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     7. Cūḷahatthipadopamasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Cūḷa    a 小さい  
      hatthi    in 依(属)  
      pada    a 依(属) 足、足跡、句  
      upama    ā 依(属) 譬喩  
      suttaṃ sīv a 経、糸  
    訳文                
     『小象跡喩経』  
                       
                       
                       
    288-1.                
     288. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ   不変 このように  
      me   代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた、所聞  
    訳文                
     このように私は聞いた。  
                       
                       
                       
    288-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā sāvatthiyaṃ viharati jetavane anāthapiṇḍikassa ārāme.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 一、とある  
      samayaṃ    a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      jetavane    a 地名、ジェータ林、祇樹、祇園  
      anāthapiṇḍikassa    a 人名、アナータピンディカ、給孤独  
      ārāme.    a  
    訳文                
     あるとき世尊は、サーヴァッティーの、ジェータ林はアナータピンディカ園に住しておられた。  
                       
                       
                       
    288-3.                
     Tena kho pana samayena jāṇussoṇi brāhmaṇo sabbasetena vaḷavābhirathena [vaḷabhīrathena (sī. pī.)] sāvatthiyā niyyāti divādivassa.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      jāṇussoṇi    i 人名、ジャーヌッソーニ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      sabba    名形 代的 依(処) すべて  
      setena    a 白い  
      vaḷavā    ā 依(属) 騾馬  
      abhirathena    a  
      sāvatthiyā    ī 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      niyyāti  nir-yā 出発する  
      語根 品詞 語基 意味  
      divādivassa.    不変 早朝に  
    訳文                
     さてその時、ジャーヌッソーニ婆羅門は、全面を白く塗られた上等な騾馬車で、早朝にサーヴァッティーを出発していた。  
    メモ                
     ・ジャーヌッソーニ婆羅門は「中部」004『怖畏経』でも釈尊に帰依しているが、同名の別人か。また「長部」13『三明経』にジャーヌソーニ婆羅門なる名が出るが、これも同一人物かどうか。  
                       
                       
                       
    288-4.                
     Addasā kho jāṇussoṇi brāhmaṇo pilotikaṃ paribbājakaṃ dūratova āgacchantaṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Addasā  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      jāṇussoṇi    i 人名、ジャーヌッソーニ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      pilotikaṃ    a 人名、ピローティカ  
      paribbājakaṃ  pari-vraj a 遍歴者、遊行者  
      dūrato    a 遠く  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      āgacchantaṃ.  ā-gam 現分 ant 来る  
    訳文                
     ときにジャーヌッソーニ婆羅門は、遠くからやってくるピローティカ遍歴行者を見た。  
                       
                       
                       
    288-5.                
     Disvāna pilotikaṃ paribbājakaṃ etadavoca –  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Disvāna  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      pilotikaṃ    a 人名、ピローティカ  
      paribbājakaṃ  pari-vraj a 遍歴者、遊行者  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca – vac いう  
    訳文                
     見て、ピローティカ遍歴行者へ、こういった。  
                       
                       
                       
    288-6.                
     ‘‘Handa, kuto nu bhavaṃ vacchāyano āgacchati divādivassā’’ti?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Handa,    不変 いざ  
      kuto    不変 どこから  
      nu    不変 いったい、たぶん、〜かどうか、〜ではないか  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant 尊師、尊者  
      vacchāyano    a 人名、ヴァッチャーヤナ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgacchati  ā-gam 来る  
      語根 品詞 語基 意味  
      divādivassā’’    不変 早朝に  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「おや、いったい尊者ヴァッチャーヤナは、早朝に、どこからいらしたのでしょうか」と。  
    メモ                
     ・ヴァッチャーヤナはピローティカの姓という。  
                       
                       
                       
    288-7.                
     ‘‘Ito hi kho ahaṃ, bho, āgacchāmi samaṇassa gotamassa santikā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ito    不変 これより、ここより  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bho,  bhū 名現分 ant 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgacchāmi  ā-gam 来る  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      santikā’’    a 付近、面前  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「尊者よ、私は沙門ゴータマの近く、そこから来たのです」。  
                       
                       
                       
