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     9. Dvedhāvitakkasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Dvedhā    不変 二種に  
      vitakka    a 依(属) 尋、尋求、思惟、考察  
      suttaṃ sīv a 経、糸  
    訳文                
     『双尋経』  
                       
                       
                       
    206-1.                
     206. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ   不変 このように  
      me   代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた、所聞  
    訳文                
     このように私は聞いた。  
                       
                       
                       
    206-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā sāvatthiyaṃ viharati jetavane anāthapiṇḍikassa ārāme.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 一、とある  
      samayaṃ    a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      sāvatthiyaṃ    ī 地名、サーヴァッティー、舎衛城  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      jetavane    a 地名、ジェータ林、祇樹、祇園  
      anāthapiṇḍikassa    a 人名、アナータピンディカ、給孤独  
      ārāme.    a  
    訳文                
     あるとき世尊は、サーヴァッティーの、ジェータ林はアナータピンディカ園に住しておられた。  
                       
                       
                       
    206-3.                
     Tatra kho bhagavā bhikkhū āmantesi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tatra    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhagavā    ant 世尊  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantesi –    呼びかける、話す、相談する  
    訳文                
     ときに世尊は、比丘たちへ呼びかけられた。  
                       
                       
                       
    206-4.                
     ‘‘bhikkhavo’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘bhikkhavo’’  bhikṣ u 比丘  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「比丘たちよ」と。  
                       
                       
                       
    206-5.                
     ‘‘Bhadante’’ti te bhikkhū bhagavato paccassosuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Bhadante’’    大徳、尊師  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      te    代的 それら、彼ら  
      bhikkhū  bhikṣ u 比丘  
      bhagavato    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paccassosuṃ.  prati-śru 応諾する、同意する、応える  
    訳文                
     「尊者よ」と、彼ら比丘たちは世尊へ応えた。  
                       
                       
                       
    206-6.                
     Bhagavā etadavoca –  
      語根 品詞 語基 意味  
      Bhagavā    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     世尊はこういわれた。  
                       
                       
                       
    206-7.                
     ‘‘Pubbeva me, bhikkhave, sambodhā anabhisambuddhassa bodhisattasseva sato etadahosi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Pubbe    不変 前に、以前に  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      me,    代的 属絶  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      sambodhā  saṃ-budh a 正覚、等覚  
      anabhisambuddhassa  an-abhi-saṃ-budh 過分 a 属絶 未だ現等覚せざる  
      bodhisattassa  budh a 属絶 菩薩  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      sato  as 現分 ant 属絶 ある  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi –  bhū ある、なる  
    訳文                
     「比丘たちよ、等覚以前、私が未だ現等覚せざる菩薩であったときに、この〔思い〕がありました。  
                       
                       
                       
    206-8.                
     ‘yaṃnūnāhaṃ dvidhā katvā dvidhā katvā vitakke vihareyya’nti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      nūna    不変 たしかに →〜したらどうか  
      ahaṃ    代的  
      dvidhā    不変 二種に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      katvā  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      dvidhā    不変 二種に  
      katvā  同上  
      vitakke    a 尋、尋求、思惟、考察  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vihareyya’n  vi-hṛ 能反 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『私は、おのおの二種になしての尋思に住してはどうだろうか』と。  
                       
                       
                       
    206-9.                
     So kho ahaṃ, bhikkhave, yo cāyaṃ kāmavitakko yo ca byāpādavitakko yo ca vihiṃsāvitakko –   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      ayaṃ    代的 これ  
      kāma    a 男中 依(属)  
      vitakko    a 尋、尋求、思惟、考察  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      byāpāda  vi-ā-pad a 依(属) 瞋恚  
      vitakko    a 尋、尋求、思惟、考察  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      vihiṃsā  vi-hiṃs ā 依(属) 害意、悩害  
      vitakko –    a 尋、尋求、思惟、考察  
    訳文                
     比丘たちよ、そこで私は、およそかの欲の尋思、およそ瞋恚の尋思、およそ害意の尋思、  
                       
                       
                       
    206-10.                
     imaṃ ekaṃ bhāgamakāsiṃ;   
      語根 品詞 語基 意味  
      imaṃ    代的 これ  
      ekaṃ    代的  
      bhāgam  bhaj a 部分、領域  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akāsiṃ;  kṛ なす  
    訳文                
     これを一つの部分となしました。  
                       
                       
                       
