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     3. Mahāvedallasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Mahā    ant 大きい  
      vedalla    a 依(属) 毘陀羅、智解、有明  
      suttaṃ sīv a 経、糸  
    訳文                
     「大有明経」(『中部』43  
    メモ                
     ・有明vedallaは九分教の一で、重層の教理問答をいう。  
                       
                       
                       
    449-1.                
     449. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ   不変 このように  
      me   代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた、所聞  
    訳文                
     このように私は聞いた。  
                       
                       
                       
    449-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā sāvatthiyaṃ viharati jetavane anāthapiṇḍikassa ārāme.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ    a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      jetavane    a 地名、ジェータ林、祇樹、祇園  
      anāthapiṇḍikassa    a 人名、アナータピンディカ、給孤独  
      ārāme.    a  
    訳文                
     あるとき世尊は、サーヴァッティーの、ジェータ林はアナータピンディカ園に住しておられた。  
                       
                       
                       
    449-3.                
     Atha kho āyasmā mahākoṭṭhiko sāyanhasamayaṃ paṭisallānā vuṭṭhito yenāyasmā sāriputto tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      mahākoṭṭhiko    a 人名、マハーコッティカ  
      sāyanha    a 依(属) 夕方  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      paṭisallānā  prati-saṃ-lī a 独坐  
      vuṭṭhito  (vi-)ud-sthā 過分 a 出定した  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      sāriputto    a 人名、サーリプッタ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     ときに尊者マハーコッティカが、夕暮れ時、独坐より出定して、尊者サーリプッタのもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    449-4.                
     upasaṅkamitvā āyasmatā sāriputtena saddhiṃ sammodi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      āyasmatā    ant 尊者、具寿  
      sāriputtena    a 人名、サーリプッタ  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodi.  saṃ-mud 相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     近づいて、尊者サーリプッタと挨拶した。  
                       
                       
                       
    449-5.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わしてから一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    449-6.                
     Ekamantaṃ nisinno kho āyasmā mahākoṭṭhiko āyasmantaṃ sāriputtaṃ etadavoca –  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      mahākoṭṭhiko    a 人名、マハーコッティカ  
      āyasmantaṃ    ant 尊者、具寿  
      sāriputtaṃ    a 人名、サーリプッタ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca – vac いう  
    訳文                
     一方へ坐った尊者マハーコッティカは、尊者サーリプッタへこういった。  
                       
                       
                       
    449-7.                
     ‘‘‘Duppañño duppañño’ti, āvuso, vuccati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Duppañño  dur-pra-jñā 名形 a 悪慧の、劣慧の  
      duppañño’  dur-pra-jñā 名形 a 悪慧の、劣慧の  
      ti,    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      āvuso,    不変 友よ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuccati.  vac 受 言われる  
    訳文                
     「友よ、『悪慧者、悪慧者』といわれます。  
                       
                       
                       
    449-8.                
     Kittāvatā nu kho, āvuso, duppaññoti vuccatī’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kittāvatā    不変 どれだけで、どの範囲で、どの点から  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      āvuso, duppaññoti vuccatī’’ti? (449-7.)  
    訳文                
     友よ、いったいどれだけをもって悪慧者といわれるのでしょうか」  
                       
                       
                       
    449-9.                
     ‘‘‘Nappajānāti nappajānātī’ti kho, āvuso, tasmā duppaññoti vuccati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      pajānātī’  同上  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      āvuso,    不変 友よ  
      tasmā    代的 それ、彼  
      duppañño  dur-pra-jñā 名形 a 悪慧の、劣慧の  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuccati. vac 受 言われる  
    訳文                
     「友よ、『了知しない、了知しない』というそのことゆえに悪慧者といわれるのです」  
                       
                       
                       
    449-10.                
     ‘‘Kiñca nappajānāti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiñ    代的 何、なぜ、いかに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti?  pra-jñā 知る、了知する  
    訳文                
     では、何を了知しないのでしょうか。  
                       
