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     2. Upāsakavaggo  
      語根 品詞 語基 意味  
      Upāsaka    a 依(属) 優婆塞  
      vaggo    a 章、品  
    訳文                
     「優婆塞品」  
                       
                       
                       
     1. Kasibhāradvājasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kasi  kṛs i 人名、カシ(農耕、耕作)  
      bhāradvāja    a 依(属) 人名、バーラドヴァージャ  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「カシ・バーラドヴァージャ経」(『相応部』7-11  
                       
                       
                       
    197-1.                
     197. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      me    代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 所聞、聞かれた  
    訳文                
     私はこのように聞いた。  
                       
                       
                       
    197-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā magadhesu viharati dakkhiṇāgirismiṃ ekanāḷāyaṃ brāhmaṇagāme.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      magadhesu    a 地名、マガダ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      dakkhiṇāgirismiṃ    i 地名、ダッキナーギリ  
      ekanāḷāyaṃ    ā 地名、エーカナーラー  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      gāme.    a  
    訳文                
     あるとき世尊は、マガダ国はダッキナーギリの、エーカナーラーという婆羅門の村に住しておられた。  
                       
                       
                       
    197-3.                
     Tena kho pana samayena kasibhāradvājassa [kasikabhāradvājassa (ka.)] brāhmaṇassa pañcamattāni naṅgalasatāni payuttāni honti vappakāle.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      kasi  kṛs i 人名、カシ  
      bhāradvājassa    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      pañca     
      mattāni    a 量、程度の、だけ  
      naṅgala    a  
      satāni    a  
      payuttāni  pra-yuj 過分 a 軛された、関係した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      honti  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vappa  vap 名未分 a 男中 依(属) 播くべき、播種の  
      kāle.    a 時、適時  
    訳文                
     さてそのとき、カシ・バーラドヴァージャ婆羅門の五百ほどの鋤が、種まき時で、結わえられていた。  
                       
                       
                       
    197-4.                
     Atha kho bhagavā pubbaṇhasamayaṃ nivāsetvā pattacīvaramādāya yena kasibhāradvājassa brāhmaṇassa kammanto tenupasaṅkami.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      pubbaṇha    a 依(属) 午前  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nivāsetvā  ni-vas 使 着衣する、内衣を着る  
      語根 品詞 語基 意味  
      patta    a 男中  
      cīvaram    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ādāya  ā-dā 取って  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      kasi  kṛs i 人名、カシ  
      bhāradvājassa    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      kammanto  kṛ a 業、作業、業務、家業、職業  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami.  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに世尊は午前中、内衣をつけ、鉢と衣を持って、カシ・バーラドヴァージャ婆羅門の作業しているところへ近づかれた。  
                       
                       
                       
    197-5.                
     Tena kho pana samayena kasibhāradvājassa brāhmaṇassa parivesanā vattati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      kasi  kṛs i 人名、カシ  
      bhāradvājassa    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      parivesanā  pari-viṣ ā 給食、食の分配  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vattati.  vṛt 転ずる、起こる、存在する  
    訳文                
     さてそのとき、カシ・バーラドヴァージャ婆羅門の食の給仕が始まった。  
                       
                       
                       
    197-6.                
     Atha kho bhagavā yena parivesanā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      parivesanā  pari-viṣ ā 給食、食の分配  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこで世尊は、食の給仕へ近づかれた。  
                       
                       
                       
    197-7.                
     upasaṅkamitvā ekamantaṃ aṭṭhāsi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      aṭṭhāsi.  sthā 立つ  
    訳文                
     近づいて、一方へ立たれた。  
                       
                       
                       
    197-8.                
     Addasā kho kasibhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ piṇḍāya ṭhitaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Addasā  dṛś 見た  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      kasi  kṛs i 人名、カシ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      piṇḍāya    a 団食、(与格で「托鉢のため」)  
      ṭhitaṃ.  sthā 過分 a 立った、とどまった  
    訳文                
     カシ・バーラドヴァージャ婆羅門は、托鉢のために立った世尊を見た。  
                       
                       
                       
    197-9.                
     Disvā bhagavantaṃ etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Disvā  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     見て、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    197-10.                
     ‘‘ahaṃ kho, samaṇa, kasāmi ca vapāmi ca, kasitvā ca vapitvā ca bhuñjāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ahaṃ    代的  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      samaṇa,  śram a 沙門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kasāmi  kṛs 耕す、耕作する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vapāmi  vap 播く、播種する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ca,    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kasitvā  kṛs 耕す、耕作する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vapitvā  vap 播く、播種する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhuñjāmi.  bhuj 食べる、受用する  
    訳文                
     「沙門よ、私は耕し、種をまいています。耕して、種をまいてから食べるのです。  
                       
