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     8. Mahātaṇhāsaṅkhayasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Mahā    ant 大きい  
      taṇhā    ā 依(属) 渇愛、愛  
      saṅkhaya  saṃ-kṣi a 依(属) 尽、滅尽  
      suttaṃ sīv a 経、糸  
    訳文                
     『大愛尽経』  
                       
                       
                       
    396-1.                
     396. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ   不変 このように  
      me   代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた、所聞  
    訳文                
     このように私は聞いた。  
                       
                       
                       
    396-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā sāvatthiyaṃ viharati jetavane anāthapiṇḍikassa ārāme.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 一、とある  
      samayaṃ    a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      jetavane    a 地名、ジェータ林、祇樹、祇園  
      anāthapiṇḍikassa    a 人名、アナータピンディカ、給孤独  
      ārāme.    a  
    訳文                
     あるとき世尊は、サーヴァッティーの、ジェータ林はアナータピンディカ園に住しておられた。  
                       
                       
                       
    396-3.                
     Tena kho pana samayena sātissa nāma bhikkhuno kevaṭṭaputtassa evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ hoti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      sātissa    i 人名、サーティ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      bhikkhuno  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputtassa    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      evarūpaṃ    a かくのごとき  
      pāpakaṃ    a 悪い、邪悪の  
      diṭṭhi  dṛś i 見、見解  
      gataṃ  gam 過分 a 行った →悪見、成見  
      uppannaṃ  ud-pad 過分 a 起こる、生ずる、発生する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti –  bhū ある、存在する  
    訳文                
     さてそのとき、サーティ・ケーヴァッタプッタという名の比丘にかくのごとき悪しき見解が生じていた。  
    メモ                
     ・あるいは「漁師の息子サーティ」。『ケーヴァッタ経』に出る資産家の息子ケーヴァッタはナーランダーの人物であるからおそらく縁者ではなかろう。  
                       
                       
                       
    396-4.                
     ‘‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati anañña’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘tathā    不変 かく、その如く  
      ahaṃ    代的  
      bhagavatā    ant 世尊  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      desitaṃ  diś 使 過分 a 男中 示された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ājānāmi  ā-jñā 了知する、よく知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      tad    代的 それ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      idaṃ    代的 これ  
      viññāṇaṃ  vi-jñā a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sandhāvati  saṃ-dhāv 走り回る、流転する、輪廻する  
      saṃsarati  saṃ-sṛ 輪廻する、動き回る  
      語根 品詞 語基 意味  
      anañña’’n    a 別でない、同一  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「私は世尊によって示された法をこのように了知する。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ」と。  
    メモ                
     ・anaññaについて『南伝』は「しかも常に自己同一性を保つ」、 『原始』は「別の物にならず不変である」、『パーリ』は「同一不変である」と訳す。こうした理解でよかろうとは思うが、あるいはこれは「他ならぬ」という形容で「識」にかかっているのかも知れない(色でも受想行でもなく識こそが、というニュアンス)。教理的に重要な部分なので要注意。  
                       
                       
                       
    396-5.                
     Assosuṃ kho sambahulā bhikkhū –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Assosuṃ  śru 聞く  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sambahulā    a 衆多の  
      bhikkhū –  bhikṣ u 比丘  
    訳文                
     多くの比丘たちは聞いた。  
                       
                       
                       
    396-6.                
     ‘‘sātissa kira nāma bhikkhuno kevaṭṭaputtassa evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘sātissa kira nāma bhikkhuno kevaṭṭaputtassa evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ – (396-3.)  
      kira    不変 伝え言う、〜という話だ  
    訳文                
     「サーティ・ケーヴァッタプッタという名の比丘に、かくのごとき悪しき見解が生じたという。  
                       
                       
                       
    396-7.                
     ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’’nti. (396-4.)  
    訳文                
     『私は世尊によって示された法をこのように了知する。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ』と」。  
                       
                       
                       
    396-8.                
     Atha kho te bhikkhū yena sāti bhikkhu kevaṭṭaputto tenupasaṅkamiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      sāti    i 人名、サーティ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputto    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamiṃsu;  upa-saṃ-kram 能反 近づいた  
    訳文                
     そこで彼ら比丘たちは、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘へ近づいた。  
                       
                       
                       
    396-9.                
     upasaṅkamitvā sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etadavocuṃ –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      sātiṃ    i 人名、サーティ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputtaṃ    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avocuṃ –  vac いう  
    訳文                
     近づいて、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘へこういった。  
                       
