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     9. Vanasaṃyuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vana    a 依(属) 森、林  
      saṃyuttaṃ  saṃ-yuj 過分 a 結ばれた、結合した  
    訳文                
     「林相応」  
                       
                       
                       
     1. Vivekasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Viveka  vi-vic a 依(属) 離、遠離、独処  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「遠離経」(『相応部』9-1  
                       
                       
                       
    221-1.                
     221. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      me    代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 所聞、聞かれた  
    訳文                
     私はこのように聞いた。  
                       
                       
                       
    221-2.                
     ekaṃ samayaṃ aññataro bhikkhu kosalesu viharati aññatarasmiṃ vanasaṇḍe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      aññataro    代的 とある、随一の  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      kosalesu    a 地名、コーサラ国  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      aññatarasmiṃ    代的 とある  
      vana    a 依(属) 森、林  
      saṇḍe.    a 群、集 →密林  
    訳文                
     あるとき、とある比丘が、コーサラ国のとある密林に住していた。  
                       
                       
                       
    221-3.                
     Tena kho pana samayena so bhikkhu divāvihāragato pāpake akusale vitakke vitakketi gehanissite.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      divā    不変 日中に  
      vihāra  vi-hṛ a 依(対) 住、精舎 →昼住  
      gato  gam 過分 a 行った  
      pāpake    a 悪しき  
      akusale    a 不善の  
      vitakke    a 尋、尋求、思惟、考察  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vitakketi    尋思する、思惟する  
      語根 品詞 語基 意味  
      geha    a 依(処) 家、在家  
      nissite.  ni-śri 過分 a 依止した、所依の、依着した  
    訳文                
     さてそのとき、昼住におもむいたその比丘は、在家に依着した、悪しき不善の諸々の尋思をいだいた。  
                       
                       
                       
    221-4.                
     Atha kho yā tasmiṃ vanasaṇḍe adhivatthā devatā tassa bhikkhuno anukampikā atthakāmā taṃ bhikkhuṃ saṃvejetukāmā yena so bhikkhu tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
          代的 (関係代名詞)  
      tasmiṃ    代的 それ、彼  
      vana    a 依(属) 森、林  
      saṇḍe    a 群、集 →密林  
      adhivatthā  adhi-vas 過分 a 居住した  
      devatā    ā 神々、女神、地祇  
      tassa    代的 それ、彼  
      bhikkhuno  bhikṣ u 比丘  
      anukampikā    a 憐愍ある  
      attha    a 男中 有(持) 義、目的、意味、利益  
      kāmā    a 男中→女 欲、欲楽  
      taṃ    代的 それ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      saṃvejetu  saṃ-vij 使 不定 驚怖させること、宗教心をおこさせること  
      kāmā    a 男中→女 欲、欲楽  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこで、その密林に住んでいる神霊が、その比丘に対して憐愍をもち、利益することを欲し、その比丘を神妙にさせることを欲して、その比丘へ近づいた。  
    メモ                
     ・saṃ-vij由来の語を、『パーリ』は「気づかせる」、『南伝』は「警覚」とする。『原始』は「ぞっとする思いを起こさせようとする」「警告される」「はっと気がつく」などを使い分ける。適切な訳語が浮かばす、ここでは「恐縮」「神妙」を使い分けてみた。  
                       
                       
                       
    221-5.                
     upasaṅkamitvā taṃ bhikkhuṃ gāthāhi ajjhabhāsi –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      taṃ    代的 それ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      gāthāhi    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     近づいて、その比丘へ諸偈をもって語りかけた。  
                       
                       
                       
    221-6.                
     ‘‘Vivekakāmosi vanaṃ paviṭṭho,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Viveka  vi-vic a 有(持) 離、遠離、独処  
      kāmo    a 男中 欲、欲楽  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      vanaṃ    a  
      paviṭṭho,  pra-viś 過分 a 入った  
    訳文                
     「♪そなたは遠離を欲して林に入った。  
                       
                       
                       
    221-7.                
     Atha te mano niccharatī bahiddhā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      te    代的 あなた  
      mano  man as  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      niccharatī  niś-car 出る、出現する、起こる  
      語根 品詞 語基 意味  
      bahiddhā;    不変 外に、外部に  
    訳文                
     ♪〔しかし〕そこで、そなたの意は〔林の〕外に出てしまっている。  
                       
