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     Indriyasaṃvaro  
      語根 品詞 語基 意味  
      Indriya   a 依(属) 根、感官  
      saṃvaro saṃ-vṛ a 防護、律儀、摂護  
    訳文                
     【〔六〕根の防護】  
                       
                       
                       
    213-1.                
     213. ‘‘Kathañca, mahārāja, bhikkhu indriyesu guttadvāro hoti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kathañ   不変 如何に、何故に  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘、(特に男性の)出家者  
      indriyesu    a 根、感官  
      gutta gup 過分 a 有(持) 守られた  
      dvāro    a 中→男 門、戸  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti? bhū ある、存在する  
    訳文                
     また大王よ、いかに比丘は、諸根において、門が守られた者となるのでしょうか。  
                       
                       
                       
    213-2.                
     Idha, mahārāja, bhikkhu cakkhunā rūpaṃ disvā na nimittaggāhī hoti nānubyañjanaggāhī.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idha,    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘、(特に男性の)出家者  
      cakkhunā    us  
      rūpaṃ    a 色、物質、肉体  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      disvā  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      nimitta   a 依(属) 相、困相、前兆、瑞兆、相貌、特相、占相、現相、婬相、界標、標識、理由  
      gāhī  grah 名形 in 取るもの  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na   不変 ない  
      anubyañjana anu-vi-añj a 依(属) 随好、随相、細相、随相好  
      gāhī.  grah 名形 in 取るもの  
    訳文                
     大王よ、ここなる比丘は、眼によって色を見ながら、相(大まかな特徴)に執せず、随相(細かな特徴)に執しません。  
    メモ                
     gāhaには「取ること」から転じて「執見(雲井辞書)」という意味もあるので、ここではそう訳した。諸訳も同様で、na… gāhinを、『南伝』は「執らず」、『原始』は「捉らわれず」、『パーリ』は「捉えることもなく」とする。  
     nimittaanubyañjanaについて『註』は何も述べない。ただ、anubyañjanaはいわゆる「八十種好」「八十随相好」asīti-anuvyañjanaに用いられる語であり、また「三十二相」はdvattiṃsa-lakkhaṇadvattiṃsa-ākāraだが、これらの語imittaとは通底するので、それを受けて、ここでもこのふたつを上記のように訳した。諸訳も概ねそのように解している。  
     cakkhuの語は、水野弘元『パーリ語文法』などではus語基とされているが、us語基名詞固有の曲用であるcakkhusācakkhusoといった形が見当たらないことから、暫定的にu語基としておいた。  
                       
                       
                       