                       
                       
    197-11.                
     Tvampi, samaṇa, kasassu ca vapassu ca, kasitvā ca vapitvā ca bhuñjassū’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tvam    代的 あなた  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      samaṇa,  śram a 沙門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kasassu  kṛs 耕す、耕作する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vapassu  vap 播く、播種する  
      ca, kasitvā ca vapitvā ca (197-10.)  
      bhuñjassū’’  bhuj 食べる、受用する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     沙門よ、あなたもまた、耕し、種をまきなさい。耕して、種をまいてから食べなさい」と。  
                       
                       
                       
    197-12.                
     ‘‘Ahampi kho, brāhmaṇa, kasāmi ca vapāmi ca, kasitvā ca vapitvā ca bhuñjāmī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Aham    代的  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kho, brāhmaṇa, kasāmi ca vapāmi ca, kasitvā ca vapitvā ca bhuñjāmī’’ (197-10.)  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「婆羅門よ、私もまた耕し、種をまいています。耕して、種をまいてから食べるのです」  
                       
                       
                       
    197-13.                
     Na kho mayaṃ passāma bhoto gotamassa yugaṃ vā naṅgalaṃ vā phālaṃ vā pācanaṃ vā balībadde vā, atha ca pana bhavaṃ gotamo evamāha –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      mayaṃ    代的 私たち  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passāma  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhoto  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      yugaṃ  yuj a 軛、一対  
          不変 あるいは  
      naṅgalaṃ    a 鋤、犂  
          不変 あるいは  
      phālaṃ    a 男中 鋤、鋤先、鉄板  
          不変 あるいは  
      pācanaṃ    a 刺棒、鞭  
          不変 あるいは  
      balībadde    a 牡牛  
      vā,    不変 あるいは  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āha –  ah いう  
    訳文                
     「私どもは、沙門ゴータマに軛、鋤、鋤先、刺棒、あるいは雄牛たちを見いだしません。けれども尊者ゴータマはこのように仰る。  
                       
                       
                       
    197-14.                
     ‘‘ahampi kho, brāhmaṇa, kasāmi ca vapāmi ca, kasitvā ca vapitvā ca bhuñjāmī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ahampi kho, brāhmaṇa, kasāmi ca vapāmi ca, kasitvā ca vapitvā ca bhuñjāmī’’ti. (197-12.)  
    訳文                
     『婆羅門よ、私もまた耕し、種をまいています。耕して、種をまいてから食べるのです』と」  
                       
                       
                       
    197-15.                
     Atha kho kasibhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ gāthāya ajjhabhāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      kasi  kṛs i 人名、カシ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      gāthāya    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     そこでカシ・バーラドヴァージャ婆羅門は、世尊へ偈をもって語りかけた。  
                       
                       
                       
    197-16.                
     ‘‘Kassako paṭijānāsi, na ca passāmi te kasiṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kassako  kṛs a 農夫、耕作者  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭijānāsi,  prati-jñā 自称する、公言する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passāmi  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      te    代的 あなた  
      kasiṃ;  kṛs i, ī 農耕、耕作  
    訳文                
     「♪そなたは耕作者を自称するが、私はそなたのうちに耕作を見ない。  
                       
                       
                       
    197-17.                
     Kassako pucchito brūhi, kathaṃ jānemu taṃ kasi’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kassako  kṛs a 農夫、耕作者  
      pucchito  prach 過分 a 問われた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      brūhi,  brū いう、告げる、述べる  
      語根 品詞 語基 意味  
      kathaṃ    不変 いかに、なぜに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānemu  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      taṃ    代的 それ  
      kasi’’n  kṛs i, ī 農耕、耕作  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪耕作者として問われたそなたは述べよ。我々はいかにその耕作を知ることができようか」と。  
                       
                       
                       
    197-18.                
     ‘‘Saddhā bījaṃ tapo vuṭṭhi, paññā me yuganaṅgalaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Saddhā    ā  
      bījaṃ    a 種、種子  
      tapo  tap as 男中 苦行、熱、鍛錬  
      vuṭṭhi,  vṛṣ i  
      paññā  pra-jñā ā 智慧、般若  
      me    代的  
      yuga  yuj a 軛、一対  
      naṅgalaṃ;    a  
    訳文                
     「♪私にとって、信が種子であり、修行が雨であり、智慧が軛と鋤である。  
                       
                       
                       