                       
                       
    221-8.                
     Jano janasmiṃ vinayassu chandaṃ,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Jano    a  
      janasmiṃ    a 人々  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vinayassu  vi-nī 調伏する、教導する  
      語根 品詞 語基 意味  
      chandaṃ,    a 欲、意欲、志欲  
    訳文                
     ♪そなたは人として、人々に対する欲を調伏せよ。  
                       
                       
                       
    221-9.                
     Tato sukhī hohisi vītarāgo.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      sukhī    in 楽ある  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hohisi  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      vīta  vi-i 過分 a 有(持) はなれた  
      rāgo.  raj a 貪、貪欲、染  
    訳文                
     ♪欲を離れれば、それゆえにそなたは楽ある者となろう。  
                       
                       
                       
    221-10.                
     ‘‘Aratiṃ pajahāsi sato, bhavāsi sataṃ taṃ sārayāmase;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Aratiṃ  a-ram i 不快、不楽  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajahāsi  pra-hā 捨てる  
      語根 品詞 語基 意味  
      sato,  smṛ 過分 a 憶念した、念の、念のある、具念、正念の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavāsi  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      sataṃ  as 現分 ant ある、なる、善い  
      taṃ    代的 あなた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sārayāmase;  smṛ 想起させる  
    訳文                
     ♪不楽を捨て、念をそなえよ。我々はそなたに善を想起させよう。  
    メモ                
     ・sārayāmaseは語根sṛの使役による「行かせる、入れる」の可能性もあろうか。  
     ・『註』のPajahāsīti pajaha. Bhavāsīti bhava. という解釈のとおり命令法ふうに訳した。  
                       
                       
                       
    221-11.                
     Pātālarajo hi duttaro, mā taṃ kāmarajo avāhari.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Pātāla    a 依(属) 地獄  
      rajo    as  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      duttaro,  dur-tṛ a 超えがたい  
          不変 なかれ  
      taṃ    代的 あなた  
      kāma    a 男中 依(属) 欲、欲楽  
      rajo    as  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avāhari.  ava-hṛ 盗む、奪う、取る  
    訳文                
     ♪なぜなら、地獄の塵は超えがたいからである。あなたは、欲楽の塵に奪われる事なかれ。  
                       
                       
                       
    221-12.                
     ‘‘Sakuṇo yathā paṃsukunthito [paṃsukuṇṭhito (ka.), paṃsukuṇḍito (sī. syā. kaṃ. pī.)], vidhunaṃ pātayati sitaṃ rajaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sakuṇo    a  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      paṃsu    u 依(具) 塵、土、汚れ  
      kunthito,    過分 a 覆われた  
      vidhunaṃ  vi-dhū 現分 ant 振る、除く、皮を剥ぐ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pātayati  pat 使 落とす、倒す、投げる、殺す  
      語根 品詞 語基 意味  
      sitaṃ  śri 過分 a 依止した、依存した  
      rajaṃ;  raj as 塵、不浄  
    訳文                
     ♪汚れに覆われた鳥が、付いた塵を振り払う、  
                       
                       
                       
    221-13.                
     Evaṃ bhikkhu padhānavā satimā, vidhunaṃ pātayati sitaṃ raja’’ntntti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      padhānavā  pra-dhā ant 精勤ある、努力する  
      satimā,  smṛ ant 念ある、憶念ある  
      vidhunaṃ pātayati sitaṃ raja’’n (221-12.)  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪そのように、精勤あり念をそなえた比丘は、付いた塵を振り払う」と。  
                       
                       
                       
    221-14.                
     Atha kho so bhikkhu tāya devatāya saṃvejito saṃvegamāpādīti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      tāya    代的 それ、彼女  
      devatāya    ā 神々、女神、地祇  
      saṃvejito  saṃ-vij 使 過分 a 驚怖させられた、宗教心をおこさせられた  
      saṃvegam  saṃ-vij a 恐れ、感動、厭離心、宗教心  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āpādī  ā-pad 来る、遭う、至る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     そこでその比丘は、その神霊によって神妙にさせられ、恐縮した。  
                       
                       
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