    213-3.                
     Yatvādhikaraṇamenaṃ cakkhundriyaṃ asaṃvutaṃ viharantaṃ abhijjhā domanassā pāpakā akusalā dhammā anvāssaveyyuṃ, tassa saṃvarāya paṭipajjati, rakkhati cakkhundriyaṃ, cakkhundriye saṃvaraṃ āpajjati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yato   不変 そこから、〜なるがゆえに、なんとなれば  
      adhikaraṇam adhi-kṛ a 副対 問題、事件、争論、〜のために(副対) →そのゆえに、その理由で  
      enaṃ    代的 これ、彼  
      cakkhu   us 有(属)  
      indriyaṃ    a 中→男 根、感官  
      asaṃvutaṃ  a-saṃ-vṛ a 防護、律儀、摂護なき  
      viharantaṃ  vi-hṛ 現分 ant 住する  
      abhijjhā  abhi-kṣai? ā 有(相) 貪、貪欲、貪求、貪愛  
      domanassā    a 中→男 憂、憂悩  
      pāpakā    a 悪い、邪悪な  
      akusalā    a 不善の  
      dhammā  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anvāssaveyyuṃ,  anu-ā-sru 流れ込む、落ちる  
      語根 品詞 語基 意味  
      tassa    代的 それ、彼  
      saṃvarāya  saṃ-vṛ a 防護、律儀、摂護  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭipajjati,  prati-pad 向かって歩く、行動する、目的に進む、遂行する  
      rakkhati  rakṣ 守る  
      語根 品詞 語基 意味  
      cakkhu   us 依(属)  
      indriyaṃ,    a 根、感官  
      cakkhu   us 依(属)  
      indriye    a 根、感官  
      saṃvaraṃ  saṃ-vṛ a 防護、律儀、摂護  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āpajjati.  ā-pad 来る、会う、遭遇する、到達する  
    訳文                
     眼根が守られないままに住するその者へは、貪欲と憂悩をもたらす悪しき不善の諸法が流れ込みます。それゆえ〔比丘は〕、それ(眼根)の防護のため励行し、眼根を守り、眼根における防護に至ります。  
    メモ                
     viharantaṃの語があることからcakkhundriyaṃ を有財釈で解したが、依主釈で「眼根へ流れ込む」とすべきか。  
     ・ここではtassaを「眼根の」と解したが、「比丘自身の」とも解しうるであろうか。  
     ・『南伝』は“abhijjhā domanassā pāpakā akusalā dhammā”を相違釈で解すが、ここでは他の二訳のように、視覚によって心に生じる、快への貪求と、不快による憂悩という対語を、「悪しき不善法」で総称したものと解した。  
     ・(追記)はじめ上のようにしたが、パラレルな諸経でabhijjhādomanassāという表記であることや、中性名詞domanassaが男性化していることから、有財釈化した相違釈とみなして上のように訳を改めた。  
                       
                       
                       
    213-4.                
     Sotena saddaṃ sutvā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sotena  śru as  
      saddaṃ    a 音、声、語  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sutvā śru 聞く  
      語根 品詞 語基 意味  
      …pe…    (略)  
    訳文                
     〔大王よ、ここなる比丘は、〕耳によって声を聞きながら、〔相(大まかな特徴)に執せず、随相(細かな特徴)に執しません。耳根が守られないままに住するその者へは、貪求と憂悩という悪しき不善の諸法が流れ込みます。それゆえ比丘は、耳根の防護のため励行し、耳根を守り、耳根における防護に至ります。〕  
                       
                       
                       
    213-5.                
     ghānena gandhaṃ ghāyitvā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ghānena    a  
      gandhaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ghāyitvā ghrā 嗅ぐ  
      語根 品詞 語基 意味  
      …pe…    (略)  
    訳文                
     〔大王よ、ここなる比丘は、〕鼻によって香を嗅ぎながら、〔相(大まかな特徴)に執せず、随相(細かな特徴)に執しません。鼻根が守られないままに住するその者へは、貪求と憂悩という悪しき不善の諸法が流れ込みます。それゆえ比丘は、鼻根の防護のため励行し、鼻根を守り、鼻根における防護に至ります。〕  
                       
                       
                       
    213-6.                
     jivhāya rasaṃ sāyitvā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      jivhāya    ā  
      rasaṃ    a 味、汁、作用、実質  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sāyitvā svad 味わう、食べる  
      語根 品詞 語基 意味  
      …pe…    (略)  
    訳文                
     〔大王よ、ここなる比丘は、〕舌によって味をあじわいながら、〔相(大まかな特徴)に執せず、随相(細かな特徴)に執しません。舌根が守られないままに住するその者へは、貪求と憂悩という悪しき不善の諸法が流れ込みます。それゆえ比丘は、舌根の防護のため励行し、舌根を守り、舌根における防護に至ります。〕  
                       
                       
                       
    213-7.                
     kāyena phoṭṭhabbaṃ phusitvā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      kāyena    a  
      phoṭṭhabbaṃ  spṛś 未分 a 触、所触、触れられるべきもの  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      phusitvā spṛś 触れる  
      語根 品詞 語基 意味  
      …pe…    (略)  
    訳文                
     〔大王よ、ここなる比丘は、〕身によって触へふれながら、〔相(大まかな特徴)に執せず、随相(細かな特徴)に執しません。身根が守られないままに住するその者へは、貪求と憂悩という悪しき不善の諸法が流れ込みます。それゆえ比丘は、身根の防護のため励行し、身根を守り、身根における防護に至ります。〕  
                       