                       
                       
    396-10.                
     ‘‘saccaṃ kira te, āvuso sāti, evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘saccaṃ    a 真実、諦、真理  
      kira    不変 伝え言う、〜という話だ  
      te,    代的 あなた  
      āvuso    不変 友よ  
      sāti,    i 人名、サーティ  
      evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ – (396-3.)  
    訳文                
     「友、サーティよ、あなたに、かくのごとき悪しき見解が生じたというが、まことでしょうか。  
                       
                       
                       
    396-11.                
     ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’’nti? (396-4.)  
    訳文                
     『私は世尊によって示された法をこのように了知する。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ』と」。  
                       
                       
                       
    396-12.                
     ‘‘Evaṃ byā kho ahaṃ, āvuso, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      byā    不変 まさに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      āvuso,    不変 友よ  
      bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’nti. (396-4.)  
    訳文                
     「友等よ、まさしくそのとおりです。私は世尊によって示された法をこのように了知します。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ、と」。  
                       
                       
                       
    396-13.                
     Atha kho te bhikkhū sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etasmā pāpakā diṭṭhigatā vivecetukāmā samanuyuñjanti samanugāhanti samanubhāsanti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      sātiṃ    i 人名、サーティ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputtaṃ    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      etasmā    代的 これ  
      pāpakā    a 悪い、邪悪の  
      diṭṭhi  dṛś i 見、見解  
      gatā  gam 過分 a 行った →悪見、成見  
      vivecetu  vi-vic 使 不定 有(持) 遠離させること  
      kāmā    a 男中  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samanuyuñjanti  saṃ-anu-yuj 詰問する  
      samanugāhanti  saṃ-anu-gāh 問い詰める  
      samanubhāsanti –  saṃ-anu-bhāṣ 諫告する  
    訳文                
     そこで彼ら比丘たちは、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘をこの悪しき見解から遠離させることを欲して、難詰し、問い詰め、勧告した。  
                       
                       
                       
    396-14.                
     ‘‘mā evaṃ, āvuso sāti, avaca, mā bhagavantaṃ abbhācikkhi, na hi sādhu bhagavato abbhakkhānaṃ, na hi bhagavā evaṃ vadeyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘mā    不変 なかれ  
      evaṃ,    不変 このように、かくの如き  
      āvuso    不変 友よ  
      sāti,    i 人名、サーティ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avaca,  vac いう  
      語根 品詞 語基 意味  
          不変 なかれ  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhācikkhi,  abhi-ā-khyā 強 非難する、誹謗する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      sādhu  sādh u 善哉、なにとぞ  
      bhagavato    ant 世尊  
      abbhakkhānaṃ,  abhi-ā-khyā a 誹謗  
      na    不変 ない  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      bhagavā    ant 世尊  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vadeyya.  vad いう  
    訳文                
     「友、サーティよ、そのようにいうなかれ。世尊を誹謗するなかれ。世尊への誹謗はよくありません。世尊はそのようには仰らないはずです。  
    メモ                
     ・しかし「相応部」04-023『ゴーディカ』では、悪魔が自刃した比丘ゴーディカの身体から抜け出た〈識〉を探し求めるも、彼は般涅槃しており、その〈識〉は止住していない、との旨が釈尊に説かれる。また『大因縁経』115-2. では釈尊によって「アーナンダよ、じつに、〈識〉が母胎に入らない場合、いったい、〈名色〉は母胎において成長するでしょうか」とのべられている。ニカーヤ中の多くの記述で明らかに〈識〉は、輪廻の媒介的存在として描かれている。これらと本経が矛盾なく両立するとするならば、サーティの問題点は〈識〉を輪廻の媒介と見たことそのものではなく、その〈識〉に恒常性を見た点にある、ということになろうか。  
                       
                       
                       
    396-15.                
     Anekapariyāyenāvuso sāti, paṭiccasamuppannaṃ viññāṇaṃ vuttaṃ bhagavatā, aññatra paccayā natthi viññāṇassa sambhavo’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Aneka    代的 一つならぬ  
      pariyāyena  pari-i a 法門  
      āvuso    不変 友よ  
      sāti,    i 人名、サーティ  
      paṭiccasamuppannaṃ  prati-i, saṃ-ud-pad 過分 a 縁起した  
      viññāṇaṃ  vi-jñā a  
      vuttaṃ  vac 過分 a いわれた  
      bhagavatā,    ant 世尊  
      aññatra    不変 他所で、除いては、以外では  
      paccayā  prati-i a 縁、資具  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      viññāṇassa  vi-jñā a  
      sambhavo’’  saṃ-bhū a 発生、存在  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     友、サーティよ、一つならぬ法門によって、世尊は〈識〉を縁起するものとして説いておられます。縁による以外には〈識〉の発生は存在しない、と」。  
                       