                       
                       
    449-11.                
     ‘Idaṃ dukkha’nti nappajānāti, ‘ayaṃ dukkhasamudayo’ti nappajānāti, ‘ayaṃ dukkhanirodho’ti nappajānāti, ‘ayaṃ dukkhanirodhagāminī paṭipadā’ti nappajānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Idaṃ    代的 これ  
      dukkha’n    名形 a  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti,  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘ayaṃ    代的 これ  
      dukkha    名形 a 依(属)  
      samudayo’  saṃ-ud-i a 集、生起、原因  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      na    不変 ない  
      pajānāti,  同上  
      ‘ayaṃ    代的 これ  
      dukkha    名形 a 依(属)  
      nirodho’    a  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      na    不変 ない  
      pajānāti,  同上  
      ‘ayaṃ    代的 これ  
      dukkha    名形 a 依(属)  
      nirodha    a 依(対)  
      gāminī  gam 名形 in 男→女 行かせる、導く  
      paṭipadā’  prati-pad ā  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      na    不変 ない  
      pajānāti.  同上  
    訳文                
     『これは苦である』と了知せず、『これは苦の集である』と了知せず、『これは苦の滅である』と了知せず、『これは苦の滅へ至る道である』と了知しないのです。  
                       
                       
                       
    449-12.                
     ‘Nappajānāti nappajānātī’ti kho, āvuso, tasmā duppaññoti vuccatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      pajānātī’  同上  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      āvuso,    不変 友よ  
      tasmā    代的 それ、彼  
      duppañño  dur-pra-jñā 名形 a 悪慧の、劣慧の  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vuccatiī vac 受 言われる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     友よ、『了知しない、了知しない』というそのことゆえに悪慧者といわれるのです」  
                       
                       
                       
    449-13.                
     ‘‘‘Sādhāvuso’ti kho āyasmā mahākoṭṭhiko āyasmato sāriputtassa bhāsitaṃ abhinanditvā anumoditvā āyasmantaṃ sāriputtaṃ uttariṃ pañhaṃ apucchi –  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Sādhu  sādh u 善哉、なにとぞ  
      āvuso’    不変 友よ  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      āyasmā    ant 尊者、具寿  
      mahākoṭṭhiko    a 人名、マハーコッティカ  
      āyasmato    ant 尊者、具寿  
      sāriputtassa    a 人名、サーリプッタ  
      bhāsitaṃ  bhāṣ 名過分 a 語った、説いた、言説、所説  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhinanditvā  abhi-nand 歓喜する  
      anumoditvā  anu-mud 随喜する  
      語根 品詞 語基 意味  
      āyasmantaṃ    ant 尊者、具寿  
      sāriputtaṃ    a 人名、サーリプッタ  
      uttariṃ    i 副対 さらに  
      pañhaṃ    a 問い  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      apucchi – prach 問う  
    訳文                
     「善きかな、友よ」と、尊者マハーコッティカは尊者サーリプッタの所説へ歓喜し、随喜して、尊者サーリプッタへ更に問いを発した。  
                       
                       
                       
    449-14.                
     ‘‘‘Paññavā paññavā’ti, āvuso, vuccati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Paññavā  pra-jñā ant 有慧の  
      paññavā’  pra-jñā ant 有慧の  
      ti, āvuso, vuccati. (449-7.)  
    訳文                
     「友よ、『有慧者、有慧者』といわれます。  
                       
                       
                       
    449-15.                
     Kittāvatā nu kho, āvuso, paññavāti vuccatī’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kittāvatā nu kho, āvuso, paññavāti vuccatī’’ti? (449-8.)  
      paññavā  pra-jñā ant 有慧の  
    訳文                
     友よ、いったいどれだけをもって有慧者といわれるのでしょうか」  
                       
                       
                       
