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     8. Vāseṭṭhasuttaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vāseṭṭha    a 依(属) 人名、ヴァーセッタ  
      suttaṃ  sīv a 経、糸  
    訳文                
     「ヴァーセッタ経」(『中部』98  
    メモ                
     ・本経は『経集』「大品」第九経に同じ。  
                       
                       
                       
    454-1.                
     454. Evaṃ me sutaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      me    代的  
      sutaṃ –  śru 名過分 a 聞かれた  
    訳文                
     私はこのように聞いた。  
                       
                       
                       
    454-2.                
     ekaṃ samayaṃ bhagavā icchānaṅgale [icchānaṅkale (sī. pī.)] viharati icchānaṅgalavanasaṇḍe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ekaṃ    代的 副対 一、とある  
      samayaṃ  saṃ-i a 副対  
      bhagavā    ant 世尊  
      icchānaṅgale    a 地名、イッチャーナンガラ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      icchānaṅgala  iṣ a 地名、イッチャーナンガラ  
      vana    a 依(属)  
      saṇḍe.    a 群、集 →密林  
    訳文                
     あるとき世尊はイッチャーナンガラのイッチャーナンガラ密林に住された。  
    メモ                
     ・「アンバッタ経」の舞台。  
                       
                       
                       
    454-3.                
     Tena kho pana samayena sambahulā abhiññātā abhiññātā brāhmaṇamahāsālā icchānaṅgale paṭivasanti, seyyathidaṃ –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 副具 それ、彼、それによって、それゆえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      samayena    a 副具  
      sambahulā    a 多くの  
      abhiññātā  abhi-jñā 過分 a 証知した、知解した、有名な  
      abhiññātā  abhi-jñā 過分 a 証知した、知解した、有名な  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      mahā    ant 有(持)  
      sālā    ā 女→男 堂、家 →大家、有名人  
      icchānaṅgale    a 地名、イッチャーナンガラ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭivasanti,  prati-vas 住む、居を構える  
      語根 品詞 語基 意味  
      seyyathidaṃ –    不変 それはこの如し、あたかも〜の如し  
    訳文                
     さてそのときイッチャーナンガラには、多くのおのおの高名な婆羅門の大家が居を構えていた。たとえば、  
    メモ                
     ・「三明経」にパラレル。  
                       
                       
                       
    454-4.                
     caṅkī brāhmaṇo, tārukkho brāhmaṇo, pokkharasāti brāhmaṇo, jāṇussoṇi [jāṇussoṇī (pī.), jāṇusoṇī (ka.)] brāhmaṇo, todeyyo brāhmaṇo, aññe ca abhiññātā abhiññātā brāhmaṇamahāsālā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      caṅkī    in 人名、チャンキン  
      brāhmaṇo,  bṛh a 婆羅門  
      tārukkho    a 人名、タールッカ  
      brāhmaṇo,  bṛh a 婆羅門  
      pokkharasāti    i 人名、ポッカラサーティ  
      brāhmaṇo,  bṛh a 婆羅門  
      jāṇussoṇi    i 人名、ジャーヌッソーニ  
      brāhmaṇo,  bṛh a 婆羅門  
      todeyyo    a 人名、トーデッヤ  
      brāhmaṇo,  bṛh a 婆羅門  
      aññe    代的  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      abhiññātā  abhi-jñā 過分 a 証知した、知解した、有名な  
      abhiññātā  abhi-jñā 過分 a 証知した、知解した、有名な  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      mahā    ant 有(持)  
      sālā.    ā 女→男 堂、家 →大家、有名人  
    訳文                
     チャンキン婆羅門、タールッカ婆羅門、ポッカラサーティ婆羅門、ジャーヌッソーニ婆羅門、トーデッヤ婆羅門、またその他のおのおの高名な婆羅門の大家たちである。  
                       
                       
                       
    454-5.                
     Atha kho vāseṭṭhabhāradvājānaṃ māṇavānaṃ jaṅghāvihāraṃ anucaṅkamantānaṃ anuvicarantānaṃ [anucaṅkamamānānaṃ anuvicaramānānaṃ (sī. pī.)] ayamantarākathā udapādi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      vāseṭṭha    a 人名、ヴァーセッタ  
      bhāradvājānaṃ    a 属絶 人名、バーラドヴァージャ  
      māṇavānaṃ    a 属絶 学童、青年、若い婆羅門  
      jaṅghā    ā 有(属) すね  
      vihāraṃ  vi-hṛ a 副対 住、住居、精舎、僧房 →脚住、歩行の状態  
      anucaṅkamantānaṃ  anu-kram 強 現分 a 属絶 遊歩、随歩、経行  
      anuvicarantānaṃ  anu-vi-car 現分 a 属絶 従い歩く、徘徊する、探し求める  
      ayam    代的 これ  
      antarā    不変 その間に、時々に  
      kathā    ā 話 →暫時の談話  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      udapādi –  ud-pad 起こる、発生する  
    訳文                
     ときにヴァーセッタとバーラドヴァージャの〔二〕青年が、徒歩で遊歩し散策しているとき、この談話が起こった。  
                       
