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     9. Turūbrahmasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Turū    ū 神名、トゥルー  
      brahma  bṛh 名形 an(特) 依(属)  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「トゥルー梵天経」(『相応部』6-9  
                       
                       
                       
    180-1.                
     180. Sāvatthinidānaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sāvatthinidānaṃ. (177-1.)  
    訳文                
     サーヴァッティーでのことである。  
                       
                       
                       
    180-2.                
     Tena kho pana samayena kokāliko bhikkhu ābādhiko hoti dukkhito bāḷhagilāno.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      kokāliko    a 人名、コーカーリカ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      ābādhiko  ā-bādh a 病気の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      dukkhito    過分 a 苦しむ  
      bāḷha    a 激しい、甚だしい  
      gilāno.    a 病んだ、病人  
    訳文                
     さてその時、コーカーリカ比丘が、病気になり、苦しみ、重症となっていた。  
                       
                       
                       
    180-3.                
     Atha kho turū [tudu (sī. syā. kaṃ. pī.)] paccekabrahmā abhikkantāya rattiyā abhikkantavaṇṇo kevalakappaṃ jetavanaṃ obhāsetvā yena kokāliko bhikkhu tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      turū    ū 神名、トゥルー  
      pacceka    a 独一の、単独の  
      brahmā  bṛh 名形 an(特) 梵天  
      abhikkantāya  abhi-kram 過分 a 過ぎ去った、進んだ、超えた、素晴らしい  
      rattiyā    i  
      abhikkanta  abhi-kram 過分 a 有(持) 過ぎ去った、進んだ、超えた、素晴らしい  
      vaṇṇo    a 色、容色  
      kevalakappaṃ    不変 全面に  
      jetavanaṃ    a 地名、ジェータ林、祇樹、祇園  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      obhāsetvā  ava-bhās 使 照らす  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      kokāliko    a 人名、コーカーリカ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに、すぐれた容色をもったトゥルー辟支梵天が、夜更けに、ジェータ林を全面に照らしながら、コーカーリカ比丘のもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    180-4.                
     upasaṅkamitvā vehāsaṃ ṭhito kokālikaṃ bhikkhuṃ etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      vehāsaṃ    a 空、虚空  
      ṭhito  sthā 過分 a 立つ  
      kokālikaṃ    a 人名、コーカーリカ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     近づいて虚空に立ち、コーカーリカ比丘へこういった。  
                       
                       
                       
    180-5.                
     ‘‘pasādehi, kokālika, sāriputtamoggallānesu cittaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘pasādehi,  pra-sad 使 浄信させる、清める  
      語根 品詞 語基 意味  
      kokālika,    a 人名、コーカーリカ  
      sāriputta    a 人名、サーリプッタ  
      moggallānesu    a 人名、モッガッラーナ  
      cittaṃ.  cit a  
    訳文                
     「コーカーリカよ、サーリプッタとモッガッラーナに対して心を浄信させなさい。  
                       
                       
                       
    180-6.                
     Pesalā sāriputtamoggallānā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Pesalā    a 温和の、善美の、愛すべき  
      sāriputta    a 人名、サーリプッタ  
      moggallānā’’    a 人名、モッガッラーナ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     サーリプッタとモッガッラーナは温和な方々です」といって。  
                       
                       
                       
    180-7.                
     ‘‘Kosi tvaṃ, āvuso’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ko    代的 何、誰  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      āvuso’’    不変 友よ  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、あなたは誰ですか」  
                       
                       
                       
    180-8.                
     ‘‘Ahaṃ turū paccekabrahmā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ahaṃ    代的  
      turū    ū 神名、トゥルー  
      pacceka    a 独一の、単独の  
      brahmā’’  bṛh 名形 an(特) 梵天  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「私はトゥルー辟支梵天です」  
                       
                       
                       
    180-9.                
     ‘‘Nanu tvaṃ, āvuso, bhagavatā anāgāmī byākato, atha kiñcarahi idhāgato?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Nanu    不変 〜にあらずや、じつに  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      āvuso,    不変 友よ  
      bhagavatā    ant 世尊  
      anāgāmī  an-ā-gam in 不還  
      byākato,  vi-ā-kṛ 過分 a 解答された  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      kiñ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      carahi    不変 しからば  
      idha    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      āgato?  ā-gam 過分 a 来た  
    訳文                
     「友よ、あなたは世尊によって不還を授記されたのではありませんでしたか。なぜこの世に帰ってきたのですか」  
    メモ                
     ・不還果の者は色界最上の五部浄居へ生まれるというのが通例かと思いきや、これは梵天になったという事例である。  
                       
                       
                       
    180-10.                
     Passa, yāvañca te idaṃ aparaddha’’nti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Passa,  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      yāva    不変 〜だけ、〜まで、〜の限り  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      te    代的 あなた  
      idaṃ    代的 これ  
      aparaddha’’n  apa-rādh 過分 a 罪を犯した、罪過の  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     〔辟支梵天曰く〕「あなたは、あなたのその罪過だけを見ていればよいのです。  
                       
                       
                       
    180-11.                
     ‘‘Purisassa hi jātassa, kuṭhārī [dudhārī (syā. kaṃ. ka.)] jāyate mukhe;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Purisassa    a 属絶 人、男  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      jātassa,  jan 過分 a 属絶 生じた  
      kuṭhārī    i 複(単) 斧、まさかり  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jāyate  jan 生まれる、再生する  
      語根 品詞 語基 意味  
      mukhe;    a 面、口  
    訳文                
     ♪人は生まれながらに、口に斧が生じている。  
    メモ                
     ・主語と述語の数が合っていない。kuṭhārīが長音化している故と解した。  
                       