                       
                       
    396-16.                
     Evampi kho sāti bhikkhu kevaṭṭaputto tehi bhikkhūhi samanuyuñjiyamāno samanugāhiyamāno samanubhāsiyamāno tadeva pāpakaṃ diṭṭhigataṃ thāmasā parāmāsā abhinivissa voharati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evam    不変 このように、かくの如き  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sāti    i 人名、サーティ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputto    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      tehi    代的 それら、彼ら  
      bhikkhūhi  bhikṣ u 比丘  
      samanuyuñjiyamāno  saṃ-anu-yuj 受 現分 a 詰問される  
      samanugāhiyamāno  saṃ-anu-gāh 受 現分 a 問い詰められる  
      samanubhāsiyamāno  saṃ-anu-bhāṣ 受 現分 a 諫告される  
      tad    代的 それ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      pāpakaṃ    a 悪い、邪悪の  
      diṭṭhi  dṛś i 見、見解  
      gataṃ  gam 過分 a 行った →悪見、成見  
      thāmasā    an 副奪 勢力による、執拗な  
      parāmāsā  pari-mṛś a 取着、妄執  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhinivissa  abhi-ni-viś 執着する  
      voharati –  vi-ava-hṛ 言説する、説く、決断する、統治する  
    訳文                
     しかし、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘は、彼ら比丘たちにこのように難詰され、問い詰められ、勧告されても、その悪しき見解を、執拗な妄執ゆえに執着して言った。  
                       
                       
                       
    396-17.                
     ‘‘evaṃ byā kho ahaṃ, āvuso, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati anañña’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘evaṃ byā kho ahaṃ, āvuso, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati anañña’’nti. (396-12.)  
    訳文                
     「友等よ、まさしくそのとおりです。〔しかし〕私は世尊によって示された法をこのように了知します。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ、と」。  
                       
                       
                       
    397-1.                
     397. Yato kho te bhikkhū nāsakkhiṃsu sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etasmā pāpakā diṭṭhigatā vivecetuṃ, atha kho te bhikkhū yena bhagavā tenupasaṅkamiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば(yaの奪格)  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asakkhiṃsu  śak 能反 できる、可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etasmā pāpakā diṭṭhigatā (396-12.)  
      vivecetuṃ,  vi-vic 使 不定 遠離させること  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamiṃsu;  upa-saṃ-kram 能反 近づいた  
    訳文                
     彼ら比丘たちは、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘をこの悪しき見解から遠離させることができず、それゆえ彼ら比丘たちは世尊のもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    397-2.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdiṃsu.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu.  ni-sad 能反 坐る  
    訳文                
     近づいて、世尊へ礼拝し、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    397-3.                
     Ekamantaṃ nisinnā kho te bhikkhū bhagavantaṃ etadavocuṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinnā  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avocuṃ –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐った彼ら比丘たちは世尊へこういった。  
                       
                       
                       
    397-4.                
     ‘‘sātissa nāma, bhante, bhikkhuno kevaṭṭaputtassa evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘sātissa nāma, bhante, bhikkhuno kevaṭṭaputtassa evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ – (396-3.)  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     「尊者よ、サーティ・ケーヴァッタプッタという名の比丘に、かくのごとき悪しき見解が生じています。  
                       
                       
                       
    397-5.                
     ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’nti. (396-4.)  
    訳文                
     『私は世尊によって示された法をこのように了知する。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ』と。  
                       
                       
                       
    397-6.                
     Assumha kho mayaṃ, bhante, sātissa kira nāma bhikkhuno kevaṭṭaputtassa evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Assumha  śru 聞く  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      mayaṃ,    代的 私たち  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
      sātissa kira nāma bhikkhuno kevaṭṭaputtassa evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ – (396-6.)  
    訳文                
     尊者よ、我々は聞きました。『サーティ・ケーヴァッタプッタという名の比丘に、かくのごとき悪しき見解が生じたという。  
                       