    288-8.                
     ‘‘Taṃ kiṃ maññati, bhavaṃ vacchāyano, samaṇassa gotamassa paññāveyyattiyaṃ?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Taṃ    代的 それ  
      kiṃ    代的 何、なぜ、いかに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      maññati,  man 考える  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant 尊師、尊者  
      vacchāyano,    a 人名、ヴァッチャーヤナ  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      paññā  pra-jñā ā 智慧、般若  
      veyyattiyaṃ?   a 聡明、弁才  
    訳文                
     「これを尊者ヴァッチャーヤナはどう思われますか。沙門ゴータマには智慧と弁才がおありでしょうか。  
                       
                       
                       
    288-9.                
     ‘‘Paṇḍito maññe’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Paṇḍito    a 賢い、賢者  
      maññe’’  man 不変 私思うに、まるで  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『私思うに、〔彼は〕賢者だ』と〔あなたはお考えでしょうか〕」。  
    メモ                
     ・この文はジャーヌッソーニ婆羅門が「私は彼を賢者だと思うのですが」といったようにも、ピローティカ遍歴行者が「私思うに彼は賢者であり、ゆえに私にはその智慧弁才を知り得ない」と言ったようにも読めるが、一応このようにした。  
                       
                       
                       
    288-10.                
     ‘‘Ko cāhaṃ, bho, ko ca samaṇassa gotamassa paññāveyyattiyaṃ jānissāmi!   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ko    代的 何、誰  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      ahaṃ,    代的  
      bho,  bhū 名現分 ant 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      ko    代的 何、誰  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      paññā  pra-jñā ā 智慧、般若  
      veyyattiyaṃ    a 聡明、弁才  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānissāmi!  jñā 知る  
    訳文                
     「尊者よ、私が何だというのでしょうか。なぜ私が、沙門ゴータマの智慧と弁才を知り得ましょう。  
                       
                       
                       
    288-11.                
     Sopi nūnassa tādisova yo samaṇassa gotamassa paññāveyyattiyaṃ jāneyyā’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      nūna    不変 たしかに  
      assa    代的 これ  
      tādiso    a そのごとき  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      paññā  pra-jñā ā 智慧、般若  
      veyyattiyaṃ    a 聡明、弁才  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jāneyyā’’  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     およそ沙門ゴータマの智慧と弁才を知り得るのは、彼(釈尊)または彼の如き者だけです」。  
                       
                       
                       
    288-12.                
     ‘‘Uḷārāya khalu bhavaṃ vacchāyano samaṇaṃ gotamaṃ pasaṃsāya pasaṃsatī’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Uḷārāya    a 偉大な、富んだ、広大な  
      khalu    不変 じつに  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant 尊師、尊者  
      vacchāyano    a 人名、ヴァッチャーヤナ  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      pasaṃsāya  pra-śaṃ ā 賞賛、称誉  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pasaṃsatī’’  pra-śaṃ 賞賛する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「じつに尊者ヴァッチャーヤナは、沙門ゴータマへ多大な讃辞をもって賞賛をなさいますね」。  
                       
                       
                       
    288-13.                
     ‘‘Ko cāhaṃ, bho, ko ca samaṇaṃ gotamaṃ pasaṃsissāmi?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ko cāhaṃ, bho, ko ca (288-10.)  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pasaṃsissāmi? pra-śaṃ 賞賛する  
    訳文                
     「尊者よ、私が何だというのでしょうか。なぜ私が、沙門ゴータマを賞賛できましょう。  
                       
                       
                       
    288-14.                
     ‘‘Pasatthapasatthova so bhavaṃ gotamo seṭṭho devamanussāna’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Pasattha  pra-śaṃ 過分 a 依(具) 賞賛された  
      pasattho  pra-śaṃ 過分 a 賞賛された  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      so    代的 それ、彼  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant 尊師、尊者  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      seṭṭho    a 最上の  
      deva    a 天、神  
      manussāna’’n    a 人名、ゴータマ  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     かの尊者ゴータマは、賞賛される者によって賞賛される、神々と人々のうちの最上者です」。  
    メモ                
     ・Pasatthapasatthoについては註に従って複合を解した。この後のピローティカの主張からしても妥当と思われる。  
                       
                       
                       
