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     7. Brāhmaṇasaṃyuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      saṃyuttaṃ  saṃ-yuj 過分 a 結ばれた、結合した  
    訳文                
     「婆羅門相応」  
                       
                       
                       
     1. Arahantavaggo  
      語根 品詞 語基 意味  
      Arahanta  arh 名現分 ant 依(属) 阿羅漢  
      vaggo    a 章、品  
    訳文                
     「阿羅漢品」  
                       
                       
                       
     1. Dhanañjānīsuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Dhanañjānī    ī 依(属) 人名、ダナンジャーニー  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「ダナンジャーニー経」(『相応部』7-1  
    メモ                
     ・『中部』100「サンガーラヴァ経」にダナンジャーニーという比丘尼とバーラドヴァージャ姓の青年が登場するが、何らかの関連があろうか。  
                       
                       
                       
    187-1.                
     187. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      me    代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 所聞、聞かれた  
    訳文                
     私はこのように聞いた。  
                       
                       
                       
    187-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā rājagahe viharati veḷuvane kalandakanivāpe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      rājagahe    a 地名、ラージャガハ、王舎城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      veḷuvane    a 竹林  
      kalandakanivāpe.  ni-vap a 地名、カランダカニヴァーパ(リスの餌場)  
    訳文                
     あるとき世尊はラージャガハの竹林、カランダカニヴァーパに住しておられた。  
                       
                       
                       
    187-3.                
     Tena kho pana samayena aññatarassa bhāradvājagottassa brāhmaṇassa dhanañjānī [dhānañjānī (pī. sī. aṭṭha.)] nāma brāhmaṇī abhippasannā hoti buddhe ca dhamme ca saṅghe ca.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      aññatarassa    代的 随一の、とある  
      bhāradvāja    a 有(持) 人名、バーラドヴァージャ  
      gottassa    a 中→男 氏姓、家系  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      dhanañjānī    ī 人名、ダナンジャーニー  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      brāhmaṇī  bṛh ī 婆羅門女  
      abhippasannā  abhi-pra-sad 過分 a 大いに喜んだ、信楽した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      buddhe  budh 名過分 a 仏陀  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      dhamme  dhṛ a 男中  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      saṅghe  saṃ-hṛ a 僧伽、衆  
      ca.    不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     さてそのとき、とあるバーラドヴァージャ姓の婆羅門の〔妻に〕、ダナンジャーニーという名の、仏陀と法と僧伽に対して浄信ある婆羅門女があった。  
                       
                       
                       
    187-4.                
     Atha kho dhanañjānī brāhmaṇī bhāradvājagottassa brāhmaṇassa bhattaṃ upasaṃharantī upakkhalitvā tikkhattuṃ udānaṃ udānesi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      dhanañjānī    ī 人名、ダナンジャーニー  
      brāhmaṇī  bṛh ī 婆羅門女  
      bhāradvāja    a 有(持) 人名、バーラドヴァージャ  
      gottassa    a 中→男 氏姓、家系  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      bhattaṃ  bhaj 名形 a 食事  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṃharantī  upa-saṃ-hṛ 現分 ant 集める、置く、集中する、比較する、捕捉する、世話する  
      upakkhalitvā  upa-kṣar よろける、つまずく  
      語根 品詞 語基 意味  
      tikkhattuṃ    不変 三度、みたび  
      udānaṃ    a 自説、感興語  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      udānesi –    発音する、発語する  
    訳文                
     ときに、ダナンジャーニー婆羅門女は、バーラドヴァージャ姓の婆羅門の食事を世話しているときによろけて、みたび感興の言葉を発した。  
                       
                       
                       
    187-5.                
     ‘‘Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Namo  nam as 南無、礼拝  
      tassa    代的 それ、彼  
      bhagavato    ant 世尊  
      arahato  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      sammā    不変 正しい、正しく  
      sambuddhassa;  saṃ-budh 名過分 a 等覚  
    訳文                
     「かの阿羅漢にして等正覚者たる世尊へ礼拝いたします。  
    メモ                
     ・「南無仏」や「南無三」といった帰依文を護呪的に用いる例は、このようにすでにニカーヤの時点から存在したようだ。  
                       
                       
                       
    187-6.                
     Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassa; (187-5.)  
    訳文                
     かの阿羅漢にして等正覚者たる世尊へ礼拝いたします。  
                       