    206-11.                
     yo cāyaṃ nekkhammavitakko yo ca abyāpādavitakko yo ca avihiṃsāvitakko –   
      語根 品詞 語基 意味  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      ayaṃ    代的 これ  
      nekkhamma  ni-kram a 依(属) 出離、離欲  
      vitakko    a 尋、尋求、思惟、考察  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      abyāpāda  a-vi-ā-pad a 依(属) 無瞋恚  
      vitakko    a 尋、尋求、思惟、考察  
      yo    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      avihiṃsā  a-vi-hiṃs ā 依(属) 不悩害  
      vitakko –    a 尋、尋求、思惟、考察  
    訳文                
     また、およそかの離欲の尋思、およそ無瞋恚の尋思、およそ不害意の尋思、  
                       
                       
                       
    206-12.                
     imaṃ dutiyaṃ bhāgamakāsiṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      imaṃ    代的 これ  
      dutiyaṃ    名形 a 第二の、伴侶  
      bhāgam  bhaj a 部分、領域  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akāsiṃ. kṛ なす  
    訳文                
     これを第二の部分となしました。  
                       
                       
                       
    207-1.                
     207. ‘‘Tassa mayhaṃ, bhikkhave, evaṃ appamattassa ātāpino pahitattassa viharato uppajjati kāmavitakko.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tassa    代的 それ、彼  
      mayhaṃ,    代的  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      appamattassa    a 不放逸の  
      ātāpino  ā-tap in 熱心の、正勤の  
      pahita  pra-dhā 過分 a 有(持) 熱心な、努めた  
      attassa    a 自分  
      viharato  vi-hṛ 現分 ant 住する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      uppajjati  upa-pad 起こる、生ずる、発生する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kāma    a 男中 依(属)  
      vitakko.    a 尋、尋求、思惟、考察  
    訳文                
     比丘たちよ、そのように、不放逸の、正勤の、自ら努める者として住するその私に、欲の尋思が起こりました。  
                       
                       
                       
    207-2.                
     So evaṃ pajānāmi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāmi –  pra-jñā 了知する  
    訳文                
     その私は、このように了知しました。  
                       
                       
                       
    207-3.                
     ‘uppanno kho me ayaṃ kāmavitakko.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘uppanno  ud-pad 過分 a 発生した、生起した  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      me    代的  
      ayaṃ    代的 これ  
      kāma    a 男中 依(属)  
      vitakko.    a 尋、尋求、思惟、考察  
    訳文                
     『私に、この欲の尋思が発生した。  
                       
                       
                       
    207-4.                
     So ca kho attabyābādhāyapi saṃvattati, parabyābādhāyapi saṃvattati, ubhayabyābādhāyapi saṃvattati, paññānirodhiko vighātapakkhiko anibbānasaṃvattaniko’ [anibbānasaṃvattaniko’’ti (?)].   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      atta    an 依(属) 自己、我  
      byābādhāya  vi-ā-bādh a 悩害、瞋害  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      saṃvattati,  saṃ-vṛṭ 転起する、作用する、導く  
      語根 品詞 語基 意味  
      para    代的 依(属) 他の  
      byābādhāya  vi-ā-bādh a 悩害、瞋害  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      saṃvattati,  同上  
      ubhaya    a 依(属) 両方の  
      byābādhāya  vi-ā-bādh a 悩害、瞋害  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      saṃvattati,  同上  
      paññā  pra-jñā ā 依(対) 智慧、般若  
      nirodhiko    a 滅の、滅せしめる  
      vighāta    a 依(属) 破壊、殺戮、困惑、悩害  
      pakkhiko    a 半月の、徒党の  
      anibbāna  a-nir-vā? a 依(対) 涅槃ならぬ  
      saṃvattaniko’.  saṃ-vṛṭ a 作用する、至らしめる、導く  
    訳文                
     じつにそれは、自己の瞋害へ導き、他者の瞋害へ導き、両者の瞋害へ導き、智慧を滅せしめる、悩害を伴う、涅槃へ導かないものである』〔と〕。  
                       
                       
                       
    207-5.                
     ‘Attabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Atta    an 依(属) 自己、我  
      byābādhāya  vi-ā-bādh a 悩害、瞋害  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      saṃvattatī’  saṃ-vṛṭ 転起する、作用する、導く  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      me,    代的 属絶  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      paṭisañcikkhato  prati-saṃ-khyā 強 現分 ant 属絶 深慮する、精察する  
      abbhatthaṃ    a 滅没  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      gacchati;  gam 行く  
    訳文                
     比丘たちよ、私が『それは、自己の瞋害へ導く』と深慮すると、それ(欲の尋思)は消失しました。  
                       
                       
                       
    207-6.                
     ‘parabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘para    代的 依(属) 他の  
      byābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati; (207-5.)  
    訳文                
     比丘たちよ、私が『それは、他者の瞋害へ導く』と深慮すると、それ(欲の尋思)は消失しました。  
                       
                       
                       
    207-7.                
     ‘ubhayabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘ubhaya    a 依(属) 両方の  
      byābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati; (207-5.)  
    訳文                
     比丘たちよ、私が『それは、両者の瞋害へ導く』と深慮すると、それ(欲の尋思)は消失しました。  
                       