    288-15.                
     ‘‘Kaṃ pana bhavaṃ vacchāyano atthavasaṃ sampassamāno samaṇe gotame evaṃ abhippasanno’’ti [abhippasanno hotīti (syā.)]?  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kaṃ    代的 何、誰  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant 尊師、尊者  
      vacchāyano    a 人名、ヴァッチャーヤナ  
      attha    a 男中 依(属) 義、道理  
      vasaṃ    a 男中 力、自在、影響 →道理、因由  
      sampassamāno  saṃ-paś 現分 a 見る、正視する  
      samaṇe  śram a 沙門  
      gotame    a 人名、ゴータマ  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      abhippasanno’’  abhi-pra-sad 過分 a 信じた、浄信ある  
      ti?   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「しからば尊者ヴァッチャーヤナは、いかなる道理を見て、沙門ゴータマを信じておられるのか」  
    メモ                
     ・理解も賞賛も及ばないほど隔絶した対象に、どうして浄信を抱けるのかという事であろう。これに対しピローティカは、名士たちが釈尊に帰依しているから、という理由を挙げるが、この理由は後に釈尊に不足とされる。  
                       
                       
                       
    288-16.                
     ‘‘Seyyathāpi, bho, kusalo nāgavaniko nāgavanaṃ paviseyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bho,  bhū 名現分 ant 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      kusalo    a よき、善巧の  
      nāga    a 依(属) 竜、蛇、象  
      vaniko    a 森林の、猟師  
      nāga    a 依(属) 竜、蛇、象  
      vanaṃ    a 林、森  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paviseyya.  pra-viś 入る  
    訳文                
     「尊者よ、例えば巧みな象狩人が、象の森へ入ったとしましょう。  
                       
                       
                       
    288-17.                
     So passeyya nāgavane mahantaṃ hatthipadaṃ, dīghato ca āyataṃ, tiriyañca vitthataṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passeyya  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      nāga    a 依(属) 竜、蛇、象  
      vane    a 林、森  
      mahantaṃ    ant 大きい  
      hatthi    in 依(属)  
      padaṃ,    a 足、足跡、句  
      dīghato    a 副奪 長い、長さより  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      āyataṃ,  ā-yam 過分 a 拡大された、広長の、長い  
      tiriyañ    不変 横に、四法に  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vitthataṃ.  vi-stṛ 過分 a 散布した、広げられた  
    訳文                
     彼が、象の森で、縦に長く、横に拡がった、大きな象の足跡を見たとします。  
                       
                       
                       
    288-18.                
     So niṭṭhaṃ gaccheyya –   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      niṭṭhaṃ    ā 究竟、終結、目的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gaccheyya –  gam 行く  
    訳文                
     彼は結論に至るでしょう。  
                       
                       
                       
    288-19.                
     ‘mahā vata, bho, nāgo’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘mahā    ant 大きい  
      vata,    不変 じつに  
      bho,  bhū 名現分 ant 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      nāgo’    a 竜、蛇、象  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『ああ、じつに大きな雄象だ』と。  
                       
                       
                       
    288-20.                
     Evameva kho ahaṃ, bho, yato addasaṃ samaṇe gotame cattāri padāni athāhaṃ niṭṭhamagamaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bho,  bhū 名現分 ant 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      addasaṃ  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇe  śram a 沙門  
      gotame    a 人名、ゴータマ  
      cattāri     
      padāni    a 足、足跡、句  
      atha    不変 ときに、また、そこに  
      ahaṃ    代的  
      niṭṭham    ā 究竟、終結、目的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      agamaṃ –  gam 行く  
    訳文                
     尊者よ、じつにそのように私は、沙門ゴータマに四つの足跡を見て、それゆえここに私は結論に至ったのです。  
                       
                       
                       
    288-21.                
     ‘sammāsambuddho bhagavā, svākkhāto bhagavatā dhammo, suppaṭipanno bhagavato sāvakasaṅgho’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘sammā    不変 正しい、正しく  
      sambuddho  saṃ-budh 名過分 a 等覚  
      bhagavā,    ant 世尊  
      svākkhāto  su-ā-khyā 過分 a よく説かれた  
      bhagavatā    ant 世尊  
      dhammo,  dhṛ a 男中  
      suppaṭipanno  su-prati-pad 過分 a 善行の、妙行の  
      bhagavato    ant 世尊  
      sāvaka  śru a 依(属) 声聞、弟子  
      saṅgho’  saṃ-hṛ a 僧伽  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『世尊は正等覚者なり、世尊によって法はよく説かれたり、世尊の弟子僧伽は善く行道せり』と。  
                       
                       
                       
    289-1.                
     289. ‘‘Katamāni cattāri?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Katamāni    代的 いずれの、どちらの  
      cattāri?     
    訳文                
     いかなる四でしょうか。  
                       
                       
                       