    449-16.                
     ‘‘‘Pajānāti pajānātī’ti kho, āvuso, tasmā paññavāti vuccati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Pajānāti pajānātī’ti kho, āvuso, tasmā paññavāti vuccati. (449-9.)  
      paññavā  pra-jñā ant 有慧の  
    訳文                
     「友よ、『了知する、了知する』というそのことゆえに有慧者といわれるのです」  
                       
                       
                       
    449-17.                
     ‘‘Kiñca pajānāti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiñ ca pajānāti? (449-10.)  
    訳文                
     では、何を了知するのでしょうか。  
                       
                       
                       
    449-18.                
     ‘Idaṃ dukkha’nti pajānāti, ‘ayaṃ dukkhasamudayo’ti pajānāti, ‘ayaṃ dukkhanirodho’ti pajānāti, ‘ayaṃ dukkhanirodhagāminī paṭipadā’ti pajānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Idaṃ dukkha’nti pajānāti, ‘ayaṃ dukkhasamudayo’ti pajānāti, ‘ayaṃ dukkhanirodho’ti pajānāti, ‘ayaṃ dukkhanirodhagāminī paṭipadā’ti pajānāti. (449-11.)  
    訳文                
     『これは苦である』と了知し、『これは苦の集である』と了知し、『これは苦の滅である』と了知し、『これは苦の滅へ至る道である』と了知するのです。  
                       
                       
                       
    449-19.                
     ‘Pajānāti pajānātī’ti kho, āvuso, tasmā paññavāti vuccatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Pajānāti pajānātī’ti kho, āvuso, tasmā paññavāti vuccatī’’ (449-16.)  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     友よ、『了知する、了知する』というそのことゆえに有慧者といわれるのです」  
                       
                       
                       
    449-20.                
     ‘‘‘Viññāṇaṃ viññāṇa’nti, āvuso, vuccati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Viññāṇaṃ  vi-jñā a  
      viññāṇa’n  vi-jñā a  
      ti, āvuso, vuccati. (449-7.)  
    訳文                
     「友よ、『〈識〉、〈識〉』といわれます。  
                       
                       
                       
    449-21.                
     Kittāvatā nu kho, āvuso, viññāṇanti vuccatī’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kittāvatā nu kho, āvuso, viññāṇanti vuccatī’’ti? (449-8.)  
      viññāṇan  vi-jñā a  
    訳文                
     友よ、いったいどれだけをもって〈識〉といわれるのでしょうか」  
                       
                       
                       
    449-22.                
     ‘‘‘Vijānāti vijānātī’ti kho, āvuso, tasmā viññāṇanti vuccati.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘‘Vijānāti  vi-jñā 識知する、了別する  
      vijānātī’  vi-jñā 識知する、了別する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti kho, āvuso, tasmā viññāṇanti vuccati. (449-9.)  
      viññāṇan  vi-jñā a  
    訳文                
     「友よ、『識知する、識知する』というそのことゆえに〈識〉といわれるのです」  
                       
                       
                       
    449-23.                
     ‘‘Kiñca vijānāti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiñ    代的 何、なぜ、いかに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vijānāti?  vi-jñā 識知する、了別する  
    訳文                
     では、何を識知するのでしょうか。  
                       
                       
                       
    449-24.                
     Sukhantipi vijānāti, dukkhantipi vijānāti, adukkhamasukhantipi vijānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sukhan    名形 a  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vijānāti,  vi-jñā 識知する、了別する  
      語根 品詞 語基 意味  
      dukkhan    名形 a  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      vijānāti,  同上  
      adukkhamasukhan    a 不苦不楽  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      vijānāti.  同上  
    訳文                
     楽だと識知し、苦だと識知し、不苦不楽だと識知するのです。  
                       
                       
                       
    449-25.                
     ‘Vijānāti vijānātī’ti kho, āvuso, tasmā viññāṇanti vuccatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Vijānāti vijānātī’ti kho, āvuso, tasmā viññāṇanti vuccatī’’(449-22.)  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     友よ、『識知する、識知する』というそのことゆえに〈識〉といわれるのです」  
                       