                       
                       
    207-8.                
     ‘paññānirodhiko vighātapakkhiko anibbānasaṃvattaniko’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘paññānirodhiko vighātapakkhiko anibbānasaṃvattaniko’ (207-4.)  
      tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati. (207-5.)  
    訳文                
     『智慧を滅せしめる、悩害を伴う、涅槃へ導かないものである』と深慮すると、それ(欲の尋思)は消失しました。  
                       
                       
                       
    207-9.                
     So kho ahaṃ, bhikkhave, uppannuppannaṃ kāmavitakkaṃ pajahameva [atītakālikakiriyāpadāniyeva] vinodameva [atītakālikakiriyāpadāniyeva] byantameva [byanteva (sī. syā. pī.)] naṃ akāsiṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      uppanna  ud-pad 過分 a 生じた  
      uppannaṃ  ud-pad 過分 a 生じた  
      kāma    a 男中 依(属)  
      vitakkaṃ    a 尋、尋求、思惟、考察  
      pajaham  pra-hā 現分 ant 捨てる、断ずる  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      vinodam  vi-nud 現分 ant 除く、除去する  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      byantam    名形 a 終結、終末  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      naṃ    代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akāsiṃ. kṛ なす →滅ぼす  
    訳文                
     比丘たちよ、そして私は、おのおの生じた欲の尋思を捨断し、除去し、それを滅ぼしたのです。  
                       
                       
                       
    208-1.                
     208. ‘‘Tassa mayhaṃ, bhikkhave, evaṃ appamattassa ātāpino pahitattassa viharato uppajjati byāpādavitakko…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tassa mayhaṃ, bhikkhave, evaṃ appamattassa ātāpino pahitattassa viharato uppajjati byāpādavitakko…pe… (207-1.)  
      byāpāda  vi-ā-pad a 依(属) 瞋恚  
    訳文                
     比丘たちよ、そのように、不放逸の、正勤の、自ら努める者として住するその私に、瞋恚の尋思が起こりました……  
                       
                       
                       
    208-2.                
     uppajjati vihiṃsāvitakko.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      uppajjati  upa-pad 起こる、生ずる、発生する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vihiṃsā  vi-hiṃs ā 依(属) 害意、悩害  
      vitakko.    a 尋、尋求、思惟、考察  
    訳文                
     ……害意の尋思が起こりました。  
                       
                       
                       
    208-3.                
     So evaṃ pajānāmi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      So evaṃ pajānāmi – (207-2.)  
    訳文                
     その私は、このように了知しました。  
                       
                       
                       
    208-4.                
     ‘uppanno kho me ayaṃ vihiṃsāvitakko.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘uppanno kho me ayaṃ vihiṃsāvitakko. (207-3.)  
      vihiṃsā  vi-hiṃs ā 依(属) 害意、悩害  
    訳文                
     『私に、この害意の尋思が発生した。  
                       
                       
                       
    208-5.                
     So ca kho attabyābādhāyapi saṃvattati, parabyābādhāyapi saṃvattati, ubhayabyābādhāyapi saṃvattati, paññānirodhiko vighātapakkhiko anibbānasaṃvattaniko’.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So ca kho attabyābādhāyapi saṃvattati, parabyābādhāyapi saṃvattati, ubhayabyābādhāyapi saṃvattati, paññānirodhiko vighātapakkhiko anibbānasaṃvattaniko’. (207-4.)  
    訳文                
     じつにそれは、自己の瞋害へ導き、他者の瞋害へ導き、両者の瞋害へ導き、智慧を滅せしめる、悩害を伴う、涅槃へ導かないものである』〔と〕。  
                       
                       
                       
    208-6.                
     ‘Attabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Attabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati; (207-5.)  
    訳文                
     比丘たちよ、私が『それは、自己の瞋害へ導く』と深慮すると、それ(害意の尋思)は消失しました。  
                       
                       
                       
    208-7.                
     ‘parabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘parabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati; (207-6.)  
    訳文                
     比丘たちよ、私が『それは、他者の瞋害へ導く』と深慮すると、それ(害意の尋思)は消失しました。  
                       
                       
                       
    208-8.                
     ‘ubhayabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati;   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘ubhayabyābādhāya saṃvattatī’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati; (207-6.)  
    訳文                
     比丘たちよ、私が『それは、両者の瞋害へ導く』と深慮すると、それ(害意の尋思)は消失しました。  
                       
                       
                       