                       
                       
    397-7.                
     ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’nti. (396-4.)  
    訳文                
     私は世尊によって示された法をこのように了知する。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ』と。  
                       
                       
                       
    397-8.                
     Atha kho mayaṃ, bhante, yena sāti bhikkhu kevaṭṭaputto tenupasaṅkamimha;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha kho mayaṃ, bhante, yena sāti bhikkhu kevaṭṭaputto tena (396-8.)  
      mayaṃ,    代的 私たち  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamimha;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     尊者よ、そこで我々は、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘へ近づきました。  
                       
                       
                       
    397-9.                
     upasaṅkamitvā sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etadavocumha –   
      語根 品詞 語基 意味  
      upasaṅkamitvā sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ (396-9.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avocumha –  vac いう  
    訳文                
     近づいて、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘へこういいました。  
                       
                       
                       
    397-10.                
     ‘saccaṃ kira te, āvuso sāti, evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘saccaṃ kira te, āvuso sāti, evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ – (396-10.)  
    訳文                
     『友、サーティよ、あなたに、かくのごとき悪しき見解が生じたというが、まことでしょうか。  
                       
                       
                       
    397-11.                
     ‘‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’nti? (396-4.)  
    訳文                
     私は世尊によって示された法をこのように了知する。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ』と。  
                       
                       
                       
    397-12.                
     Evaṃ vutte, bhante, sāti bhikkhu kevaṭṭaputto amhe etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 受 過分 a 男中 いわれた  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
      sāti    i 人名、サーティ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputto    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      amhe    代的 私たち  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     尊者よ、このようにいわれてサーティ・ケーヴァッタプッタ比丘は、われわれへこういいました。  
                       
                       
                       
    397-13.                
     ‘evaṃ byā kho ahaṃ, āvuso, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘evaṃ byā kho ahaṃ, āvuso, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’nti. (396-12.)  
    訳文                
     『友等よ、まさしくそのとおりです。私は世尊によって示された法をこのように了知します。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ、と』。  
                       
                       
                       
    397-14.                
     Atha kho mayaṃ, bhante, sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etasmā pāpakā diṭṭhigatā vivecetukāmā samanuyuñjimha samanugāhimha samanubhāsimha –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha kho mayaṃ, bhante, sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etasmā pāpakā diṭṭhigatā vivecetukāmā (396-13.)  
      mayaṃ,    代的 私たち  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samanuyuñjimha  saṃ-anu-yuj 詰問する  
      samanugāhimha  saṃ-anu-gāh 問い詰める  
      samanubhāsimha –  saṃ-anu-bhāṣ 諫告する  
    訳文                
     尊者よ、そこで我々は、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘をこの悪しき見解から遠離させることを欲して、難詰し、問い詰め、勧告しました。  
                       
                       
                       
    397-15.                
     ‘mā evaṃ, āvuso sāti, avaca, mā bhagavantaṃ abbhācikkhi, na hi sādhu bhagavato abbhakkhānaṃ, na hi bhagavā evaṃ vadeyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘mā evaṃ, āvuso sāti, avaca, mā bhagavantaṃ abbhācikkhi, na hi sādhu bhagavato abbhakkhānaṃ, na hi bhagavā evaṃ vadeyya. (396-14.)  
    訳文                
     『友、サーティよ、そのようにいうなかれ。世尊を誹謗するなかれ。世尊への誹謗はよくありません。世尊はそのようには仰らないはずです。  
                       
                       
                       
    397-16.                
     Anekapariyāyenāvuso sāti, paṭiccasamuppannaṃ viññāṇaṃ vuttaṃ bhagavatā, aññatra paccayā natthi viññāṇassa sambhavo’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Anekapariyāyenāvuso sāti, paṭiccasamuppannaṃ viññāṇaṃ vuttaṃ bhagavatā, aññatra paccayā natthi viññāṇassa sambhavo’ti. (396-15.)  
    訳文                
     友、サーティよ、一つならぬ法門によって、世尊は〈識〉を縁起するものとして説いておられます。縁による以外には〈識〉の発生は存在しない、と』。  
                       
                       
                       