                       
                       
    449-26.                
     ‘‘Yā cāvuso, paññā yañca viññāṇaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yā    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      āvuso,    不変 友よ  
      paññā  pra-jñā ā 智慧、般若  
      yañ    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      viññāṇaṃ –  vi-jñā a  
    訳文                
     「友よ、およそ智慧と〈識〉。  
                       
                       
                       
    449-27.                
     ime dhammā saṃsaṭṭhā udāhu visaṃsaṭṭhā?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ime    代的 これら  
      dhammā  dhṛ a 男中  
      saṃsaṭṭhā  saṃ-sṛj 過分 a 交際接触した、相雑じった、親近の  
      udāhu    不変 あるいは、または、然らざれば  
      visaṃsaṭṭhā?  vi-sam-sṛj 過分 a 離れた、無関係の  
    訳文                
     これらの〔二〕法は結合しているでしょうか、それとも分離しているのでしょうか。  
    メモ                
     ・諸訳にならって「結合、分離」としたが、これが最適な訳か不明。  
                       
                       
                       
    449-28.                
     Labbhā ca panimesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā [vinibbhujjitvā vinibbhujjitvā (ka.)] vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetu’’nti?   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Labbhā  labh 受 できる、可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 さらに、ふたたび  
      imesaṃ    代的 男中 これら  
      dhammānaṃ  dhṛ a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vinibbhujitvā  vi-ni-bhuj 鑑別する、区別する、分断する  
      vinibbhujitvā  vi-ni-bhuj 鑑別する、区別する、分断する  
      語根 品詞 語基 意味  
      nānā    不変 種々の  
      karaṇaṃ  kṛ a 所作、遂行 →殊異  
      paññāpetu’’n  pra-jñā 使 不定 知らしめること、告知・施設・用意すること  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     また、これらの〔二〕法を、それぞれ区別して、差異を知らしめることは可能でしょうか」  
                       
                       
                       
    449-29.                
     ‘‘Yā cāvuso, paññā yañca viññāṇaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yā cāvuso, paññā yañca viññāṇaṃ – (449-26.)  
    訳文                
     「友よ、およそ智慧と〈識〉。  
                       
                       
                       
    449-30.                
     ime dhammā saṃsaṭṭhā, no visaṃsaṭṭhā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ime dhammā saṃsaṭṭhā, no visaṃsaṭṭhā. (449-27.)  
      no    不変 ない、否  
    訳文                
     これらの〔二〕法は結合しているのであって、分離しているのではありません。  
                       
                       
                       
    449-31.                
     Na ca labbhā imesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Na    不変 ない  
      ca labbhā imesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetuṃ. (449-28.)  
    訳文                
     また、これらの〔二〕法を、それぞれ区別して、差異を知らしめることは不可能です。  
                       
                       
                       
    449-32.                
     Yaṃ hāvuso [yañcāvuso (syā. kaṃ. ka.)], pajānāti taṃ vijānāti, yaṃ vijānāti taṃ pajānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      āvuso,    不変 友よ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      taṃ    代的 それ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vijānāti,  vi-jñā 識知する、了別する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      vijānāti  同上  
      taṃ    代的 それ  
      pajānāti.  同上  
    訳文                
     なぜなら友よ、かれがそれを了知するならば、かれはそれを識知しているのであり、かれがそれを識知するならば、かれはそれを了知しているからです。  
                       
                       
                       
    449-33.                
     Tasmā ime dhammā saṃsaṭṭhā, no visaṃsaṭṭhā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tasmā    代的 それ、彼  
      ime dhammā saṃsaṭṭhā, no visaṃsaṭṭhā. (449-30.)  
    訳文                
     それゆえ、これらの〔二〕法は結合しているのであって、分離しているのではありません。  
                       
                       
                       