    208-9.                
     ‘paññānirodhiko vighātapakkhiko anibbānasaṃvattaniko’tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘paññānirodhiko vighātapakkhiko anibbānasaṃvattaniko’ (207-4.)  
      tipi me, bhikkhave, paṭisañcikkhato abbhatthaṃ gacchati. (207-5.)  
    訳文                
     『智慧を滅せしめる、悩害を伴う、涅槃へ導かないものである』と深慮すると、それ(害意の尋思)は消失しました。  
                       
                       
                       
    208-10.                
     So kho ahaṃ, bhikkhave, uppannuppannaṃ vihiṃsāvitakkaṃ pajahameva vinodameva byantameva naṃ akāsiṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      So kho ahaṃ, bhikkhave, uppannuppannaṃ vihiṃsāvitakkaṃ pajahameva vinodameva byantameva naṃ akāsiṃ. (207-9.)  
      vihiṃsā  vi-hiṃs ā 依(属) 害意、悩害  
    訳文                
     比丘たちよ、そして私は、おのおの生じた害意の尋思を捨断し、除去し、それを滅ぼしたのです。  
                       
                       
                       
    208-11.                
     ‘‘Yaññadeva, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, tathā tathā nati hoti cetaso.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yañ    代的 (関係代名詞)  
      yad    代的 (関係代名詞)  
      eva,    不変 まさに、のみ、じつに  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      bahulam    u 副対 多く、富める、熱心な  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anuvitakketi    随尋する、思惟する  
      anuvicāreti,  anu-vi-car 使 思惟する、思考する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tathā    不変 かく、その如く  
      tathā    不変 かく、その如く  
      nati    i 傾向、意向  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      cetaso.  cit as 心、心想  
    訳文                
     比丘たちよ、比丘がそれぞれについて熱心に随尋し、随伺するならば、それぞれそのとおりに心に傾向が生じます。  
                       
                       
                       
    208-12.                
     Kāmavitakkaṃ ce, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, pahāsi nekkhammavitakkaṃ, kāmavitakkaṃ bahulamakāsi, tassa taṃ kāmavitakkāya cittaṃ namati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāma    a 男中 依(属)  
      vitakkaṃ    a 尋、尋求、思惟、考察  
      ce,    不変 もし、たとえ  
      bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, (208-11.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pahāsi  pra-hā 捨てる  
      語根 品詞 語基 意味  
      nekkhamma  ni-kram a 依(属) 出離、離欲  
      vitakkaṃ,    a 尋、尋求、思惟、考察  
      kāma    a 男中 依(属)  
      vitakkaṃ    a 尋、尋求、思惟、考察  
      bahulam    u 副対 多く、富める、熱心な  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      akāsi,  kṛ なす  
      語根 品詞 語基 意味  
      tassa    代的 それ、彼  
      taṃ    代的 それ  
      kāma    a 男中 依(属)  
      vitakkāya    a 尋、尋求、思惟、考察  
      cittaṃ  cit a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      namati.  nam 曲げる、屈する  
    訳文                
     比丘たちよ、もし比丘が欲の尋思について多く随尋し、随伺して、離欲の尋思を捨て、欲の尋思を熱心になすならば、彼のその心は、欲の尋思へ傾きます。  
                       
                       
                       
    208-13.                
     Byāpādavitakkaṃ ce, bhikkhave…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Byāpāda  vi-ā-pad a 依(属) 瞋恚  
      vitakkaṃ    a 尋、尋求、思惟、考察  
      ce,    不変 もし、たとえ  
      bhikkhave…pe…  bhikṣ u 比丘  
    訳文                
     比丘たちよ、瞋恚の尋思について……  
                       
                       
                       
    208-14.                
     vihiṃsāvitakkaṃ ce, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, pahāsi avihiṃsāvitakkaṃ, vihiṃsāvitakkaṃ bahulamakāsi, tassa taṃ vihiṃsāvitakkāya cittaṃ namati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      vihiṃsā  vi-hiṃs ā 依(属) 害意、悩害  
      vitakkaṃ ce, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, pahāsi avihiṃsāvitakkaṃ, vihiṃsāvitakkaṃ bahulamakāsi, tassa taṃ vihiṃsāvitakkāya cittaṃ namati. (208-12.)  
      avihiṃsā  vi-hiṃs ā 依(属) 不害意  
    訳文                
     比丘たちよ、もし比丘が害意の尋思について多く随尋し、随伺して、不害意の尋思を捨て、害意の尋思を熱心になすならば、彼のその心は、害意の尋思へ傾きます。  
                       
                       
                       
    208-15.                
     Seyyathāpi, bhikkhave, vassānaṃ pacchime māse saradasamaye kiṭṭhasambādhe gopālako gāvo rakkheyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      vassānaṃ    a 男中 雨、安居、年  
      pacchime    a 後の、最後の  
      māse    a  
      sarada    a 依(属)  
      samaye  saṃ-i a  
      kiṭṭha    a 有(具) 稲田、穀物  
      sambādhe  saṃ-bādh? a 障碍、繁多  
      gopālako    a 牧牛者  
      gāvo    o  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      rakkheyya.  rakṣ まもる  
    訳文                
     たとえば比丘たちよ、雨期の終わりの月、農繁期たる秋の時分に、牧羊者が牛たちを守っているとしましょう。  
                       
