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凡例

・訳しながらスタイルを構築していったという経緯もあって、以下の規則が必ずしも厳密に適用されていない場合もある。


・原文は、
VRI版のものを文ごとに分割して用い、その各々にVRI版の段落番号にハイフンをつけて文ごとの番号を振った(たとえば123-4.という番号の場合、123VRI版の段落番号であり、-4.はそれを分割した四番目の文であるという管理人による印である)。


・『長部』などの章立てはおおまかにはVRI版にならったが、短すぎるものは一つのページにまとめ、長すぎるものは(その1)(その2)という形で分割した。


・述語以外の語について、語・語根・品詞・語基・性・数・格・意味という項目を立て、それぞれの文法事項を記述した。以下はその内訳である。


 

:当該の単語。


 

語根:その単語の梵語語根(ない場合もある)。以下四種の派生形の場合、それを並記。

      (受動 passive

      使(使役 causative

      (意欲 desiderative

      (強意 intensitive


 

品詞:その単語の品詞。

      (名詞 noun*1

      (形容詞 adjective

      (代名詞 pronoun

      (数詞 numerals*2

      現分(現在能動分詞 present participle

      過分(過去受動分詞 past passive participle

      未分(未来義務分詞 gerundive

      不変(不変化辞)*3

*1 名詞でもあり形容詞や分詞でもある単語の場合「名形」とか「名過分」などと表記する場合がある。その場合、名詞の性を基本とし、形容詞として性が変わる場合には、有材釈のときと同じ矢印を用いた表記を用いることとした。たとえば「苦」dukkhaは中性名詞だが、同時に「苦の」という形容詞でもあり、これが男性にかかってdukkhoという形を取っている場合、「中→男」と表記する。中性にかかったばあいは単に「中」とする。


*2
単数複数を記す項目「数」と同名になるため、いちおう注意のこと。


*3
辞書類では接続詞や副詞などに細分化されるが、インド文法学の伝統に則り、一括して扱う。



語基
:その単語の語基。aなどの他、以下のような場合がある

      代的(代名詞や、sabbaなどの代名詞的曲用をする語の場合)

      (一部の数詞や、brahmaなど特殊な曲用をみせる場合)


:その単語の性。三種。名詞、代名詞、一部の数詞のみに存在し、形容詞や分詞には固有の性がない(実際には他の単語に係る形でなにがしかの性にはなるので、それを表記する)。

      (男性 masculine

      (中性 neuter

      (女性 feminine

 形容詞が複合語の前分で出る場合や、一部の数詞など、確定不能な際には「」を用いる。「男中」などという並記もあり得る。また有財釈化によって性が変化している場合には「男女」などと表記している。

 なお、有財釈化していないと思われるにもかかわらず、語本来の性とは異なる曲用を見せる場合もある。たとえば中性名詞rūparūpoと男性主格の形をとっているなど。この場合、「中(男)」というように、本来の性に、その特殊例での性を括弧に入れたものを添えて表記した。


:その単語の数。原則として単数複数の二種だが、ごく例外的に両数がある(ubhoなど)。既に述べたとおり親項目「品詞」のうちの子項目「数詞」にもこの「数」という記号をあてるので一応注意。

      (単数 singular)

      (複数 plural)

      (両数 dual


:その単語の格。八種。

      (主格 nominative)〜は、〜が、〜である

      (対格 accsative)〜を、〜へ

      (具格 instrumental)〜によって、〜とともに

      (奪格 ablative)〜から、〜ゆえ

      (与格 dative)〜のため

      (属格 genitive)〜の、〜にとって

      (処格 locative)〜において

      (呼格 vocative)〜よ

 副詞的用法となる場合には「」をつけて表記(例:副対)

 絶対節を形成する場合には「」をつけて表記(例:処絶)


 格の場合にも、その曲用形とは違う格で読まざるをえない事もしばしばある(たとえばbuddhaṃとあっても「仏陀は」と読まないと意味が通じないケースなど)。その時には「対(主)」というように、「この形はほんらい対格だが、ここでは括弧内のように主格で読む」という意味の表記をなすこととする。