    289-2.                
     Idhāhaṃ, bho, passāmi ekacce khattiyapaṇḍite nipuṇe kataparappavāde vālavedhirūpe, te bhindantā [vobhindantā (sī. pī.) vi + ava + bhindantā] maññe caranti paññāgatena diṭṭhigatāni.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idha    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      ahaṃ,    代的  
      bho,  bhū 名現分 ant 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passāmi  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekacce    代的 一類の  
      khattiya    a 士族、クシャトリヤ  
      paṇḍite    a 賢い、賢者  
      nipuṇe    a 巧妙な、聡明な  
      kata  kṛ 過分 a 有(持) なされた  
      parappavāde  para-pra-vad a 異論、論争、邪説 →議論に練達した  
      vāla    a 依(対) 毛、馬毛  
      vedhi  vidh in 有(持) 貫通する、射る  
      rūpe,    a 中→男 色、もの →寸毫を射貫く如き、犀利の  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhindantā  bhid 現分 a 裂く、破る  
      maññe  man 不変 思うに、確かに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      caranti  car ゆく、遊行する  
      語根 品詞 語基 意味  
      paññā  pra-jñā ā 智慧  
      gatena  gam 過分 a 行かれた  
      diṭṭhi  dṛś i 見解、謬見  
      gatāni.  gam 過分 a 行かれた  
    訳文                
     尊者よ、ここに私は、一部の、博学で巧緻、議論に熟達し、犀利な士族たちを見ます。彼らは確かに智慧によって謬見を論破してまわります。  
    メモ                
     ・『梵網経』【詭弁論】にパラレル。  
                       
                       
                       
    289-3.                
     Te suṇanti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      suṇanti –  śru 聞く  
    訳文                
     彼らは聞きます。  
                       
                       
                       
    289-4.                
     ‘samaṇo khalu, bho, gotamo amukaṃ nāma gāmaṃ vā nigamaṃ vā osarissatī’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘samaṇo  śram a 沙門  
      khalu,    不変 じつに  
      bho,  bhū 名現分 ant 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      amukaṃ    a そのような  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      gāmaṃ    a  
          不変 あるいは  
      nigamaṃ    a  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      osarissatī’  ava-sṛ 訪問する、撤退する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『友等よ、じつに沙門ゴータマが、これこれという名の村あるいは町を訪ねるであろう』と。  
                       
                       
                       
    289-5.                
     Te pañhaṃ abhisaṅkharonti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      pañhaṃ    a 問い  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhisaṅkharonti –  abhi-saṃ-kṛ 為作する  
    訳文                
     彼らは質問をしつらえます。  
                       
                       
                       
    289-6.                
     ‘imaṃ mayaṃ pañhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ upasaṅkamitvā pucchissāma.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘imaṃ    代的 これ  
      mayaṃ    代的 私たち  
      pañhaṃ    a 問い  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      pucchissāma.  prach 問う  
    訳文                
     『我々は、この質問を、沙門ゴータマへ近づいて問うとしよう。  
                       
                       
                       
    289-7.                
     Evaṃ ce no puṭṭho evaṃ byākarissati, evamassa mayaṃ vādaṃ āropessāma.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      ce    不変 もし、たとえ  
      no    代的 私たち  
      puṭṭho  prach 過分 a 問われた  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākarissati,  vi-ā-kṛ 解答する  
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      assa    代的 これ  
      mayaṃ    代的 私たち  
      vādaṃ  vad a 説、語、論  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropessāma.  ā-ruh 上らせる、与える →論破する  
    訳文                
     もし、我々にそのように問われて、このように解答したならば、我々は彼をこのように論破しよう。  
                       
                       
                       
    289-8.                
     Evaṃ cepi no puṭṭho evaṃ byākarissati, evampissa mayaṃ vādaṃ āropessāmā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ cepi no puṭṭho evaṃ byākarissati, evampissa mayaṃ vādaṃ āropessāmā’ (289-7.)  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     もしまた、我々にそのように問われて、このように解答したならば、また我々は彼をこのように論破しよう』と。  
                       
                       
                       
    289-9.                
     Te suṇanti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te suṇanti – (289-3.)  
    訳文                
     彼らは聞きます。  
                       
                       
                       
    289-10.                
     ‘samaṇo khalu, bho, gotamo amukaṃ nāma gāmaṃ vā nigamaṃ vā osaṭo’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘samaṇo khalu, bho, gotamo amukaṃ nāma gāmaṃ vā nigamaṃ vā osaṭo’ti. (289-4.)  
      osaṭo’  ava-sṛ 過分 a 訪問した  
    訳文                
     『友等よ、じつに沙門ゴータマが、これこれという名の村あるいは町を訪ねている』と。  
                       