                       
                       
    213-8.                
     manasā dhammaṃ viññāya na nimittaggāhī hoti nānubyañjanaggāhī.   
      語根 品詞 語基 意味  
      manasā    as  
      dhammaṃ  dhṛ a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viññāya  vi-jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      na nimittaggāhī hoti nānubyañjanaggāhī. (213-2.)  
    訳文                
     〔大王よ、ここなる比丘は、〕意によって法を知りながら、相(大まかな特徴)に執せず、随相(細かな特徴)に執しません。  
                       
                       
                       
    213-9.                
     Yatvādhikaraṇamenaṃ manindriyaṃ asaṃvutaṃ viharantaṃ abhijjhā domanassā pāpakā akusalā dhammā anvāssaveyyuṃ, tassa saṃvarāya paṭipajjati, rakkhati manindriyaṃ, manindriye saṃvaraṃ āpajjati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yatvādhikaraṇamenaṃ manindriyaṃ asaṃvutaṃ viharantaṃ abhijjhā domanassā pāpakā akusalā dhammā anvāssaveyyuṃ, tassa saṃvarāya paṭipajjati, rakkhati manindriyaṃ, manindriye saṃvaraṃ āpajjati. (213-3.)  
      mano   as 有(属)  
      mano   as 依(属)  
    訳文                
     意根が守られないままに住するその者へは、貪欲と憂悩をもたらす悪しき不善の諸法が流れ込みます。それゆえ〔比丘は〕、それ(意根)の防護のため励行し、意根を守り、意根における防護に至ります。  
    メモ                
     213-3.の「眼」が「意」に変わったのみ。  
                       
                       
                       
    213-10.                
     So iminā ariyena indriyasaṃvarena samannāgato ajjhattaṃ abyāsekasukhaṃ paṭisaṃvedeti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      iminā    代的 これ  
      ariyena    名形 a 聖なる  
      indriya   a 依(属) 根、感官  
      saṃvarena  saṃ-vṛ a 防護、律儀、摂護  
      samannāgato  saṃ-anu-ā-gam a 具足した  
      ajjhattaṃ    a 自らの、内の、個人的な  
      abyāseka a-vi-ā-sic a 入り混じらない、純粋な  
      sukhaṃ    名形 a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭisaṃvedeti.  prati-saṃ-vid 使 感知する、経験する、受ける  
    訳文                
     彼は、この聖なる根の防護を具足して、内に純粋な安楽を受けます。  
                       
                       
                       
    213-11.                
     Evaṃ kho, mahārāja, bhikkhu indriyesu guttadvāro hoti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘、(特に男性の)出家者  
      indriyesu    a 根、感官  
      gutta gup 過分 a 有(持) 守られた  
      dvāro    a 中→男 門、戸  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti. bhū ある、存在する  
    訳文                
     大王よ、このように比丘は、諸根において、門が守られた者となるのです。  
                       
                       
                       
     Satisampajaññaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sati smṛ i  
      sampajaññaṃ  saṃ-pra-jñā a 正知  
    訳文                
     【念と正知】  
                       
                       
                       
    214-1.                
     214. ‘‘Kathañca, mahārāja, bhikkhu satisampajaññena samannāgato hoti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kathañca, mahārāja, bhikkhu (213-1.)  
      sati smṛ i  
      sampajaññena  saṃ-pra-jñā a 正知  
      samannāgato saṃ-anu-ā-gam a 具足した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti? bhū ある、存在する  
    訳文                
     また大王よ、いかに比丘は念と正知を具足した者となるのでしょうか。  
                       
                       
                       