    449-34.                
     Na ca labbhā imesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetu’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Na    不変 ない  
      ca labbhā imesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetu’’nti. (449-28.)  
    訳文                
     また、これらの〔二〕法を、それぞれ区別して、差異を知らしめることは不可能なのです」  
                       
                       
                       
    449-35.                
     ‘‘Yā cāvuso, paññā yañca viññāṇaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yā cāvuso, paññā yañca viññāṇaṃ – (449-26.)  
    訳文                
     「友よ、およそ智慧と〈識〉。  
                       
                       
                       
    449-36.                
     imesaṃ dhammānaṃ saṃsaṭṭhānaṃ no visaṃsaṭṭhānaṃ kiṃ nānākaraṇa’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      imesaṃ    代的 男中 属絶 これら  
      dhammānaṃ  dhṛ a 男中 属絶  
      saṃsaṭṭhānaṃ  saṃ-sṛj 過分 a 男中 属絶 交際接触した、相雑じった、親近の  
      no    不変 ない、否  
      visaṃsaṭṭhānaṃ  vi-sam-sṛj 過分 a 男中 属絶 離れた、無関係の  
      kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      nānā    不変 種々の  
      karaṇa’’n  kṛ a 所作、遂行 →殊異  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     これらの〔二〕法が結合しており、分離していないのであれば、いかなる差異があるのでしょうか」  
                       
                       
                       
    449-37.                
     ‘‘Yā cāvuso, paññā yañca viññāṇaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yā cāvuso, paññā yañca viññāṇaṃ – (449-26.)  
    訳文                
     「友よ、およそ智慧と〈識〉。  
                       
                       
                       
    449-38.                
     imesaṃ dhammānaṃ saṃsaṭṭhānaṃ no visaṃsaṭṭhānaṃ paññā bhāvetabbā, viññāṇaṃ pariññeyyaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      imesaṃ dhammānaṃ saṃsaṭṭhānaṃ no visaṃsaṭṭhānaṃ (449-36.)  
      paññā  pra-jñā ā 智慧、般若  
      bhāvetabbā,  bhū 使 未分 ā 修習されるべき  
      viññāṇaṃ  vi-jñā a  
      pariññeyyaṃ.  pari-jñā 未分 a 遍知されるべき、暁了されるべき  
    訳文                
     これらの〔二〕法が結合しており、分離していないけれども、智慧は修習されるべきものであり、〈識〉は遍知されるべきものなのです。  
                       
                       
                       
    449-39.                
     Idaṃ nesaṃ nānākaraṇa’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Idaṃ    代的 これ  
      nesaṃ    代的 それら  
      nānā    不変 種々の  
      karaṇa’’n  kṛ a 所作、遂行 →殊異  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     これが、それらの差異なのです」  
                       
                       
                       
    450-1.                
     450. ‘‘‘Vedanā vedanā’ti, āvuso, vuccati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Vedanā  vid ā 受、感受、苦痛  
      vedanā’  vid ā 受、感受、苦痛  
      ti, āvuso, vuccati. (449-7.)  
    訳文                
     「友よ、『〈受〉、〈受〉』といわれます。  
                       
                       
                       
    450-2.                
     Kittāvatā nu kho, āvuso, vedanāti vuccatī’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kittāvatā nu kho, āvuso, vedanāti vuccatī’’ti? (449-8.)  
      vedanā  vid ā 受、感受、苦痛  
    訳文                
     友よ、いったいどれだけをもって〈受〉といわれるのでしょうか」  
                       
                       
                       
    450-3.                
     ‘‘‘Vedeti vedetī’ti kho, āvuso, tasmā vedanāti vuccati.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘‘Vedeti  vid 使 知る、感受する、経験する  
      vedetī’  vid 使 知る、感受する、経験する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti kho, āvuso, tasmā vedanāti vuccati.(449-9.)  
      vedanā  vid ā 受、感受、苦痛  
    訳文                
     「友よ、『感受する、感受する』というそのことゆえに〈受〉といわれるのです」  
                       
                       
                       