                       
                       
    289-11.                
     Te yena samaṇo gotamo tenupasaṅkamanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamanti.  upa-saṃ-kram 近づく  
    訳文                
     彼らは沙門ゴータマの元へ近づきます。  
                       
                       
                       
    289-12.                
     Te samaṇo gotamo dhammiyā kathāya sandasseti samādapeti samuttejeti sampahaṃseti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      dhammiyā  dhṛ ī 法の  
      kathāya    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sandasseti  saṃ-dṛś 使 教示する、開示する  
      samādapeti  saṃ-ā-dā 使 取らせる、勧導する、訓誡する  
      samuttejeti  saṃ-ā-tij 使 鼓舞する、奨励する  
      sampahaṃseti.  saṃ-pra-hṛṣ 使 喜ばせる、欣喜させる  
    訳文                
     彼らを、沙門ゴータマは法話によって教示し、訓誡し、鼓舞し、欣喜させます。  
                       
                       
                       
    289-13.                
     Te samaṇena gotamena dhammiyā kathāya sandassitā samādapitā samuttejitā sampahaṃsitā na ceva samaṇaṃ gotamaṃ pañhaṃ pucchanti, kutossa [kutassa (sī. syā. pī.)] vādaṃ āropessanti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      samaṇena  śram a 沙門  
      gotamena    a 人名、ゴータマ  
      dhammiyā  dhṛ ī 法の  
      kathāya    ā  
      sandassitā  saṃ-dṛś 使 過分 a 教示される  
      samādapitā  saṃ-ā-dā 使 過分 a 訓誡される  
      samuttejitā  saṃ-ā-tij 使 過分 a 鼓舞される  
      sampahaṃsitā  saṃ-pra-hṛṣ 過分 a 欣喜させられる  
      na    不変 ない  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      pañhaṃ    a 問い  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pucchanti,  prach 問う  
      語根 品詞 語基 意味  
      kuto    不変 どこから、なにゆえ  
      assa    代的 これ  
      vādaṃ  vad a 説、語、論  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āropessanti?  ā-ruh 上らせる、与える、用意する、示す  
    訳文                
     沙門ゴータマによる法話によって教示され、訓誡され、鼓舞され、欣喜させられた彼らは、沙門ゴータマへ質問を問うことすらしません。どうして彼を論破できましょう。  
                       
                       
                       
    289-14.                
     Aññadatthu samaṇasseva gotamassa sāvakā sampajjanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Aññadatthu    不変 何はともあれ、必ず  
      samaṇassa  śram a 沙門  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      gotamassa    a 人名、ゴータマ  
      sāvakā    a 声聞、弟子  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sampajjanti.  saṃ-pad 起こる、なる、成功する  
    訳文                
     彼らは必ず、沙門ゴータマの弟子となるのです。  
                       
                       
                       
    289-15.                
     Yadāhaṃ, bho, samaṇe gotame imaṃ paṭhamaṃ padaṃ addasaṃ athāhaṃ niṭṭhamagamaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yadā    不変 〜の時  
      ahaṃ, bho, samaṇe gotame imaṃ paṭhamaṃ padaṃ addasaṃ athāhaṃ niṭṭhamagamaṃ – (288-20.)  
      imaṃ    代的 これ  
      paṭhamaṃ    a 第一の、最初の  
      padaṃ    a 足、足跡、句  
    訳文                
     尊者よ、私は、沙門ゴータマにこの第一の足跡を見たとき、結論に至ったのです。  
                       
                       
                       
    289-16.                
     ‘sammāsambuddho bhagavā, svākkhāto bhagavatā dhammo, suppaṭipanno bhagavato sāvakasaṅgho’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘sammāsambuddho bhagavā, svākkhāto bhagavatā dhammo, suppaṭipanno bhagavato sāvakasaṅgho’ti. (288-21.)  
    訳文                
     『世尊は正等覚者なり、世尊によって法はよく説かれたり、世尊の弟子僧伽は善く行道せり』と。  
                       
                       
                       
    289-17.                
     ‘‘Puna caparāhaṃ, bho, passāmi idhekacce brāhmaṇapaṇḍite…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Puna    不変 さらに、ふたたび  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      aparaṃ    代的 副対 他の、後の、次の  
      ahaṃ, bho, passāmi idhekacce brāhmaṇapaṇḍite…pe… (289-2.)  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
    訳文                
     また尊者よ、ここに私は、一部の、博学〔で巧緻、議論に熟達し、犀利〕な婆羅門たちを見ます……  
                       