 複合語の前分になる場合には、単語は語基のままになるため、数と格は、変化しない。その場合そこに複合の種類を記すこととする。

 複合法は一般に、いわゆる六合釈(相違釈dvandva、依主釈tatpuruṣa、持業釈 karmadhāraya、帯数釈 dvigu、有財釈 bahuvrīhi、隣近釈 avyayībhāvaの六つ)という形で列挙されるが、このうち有財釈は、他の複合と同列には論じられない。というのは「持業釈、帯数釈、依主釈等の何れも有財釈となり得るのであり、さらに合成語でない単一語の場合にも有財釈はあり得るのである」(水野弘元『パーリ語文法』§69-27.)からである。つまり(単一語の場合は別として)、ただ有財釈である複合というものは存在せず、あるのは他の複合が有財釈化したものなのである。前分の単語Aと後分の単語Bの関係が同格であるときは持業釈(そのAが数詞の場合は帯数釈)、特定の格の場合は依主釈となり、ABが並列の場合は相違釈となる。そしてそれら全てが有財釈化しうる、ということである(隣近釈についても、「梵網経」75-1. におけるuddhamāghātanika のように、いったん隣近釈で副詞化したものが形容詞化しているとおぼしきケースが確認できる)。そこで当サイトでは以下のように複合語を表記する。


ABの関係 有財釈化していない 有財釈化している
並列 有(相)
同格 有(持)
同格で数詞 有(帯)
属格など 依(属) 有(属)
隣近釈 有(隣)


 なお隣近釈の場合、複合後の語自体を一つの不変化辞として扱う場合もある。


意味
:その単語の意味。前の語とともにイディオムを形成する場合には、太字で、「」マークの後にその意味を記した。



・述語については、語・語根・品詞・活用・態・数・人称・意味という項目を立てている。以下その内訳。


語・語根・数・意味
については上記に同じ


品詞
:述語なので常に(動詞 verb)となる。


活用
:通常の述語の場合は以下のとおり。

      (現在 present 直説法の一つ)

      (アオリスト aorist 直説法の一つ)

      (未来 future

      (願望法 optative

      (命令法 imperative

      (不定過去 imperfect 直説法の一つ、まれ)

      (完了形 perfect 直説法の一つ、ahなどを除き、まれ)

      (条件法 conditional まれ)


:二種。

      (能動態 parasmaipada

      (反射態 atmanepada まれ)


人称
:三種。

      (一人称 first person

      (二人称 second person

      (三人称 third person


  その他、動詞の派生形として以下の二つがある。連続体の場合、品詞は「動」、活用は「連」とし、以降はとする。不定詞は品詞を「不定」とし、以降を‐とする。

      (連続体 gerund

      不定(不定詞 infinitive



・1ページ内の繰り返しの文については、逐一の文法事項を記さず、結合したセルに茶色の文字で表記した上で、既出の文の番号を付した。


・訳文中の角括弧 〔 〕は管理人による補訳である。


・十二縁起支や五蘊などの法数項目に関して、〈 〉で強調する場合がある。


・偈文にはマークをつけた。


・チャプタータイトルはおそらくVRIが付けたもので、原文にはないが、採用した。【 】で囲んで表記している。


・引用は「 」、二重引用は『 』、三重引用は を用いて表記。


・『南伝大蔵経』は『南伝』、片山一良訳『パーリ仏典』は『パーリ』、春秋社『原始仏典』は『原始』という略号で示す。


・テキストの括弧をどうするかは苦慮したが、以下の原則とする。一貫性はないがやむを得ずの措置である。

 『長部』、『中部』、『相応部』、『増支部』は部を『』で括り、篇、相応、経などは「」で括る。

 「小部」や「論蔵」はその中の『経集』や『分別論』といった各テキストを『』で括る。

 『律蔵』は蔵自体を『』で括り、下位のタイトルは「」で括る。

・原則として敬称略。



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