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     8. Verocanaasurindasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Verocana  vi-ruc a 神名、ヴェーローチャナ  
      asura    a 依(属) アスラ、阿修羅  
      inda    a 依(属) インドラ、帝王、王  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「ヴェーローチャナ阿修羅王経」(『相応部』11-8  
                       
                       
                       
    254-1.                
     254. Sāvatthiyaṃ jetavane.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー  
      jetavane.    a 地名、ジェータ林、祇樹、祇園  
    訳文                
     サーヴァッティー、ジェータ林でのことである。  
                       
                       
                       
    254-2.                
     Tena kho pana samayena bhagavā divāvihāragato hoti paṭisallīno.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      bhagavā    ant 世尊  
      divā    不変 日中に  
      vihāra  vi-hṛ a 依(対) 住、精舎 →昼住  
      gato  gam 過分 a 行った  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      paṭisallīno.  prati-saṃ-lī 過分 a 独座した、禅思した  
    訳文                
     さてそのとき、世尊は昼住に入り、禅思しておられた。  
                       
                       
                       
    254-3.                
     Atha kho sakko ca devānamindo verocano ca asurindo yena bhagavā tenupasaṅkamiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sakko    a 神名、サッカ、帝釈天  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      devānam    a 天、神  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      verocano  vi-ruc a 神名、ヴェーローチャナ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      asura    a 依(属) アスラ、阿修羅  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamiṃsu;  upa-saṃ-kram 能反 近づいた  
    訳文                
     ときに、神々の王サッカと、アスラの王ヴェーローチャナが、世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    254-4.                
     upasaṅkamitvā paccekaṃ dvārabāhaṃ nissāya aṭṭhaṃsu.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      paccekaṃ    a 副対 単一の、独一の  
      dvāra    a 依(属)  
      bāhaṃ    ā 腕 →戸の両脇  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nissāya  ni-śri 依って、依止して、〜のために、近くに  
      aṭṭhaṃsu.  sthā 立つ  
    訳文                
     近づいて、おのおの戸の両脇によって立った。  
                       
                       
                       
    254-5.                
     Atha kho verocano asurindo bhagavato santike imaṃ gāthaṃ abhāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      verocano  vi-ruc a 神名、ヴェーローチャナ  
      asura    a 依(属) アスラ、阿修羅  
      indo    a インドラ、帝王、王  
      bhagavato    ant 世尊  
      santike    a 付近、面前  
      imaṃ    代的 これ  
      gāthaṃ    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhāsi –  bhāṣ 語る、話す  
    訳文                
     ときに、アスラの王ヴェーローチャナは、世尊の面前でこの偈をとなえた。  
                       
                       
                       
    254-6.                
     ‘‘Vāyametheva puriso, yāva atthassa nipphadā;  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Vāyametha  vi-ā-yam 努力する、励む  
      語根 品詞 語基 意味  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      puriso,    a 人、男  
      yāva    不変 〜だけ、〜まで、〜の限り  
      atthassa    a 男中 義、意味、目的、利益  
      nipphadā;    ar 達成者  
    訳文                
     「♪目的を成就するまで、人は努力すべし。  
                       
                       
                       
    254-7.                
     Nipphannasobhano [sobhino (sī.), sobhaṇo (pī. ka.)] attho [atthā (sī.)], verocanavaco ida’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nipphanna  nis-pad? 過分 a 依(具) 完成した、成就した  
      sobhano  śubh a 荘厳の、輝き  
      attho,    a 男中 義、意味、目的、利益  
      verocana  vi-ruc a 依(属) 神名、ヴェーローチャナ  
      vaco    as 言葉  
      ida’’n    代的 これ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪目的は成就によって輝く。これがヴェーローチャナの言葉である」と。  
                       
                       
                       
    254-8.                
     ‘‘Vāyametheva puriso, yāva atthassa nipphadā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Vāyametheva puriso, yāva atthassa nipphadā; (254-6.)  
    訳文                
     〔サッカ曰く〕「♪目的を成就するまで、人は努力すべし。  
                       