                       
                       
    289-18.                
     gahapatipaṇḍite…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      gahapati    i 家主、居士、資産家  
      paṇḍite…pe… (289-2.)  
    訳文                
     ……博学〔で巧緻、議論に熟達し、犀利〕な居士たちを見ます……  
                       
                       
                       
    289-19.                
     samaṇapaṇḍite nipuṇe kataparappavāde vālavedhirūpe te bhindantā maññe caranti paññāgatena diṭṭhigatāni.   
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇa  śram a 沙門  
      paṇḍite nipuṇe kataparappavāde vālavedhirūpe te bhindantā maññe caranti paññāgatena diṭṭhigatāni. (289-2.)  
    訳文                
     ……博学で巧緻、議論に熟達し、犀利な沙門たちを見ます。彼らは確かに智慧によって謬見を論破してまわります。  
                       
                       
                       
    289-20.                
     Te suṇanti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te suṇanti – (289-3.)  
    訳文                
     彼らは聞きます。  
                       
                       
                       
    289-21.                
     ‘samaṇo khalu bho gotamo amukaṃ nāma gāmaṃ vā nigamaṃ vā osarissatī’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘samaṇo khalu bho gotamo amukaṃ nāma gāmaṃ vā nigamaṃ vā osarissatī’ti. (289-4.)  
    訳文                
     『友等よ、じつに沙門ゴータマが、これこれという名の村あるいは町を訪ねるであろう』と。  
                       
                       
                       
    289-22.                
     Te pañhaṃ abhisaṅkharonti ‘imaṃ mayaṃ pañhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ upasaṅkamitvā pucchissāma.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te pañhaṃ abhisaṅkharonti (289-5.)  
      ‘imaṃ mayaṃ pañhaṃ samaṇaṃ gotamaṃ upasaṅkamitvā pucchissāma. (289-6.)  
    訳文                
     彼らは質問をしつらえます。  
                       
                       
                       
    289-23.                
     Evaṃ ce no puṭṭho evaṃ byākarissati, evamassa mayaṃ vādaṃ āropessāma.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ ce no puṭṭho evaṃ byākarissati, evamassa mayaṃ vādaṃ āropessāma. (289-7.)  
    訳文                
     もし、我々にそのように問われて、このように解答したならば、我々は彼をこのように論破しよう。  
                       
                       
                       
    289-24.                
     Evaṃ cepi no puṭṭho evaṃ byākarissati, evaṃpissa mayaṃ vādaṃ āropessāmā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ cepi no puṭṭho evaṃ byākarissati, evaṃpissa mayaṃ vādaṃ āropessāmā’ti. (289-8.)  
    訳文                
     もしまた、我々にそのように問われて、このように解答したならば、また我々は彼をこのように論破しよう』と。  
                       
                       
                       
    289-25.                
     Te suṇanti ‘samaṇo khalu bho gotamo amukaṃ nāma gāmaṃ vā nigamaṃ vā osaṭo’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te suṇanti (289-3.)  
      ‘samaṇo khalu bho gotamo amukaṃ nāma gāmaṃ vā nigamaṃ vā osaṭo’ti. (289-10.)  
    訳文                
     彼らは聞きます。『友等よ、じつに沙門ゴータマが、これこれという名の村あるいは町を訪ねている』と。  
                       
                       
                       
    289-26.                
     Te yena samaṇo gotamo tenupasaṅkamanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te yena samaṇo gotamo tenupasaṅkamanti. (289-11.)  
    訳文                
     彼らは沙門ゴータマの元へ近づきます。  
                       
                       
                       
    289-27.                
     Te samaṇo gotamo dhammiyā kathāya sandasseti samādapeti samuttejeti sampahaṃseti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te samaṇo gotamo dhammiyā kathāya sandasseti samādapeti samuttejeti sampahaṃseti. (289-12.)  
    訳文                
     彼らを、沙門ゴータマは法話によって教示し、訓誡し、鼓舞し、欣喜させます。  
                       
                       
                       