                       
                       
    208-16.                
     So tā gāvo tato tato daṇḍena ākoṭeyya paṭikoṭeyya sannirundheyya sannivāreyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
          代的 それら、彼女ら  
      gāvo    o  
      tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      daṇḍena    a 鞭、杖  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ākoṭeyya  ā-kuṭ 打つ  
      paṭikoṭeyya  prati-kuṭ 反対に打つ  
      sannirundheyya  saṃ-ni-rudh 抑止する、妨害する  
      sannivāreyya.  saṃ-ni-vṛ 使 抑止する、防ぐ  
    訳文                
     彼はそれらの牛たちを、鞭で打ち、反対に打ち、妨害し、抑止することでしょう。  
    メモ                
     ・註を見るに、牛が他人の穀物を食べてしまうのを防ぐ、ということのようである。自由に動き回る牛が欲の尋思などであり、その結果起こるトラブルが自他の瞋害というアナロジーなのであろう。  
                       
                       
                       
    208-17.                
     Taṃ kissa hetu?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ    代的 それ  
      kissa    代的  
      hetu?  hi u 副対 因、原因、理由  
    訳文                
     それはなぜか。  
                       
                       
                       
    208-18.                
     Passati hi so, bhikkhave, gopālako tatonidānaṃ vadhaṃ vā bandhanaṃ vā jāniṃ vā garahaṃ vā.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Passati  paś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      hi    不変 じつに、なぜなら  
      so,    代的 それ、彼  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      gopālako    a 牧牛者  
      tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      nidānaṃ    a 副対 〜によりて  
      vadhaṃ    a 殺戮、殺害、死刑  
          不変 あるいは  
      bandhanaṃ  bandh a 捕縛、結縛  
          不変 あるいは  
      jāniṃ    i 損失、強奪、没収  
          不変 あるいは  
      garahaṃ  garh ā 呵責、叱責、非難  
      vā.    不変 あるいは  
    訳文                
     なぜなら彼は、それによるがゆえに、殺害を、捕縛を、没収を、あるいは非難を見るからです。  
                       
                       
                       
    208-19.                
     Evameva kho ahaṃ, bhikkhave, addasaṃ akusalānaṃ dhammānaṃ ādīnavaṃ okāraṃ saṃkilesaṃ, kusalānaṃ dhammānaṃ nekkhamme ānisaṃsaṃ vodānapakkhaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      addasaṃ  dṛś 見る  
      語根 品詞 語基 意味  
      akusalānaṃ    a 男中 不善の  
      dhammānaṃ  dhṛ a 男中  
      ādīnavaṃ    a 過患、患難、過失、危難  
      okāraṃ  ava-kṛ? a 罪悪、下卑、虚仮  
      saṃkilesaṃ,  saṃ-kriś a 雑染、雑穢、穢汚  
      kusalānaṃ    a 男中 善の  
      dhammānaṃ  dhṛ a 男中  
      nekkhamme  nis-kram a 出離  
      ānisaṃsaṃ    a 功徳、利益、勝利  
      vodāna  vi-ava-dā a 依(属) 浄明、清白  
      pakkhaṃ.   a 翼、側、半月、党  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにそのように私は、不善の諸法の危難、罪悪、雑染を、善なる諸法の出離における功徳を、清白の側面を見ました。  
                       
                       
                       
    209-1.                
     209. ‘‘Tassa mayhaṃ, bhikkhave, evaṃ appamattassa ātāpino pahitattassa viharato uppajjati nekkhammavitakko.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tassa mayhaṃ, bhikkhave, evaṃ appamattassa ātāpino pahitattassa viharato uppajjati nekkhammavitakko. (207-1.)  
      nekkhamma  ni-kram a 依(属) 出離、離欲  
    訳文                
     比丘たちよ、そのように、不放逸の、正勤の、自ら努める者として住するその私に、離欲の尋思が起こりました。  
                       
                       
                       
    209-2.                
     So evaṃ pajānāmi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      So evaṃ pajānāmi – (207-2.)  
    訳文                
     その私は、このように了知しました。  
                       
                       
                       
    209-3.                
     ‘uppanno kho me ayaṃ nekkhammavitakko.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘uppanno kho me ayaṃ nekkhammavitakko. (207-3.)  
      nekkhamma  ni-kram a 依(属) 出離、離欲  
    訳文                
     『私に、この離欲の尋思が発生した。  
                       
                       
                       