    197-19.                
     Hirī īsā mano yottaṃ, sati me phālapācanaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Hirī    i, ī  
      īsā    ā 轅(ながえ)  
      mano  man as  
      yottaṃ,    a ひも、帯、綱  
      sati  smṛ i 念、憶念、正念  
      me    代的  
      phāla    a 男中 鋤、鋤先、鉄板  
      pācanaṃ.    a 刺棒、鞭  
    訳文                
     ♪私にとって、慚が轅であり、意が綱であり、念が鋤先と刺棒である。  
                       
                       
                       
    197-20.                
     ‘‘Kāyagutto vacīgutto, āhāre udare yato;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kāya    a 有(持) 身体、集まり  
      gutto  gup 過分 a 守られた、守護された  
      vacī  vac as 有(持) 語、言、口  
      gutto,  gup 過分 a 守られた、守護された  
      āhāre  ā-hṛ a  
      udare    a  
      yato;  yam 過分 a 自制した、抑制した  
    訳文                
     ♪身を慎み、言葉を慎み、腹において食を自制して、  
                       
                       
                       
    197-21.                
     Saccaṃ karomi niddānaṃ, soraccaṃ me pamocanaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Saccaṃ    a 副対 真実  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      karomi  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      niddānaṃ,    a 切断、草刈り  
      soraccaṃ    a 柔和、温雅  
      me    代的  
      pamocanaṃ.  pra-muc a 令脱、解放  
    訳文                
     ♪私は真実によって草刈りをなす。私にとって柔和が〔軛の〕解除である。  
    メモ                
     ・「これは具格の意味の対格と知られるべし」Karaṇatthe cetaṃ upayogavacanaṃ veditabbaṃ. という『註』にしたがい、Saccaṃ を具格ふうに訳した。  
     ・soraccaṃpamocanaṃはどちらかが農業用語であるはずなので、『註』のPamocananti yogavissajjanaṃ. という説明に従い、補訳した。  
                       
                       
                       
    197-22.                
     ‘‘Vīriyaṃ me dhuradhorayhaṃ, yogakkhemādhivāhanaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Vīriyaṃ    a 精進  
      me    代的  
      dhura    a 依(属) 軛、荷物、責任  
      dhorayhaṃ,    a 忍耐強い、運ぶ牛  
      yoga  yuj a 依(奪) 束縛、瑜伽  
      khema    名形 a 有(与) 安穏、平穏の →軛安穏  
      adhivāhanaṃ;  adhi-vah a 男→中 運搬、将来  
    訳文                
     ♪私にとって、精進が軛安穏へと運ぶ荷牛である。  
                       
                       
                       
    197-23.                
     Gacchati anivattantaṃ, yattha gantvā na socati.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Gacchati  gam 行く  
      語根 品詞 語基 意味  
      anivattantaṃ,  a-ni-vṛt 現分 ant 副対 戻らない、逃げない、消失しない  
      yattha    不変 〜ところのその場所、〜の所  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gantvā  gam 行く  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      socati.  śuc 悲しむ、愁う  
    訳文                
     ♪それは、行ったならば憂うことのないところへ、戻ることなく行く。  
                       
                       
                       
    197-24.                
     ‘‘Evamesā kasī kaṭṭhā, sā hoti amatapphalā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evam    不変 このように、かくの如き  
      esā    代的 これ  
      kasī  kṛs i, ī 農耕、耕作  
      kaṭṭhā,  kṛs 過分 a 耕作された  
          代的 それ、彼女  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      amata  a-mṛ 名過分 a 有(属) 不死  
      phalā;  phal a 中→女 結果、果実  
    訳文                
     ♪かくのごとくなされたこの耕作。これは不死の結実あるものである。  
                       
                       
                       
    197-25.                
     Etaṃ kasiṃ kasitvāna, sabbadukkhā pamuccatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Etaṃ    代的 これ  
      kasiṃ  kṛs i, ī 農耕、耕作  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kasitvāna,  kṛs 耕作する、耕す  
      語根 品詞 語基 意味  
      sabba    名形 代的 すべて  
      dukkhā    名形 a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pamuccatī’’  pra-muc 受 解き放たれる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪この耕作をなしたならば、あらゆる苦から解き放たれる」  
                       
                       
                       
    197-26.                
     ‘‘Bhuñjatu bhavaṃ gotamo.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Bhuñjatu  bhuj 食べる、受用する、享受する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo.    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     「尊者ゴータマはお召し上がり下さい。  
                       
                       
                       
    197-27.                
     Kassako bhavaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kassako  kṛs a 農夫、耕作者  
      bhavaṃ.  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
    訳文                
     尊者は耕作者でいらっしゃいます。  
                       
                       
                       