                       
                       
    187-7.                
     Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Namo tassa bhagavato arahato sammāsambuddhassā’’ (187-5.)  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     かの阿羅漢にして等正覚者たる世尊へ礼拝いたします」と。  
                       
                       
                       
    187-8.                
     Evaṃ vutte, bhāradvājagotto brāhmaṇo dhanañjāniṃ brāhmaṇiṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a いわれた  
      bhāradvāja    a 有(持) 人名、バーラドヴァージャ  
      gotto    a 中→男 姓、氏姓、種姓、家系  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      dhanañjāniṃ    ī 人名、ダナンジャーニー  
      brāhmaṇiṃ  bṛh ī 婆羅門女  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このように言われて、バーラドヴァージャ姓の婆羅門は、ダナンジャーニー婆羅門女にこう言った。  
                       
                       
                       
    187-9.                
     ‘‘evamevaṃ panāyaṃ vasalī yasmiṃ vā tasmiṃ vā tassa muṇḍakassa samaṇassa vaṇṇaṃ bhāsati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘evam    不変 このように、かくの如き  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      ayaṃ    代的 これ  
      vasalī    ī 賤民  
      yasmiṃ    代的 (関係代名詞)  
          不変 あるいは  
      tasmiṃ    代的 それ、彼  
          不変 あるいは  
      tassa    代的 それ、彼  
      muṇḍakassa    a 禿頭の、似非沙門  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      vaṇṇaṃ    a 色、容色、称讃  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhāsati.  bhāṣ 話す、語る  
    訳文                
     「まったくこのように、このいやしい女は、およそいかなる場合でもかの禿頭の似非沙門の称讃を語る。  
                       
                       
                       
    187-10.                
     Idāni tyāhaṃ, vasali, tassa satthuno vādaṃ āropessāmī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idāni    不変 今、いまや  
      te    代的 あなた  
      ahaṃ,    代的  
      vasali,    ī 賤民  
      tassa    代的 それ、彼  
      satthuno  śās ar  
      vādaṃ  vad a 言葉  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropessāmī’’  ā-ruh 使 上らせる →議論にのせる、論破する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     いやしい女よ、今から私は、そのあなたの師を論破してみせよう」と。  
                       
                       
                       
    187-11.                
     ‘‘Na khvāhaṃ taṃ, brāhmaṇa, passāmi sadevake loke samārake sabrahmake sassamaṇabrāhmaṇiyā pajāya sadevamanussāya, yo tassa bhagavato vādaṃ āropeyya arahato sammāsambuddhassa.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ    代的  
      taṃ,    代的 それ  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passāmi  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      sadevake    a 天ある  
      loke    a 世界、世間  
      samārake    a 魔ある  
      sabrahmake  sa-bṛh a 梵ある  
      sassamaṇa  sa-śram a 有(相) 沙門ある  
      brāhmaṇiyā  bṛh a 男→女 婆羅門  
      pajāya  pra-jan ā 人々  
      sadeva    a 有(相) 天ある  
      manussāya,    a 男→女 人、人間  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      tassa    代的 それ、彼  
      bhagavato    ant 世尊  
      vādaṃ  vad a 言葉  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropeyya  ā-ruh 使 上らせる →議論にのせる、論破する  
      語根 品詞 語基 意味  
      arahato  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      sammā    不変 正しい、正しく  
      sambuddhassa.  saṃ-budh 名過分 a 等覚  
    訳文                
     「婆羅門よ、私は、この天・魔・梵を含む世界、〔また〕沙門と婆羅門、王と民を含む人々のうちに、かの阿羅漢にして等正覚者たる世尊を論破できる、そのような者を見たことがありません。  
                       
                       
                       
    187-12.                
     Api ca tvaṃ, brāhmaṇa, gaccha, gantvā vijānissasī’’ti [gantvāpi jānissasīti (syā. kaṃ.)].  
      語根 品詞 語基 意味  
      Api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gaccha,  gam 行く  
      gantvā  gam 行く  
      vijānissasī’’  vi-jñā 了知する、識知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     けれども婆羅門よ、あなたはお行きなさい。行けば、あなたもわかることでしょう」  
                       
                       
                       