                       
                       
    254-9.                
     Nipphannasobhano attho [nipphannasobhino atthā (sī. syā. kaṃ.)], khantyā bhiyyo na vijjatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nipphannasobhano attho, (254-7.)  
      khantyā    i, ī 忍、忍辱、信忍  
      bhiyyo    不変 さらに多く  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vijjatī’’  vid 受 見出される、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪目的は成就によって輝く。忍辱にまさるものはない」  
                       
                       
                       
    254-10.                
     ‘‘Sabbe sattā atthajātā, tattha tattha yathārahaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sabbe    名形 代的 中→男 すべて  
      sattā    a 有情、衆生  
      attha    a 男中 依(具) 義、意味、目的、利益  
      jātā,  jan 過分 a 生じた、発生した  
      tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      arahaṃ;  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供、値する、相応しい  
    訳文                
     〔ヴェーローチャナ曰く〕「♪一切の有情は、相応しいとおりに、そこかしこに目的をもって生ずる。  
                       
                       
                       
    254-11.                
     Saṃyogaparamā tveva, sambhogā sabbapāṇinaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Saṃyoga  saṃ-yuj a 有(持) 繋縛、結縛、偶合  
      paramā    a 最上の  
      tv    不変 という(ti)、しかし(tu)  
      eva,    不変 まさに、のみ、じつに  
      sambhogā  saṃ-bhuj a 受用、供食、共事  
      sabba    名形 代的 すべて  
      pāṇinaṃ;  pra-an in 命ある、生き物  
    訳文                
     ♪一切の生類の諸々の受用は、〔その目的との〕結合を最上とする。  
    メモ                
     ・理解の難しい一句。『註』は「別住の諸々の飯は享受に相応しいものとはならないが、それらをあたためて調理し、酥、蜂蜜、糖蜜などと合わせれば、共受に相応しいものとなる」pārivāsikaodanādīni hi asambhogārahāni honti, tāni puna uṇhāpetvā bhajjitvā sappimadhuphāṇitādīhi saṃyojitāni sambhogārahāni honti. とする。これも難解だが、別々の家からもらってきた脈絡のない料理も、きちんと調理しなおせばまとめて食べるにふさわしい調和の取れた食事となる、ということなのであろう。  
     ・おそらくこれを受けて、『南伝』は「美味の混ぜ飯の、すべての人を楽しましむるに足る如く」、『パーリ』は「あらゆる生類の享楽はその和合が最上なり」としている。いっぽう『原始』は「ところで一切の生き物の享楽は、その目的と結合することが最高である」と、文脈を踏まえた補訳を行っているようである。ここでは『原始』に従ってみた。  
                       
                       
                       
    254-12.                
     Nipphannasobhano attho, verocanavaco ida’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nipphannasobhano attho, verocanavaco ida’’nti. (254-7.)  
    訳文                
     ♪目的は成就によって輝く。これがヴェーローチャナの言葉である」と。  
                       
                       
                       
    254-13.                
     ‘‘Sabbe sattā atthajātā, tattha tattha yathārahaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sabbe sattā atthajātā, tattha tattha yathārahaṃ; (254-10.)  
    訳文                
     〔サッカ曰く〕「♪一切の有情は、相応しいとおりに、そこかしこに目的をもって生ずる。  
                       
                       
                       
    254-14.                
     Saṃyogaparamā tveva, sambhogā sabbapāṇinaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Saṃyogaparamā tveva, sambhogā sabbapāṇinaṃ; (254-11.)  
    訳文                
     ♪一切の生類の諸々の受用は、〔その目的との〕結合を最上とする。  
                       
                       
                       
    254-15.                
     Nipphannasobhano attho, khantyā bhiyyo na vijjatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Nipphannasobhano attho, khantyā bhiyyo na vijjatī’’ti. (254-9.)  
    訳文                
     ♪目的は成就によって輝く。忍辱にまさるものはない」  
                       
                       
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