    214-2.                
     Idha, mahārāja, bhikkhu abhikkante paṭikkante sampajānakārī hoti, ālokite vilokite sampajānakārī hoti, samiñjite pasārite sampajānakārī hoti, saṅghāṭipattacīvaradhāraṇe sampajānakārī hoti, asite pīte khāyite sāyite sampajānakārī hoti, uccārapassāvakamme sampajānakārī hoti, gate ṭhite nisinne sutte jāgarite bhāsite tuṇhībhāve sampajānakārī hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idha,    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘、(特に男性の)出家者  
      abhikkante  abhi-kram 過分 a 男中 過ぎた、進んだ、去った、出発した、増進した、超えた、すぐれた、素晴らしい  
      paṭikkante  prati-kram 過分 a 男中 戻る、退く、減退する  
      sampajāna saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti, bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ālokite  ā-lok? 過分 a 男中 眺めること、前視  
      vilokite  vi-loc 過分 a 男中 観察された、考察された  
      sampajāna saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      samiñjite  saṃ-iṅg 過分 a 男中 動かす、曲げる  
      pasārite  pra-sṛ 過分 a 男中 出て行かせる、伸ばす、差し出す、売りに出す  
      sampajāna saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      saṅghāṭi saṃ-hṛ ī 僧伽利衣、重衣、大衣  
      patta   a 男中  
      cīvara   a 依(属)  
      dhāraṇe  dhṛ a 受持、憶持  
      sampajāna saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      asite  過分 a 男中 食べた、食物  
      pīte  過分 a 男中 飲んだ、飲物  
      khāyite  khād 過分 a 男中 噛んだ、食べた  
      sāyite  svad 過分 a 男中 味わった  
      sampajāna saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      uccāra ud-car a 排池物、大便  
      passāva pra-sru a 依(属) 小便、尿  
      kamme  kṛ an 業、行為  
      sampajāna saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      gate  gam 過分 a 男中 行った  
      ṭhite  sthā 過分 a 男中 住した  
      nisinne  ni-sad 過分 a 男中 坐った  
      sutte  svap 過分 a 男中 寝た  
      jāgarite  jāgṛ 過分 a 男中 眠らなかった、不寝した  
      bhāsite  bhāṣ 名過分 a 話す、語る、いう  
      tuṇhī   不変 沈黙して、黙って  
      bhāve  bhū a 本性、性、状態、態  
      sampajāna saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti.  同上  
    訳文                
     大王よ、ここなる比丘は、行くときも、戻るときも、正知をなしています。見るときも、考察するときも、正知をなしています。〔肢体を〕曲げるときも、伸ばすときも、正知をなしています。重衣と鉢と衣を受持するときも、正知をなしています。食べるときも、飲むときも、噛むときも、味わうときも正知をなしています。大小便をなすときも、正知をなしています。行住坐臥、寝ないときも、話すときも、沈黙するときも、正知をなしています。  
    メモ                
     ・「正知」sampajānaについては『註』が長い説明を行っている。『パーリ』の『長部』「戒蘊篇」1巻の399ページにその訳あり。概略を述べれば、ある行為をなすにあたって、それに意義があるか、やり方が適切かどうか、業処(瞑想の対象)を保持しているか、迷妄に陥っていないか、という四点について、常に意識しながら行動することを「正知をなす」とするようである。  
     ・ālokite vilokiteについて、『註』はそれぞれ、前を見ることと四維を見まわすこととしており、『南伝』、『パーリ』はこれに沿って訳す。『原始』は前を見ることと後ろを見ることとする。ここではあえて『註』によらず、辞書通りの意味で訳した。  
                       
                       
                       
    214-3.                
     Evaṃ kho, mahārāja, bhikkhu satisampajaññena samannāgato hoti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ kho, mahārāja, bhikkhu (213-11.)  
      sati smṛ i  
      sampajaññena  saṃ-pra-jñā a 正知  
      samannāgato saṃ-anu-ā-gam a 具足した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti. bhū ある、存在する  
    訳文                
     大王よ、じつにこのように比丘は、念と正知を具足した者となるのです。  
                       
                       
                       
     Santoso  
      語根 品詞 語基 意味  
      Santoso saṃ-tuṣ a 満足  
    訳文                
     【満足】  
                       
                       
                       