    187-13.                
     Atha kho bhāradvājagotto brāhmaṇo kupito anattamano yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhāradvāja    a 有(持) 人名、バーラドヴァージャ  
      gotto    a 中→男 姓、氏姓、種姓、家系  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      kupito  kup 過分 a 怒った  
      anattamano    a 適意ならぬ、悦意ならぬ  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     そこでバーラドヴァージャ姓の婆羅門は、怒り、不愉快となって、世尊へ近づいた。  
                       
                       
                       
    187-14.                
     upasaṅkamitvā bhagavatā saddhiṃ sammodi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavatā    ant 世尊  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodi.  saṃ-mud 相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     近づいて、世尊と挨拶した。  
                       
                       
                       
    187-15.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わして、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    187-16.                
     Ekamantaṃ nisinno kho bhāradvājagotto brāhmaṇo bhagavantaṃ gāthāya ajjhabhāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhāradvāja    a 有(持) 人名、バーラドヴァージャ  
      gotto    a 中→男 姓、氏姓、種姓、家系  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      gāthāya    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     一方へ坐ったバーラドヴァージャ姓の婆羅門は、世尊へ偈をもって語りかけた。  
                       
                       
                       
    187-17.                
     ‘‘Kiṃsu chetvā sukhaṃ seti, kiṃsu chetvā na socati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      su    不変 〜かどうか、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      chetvā  chid 切る、切断する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sukhaṃ    名形 a 副対  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      seti,  śī 横臥する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kiṃ    代的 主対 何、なぜ、いかに  
      su    不変 〜かどうか、じつに  
      chetvā  同上  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      socati;  śuc 悲しむ、愁う  
    訳文                
     「♪何を断てば安楽に臥すのか。何を断てば愁いがないのか。  
    メモ                
     ・『相応部』1-71「断経」にパラレル。  
                       
                       
                       
    187-18.                
     Kissassu ekadhammassa, vadhaṃ rocesi gotamā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kissa    代的 男中 何、誰  
      assu    不変 じつに  
      eka    代的 一、とある  
      dhammassa,  dhṛ a 男中  
      vadhaṃ  vadh a 殺害、殺戮  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      rocesi  ruc 使 喜ぶ、同意する、選択する  
      語根 品詞 語基 意味  
      gotamā’’    a 人名、ゴータマ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪いかなる一法の撲滅をあなたは喜ぶのか、ゴータマよ」  
                       
                       
                       
    187-19.                
     ‘‘Kodhaṃ chetvā sukhaṃ seti, kodhaṃ chetvā na socati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kodhaṃ  krudh a 忿怒  
      chetvā sukhaṃ seti, kodhaṃ chetvā na socati; (187-17.)  
    訳文                
     〔世尊曰く〕「♪憤怒を断てば安楽に臥す。憤怒を断てば愁いがない。  
                       
                       
                       
    187-20.                
     Kodhassa visamūlassa, madhuraggassa brāhmaṇa;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kodhassa  krudh a 忿怒  
      visa    a 有(属)  
      mūlassa,    a 中→男 根、根本  
      madhura    a 有(属) 蜜の如き、甘い、美味の  
      aggassa    a 第一、最上、頂点  
      brāhmaṇa;  bṛh a 婆羅門  
    訳文                
     ♪婆羅門よ、頂部は甘美だが根に毒のある忿怒の、  
                       
                       
                       
    187-21.                
     Vadhaṃ ariyā pasaṃsanti, tañhi chetvā na socatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vadhaṃ  vadh a 殺害  
      ariyā    名形 a 聖なる  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pasaṃsanti,  pra-śaṃs 誉める、称讃する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tañ    代的 それ  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      chetvā na socatī’’ (187-17.)  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     撲滅を聖者たちは称讃する。それを断てば愁いがない」  
                       
                       
                       
    187-22.                
     Evaṃ vutte, bhāradvājagotto brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a いわれた  
      bhāradvāja    a 有(持) 人名、バーラドヴァージャ  
      gotto    a 中→男 姓、氏姓、種姓、家系  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     このように言われて、バーラドヴァージャ姓の婆羅門は世尊へこう言った。  
                       
                       
                       
    187-23.                
     ‘‘abhikkantaṃ, bho gotama, abhikkantaṃ, bho gotama!   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘abhikkantaṃ,  abhi-kram 名過分 a 希有なり、素晴らしい  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama,    a 人名、ゴータマ  
      abhikkantaṃ,  abhi-kram 名過分 a 希有なり、素晴らしい  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama!    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     「素晴らしい、尊者ゴータマよ。素晴らしい、尊者ゴータマよ。  
                       