    289-28.                
     Te samaṇena gotamena dhammiyā kathāya sandassitā samādapitā samuttejitā sampahaṃsitā na ceva samaṇaṃ gotamaṃ pañhaṃ pucchanti, kutossa vādaṃ āropessanti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te samaṇena gotamena dhammiyā kathāya sandassitā samādapitā samuttejitā sampahaṃsitā na ceva samaṇaṃ gotamaṃ pañhaṃ pucchanti, kutossa vādaṃ āropessanti? (289-13.)  
    訳文                
     沙門ゴータマによる法話によって教示され、訓誡され、鼓舞され、欣喜させられた彼らは、沙門ゴータマへ質問を問うことすらしません。どうして彼を論破できましょう。  
                       
                       
                       
    289-29.                
     Aññadatthu samaṇaṃyeva gotamaṃ okāsaṃ yācanti agārasmā anagāriyaṃ pabbajjāya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Aññadatthu    不変 何はともあれ、必ず  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      yeva    不変 まさに、のみ、じつに  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      okāsaṃ  ava-kāś a 空間、機会、聴許  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      yācanti  yāc 乞う  
      語根 品詞 語基 意味  
      agārasmā    a 家、舎、家屋、俗家  
      anagāriyaṃ    a 非家の  
      pabbajjāya.  pra-vraj ā 出家  
    訳文                
     彼らは必ず、沙門ゴータマへ在家からの出家のため、機会を乞うのです。  
    メモ                
     ・沙門である以上、出家は既になされており、ここでいわれるべきは仏教への帰依ではないかと思われるが、いかがなものか。後の展開を見るに、この時点では沙門を自称しながら家から離れていないという事であろうか。  
                       
                       
                       
    289-30.                
     Te samaṇo gotamo pabbājeti [pabbājeti upasampādeti (sī.)].   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      pabbājeti.  pra-vraj 使 出家させる  
    訳文                
     彼らを、沙門ゴータマは出家させます。  
                       
                       
                       
    289-31.                
     Te tattha pabbajitā samānā vūpakaṭṭhā appamattā ātāpino pahitattā viharantā nacirasseva –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      tattha    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      pabbajitā  pra-vraj 名過分 a 出家した  
      samānā  as 現分 a ある、なる  
      vūpakaṭṭhā  vi-ava-kṛṣ 使 過分 a 引き離された、遠離された  
      appamattā    a 不放逸の  
      ātāpino  ā-tap in 熱心の  
      pahita  pra-dhā 過分 a 有(持) 熱心な、努めた  
      attā    an 自己、我 →自ら努める、専念、精進  
      viharantā  vi-hṛ 現分 ant 住する  
      na    不変 ない  
      cirassa    a 男中 副属 ひさしく、ついに  
      eva –    不変 まさに、のみ、じつに  
    訳文                
     彼らはそこで出家して、遠離し、不放逸となり、熱心に、自らつとめて住し、久しからずして、  
                       
                       
                       
    289-32.                
     yassatthāya kulaputtā sammadeva agārasmā anagāriyaṃ pabbajanti tadanuttaraṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      yassa    代的 男中 (関係代名詞)  
      atthāya    a 男中 義、利益、道理、意味、必要、裁判、営務  
      kula    a 依(属) 家、良家、族姓  
      puttā    a 息子 →善男子  
      samma    不変 正しい、正しく  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      agārasmā    a 家、舎、家屋、俗家  
      anagāriyaṃ    a 非家の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pabbajanti  pra-vraj 出家する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tad    代的 それ  
      anuttaraṃ –    代的 無上の  
    訳文                
     善男子たちがそれを目的として正しく俗家から出家をなすところの、かの無上なる、  
                       
                       
                       
    289-33.                
     brahmacariyapariyosānaṃ diṭṭheva dhamme sayaṃ abhiññā sacchikatvā upasampajja viharanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      brahmacariya  bṛh, car a 依(属) 梵行  
      pariyosānaṃ  pari-ava-sā a 終結、完了  
      diṭṭhe  dṛś 過分 a 男中 見られた、見、所見  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      dhamme  dhṛ a 男中 法、教法、真理、正義、もの →現法、現世  
      sayaṃ    不変 自ら、自分で  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhiññā  abhi-jñā 認知する、自証する  
      sacchikatvā  kṛ 作証する、証明をなす、さとる  
      upasampajja  upa-saṃ-pad 到達する、成就する、具足する  
      viharanti.  vi-hṛ 住する  
    訳文                
     梵行の完成をまさしく目の当たりにし、みずから自証し、作証し、成就して住します。  
                       
                       
                       
    289-34.                
     Te evamāhaṃsu –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āhaṃsu –  ah いう  
    訳文                
     彼らはこのようにいいます。  
                       