    215-1.                
     215. ‘‘Kathañca, mahārāja, bhikkhu santuṭṭho hoti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kathañca, mahārāja, bhikkhu (213-1.)  
      santuṭṭho saṃ-tuṣ 過分 a 満足した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti? bhū ある、存在する  
    訳文                
     また大王よ、いかに比丘は満足した者となるのでしょうか。  
                       
                       
                       
    215-2.                
     Idha, mahārāja, bhikkhu santuṭṭho hoti kāyaparihārikena cīvarena, kucchiparihārikena piṇḍapātena.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idha,    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘、(特に男性の)出家者  
      santuṭṭho saṃ-tuṣ 過分 a 満足した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kāya   a 依(対)  
      parihārikena  pari-hṛ a 保護する、注意する  
      cīvarena,    a  
      kucchi   i 依(対) 腹、胎宮、内部  
      parihārikena  pari-hṛ a 保護する、注意する  
      piṇḍa   a 丸、球、団食  
      pātena.  pat a 落、段 →団食、施食  
    訳文                
     大王よ、ここなる比丘は、身を守る衣と、腹を保つ団食〔のみ〕によって、満足しています。  
                       
                       
                       
    215-3.                
     So yena yeneva pakkamati, samādāyeva pakkamati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      yena    代的 (関係代名詞)  
      yena    代的 (関係代名詞)  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pakkamati,  pra-kram 出発する、進む →どこを出歩くとも  
      samādāya saṃ-ā-dā 取って、受けて、受持して  
      語根 品詞 語基 意味  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pakkamati.  pra-kram 出発する、進む  
    訳文                
     彼は、どこへ出かけるにしても、〔それらの衣食〕のみを取って出かけます。  
                       
                       
                       
    215-4.                
     Seyyathāpi, mahārāja, pakkhī sakuṇo yena yeneva ḍeti, sapattabhārova ḍeti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathā   不変 たとえば、その如き  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      mahā   ant 大きい、偉大な  
      rāja,    an  
      pakkhī    名形 in 翼ある、鳥  
      sakuṇo    a  
      yena    代的 (関係代名詞)  
      yena    代的 (関係代名詞)  
      eva   不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ḍeti,  ḍī 飛ぶ  
      語根 品詞 語基 意味  
      sa    不変 自己、自ら  
      patta   a 有(持) 羽毛、翼、葉  
      bhāro  bhṛ a 荷物  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      ḍeti.  同上  
    訳文                
     たとえば大王よ、翼ある鳥が、どこに飛び行くにしても、自分の翼だけを荷物として飛ぶようなものです。  
    メモ                
     ・PTS辞書ではsapattabhārova sawithの意であるとされているが、ここでは敢えて「自己、自ら」の意味でとって訳してみた。  
                       
                       
                       
    215-5.                
     Evameva kho, mahārāja, bhikkhu santuṭṭho hoti kāyaparihārikena cīvarena kucchiparihārikena piṇḍapātena.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      eva   不変 まさに、のみ、じつに  
      kho,   不変 じつに、たしかに  
      mahārāja, bhikkhu santuṭṭho hoti kāyaparihārikena cīvarena kucchiparihārikena piṇḍapātena.  (215-2.)  
    訳文                
     じつに大王よ、このように比丘は、身を守る衣と、腹を保つ団食〔のみ〕によって、満足しています。  
                       
                       
                       
    215-6.                
     So yena yeneva pakkamati, samādāyeva pakkamati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So yena yeneva pakkamati, samādāyeva pakkamati.   (215-2.)  
    訳文                
     彼は、どこへ出かけるにしても、〔それらの衣食〕のみを取って出かけます。  
                       
                       
                       
    215-7.                
     Evaṃ kho, mahārāja, bhikkhu santuṭṭho hoti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      kho,   不変 じつに、たしかに  
      mahārāja, bhikkhu santuṭṭho hoti.  (215-1.)  
    訳文                
     じつに大王よ、このように比丘は満足した者となるのです。  
                       
                       
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