                       
                       
    187-24.                
     Seyyathāpi, bho gotama, nikkujjitaṃ vā ukkujjeyya, paṭicchannaṃ vā vivareyya, mūḷhassa vā maggaṃ ācikkheyya, andhakāre vā telapajjotaṃ dhāreyya –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathā    不変 たとえば、その如き  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者  
      gotama,    a 人名、ゴータマ  
      nikkujjitaṃ    過分 a 倒れた、転倒した  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ukkujjeyya,    起こす、直立させる  
      語根 品詞 語基 意味  
      paṭicchannaṃ  prati-chad 使 過分 a 覆われた、隠された  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vivareyya,  vi-vṛ 開く、解明する、あきらかにする  
      語根 品詞 語基 意味  
      mūḷhassa  muh 過分 a 男中 愚昧の、迷った  
          不変 あるいは  
      maggaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ācikkheyya,  ā-khyā 強 告げる、述べる、説く  
      語根 品詞 語基 意味  
      andha    a 依(属) 盲目、愚昧  
      kāre  kṛ a 行為、所作、字、文字、作者 →暗黒  
          不変 あるいは  
      tela    a 依(具)  
      pajjotaṃ    a 灯火、光明  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dhāreyya –  dhṛ 使 もたせる、差し出す  
    訳文                
     尊者ゴータマよ、たとえばまた、倒れたものを起こすように、覆われたものをあきらかにするように、迷ったもののために道を教えるように、  
                       
                       
                       
    187-25.                
     cakkhumanto rūpāni dakkhantīti;   
      語根 品詞 語基 意味  
      cakkhumanto    ant 眼ある  
      rūpāni    a 色、物質、肉体、形相  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dakkhantī  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti;    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     あるいは『眼あるものが諸々の形相を見る〔ことができるように〕』といって暗闇に灯明を差し出すように、  
                       
                       
                       
    187-26.                
     evamevaṃ bhotā gotamena anekapariyāyena dhammo pakāsito.   
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      bhotā  bhū 名現分 ant(特) 尊者  
      gotamena    a 人名、ゴータマ  
      aneka    代的 一つならぬ、多数の  
      pariyāyena  pari-i a 法門、理由、方便、順序  
      dhammo  dhṛ a  
      pakāsito.  pra-kāś 使 過分 a 説明された、あきらかにされた、知らされた  
    訳文                
     まさしくそのように、尊者ゴータマによって多くの法門により法があきらかにされました。  
                       
                       
                       
    187-27.                
     Esāhaṃ, bhante, bhagavantaṃ gotamaṃ saraṇaṃ gacchāmi dhammañca bhikkhusaṅghañca.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Eso    代的 これ、彼  
      ahaṃ,    代的  
      bhante,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、大徳よ  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      gotamaṃ    ant ゴータマ  
      saraṇaṃ  sṛ a 帰依処  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gacchāmi  gam 行く →帰依する  
      語根 品詞 語基 意味  
      dhammañ  dhṛ a  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      bhikkhu  bhikṣ u 依(属) 比丘、(特に男性の)出家者  
      saṅghañ  saṃ-hṛ a 僧伽、(特に仏教の)教団  
      ca.    不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     尊者よ、この私は、世尊たるゴータマへ、法へ、また比丘僧伽へ帰依いたします。  
                       
                       
                       
    187-28.                
     Labheyyāhaṃ bhoto gotamassa santike pabbajjaṃ, labheyyaṃ upasampada’’nti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Labheyya  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ahaṃ    代的  
      bhoto  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      santike    a 付近、面前  
      pabbajjaṃ,  pra-vraj ā 出家  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      labheyyaṃ    能反 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      upasampada’’n  upa-saṃ-pad ā 具足、受戒  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     私が尊者ゴータマの面前で、出家することを得、具足戒を得られますように」と。  
                       
                       
                       