                       
                       
    180-12.                
     Yāya chindati attānaṃ, bālo dubbhāsitaṃ bhaṇaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yāya    代的 (関係代名詞)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      chindati  chid 切る  
      語根 品詞 語基 意味  
      attānaṃ,    an 自己、我  
      bālo    a 愚かな、無知の、若い  
      dubbhāsitaṃ  dur-bhāṣ 過分 a 誤って説かれた  
      bhaṇaṃ.  bhaṇ 現分 ant 話す、語る  
    訳文                
     ♪それによって、謬説を説く愚者が己を斬るような〔斧が〕。  
                       
                       
                       
    180-13.                
     ‘‘Yo nindiyaṃ pasaṃsati,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yo    代的 (関係代名詞)  
      nindiyaṃ  nid 未分 a 非難されるべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pasaṃsati,  pra-śaṃs 誉める、称讃する  
    訳文                
     ♪非難されるべき者を称讃する者、  
                       
                       
                       
    180-14.                
     Taṃ vā nindati yo pasaṃsiyo;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ    代的 それ  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nindati  nid 非難する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      pasaṃsiyo;  pra-śaṃs 未分 a 称讃されるべき  
    訳文                
     ♪あるいは称讃されるべきところの者を非難する者、  
                       
                       
                       
    180-15.                
     Vicināti mukhena so kaliṃ,  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Vicināti  vi-ci 簡別する、集める、調査する、考察する  
      語根 品詞 語基 意味  
      mukhena    a 男中 口、面  
      so    代的 それ、彼  
      kaliṃ,    i 不利玉、不運  
    訳文                
     ♪その者は、口によって不幸を集積する。  
                       
                       
                       
    180-16.                
     Kalinā tena sukhaṃ na vindati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kalinā    i 不利玉、不運  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      sukhaṃ    名形 a  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vindati.  vid 知る、見出す、所有する  
    訳文                
     ♪その不幸のゆえに、楽を見いださない。  
                       
                       
                       
    180-17.                
     ‘‘Appamattako ayaṃ kali,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Appamattako    a 小さい  
      ayaṃ    代的 これ  
      kali,    i 不利玉、不運  
    訳文                
     ♪これは小さな不幸である、  
                       
                       
                       
    180-18.                
     Yo akkhesu dhanaparājayo;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yo    代的 (関係代名詞)  
      akkhesu    a さいころ  
      dhana    a 依(属) 財産  
      parājayo;  parā-ji a 敗北、負け  
    訳文                
     ♪骰子〔博打〕で財産を損ねるようなことは。  
                       
                       
                       
    180-19.                
     Sabbassāpi sahāpi attanā,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sabbassā    a 中(男) 全財産、所有財  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      saha    不変 伴う、ともに  
      api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      attanā,    an 自ら  
    訳文                
     ♪たとえ、自分とともにある全財産〔の損失〕であっても。  
                       
                       
                       
    180-20.                
     Ayameva mahantataro kali;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ayam    代的 これ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      mahantataro    代的 より大きい  
      kali;    i 不利玉、不運  
    訳文                
     ♪これこそが大きな不幸である、  
                       
                       
                       
    180-21.                
     Yo sugatesu manaṃ padosaye.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yo    代的 (関係代名詞)  
      sugatesu  su-gam 名過分 a 善逝、よく逝った  
      manaṃ  man as  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      padosaye.  duṣ/dviṣ? 邪悪となす、汚す、怒らせる  
    訳文                
     ♪善逝たちに対し、意を汚すようなことが。  
    メモ                
     ・舎利弗目連も「善逝」か。  
                       
                       
                       
    180-22.                
     ‘‘Sataṃ sahassānaṃ nirabbudānaṃ,  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Sataṃ    a  
      sahassānaṃ    a  
      nirabbudānaṃ,    a ニラッブダ、大数の名、地獄の名  
    訳文                
     ♪ニラッブダを百千と、  
                       
                       
                       
    180-23.                
     Chattiṃsati pañca ca abbudāni;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Chattiṃsati    i 三十六  
      pañca     
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      abbudāni;    a アッブダ、垓、地獄の名  
    訳文                
     ♪三十六、さらに五アッブダの間、  
    メモ                
     ・Chattiṃsatiは、水野辞書にahattiṃsatī sotāという用例があるので数詞chattiṃsaが女性化し、さらに韻律の関係で短音化したものと見た。  
                       
                       
                       
    180-24.                
     Yamariyagarahī [yamariye garahī (syā. kaṃ.), yamariyaṃ garahaṃ (ka.)] nirayaṃ upeti,  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yam    代的 (関係代名詞)  
      ariya    名形 a 依(対) 聖なる  
      garahī  garh in 呵責する、叱責する  
      nirayaṃ    a 地獄  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upeti,  upa-i 近づく、至る  
    訳文                
     ♪聖者を非難した者は地獄へ至る。  
                       
                       
                       
    180-25.                
     Vācaṃ manañca paṇidhāya pāpaka’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vācaṃ  vac ā 言葉、語  
      manañ  man as  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṇidhāya  pra-ni-dhā 前に置く、定置する、願う、志向する  
      語根 品詞 語基 意味  
      pāpaka’’n    a 悪しき  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪悪しき語と意を志向したばかりに」  
                       
                       
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