    397-17.                
     Evampi kho, bhante, sāti bhikkhu kevaṭṭaputto amhehi samanuyuñjiyamāno samanugāhiyamāno samanubhāsiyamāno tadeva pāpakaṃ diṭṭhigataṃ thāmasā parāmasā abhinivissa voharati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evampi kho, bhante, sāti bhikkhu kevaṭṭaputto amhehi samanuyuñjiyamāno samanugāhiyamāno samanubhāsiyamāno tadeva pāpakaṃ diṭṭhigataṃ thāmasā parāmasā abhinivissa voharati – (396-15.)  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
      amhehi    代的 私たち  
    訳文                
     しかし尊者よ、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘は、我々にこのように難詰され、問い詰められ、勧告されても、その悪しき見解を、執拗な妄執ゆえに執着して言いました。  
                       
                       
                       
    397-18.                
     ‘evaṃ byā kho ahaṃ, āvuso, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘evaṃ byā kho ahaṃ, āvuso, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’nti. (396-12.)  
    訳文                
     『友等よ、まさしくそのとおりです。〔しかし〕私は世尊によって示された法をこのように了知します。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ、と』。  
                       
                       
                       
    397-19.                
     Yato kho mayaṃ, bhante, nāsakkhimha sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etasmā pāpakā diṭṭhigatā vivecetuṃ, atha mayaṃ etamatthaṃ bhagavato ārocemā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Yato kho mayaṃ, bhante, nāsakkhimha sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etasmā pāpakā diṭṭhigatā vivecetuṃ, atha (397-1.)  
      mayaṃ,    代的 私たち  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nāsakkhimha  śak できる、可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etasmā pāpakā diṭṭhigatā (396-12.)  
      mayaṃ    代的 私たち  
      etam    代的 男中 これ  
      atthaṃ    a 男中  
      bhagavato    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ārocemā’’  ā-ruc 述べる、告げる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     我々は、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘をこの悪しき見解から遠離させることができず、それゆえ我々は、このことを世尊へ申し上げているのです」。  
                       
                       
                       
    398-1.                
     398. Atha kho bhagavā aññataraṃ bhikkhuṃ āmantesi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      aññataraṃ    代的 とある  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantesi –    呼びかける、話す、相談する  
    訳文                
     ときに世尊は、とある比丘たちへ呼びかけられた。  
                       
                       
                       
    398-2.                
     ‘‘ehi tvaṃ bhikkhu, mama vacanena sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ āmantehi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ehi    不変 いざ  
      tvaṃ    代的 あなた  
      bhikkhu,  bhikṣ u 比丘  
      mama    代的  
      vacanena  vac a 言葉、命令  
      sātiṃ    i 人名、サーティ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputtaṃ    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantehi –    呼びかける、話す、相談する  
    訳文                
     「いざ比丘よ、あなたは私の言葉によってサーティ・ケーヴァッタプッタ比丘へ呼びかけてください。  
                       
                       
                       
    398-3.                
     ‘satthā taṃ, āvuso sāti, āmantetī’’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘satthā  śās ar  
      taṃ,    代的 あなた  
      āvuso    不変 友よ  
      sāti,    i 人名、サーティ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantetī’’’    呼びかける、話す、相談する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『友、サーティよ、師があなたを呼んでおられます』と」。  
                       
                       
                       
    398-4.                
     ‘‘Evaṃ, bhante’’ti kho so bhikkhu bhagavato paṭissutvā yena sāti bhikkhu kevaṭṭaputto tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ,    不変 このように、かくの如き  
      bhante’’  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      so    代的 それ、彼  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      bhagavato    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭissutvā  prati-śru 同意する、応諾する、答える  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      sāti    i 人名、サーティ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputto    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     「尊者よ、そのように」と、その比丘は世尊へ応え、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘のもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    398-5.                
     upasaṅkamitvā sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ etadavoca –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      sātiṃ    i 人名、サーティ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputtaṃ    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     近づいて、サーティ・ケーヴァッタプッタ比丘へこういった。  
                       
                       
                       
    398-6.                
     ‘‘satthā taṃ, āvuso sāti, āmantetī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘satthā taṃ, āvuso sāti, āmantetī’’ti. (398-3.)  
    訳文                
     「友、サーティよ、師があなたを呼んでおられます」と。  
                       
                       
                       