    197-28.                
     Yañhi bhavaṃ gotamo amatapphalampi kasiṃ kasatī’’ti [bhāsatīti (ka.)].  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yañ    代的 (関係代名詞)  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      amata  a-mṛ 名過分 a 有(属) 不死  
      phalam  phal a 中→女 果、結果、果報  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kasiṃ  kṛs i, ī 農耕、耕作  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kasatī’’  kṛs 耕作する、耕す  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     なぜなら、尊者ゴータマは不死の結実ある耕作をなしておられるのですから」  
                       
                       
                       
    197-29.                
     ‘‘Gāthābhigītaṃ me abhojaneyyaṃ,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Gāthā    ā 有(持)  
      abhigītaṃ  abhi-gai 過分 a 歌われた  
      me    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhojaneyyaṃ,  a-bhuj 未分 a 食べられるべきでない  
    訳文                
     「♪誦唱された偈によって〔得た〕ものを、私は食べるべきでない。  
                       
                       
                       
    197-30.                
     Sampassataṃ brāhmaṇa nesa dhammo;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sampassataṃ  saṃ-paś 現分 ant 見る、正見する  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      na    不変 ない  
      esa    代的 これ  
      dhammo;  dhṛ a 男中  
    訳文                
     ♪婆羅門よ、正見者たちにとって、それは法ではない。  
                       
                       
                       
    197-31.                
     Gāthābhigītaṃ panudanti buddhā,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Gāthā    ā 有(持)  
      abhigītaṃ  abhi-gai 過分 a 歌われた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      panudanti  pra-nud 排除する、除去する  
      語根 品詞 語基 意味  
      buddhā,  budh 名過分 a 仏陀  
    訳文                
     ♪誦唱された偈によって〔得た〕ものを、諸仏は拒む。  
                       
                       
                       
    197-32.                
     Dhamme sati brāhmaṇa vuttiresā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Dhamme  dhṛ a 男中 処絶  
      sati  as 現分 ant 男中 処絶 ある、なる  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      vutti   i 行為、生活、習慣  
      esā.    代的 これ  
    訳文                
     ♪婆羅門よ、法があるとき、それがふるまいとなる。  
                       
                       
                       
    197-33.                
     ‘‘Aññena ca kevalinaṃ mahesiṃ,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Aññena    代的 他の、異なる  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      kevalinaṃ    in 完全の、独存の、  
      maha    ant 大きい  
      isiṃ,    i 仙人、聖者  
    訳文                
     ♪完全なる大仙、  
                       
                       
                       
    197-34.                
     Khīṇāsavaṃ kukkuccavūpasantaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Khīṇa  kṣī 受 過分 a 有(持) 尽きた  
      āsavaṃ  ā-sru a  
      kukkucca    a 有(持) 悪作、悔  
      vūpasantaṃ;  vi-upa-śam 過分 a 静まった、寂静となった  
    訳文                
     ♪漏尽の、悪作が静まった者へ、  
                       
                       
                       
    197-35.                
     Annena pānena upaṭṭhahassu,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Annena    a 食物  
      pānena  a 飲物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upaṭṭhahassu,  upa-sthā 仕える、看護する、現れる  
    訳文                
     ♪そなたは別の飲食を持って奉仕せよ。  
                       
                       
                       
    197-36.                
     Khettañhi taṃ puññapekkhassa hotī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Khettañ    a 田畑、土地、国土  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      taṃ    代的  それ   
      puñña     a 有(持) 福、善、功徳  
      apekkhassa  apa-īkṣ ā 女→男 願望、欲求、希望  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hotī’’  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪なぜならそれは、功徳を望む者にとって、〔実りをもたらす〕田となるのだから」  
                       
                       
                       
    197-37.                
     Evaṃ vutte, kasibhāradvājo brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a いわれた  
      kasi  kṛs i 人名、カシ  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このように言われて、カシ・バーラドヴァージャ婆羅門は、世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    197-38.                
     ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘abhikkantaṃ,  abhi-kram 名過分 a 偉なるかな、奇なるかな、希有なり、素晴らしい  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama…pe…    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     「素晴らしい、尊者ゴータマよ」……  
                       
                       
                       
    197-39.                
     ajjatagge pāṇupetaṃ saraṇaṃ gata’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ajja    不変 今日、今  
      agge    a 第一、最高、最上、首位、頂点 →今日以降  
      pāṇa  pra-an a 依(対) 生類、生命  
      upetaṃ  upa-i 過分 a そなえた、具備した →命ある限り  
      saraṇaṃ  sṛ a 帰依処  
      gata’’n  gam 過分 a 行った →帰依した  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ……〔世尊は私を〕今日以降、命ある限り帰依をなした〔優婆塞であるとご記憶下さい〕」と。  
                       
                       
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