    209-4.                
     So ca kho nevattabyābādhāya saṃvattati, na parabyābādhāya saṃvattati, na ubhayabyābādhāya saṃvattati, paññāvuddhiko avighātapakkhiko nibbānasaṃvattaniko’.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So ca kho nevattabyābādhāya saṃvattati, na parabyābādhāya saṃvattati, na ubhayabyābādhāya saṃvattati, paññāvuddhiko avighātapakkhiko nibbānasaṃvattaniko’. (207-4.)  
      na    不変 ない  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      vuddhiko    a 増大の  
      avighāta    a 依(属) 悩害なき  
      nibbāna  nir-vā a 依(対) 涅槃  
    訳文                
     じつにそれは、自己の瞋害へ導かず、他者の瞋害へ導かず、両者の瞋害へ導かず、智慧を増大させ、悩害を伴わず、涅槃へ導くものである。  
                       
                       
                       
    209-5.                
     Rattiṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Rattiṃ    i 副対  
      ce    不変 もし、たとえ  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      naṃ,    代的 それ、彼  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anuvitakkeyyaṃ    能反 随尋する、思惟する  
      anuvicāreyyaṃ,  anu-vi-car 使 能反 思惟する、思考する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      tato    不変 それより、それゆえに、その後  
      nidānaṃ    a 副対 〜によりて  
      bhayaṃ  bhī a 男中 恐怖、怖畏  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samanupassāmi.  saṃ-anu-paś 見る、認める、みなす  
    訳文                
     もし、一晩それについて随尋し、随伺したならば、それによるがゆえに、私は恐れを見ないようになるであろう。  
    メモ                
     ・bhikkhaveとあるが、つぎのtiまでが釈尊の了知の内容であるとした方が自然に思われたため、ここでは省いて訳した。『パーリ』もそうしていると思われる。  
                       
                       
                       
    209-6.                
     Divasaṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Divasaṃ   a 副対 日中に  
      cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi. (209-5.)  
    訳文                
     もし、一昼それについて随尋し、随伺したならば、それによるがゆえに、私は恐れを見ないようになるであろう。  
                       
                       
                       
    209-7.                
     Rattindivaṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ratti    i  
      divaṃ    a 副対 日中に  
      Rattindivaṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi. (209-5.)  
    訳文                
     もし、一昼夜それについて随尋し、随伺したならば、それによるがゆえに、私は見ないようになるであろう。  
                       
                       
                       
    209-8.                
     Api ca kho me aticiraṃ anuvitakkayato anuvicārayato kāyo kilameyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      me    代的 属絶  
      aticiraṃ    不変 久しすぎる  
      anuvitakkayato    現分 ant 属絶 随尋する、思惟する  
      anuvicārayato  anu-vi-car 使 現分 ant 属絶 思惟する、思考する  
      kāyo    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      kilameyya.  klam 疲労する  
    訳文                
     しかし、あまりに長く随尋し、随伺したならば、私の身は疲労してしまうであろう。  
                       
                       
                       
    209-9.                
     Kāye kilante [kilamante (ka.)] cittaṃ ūhaññeyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāye    a 処絶  
      kilante  klam 現分 ant 処絶 疲労する  
      cittaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ūhaññeyya.  ud-han 受 乱れる、汚れる  
    訳文                
     身が疲労したならば、心が乱れてしまうであろう。  
                       
                       
                       
    209-10.                
     Ūhate citte ārā cittaṃ samādhimhāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ūhate  ud-han 過分 a 処絶 乱れた、汚れた  
      citte    a 処絶  
      ārā    不変 離れて、遠く  
      cittaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samādhimhā  saṃ-ā-dhā i 三昧、禅定  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     心が乱れたならば、心は三昧より遠ざかってしまう』と。  
                       
                       
                       
    209-11.                
     So kho ahaṃ, bhikkhave, ajjhattameva cittaṃ saṇṭhapemi sannisādemi ekodiṃ karomi [ekodi karomi (pī.)] samādahāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      ahaṃ,    代的  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      ajjhattam    a 内に、自己に  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      cittaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      saṇṭhapemi  saṃ-sthā 使 置く、立てる  
      sannisādemi  saṃ-ni-sad 使 静める  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekodiṃ    i 専一の、一点の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      karomi  kṛ なす  
      samādahāmi.  saṃ-ā-dhā 定める、〔心を〕統一する  
    訳文                
     比丘たちよ、そこで私は、まったく内なるものだけに心を住立させ、静め、専一をなし、統一しました。  
    メモ                
     ・脈絡の難しい一文である。註はso ahaṃ, bhikkhave, mā me cittaṃ samādhimhā dūre hotūti ajjhattameva cittaṃ saṇṭhapemi, gocarajjhatte ṭhapemīti attho. と述べているが、これも理解が難しい。ここではこれを「『比丘たちよ、そこで私は、我が心は三昧より遠ざかるべからじと、まったく内なるものだけに心を住立させ、行境による内なるものどもを除外しました』という意味である」と読んで、そのように訳した。つまり、外界の対象との直接的接触から生ずる欲などの尋思はさておいて、内的なそれ(記憶や抽象概念に由来するもの?)だけを随尋・随伺したと解したわけだが、これでよいかどうか。  
     ・sannisādemiannisīdemi の誤記あるいは異体と解した。  
                       
