、聞いていないぞ」といったふうか。  
                       
                       
                       
    85-5.                
     ‘‘Kiṃ pana tvaṃ, rājakumāra, evaṃ vadesi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      rāja    an 依(属)  
      kumāra,    a 童子  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vadesi –  vad いう  
    訳文                
     「王子よ、あなたは何をそのようにいっているのですか。  
                       
                       
                       
    85-6.                
     ‘ettha, bhante, anassuṃ nigaṇṭhā’’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘ettha, bhante, anassuṃ nigaṇṭhā’’’ti? (85-4.)  
    訳文                
     『尊者よ、この場合〔どう言うべきか〕私はニガンタから聞いておりません』とは」  
                       
                       
                       
    85-7.                
     ‘‘Idhāhaṃ, bhante, yena nigaṇṭho nāṭaputto tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Idha    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      yena nigaṇṭho nāṭaputto tena (83-3.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     「尊者よ、ここなる私は、ニガンタ・ナータプッタのもとへ近づきました。  
                       
                       
                       
    85-8.                
     upasaṅkamitvā nigaṇṭhaṃ nāṭaputtaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdiṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      upasaṅkamitvā nigaṇṭhaṃ nāṭaputtaṃ abhivādetvā ekamantaṃ (83-4.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃ.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     近づいて、ニガンタ・ナータプッタへ礼拝し、一方へ坐りました。  
                       
                       
                       
    85-9.                
     Ekamantaṃ nisinnaṃ kho maṃ, bhante, nigaṇṭho nāṭaputto etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ nisinnaṃ kho maṃ, bhante, nigaṇṭho nāṭaputto etadavoca – (83-5.)  
      maṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     尊者よ、一方へ坐った私へ、ニガンタ・ナータプッタはこういいました。  
                       
                       
                       
    85-10.                
     ‘ehi tvaṃ, rājakumāra, samaṇassa gotamassa vādaṃ āropehi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘ehi tvaṃ, rājakumāra, samaṇassa gotamassa vādaṃ āropehi. (83-6.)  
    訳文                
     『いざ、王子よ、あなたは沙門ゴータマを論破なさい。  
                       
                       
                       
    85-11.                
     Evaṃ te kalyāṇo kittisaddo abbhuggacchissati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ te kalyāṇo kittisaddo abbhuggacchissati – (83-7.)  
    訳文                
     あなたには、このような善き称讃の声があがるはずです。  
                       
                       
                       
    85-12.                
     abhayena rājakumārena samaṇassa gotamassa evaṃ mahiddhikassa evaṃ mahānubhāvassa vādo āropito’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      abhayena rājakumārena samaṇassa gotamassa evaṃ mahiddhikassa evaṃ mahānubhāvassa vādo āropito’ti. (83-8.)  
    訳文                
     アバヤ王子によって、かくも大神通、大威力ある沙門ゴータマが論破されたと』  
                       
                       
                       
    85-13.                
     Evaṃ vutte, ahaṃ, bhante, nigaṇṭhaṃ nāṭaputtaṃ etadavocaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a 男中 いわれた  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      nigaṇṭhaṃ    a 人名、ニガンタ、ジャイナ教徒  
      nāṭaputtaṃ    a 人名、ナータプッタ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avocaṃ –  vac 言う、語る、説く  
    訳文                
     尊者よ、このようにいわれて、わたしはニガンタ・ナータプッタへこういいました。  
                       
                       
                       
    85-14.                
     ‘yathā kathaṃ panāhaṃ, bhante, samaṇassa gotamassa evaṃ mahiddhikassa evaṃ mahānubhāvassa vādaṃ āropessāmī’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘yathā kathaṃ panāhaṃ, bhante, samaṇassa gotamassa evaṃ mahiddhikassa evaṃ mahānubhāvassa vādaṃ āropessāmī’ti? (83-9.)  
    訳文                
     『しかし尊者よ、いかようにして、私が、かくも大神通、大威力ある沙門ゴータマを論破できましょうか』  
                       
                       
                       
    85-15.                
     ‘Ehi tvaṃ, rājakumāra, yena samaṇo gotamo tenupasaṅkama;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Ehi tvaṃ, rājakumāra, yena samaṇo gotamo tenupasaṅkama; (83-10.)  
    訳文                
     『いざ、王子よ、あなたは沙門ゴータマへ近づきなさい。  
                       
                       
                       
    85-16.                
     upasaṅkamitvā samaṇaṃ gotamaṃ evaṃ vadehi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      upasaṅkamitvā samaṇaṃ gotamaṃ evaṃ vadehi – (83-11.)  
    訳文                
     近づいて、沙門ゴータマへこういいなさい。  
                       
                       
                       
    85-17.                
     bhāseyya nu kho, bhante, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpāti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      bhāseyya nu kho, bhante, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpāti? (83-12.)  
    訳文                
     尊者よ、いったい如来は、およそその言葉が他者たちにとって不可愛、不適意な言葉、そのような言葉を語るものなのでしょうかと。  
                       
                       
                       
    85-18.                
     Sace te samaṇo gotamo evaṃ puṭṭho evaṃ byākaroti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sace te samaṇo gotamo evaṃ puṭṭho evaṃ byākaroti – (83-13.)  
    訳文                
     もし、問われた沙門ゴータマが、あなたへこのように解答したとしましょう。  
                       
                       
                       
    85-19.                
     bhāseyya, rājakumāra, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpāti, tamenaṃ tvaṃ evaṃ vadeyyāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      bhāseyya, rājakumāra, tathāgato taṃ vācaṃ yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpāti, tamenaṃ tvaṃ evaṃ vadeyyāsi – (83-14.)  
    訳文                
     王子よ、如来は、およそその言葉が他者たちにとって不可愛、不適意な言葉、そのような言葉を語るものですと。その彼へ、あなたはこのようにいえばよろしい。  
                       
                       
                       
    85-20.                
     atha kiñcarahi te, bhante, puthujjanena nānākaraṇaṃ?   
      語根 品詞 語基 意味  
      atha kiñcarahi te, bhante, puthujjanena nānākaraṇaṃ? (83-15.)  
    訳文                
     それでは尊者よ、あなたには、凡夫と何の違いがあるのでしょうか。  
                       
                       
                       
    85-21.                
     Puthujjanopi hi taṃ vācaṃ bhāseyya yā sā vācā paresaṃ appiyā amanāpāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
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