    187-29.                
     Alattha kho bhāradvājagotto brāhmaṇo bhagavato santike pabbajjaṃ, alattha upasampadaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Alattha  labh 得る  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhāradvāja    a 有(持) 人名、バーラドヴァージャ  
      gotto    a 中→男 姓、氏姓、種姓、家系  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavato    ant 世尊  
      santike    a 付近、面前  
      pabbajjaṃ,  pra-vraj ā 出家  
      alattha  同上  
      upasampadaṃ.  upa-saṃ-pad ā 具足、受戒  
    訳文                
     じつにバーラドヴァージャ姓の婆羅門は、世尊の面前で出家することを得、具足戒を得た。  
                       
                       
                       
    187-30.                
     Acirūpasampanno kho panāyasmā bhāradvājo eko vūpakaṭṭho appamatto ātāpī pahitatto viharanto nacirasseva –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Acira    a 久しからず、暫時の  
      upasampanno  upa-saṃ-pad 過分 a 受戒した  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      eko    代的 一、とある  
      vūpakaṭṭho  wi-ava-kṛṣ 過分 a 遠離した  
      appamatto    a 不放逸の  
      ātāpī  ā-tap in 熱心の、熱意ある  
      pahita  pra-dhā 過分 a 有(持) 熱心な、努めた  
      atto    a 自分  
      viharanto  vi-hṛ 現分 ant 住する  
      na    不変 ない  
      cirassa    a 男中 副属 ひさしく  
      eva –    不変 まさに、のみ、じつに  
    訳文                
     そして受戒してすぐに、尊者バーラドヴァージャはひとり遠離し、不放逸に、熱心に、自ら励んで住し、久しからずして、  
                       
                       
                       
    187-31.                
     yassatthāya kulaputtā sammadeva agārasmā anagāriyaṃ pabbajanti tadanuttaraṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      yassa    代的 男中 (関係代名詞)  
      atthāya    a 男中 義、利益、道理、意味、必要、裁判、営務  
      kula    a 依(属) 家、良家、族姓  
      puttā    a 息子 →善男子  
      samma    不変 正しい、正しく  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      agārasmā    a 家、舎、家屋、俗家  
      anagāriyaṃ    a 非家の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pabbajanti  pra-vraj 出家する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tad    代的 それ  
      anuttaraṃ –    代的 無上の  
    訳文                
     善男子たちがそれを目的として正しく俗家から出家をなすところの、かの無上なるもの、  
                       
                       
                       
    187-32.                
     brahmacariyapariyosānaṃ diṭṭheva dhamme sayaṃ abhiññā sacchikatvā upasampajja vihāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      brahmacariya  bṛh, car a 依(属) 梵行  
      pariyosānaṃ  pari-ava-sā a 終結、完了  
      diṭṭhe  dṛś 過分 a 男中 見られた、見、所見  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      dhamme  dhṛ a 男中 法、教法、真理、正義、もの →現法、現世  
      sayaṃ    不変 自ら、自分で  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhiññā  abhi-jñā 証知する、自証する  
      sacchikatvā  kṛ 作証する、証明をなす、さとる  
      upasampajja  upa-saṃ-pad 到達する、成就する、具足する  
      vihāsi.  vi-hṛ 住する  
    訳文                
     〔すなわち〕梵行の完成を現法において自ら証知し、作証し、成就して住した。  
                       
                       
                       
    187-33.                
     ‘‘Khīṇā jāti, vusitaṃ brahmacariyaṃ, kataṃ karaṇīyaṃ, nāparaṃ itthattāyā’’ti abbhaññāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Khīṇā  kṣī 受 過分 ā 尽きた  
      jāti,  jan i  
      vusitaṃ  ava-sā? 過分 a 完成した  
      brahmacariyaṃ,  bṛh, car a 梵行  
      kataṃ  kṛ 過分 a なされた  
      karaṇīyaṃ,  kṛ 名未分 a なされるべきこと  
      na    不変 ない  
      aparaṃ    代的 副対 後、他  
      itthattāyā’’    a かくの如き状態、現状、ここ[輪廻]の状態  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhaññāsi.  abhi-jñā 証知する、自証する  
    訳文                
     「生は尽きた。梵行は完成した。なされるべきことはなされた。もはやこのような〔輪廻の〕状態へ〔至ることは〕ない」と自証した。  
                       
                       
                       
    187-34.                
     Aññataro ca panāyasmā bhāradvājo arahataṃ ahosīti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Aññataro    代的 随一の、二者の一、とある、一つの  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      arahataṃ  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosī  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     尊者バーラドヴァージャもまた、阿羅漢たちの一人となったのである。  
                       
                       
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