    450-4.                
     ‘‘Kiñca vedeti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiñ    代的 何、なぜ、いかに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vedeti?  vid 使 知る、感受する、経験する  
    訳文                
     では、何を感受するのでしょうか。  
                       
                       
                       
    450-5.                
     Sukhampi vedeti, dukkhampi vedeti, adukkhamasukhampi vedeti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sukhan    名形 a  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vedeti,  vid 使 知る、感受する、経験する  
      語根 品詞 語基 意味  
      dukkhan    名形 a  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      vedeti,  同上  
      adukkhamasukhan    a 不苦不楽  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      vedeti.  同上  
    訳文                
     楽を感受し、苦を感受し、不苦不楽を感受するのです。  
    メモ                
     ・449-24.にはあったtiがないのが、識と受のニュアンスの差異であろうか。  
                       
                       
                       
    450-6.                
     ‘Vedeti vedetī’ti kho, āvuso, tasmā vedanāti vuccatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Vedeti vedetī’ti kho, āvuso, tasmā vedanāti vuccatī’’ (450-3.)  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     友よ、『感受する、感受する』というそのことゆえに〈受〉といわれるのです」  
                       
                       
                       
    450-7.                
     ‘‘‘Saññā saññā’ti, āvuso, vuccati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘‘Saññā  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
      saññā’  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
      ti, āvuso, vuccati. (449-7.)  
    訳文                
     「友よ、『〈想〉、〈想〉』といわれます。  
                       
                       
                       
    450-8.                
     Kittāvatā nu kho, āvuso, saññāti vuccatī’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kittāvatā nu kho, āvuso, saññāti vuccatī’’ti? (449-8.)  
      saññā saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
    訳文                
     友よ、いったいどれだけをもって〈想〉といわれるのでしょうか」  
                       
                       
                       
    450-9.                
     ‘‘‘Sañjānāti sañjānātī’ti kho, āvuso, tasmā saññāti vuccati.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘‘Sañjānāti  saṃ-jñā 知覚する、想念する、名付ける  
      sañjānātī’ti  saṃ-jñā 知覚する、想念する、名付ける  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti kho, āvuso, tasmā saññāti vuccati.(449-9.)  
      saññā saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
    訳文                
     「友よ、『想念する、想念する』というそのことゆえに〈想〉といわれるのです」  
                       
                       
                       
    450-10.                
     ‘‘Kiñca sañjānāti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiñ    代的 何、なぜ、いかに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sañjānāti?  saṃ-jñā 知覚する、想念する、名付ける  
    訳文                
     では、何を想念するのでしょうか。  
                       
                       
                       
    450-11.                
     Nīlakampi sañjānāti, pītakampi sañjānāti, lohitakampi sañjānāti, odātampi sañjānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Nīlakam    a 青い  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sañjānāti,  saṃ-jñā 知覚する、想念する、名付ける  
      語根 品詞 語基 意味  
      pītakam    a 黄色い  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      sañjānāti,  同上  
      lohitakam    a 赤い、血液  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      sañjānāti,  同上  
      odātam    a 白い  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      sañjānāti.  同上  
    訳文                
     青を想念し、黄色を想念し、赤を想念し、白を想念するのです。  
                       
                       
                       
    450-12.                
     ‘Sañjānāti sañjānātī’ti kho, āvuso, tasmā saññāti vuccatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Sañjānāti sañjānātī’ti kho, āvuso, tasmā saññāti vuccatī’’ (450-9.)  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     友よ、『想念する、想念する』というそのことゆえに〈想〉といわれるのです」  
                       
                       
                       
    450-13.                
     ‘‘Yā cāvuso, vedanā yā ca saññā yañca viññāṇaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yā    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      āvuso,    不変 友よ  
      vedanā  vid ā 受、感受、苦痛  
          代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      saññā  saṃ-jñā ā 想、想念、概念、表象  
      yañ    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      viññāṇaṃ –  vi-jñā a  
    訳文                
     「友よ、およそ〈受〉と〈想〉と〈識〉。  
                       