                       
                       
    209-12.                
     Taṃ kissa hetu?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ    代的 それ  
      kissa    代的  
      hetu?  hi u 副対 因、原因、理由  
    訳文                
     それはなぜか。  
                       
                       
                       
    209-13.                
     ‘Mā me cittaṃ ūhaññī’ti [ugghāṭīti (syā. ka.), ūhanīti (pī.)].  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Mā    不変 なかれ  
      me    代的  
      cittaṃ  cit a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ūhaññī’  ud-han 受 乱れる、汚れる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『私の心は乱れるなかれ』という〔思いのゆえに〕。  
                       
                       
                       
    210-1.                
     210. ‘‘Tassa mayhaṃ, bhikkhave, evaṃ appamattassa ātāpino pahitattassa viharato uppajjati abyāpādavitakko…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tassa mayhaṃ, bhikkhave, evaṃ appamattassa ātāpino pahitattassa viharato uppajjati abyāpādavitakko…pe… (209-1.)  
      abyāpāda  a-vi-ā-pad a 依(属) 無瞋恚  
    訳文                
     比丘たちよ、そのように、不放逸の、正勤の、自ら努める者として住するその私に、無瞋恚の尋思が起こりました……  
                       
                       
                       
    210-2.                
     uppajjati avihiṃsāvitakko.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      uppajjati  ud-pad 生ずる、起こる、発生する  
      語根 品詞 語基 意味  
      avihiṃsā  a-vi-hiṃs ā 依(属) 不悩害  
      vitakko.    a 尋、尋求、思惟、考察  
    訳文                
     不害意の尋思が起こりました。  
                       
                       
                       
    210-3.                
     So evaṃ pajānāmi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      So evaṃ pajānāmi – (207-2.)  
    訳文                
     その私は、このように了知しました。  
                       
                       
                       
    210-4.                
     ‘uppanno kho me ayaṃ avihiṃsāvitakko.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘uppanno kho me ayaṃ avihiṃsāvitakko. (207-3.)  
      avihiṃsā  ni-kram a 依(属) 出離、離欲  
    訳文                
     『私に、この不害意の尋思が発生した。  
                       
                       
                       
    210-5.                
     So ca kho nevattabyābādhāya saṃvattati, na parabyābādhāya saṃvattati, na ubhayabyābādhāya saṃvattati, paññāvuddhiko avighātapakkhiko nibbānasaṃvattaniko’.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So ca kho nevattabyābādhāya saṃvattati, na parabyābādhāya saṃvattati, na ubhayabyābādhāya saṃvattati, paññāvuddhiko avighātapakkhiko nibbānasaṃvattaniko’. (209-4.)  
    訳文                
     じつにそれは、自己の瞋害へ導かず、他者の瞋害へ導かず、両者の瞋害へ導かず、智慧を増大させ、悩害を伴わず、涅槃へ導くものである。  
                       
                       
                       
    210-6.                
     Rattiṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Rattiṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi. (209-5.)  
    訳文                
     もし、一晩それについて随尋し、随伺したならば、それによるがゆえに、私は恐れを見ないようになるであろう。  
                       
                       
                       
    210-7.                
     Divasaṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Divasaṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi. (209-6.)  
    訳文                
     もし、一昼それについて随尋し、随伺したならば、それによるがゆえに、私は恐れを見ないようになるであろう。  
                       
                       
                       
    210-8.                
     Rattindivaṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Rattindivaṃ cepi naṃ, bhikkhave, anuvitakkeyyaṃ anuvicāreyyaṃ, neva tatonidānaṃ bhayaṃ samanupassāmi. (209-7.)  
    訳文                
     もし、一昼夜それについて随尋し、随伺したならば、それによるがゆえに、私は見ないようになるであろう。  
                       
                       
                       
    210-9.                
     Api ca kho me aticiraṃ anuvitakkayato anuvicārayato kāyo kilameyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Api ca kho me aticiraṃ anuvitakkayato anuvicārayato kāyo kilameyya. (209-8.)  
    訳文                
     しかし、あまりに長く随尋し、随伺したならば、私の身は疲労してしまうであろう。  
                       
                       
                       