    398-7.                
     ‘‘Evamāvuso’’ti kho sāti bhikkhu kevaṭṭaputto tassa bhikkhuno paṭissutvā yena bhagavā tenupasaṅkami;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evam    不変 このように、かくの如き  
      āvuso’’    不変 友よ  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sāti    i 人名、サーティ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputto    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      tassa    代的 それ、彼  
      bhikkhuno  bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭissutvā  prati-śru 同意する、応諾する、答える  
      語根 品詞 語基 意味  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami;  upa-saṃ-kram 近づいた  
    訳文                
     「友よ、そのように」とサーティ・ケーヴァッタプッタ比丘はその比丘へ応えて、世尊のもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    398-8.                
     upasaṅkamitvā bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdi.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     近づいて、世尊へ礼拝し、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    398-9.                
     Ekamantaṃ nisinnaṃ kho sātiṃ bhikkhuṃ kevaṭṭaputtaṃ bhagavā etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinnaṃ  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      sātiṃ    i 人名、サーティ  
      bhikkhuṃ  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputtaṃ    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      bhagavā    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     一方へ坐ったサーティ・ケーヴァッタプッタ比丘へ、世尊はこういわれた。  
                       
                       
                       
    398-10.                
     ‘‘saccaṃ kira, te, sāti, evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘saccaṃ kira, te, sāti, evarūpaṃ pāpakaṃ diṭṭhigataṃ uppannaṃ – (396-10.)  
    訳文                
     「サーティよ、あなたに、かくのごとき悪しき見解が生じたというが、まことでしょうか。  
                       
                       
                       
    398-11.                
     ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘tathāhaṃ bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’’nti? (396-4.)  
    訳文                
     『私は世尊によって示された法をこのように了知する。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ』と」。  
                       
                       
                       
    398-12.                
     ‘‘Evaṃ byā kho ahaṃ, bhante, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ byā kho ahaṃ, bhante, bhagavatā dhammaṃ desitaṃ ājānāmi yathā tadevidaṃ viññāṇaṃ sandhāvati saṃsarati, anañña’’nti. (396-12.)  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
    訳文                
     「尊者よ、まさしくそのとおりです。私は世尊によって示された法をこのように了知します。すなわちこの同一不異なる〈識〉こそが流転し、輪廻するのだ、と」。  
                       
                       
                       
    398-13.                
     ‘‘Katamaṃ taṃ, sāti, viññāṇa’’nti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Katamaṃ    代的 いずれの、どちらの  
      taṃ,    代的 それ  
      sāti,    i 人名、サーティ  
      viññāṇa’’n  vi-jñā a  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「サーティよ、その〈識〉とはいかなるものですか」。  
                       
                       
                       
    398-14.                
     ‘‘Yvāyaṃ, bhante, vado vedeyyo tatra tatra kalyāṇapāpakānaṃ kammānaṃ vipākaṃ paṭisaṃvedetī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yo    代的 (関係代名詞)  
      ayaṃ,    代的 これ  
      bhante,  bhū 名現分 ant 尊者よ、大徳よ  
      vado  vad a 語る、話す、語者  
      vedeyyo  vid 使 未分 a 感受されるべき  
      tatra    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      tatra    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      kalyāṇa    a 善き、善巧の  
      pāpakānaṃ    a 悪の  
      kammānaṃ  kṛ a  
      vipākaṃ  vi-pac a 異熟、果報  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭisaṃvedetī’’  prati-saṃ-vid 使 経験する、感知する、感受する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者よ、およそ語り、感受するその者がいますが、そのそれぞれにおいて、〔〈識〉は〕善悪業の異熟を経験します」  
    メモ                
     ・『南伝』は「此を語り、愛するものは、此処彼処に於いて、善悪業の果報を受く」。『パーリ』は「それは語るもの、感受するものであり、それぞれの処においてもろもろの善悪業の果報を受けるものです」。『原始』は「それは、語るものであり、感受するものであり、ここかしこで、もろもろの善悪業の果報をうけるものです」。  
     ・中性名詞であるviññāṇaの話であるのに代名詞が男性であるのはいささか奇妙である(中性は抽象概念、男性は任意の人物に用いられる場合が多いように思われる)ため上記のようにしたが、『パーリ』、『原始』のようにyoayaṃが識を指していると解した方がシンプルであるかもしれない。  
                       
                       
                       
    398-15.                
     ‘‘Kassa nu kho nāma tvaṃ, moghapurisa, mayā evaṃ dhammaṃ desitaṃ ājānāsi?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kassa    代的 何、誰  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      mogha    a 空虚の、無用の、愚鈍の  
      purisa,    a 人、男  
      mayā    代的  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      dhammaṃ  dhṛ a 男中  
      desitaṃ  diś 使 過分 a 男中 示された  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ājānāsi?  ā-jñā 了知する  
    訳文                
     「愚人よ、あなたは、いったい誰に私がそのような法を示したと了知しているのですか。  
                       