                       
                       
    450-14.                
     ime dhammā saṃsaṭṭhā udāhu visaṃsaṭṭhā?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ime dhammā saṃsaṭṭhā udāhu visaṃsaṭṭhā? (449-27.)  
    訳文                
     これらの〔三〕法は結合しているでしょうか、それとも分離しているのでしょうか。  
                       
                       
                       
    450-15.                
     Labbhā ca panimesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetu’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Labbhā ca panimesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetu’’nti? (449-28.)  
    訳文                
     また、これらの〔三〕法を、それぞれ区別して、差異を知らしめることは可能でしょうか」  
                       
                       
                       
    450-16.                
     ‘‘Yā cāvuso, vedanā yā ca saññā yañca viññāṇaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yā cāvuso, vedanā yā ca saññā yañca viññāṇaṃ – (450-13.)  
    訳文                
     「友よ、およそ〈受〉と〈想〉と〈識〉。  
                       
                       
                       
    450-17.                
     ime dhammā saṃsaṭṭhā, no visaṃsaṭṭhā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ime dhammā saṃsaṭṭhā, no visaṃsaṭṭhā. (449-30.)  
    訳文                
     これらの〔三〕法は結合しているのであって、分離しているのではありません。  
                       
                       
                       
    450-18.                
     Na ca labbhā imesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Na ca labbhā imesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetuṃ. (449-31.)  
    訳文                
     また、これらの〔三〕法を、それぞれ区別して、差異を知らしめることは不可能です。  
                       
                       
                       
    450-19.                
     Yaṃ hāvuso [yañcāvuso (syā. kaṃ. ka.)], vedeti taṃ sañjānāti, yaṃ sañjānāti taṃ vijānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃ hāvuso, vedeti taṃ sañjānāti, yaṃ sañjānāti taṃ vijānāti. (449-31.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vedeti  vid 使 知る、感受する、経験する  
      sañjānāti,  saṃ-jñā 知覚する、想念する、名付ける  
    訳文                
     なぜなら友よ、かれがそれを感受するならば、かれはそれを想念しているのであり、かれがそれを想念するならば、かれはそれを識知しているからです。  
                       
                       
                       
    450-20.                
     Tasmā ime dhammā saṃsaṭṭhā no visaṃsaṭṭhā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tasmā ime dhammā saṃsaṭṭhā no visaṃsaṭṭhā. (449-33.)  
    訳文                
     それゆえ、これらの〔三〕法は結合しているのであって、分離しているのではありません。  
                       
                       
                       
    450-21.                
     Na ca labbhā imesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetu’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Na ca labbhā imesaṃ dhammānaṃ vinibbhujitvā vinibbhujitvā nānākaraṇaṃ paññāpetu’’nti. (449-34.)  
    訳文                
     また、これらの〔三〕法を、それぞれ区別して、差異を知らしめることは不可能なのです」  
    メモ                
     ・449-36.で問われていた実質的な差異がここでは問われていない。  
                       
                       
                       
    451-1.                
     451. ‘‘Nissaṭṭhena hāvuso [nissaṭṭhena panāvuso (?)], pañcahi indriyehi parisuddhena manoviññāṇena kiṃ neyya’’nti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Nissaṭṭhena  ni-sṛj 過分 a 捨棄した、放捨した  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      āvuso,    不変 友よ  
      pañcahi     
      indriyehi    a 根、感覚器官  
      parisuddhena  pari-śudh a 清浄の、遍浄の  
      mano  man as 依(処)  
      viññāṇena  vi-jñā a  
      kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      neyya’’n  未分 a 導かれるべき  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、五根より解き放たれた清浄の意識によって、何が導かれるのでしょうか」  
    メモ                
     ・「五根」というところからして、この場合の「意識」とは意根に生じる識をいった、いわゆる十八界中の意識界をいったものと思われる。  
                       