                       
                       
    289-35.                
     ‘manaṃ vata, bho, anassāma, manaṃ vata, bho, panassāma;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘manaṃ    不変 ほとんど、かすかに  
      vata,    不変 じつに  
      bho,  bhū 名現分 ant 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anassāma,  naś 滅ぶ、滅亡する  
      語根 品詞 語基 意味  
      manaṃ vata, bho(同上)  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      panassāma;  pra-naś 失われる、滅ぶ  
    訳文                
     『ああ、じつに我々は破滅しかけていた。ああ、じつに我々は滅亡しかけていた。  
                       
                       
                       
    289-36.                
     mayañhi pubbe assamaṇāva samānā samaṇamhāti paṭijānimha, abrāhmaṇāva samānā brāhmaṇamhāti paṭijānimha, anarahantova samānā arahantamhāti paṭijānimha.   
      語根 品詞 語基 意味  
      mayañ    代的 私たち  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      pubbe    不変 前に、以前に  
      a   不変 (否定の接頭辞)  
      samaṇā  śram a 沙門  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      samānā  as 現分 a ある、なる  
      samaṇā  śram a 沙門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      amhā  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭijānimha,  prati-jñā 自称する、公言する、認める  
      語根 品詞 語基 意味  
      abrāhmaṇāva samānā brāhmaṇamhāti paṭijānimha, anarahantova samānā arahantamhāti paṭijānimha. (同上)  
      brāhmaṇā bṛh a 婆羅門  
      arahanto  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
    訳文                
     なんとなれば我々はかつて、沙門でないのに我々は沙門であると自称し、婆羅門でないのに我々は婆羅門であると自称し、阿羅漢でないのに我々は阿羅漢であると自称していたのだから。  
                       
                       
                       
    289-37.                
     Idāni khomha samaṇā, idāni khomha brāhmaṇā, idāni khomha arahanto’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idāni    不変 今、いまや  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      語根 品詞 語基 意味  
      amha  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇā,  śram a 沙門  
       idāni khomha brāhmaṇā, idāni khomha (同上)  
      brāhmaṇā,  bṛh a 婆羅門  
      arahanto’ arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     〔しかし〕いまや我々はたしかに沙門であり、いまや我々はたしかに婆羅門であり、いまや我々はたしかに阿羅漢である』と。  
                       
                       
                       
    289-38.                
     Yadāhaṃ, bho, samaṇe gotame imaṃ catutthaṃ padaṃ addasaṃ athāhaṃ niṭṭhamagamaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yadāhaṃ, bho, samaṇe gotame imaṃ catutthaṃ padaṃ addasaṃ athāhaṃ niṭṭhamagamaṃ – (289-15.)  
      catutthaṃ    a 第四の  
    訳文                
     尊者よ、私は、沙門ゴータマにこの第四の足跡を見たとき、結論に至ったのです。  
                       
                       
                       
    289-39.                
     ‘sammāsambuddho bhagavā, svākkhāto bhagavatā dhammo, suppaṭipanno bhagavato sāvakasaṅgho’’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘sammāsambuddho bhagavā, svākkhāto bhagavatā dhammo, suppaṭipanno bhagavato sāvakasaṅgho’’’ti. (288-21.)  
    訳文                
     『世尊は正等覚者なり、世尊によって法はよく説かれたり、世尊の弟子僧伽は善く行道せり』と。  
                       
                       
                       
    289-40.                
     ‘‘Yato kho ahaṃ, bho, samaṇe gotame imāni cattāri padāni addasaṃ athāhaṃ niṭṭhamagamaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ, bho, samaṇe gotame imāni cattāri padāni addasaṃ athāhaṃ niṭṭhamagamaṃ – (289-15.)  
      imāni    代的 これら  
      cattāri     
      padāni    a 足、足跡、句  
    訳文                
     尊者よ、私は、沙門ゴータマに、これら四つの足跡を見たがゆえに、結論に至ったのです。  
                       
                       
                       
    289-41.                
     ‘sammāsambuddho bhagavā, svākkhāto bhagavatā dhammo, suppaṭipanno bhagavato sāvakasaṅgho’’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘sammāsambuddho bhagavā, svākkhāto bhagavatā dhammo, suppaṭipanno bhagavato sāvakasaṅgho’’’ti. (288-21.)  
    訳文                
     『世尊は正等覚者なり、世尊によって法はよく説かれたり、世尊の弟子僧伽は善く行道せり』と」。  
                       
                       
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