    210-10.                
     Kāye kilante cittaṃ ūhaññeyya.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāye kilante cittaṃ ūhaññeyya. (209-9.)  
    訳文                
     身が疲労したならば、心が乱れてしまうであろう。  
                       
                       
                       
    210-11.                
     Ūhate citte ārā cittaṃ samādhimhāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ūhate citte ārā cittaṃ samādhimhāti. (209-10.)  
    訳文                
     心が乱れたならば、心は三昧より遠ざかってしまう』と。  
                       
                       
                       
    210-12.                
     So kho ahaṃ, bhikkhave, ajjhattameva cittaṃ saṇṭhapemi, sannisādemi, ekodiṃ karomi samādahāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So kho ahaṃ, bhikkhave, ajjhattameva cittaṃ saṇṭhapemi, sannisādemi, ekodiṃ karomi samādahāmi. (209-11.)  
    訳文                
     比丘たちよ、そこで私は、まったく内なるものだけに心を住立させ、静め、専一をなし、統一しました。  
                       
                       
                       
    210-13.                
     Taṃ kissa hetu?   
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ kissa hetu? (209-12.)  
    訳文                
     それはなぜか。  
                       
                       
                       
    210-14.                
     ‘Mā me cittaṃ ūhaññī’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Mā me cittaṃ ūhaññī’ti. (209-13.)  
    訳文                
     『私の心は乱れるなかれ』という〔思いのゆえに〕。  
                       
                       
                       
    210-15.                
     ‘‘Yaññadeva, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, tathā tathā nati hoti cetaso.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Yaññadeva, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, tathā tathā nati hoti cetaso. (208-11.)  
    訳文                
     比丘たちよ、比丘がそれぞれについて熱心に随尋し、随伺するならば、それぞれそのとおりに心に傾向が生じます。  
                       
                       
                       
    210-16.                
     Nekkhammavitakkañce, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, pahāsi kāmavitakkaṃ, nekkhammavitakkaṃ bahulamakāsi, tassaṃ taṃ nekkhammavitakkāya cittaṃ namati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Nekkhammavitakkañce, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, pahāsi kāmavitakkaṃ, nekkhammavitakkaṃ bahulamakāsi, tassaṃ taṃ nekkhammavitakkāya cittaṃ namati. (208-12.)  
    訳文                
     比丘たちよ、もし比丘が離欲の尋思について多く随尋し、随伺して、欲の尋思を捨て、離欲の尋思を熱心になすならば、彼のその心は、離欲の尋思へ傾きます。  
    メモ                
     ・基本的には、nekkhammakāmaが入れ替わったのみ。ただ、tassaṃ tassaの誤記とみなした。  
                       
                       
                       
    210-17.                
     Abyāpādavitakkañce, bhikkhave…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Abyāpāda  a-vi-ā-pad a 依(属) 無瞋恚  
      vitakkañce, bhikkhave…pe… (208-13.)  
    訳文                
     比丘たちよ、瞋恚の尋思について……  
                       
                       
                       
    210-18.                
     avihiṃsāvitakkañce, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, pahāsi vihiṃsāvitakkaṃ, avihiṃsāvitakkaṃ bahulamakāsi, tassa taṃ avihiṃsāvitakkāya cittaṃ namati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      avihiṃsāvitakkañce, bhikkhave, bhikkhu bahulamanuvitakketi anuvicāreti, pahāsi vihiṃsāvitakkaṃ, avihiṃsāvitakkaṃ bahulamakāsi, tassa taṃ avihiṃsāvitakkāya cittaṃ namati. (208-14.)  
    訳文                
     比丘たちよ、もし比丘が害意の尋思について多く随尋し、随伺して、不害意の尋思を捨て、害意の尋思を熱心になすならば、彼のその心は、害意の尋思へ傾きます。  
                       
                       
                       
    210-19.                
     Seyyathāpi, bhikkhave, gimhānaṃ pacchime māse sabbasassesu gāmantasambhatesu gopālako gāvo rakkheyya, tassa rukkhamūlagatassa vā abbhokāsagatassa vā satikaraṇīyameva hoti –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Seyyathāpi, bhikkhave, gimhānaṃ pacchime māse sabbasassesu gāmantasambhatesu gopālako gāvo rakkheyya, (208-15.)  
      gimhānaṃ    a 夏、夏期、  
      sabba    名形 代的 すべて  
      sassesu    a 処絶 穀物、収穫  
      gāma    a 依(属)  
      anta    a 依(処) 終極、辺  
      sambhatesu  saṃ-bhṛ 過分 a 集められた  
      tassa    代的 属絶 それ、彼  
      rukkha    a 依(属)  
      mūla    a 依(対) 根、根本  
      gatassa  gam 過分 a 属絶 行った  
          不変 あるいは  
      abbhokāsa    a 依(対) 露地、屋外  
      gatassa  gam 過分 a