                       
                       
    451-2.                
     ‘‘Nissaṭṭhena āvuso, pañcahi indriyehi parisuddhena manoviññāṇena ‘ananto ākāso’ti ākāsānañcāyatanaṃ neyyaṃ, ‘anantaṃ viññāṇa’nti viññāṇañcāyatanaṃ neyyaṃ, ‘natthi kiñcī’ti ākiñcaññāyatanaṃ neyya’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Nissaṭṭhena āvuso, pañcahi indriyehi parisuddhena manoviññāṇena ‘ananto ākāso’ti ākāsānañcāyatanaṃ neyyaṃ, ‘anantaṃ viññāṇa’nti viññāṇañcāyatanaṃ neyyaṃ, ‘natthi kiñcī’ti ākiñcaññāyatanaṃ neyya’’nti. (451-1.)  
      ‘ananto    a 無辺の、無限の、無量の  
      ākāso’    a 虚空、空  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      ākāsānañca    a 空無辺  
      āyatanaṃ  ā-yam a 処、入  
      ‘anantaṃ    a 無辺の、無限の、無量の  
      viññāṇa’n  vi-jñā a 識、認識、意識  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      viññāṇañca    a 識無辺  
      āyatanaṃ  ā-yam a 処、入  
      ‘na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi  as ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      kiñcī’    代的  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      ākiñcañña    a 無所有  
      āyatanaṃ  ā-yam a 処、入  
    訳文                
     「友よ、五根より解き放たれた清浄の意識によって、『虚空は無辺なり』という空無辺処が導かれ、『識は無辺なり』という識無辺処が導かれ、『何も存在しない』という無所有処が導かれます」  
    メモ                
     ・これらの描写は、四無色定に入ると前五識が消え、うち非想非非想処定にいたると意識界も(なかば?)消失する、という含意があるのであろう。  
                       
                       
                       
    451-3.                
     ‘‘Neyyaṃ panāvuso, dhammaṃ kena pajānātī’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Neyyaṃ  未分 a 導かれるべき  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      āvuso,    不変 友よ  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      kena    代的 何、誰  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānātī’’  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しからば友よ、導かれる法を、何によって了知するのでしょうか」  
                       
                       
                       
    451-4.                
     ‘‘Neyyaṃ kho, āvuso, dhammaṃ paññācakkhunā pajānātī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Neyyaṃ kho, āvuso, dhammaṃ paññācakkhunā pajānātī’’ti.(451-3.)  
      paññā  pra-jñā ā 依(属) 智慧、般若  
      cakkhunā    us  
    訳文                
     「友よ、導かれる法を、慧眼によって了知するのです」  
    メモ                
     ・わざわざ「慧眼」ということは、「肉眼」「眼根」ではないのだという強調であろう。とすれば前文は「眼などの五根から離れているなら、いかに空無辺処などのヴィジョンが感得されるのか」という趣意のものか。  
                       
                       
                       
    451-5.                
     ‘‘Paññā panāvuso, kimatthiyā’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Paññā  pra-jñā ā 智慧、般若  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      āvuso,    不変 友よ  
      kim    代的 何、なぜ、いかに  
      atthiyā’’    a 目的の、希求する  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しからば友よ、智慧は何を目的とするのですか」  
                       
                       
                       
    451-6.                
     ‘‘Paññā kho, āvuso, abhiññatthā pariññatthā pahānatthā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Paññā  pra-jñā ā 智慧、般若  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      āvuso,    不変 友よ  
      abhiññā  abhi-jñā ā 有(持) 神通、証知  
      atthā    a 男中→女 義、目的  
      pariññā  pari-jñā ā 有(持) 遍知、暁了、知悉  
      atthā    a 男中→女 義、目的  
      pahāna  pra-hā a 有(持) 捨断  
      atthā’’    a 男中→女 義、目的  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、智慧は証知を目的とし、遍知を目的とし、捨断を目的とするものです」  
                       
                       
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