                       
                       
    398-16.                
     Nanu mayā, moghapurisa, anekapariyāyena paṭiccasamuppannaṃ viññāṇaṃ vuttaṃ, aññatra paccayā natthi viññāṇassa sambhavoti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Nanu    不変 〜にあらずや、じつに  
      mayā,    代的  
      mogha    a 空虚の、無用の、愚鈍の  
      purisa,    a 人、男  
      anekapariyāyena paṭiccasamuppannaṃ viññāṇaṃ vuttaṃ, aññatra paccayā natthi viññāṇassa sambhavoti? (396-15.)  
    訳文                
     愚人よ、一つならぬ法門によって、私は〈識〉を縁起するものとして説いたのではありませんでしたか。縁による以外には〈識〉の発生は存在しない、と』。  
                       
                       
                       
    398-17.                
     Atha ca pana tvaṃ, moghapurisa, attanā duggahitena amhe ceva abbhācikkhasi, attānañca khaṇasi, bahuñca apuññaṃ pasavasi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      tvaṃ,    代的 あなた  
      mogha    a 空虚の、無用の、愚鈍の  
      purisa,    a 人、男  
      attanā    an 副具 自己、我  
      duggahitena  dur-grah 過分 a 誤解の、謬見ある  
      amhe    代的 私たち  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abbhācikkhasi,  abhi-ā-khyā 強 非難する、誹謗する  
      語根 品詞 語基 意味  
      attānañ    an 自己、我  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      khaṇasi,  kṣan 破壊する、害する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bahuñ    u 多く  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      apuññaṃ    a 非福の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pasavasi.  pra-su 産出する、生ずる  
    訳文                
     愚人よ、しかるにあなたは、みずから謬見によって我々を誹謗し、また自己を害し、多くの非福を生んだのです。  
    メモ                
     ・諸訳はattanā duggahitenaを「自分の誤った把握」などと訳すが、そうであればattanosakenaでなくてはならないはずである。そこで上記のようにattanāを副詞的具格と捉えて訳した。「誤って把握された我(アートマン)」という可能性も考えたが、やや勇み足かとも思い、見送った。  
                       
                       
                       
    398-18.                
     Tañhi te, moghapurisa, bhavissati dīgharattaṃ ahitāya dukkhāyā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Tañ    代的 それ  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      te,    代的 あなた  
      mogha    a 空虚の、無用の、愚鈍の  
      purisa,    a 人、男  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissati  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      dīgha    a 長い  
      rattaṃ    a 副対  
      ahitāya  a-dhā 過分 a 男中 不利益  
      dukkhāyā’’    名形 a 男中  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     愚人よ、そのことはあなたにとって、長きにわたる不利益と苦のためとなることでしょう」。  
                       
                       
                       
    399-1.                
     399. Atha kho bhagavā bhikkhū āmantesi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantesi –    呼びかける、話す、相談する  
    訳文                
     そこで世尊は比丘たちへ呼びかけられた。  
                       
                       
                       
    399-2.                
     ‘‘taṃ kiṃ maññatha, bhikkhave, api nāyaṃ sāti bhikkhu kevaṭṭaputto usmīkatopi imasmiṃ dhammavinaye’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘taṃ    代的 それ  
      kiṃ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññatha,  man 考える  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      no    不変 〜かどうか  
      ayaṃ    代的 これ  
      sāti    i 人名、サーティ  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      kevaṭṭaputto    a 人名、ケーヴァッタプッタ  
      usmī    ī 依(対)  
      kato  kṛ 過分 a なした  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      imasmiṃ    代的 これ  
      dhamma  dhṛ a 男中  
      vinaye’’  vi-nī a  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「比丘たちよ、あなたがたはこれをどう考えますか。このサーティ・ケーヴァッタプッタ比丘は、この法と律において〔智の〕熱ある者でしょうか」と。  
    メモ                
     ・「中部」022『蛇喩経』とおなじに補訳した。以下もパラレル。  
                       
                       
                       
    399-3.                
     ‘‘Kiñhi siyā bhante?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kiñ    代的 副対 何、なぜ、いかに  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      siyā  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhante?  bhū 名現分 ant