                       
                       
    454-6.                
     ‘‘kathaṃ, bho, brāhmaṇo hotī’’ti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘kathaṃ,    不変 いかに、なぜに  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hotī’’  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti?    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「友よ、いかにすれば婆羅門であるのか」と。  
                       
                       
                       
    454-7.                
     Bhāradvājo māṇavo evamāha –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āha –  ah いう  
    訳文                
     バーラドヴァージャ青年はこのように言った。  
                       
                       
                       
    454-8.                
     ‘‘yato kho, bho, ubhato sujāto mātito ca pitito ca saṃsuddhagahaṇiko yāva sattamā pitāmahayugā akkhitto anupakkuṭṭho jātivādena –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば(yaの奪格)  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      ubhato    不変 両方より  
      sujāto  su-jan 過分 a 生まれよき  
      mātito    ar  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pitito    ar  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      saṃsuddha  saṃ-śudh a 有(持) 清浄の  
      gahaṇiko    a 血統  
      yāva    不変 〜だけ、〜まで、〜の限り  
      sattamā    a 第七  
      pitā    ar 依(属) 父、父祖  
      maha    ant  
      yugā  yuj a 年代、時代  
      akkhitto  a-kṣip 過分 a 捨てられない、混乱のない  
      anupakkuṭṭho  an-upa-kruś 過分 a 非難されない  
      jāti  jan i 依(属) 生まれ  
      vādena –  vad a 説、語、論  
    訳文                
     「友よ、およそ父方母方双方より生まれ良く、血統清浄であり、第七の父祖の代より、〔血筋の〕混乱がなく、出自論によって非難されることのないならば、  
                       
                       
                       
    454-9.                
     ettāvatā kho, bho, brāhmaṇo hotī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ettāvatā    不変 これだけ、この範囲で  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hotī’’  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     友よ、それだけをもって婆羅門となるのだ」  
                       
                       
                       
    454-10.                
     Vāseṭṭho māṇavo evamāha –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Vāseṭṭho    a 人名、ヴァーセッタ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āha –  ah いう  
    訳文                
     ヴァーセッタ青年はこのように言った。  
                       
                       
                       
    454-11.                
     ‘‘yato kho, bho, sīlavā ca hoti vattasampanno [vatasampanno (pī.)] ca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘yato    不変 そこから、〜なるが故に、何となれば(yaの奪格)  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bho,  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      sīlavā    ant 持戒の  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vatta  vṛt 名過分 a 依(具) 義務、儀法、徳行  
      sampanno  saṃ-pad 過分 a 具足した、成就した  
      ca –    不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     「友よ、およそ持戒者であり、徳行を具足する者であれば、  
                       
                       
                       
    454-12.                
     ettāvatā kho, bho, brāhmaṇo hotī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ettāvatā kho, bho, brāhmaṇo hotī’’ti. (454-9.)  
    訳文                
     友よ、それだけをもって婆羅門となるのだ」  
                       
                       
                       
    454-13.                
     Neva kho asakkhi bhāradvājo māṇavo vāseṭṭhaṃ māṇavaṃ saññāpetuṃ, na pana asakkhi vāseṭṭho māṇavo bhāradvājaṃ māṇavaṃ saññāpetuṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Na    不変 ない  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asakkhi  śak できる、可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      vāseṭṭhaṃ    a 人名、ヴァーセッタ  
      māṇavaṃ    a 学童、青年、若い婆羅門  
      saññāpetuṃ,  saṃ-jṅā 使 不定 知らせること、教えること、説得すること  
      na    不変 ない  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      asakkhi  同上  
      vāseṭṭho    a 人名、ヴァーセッタ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      bhāradvājaṃ    a 人名、バーラドヴァージャ  
      māṇavaṃ    a 学童、青年、若い婆羅門  
      saññāpetuṃ. 同上  
    訳文                
     じつに、バーラドヴァージャ青年はヴァーセッタ青年を説得することができす、またヴァーセッタ青年も、バーラドヴァージャ青年を説得することができなかった。  
                       
                       
                       
    454-14.                
     Atha kho vāseṭṭho māṇavo bhāradvājaṃ māṇavaṃ āmantesi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      vāseṭṭho    a 人名、ヴァーセッタ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      bhāradvājaṃ    a 人名、バーラドヴァージャ  
      māṇavaṃ    a 学童、青年、若い婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantesi –    呼びかける、話す、相談する  
    訳文                
     ときに、ヴァーセッタ青年はバーラドヴァージャ青年へ呼びかけた。  
                       
                       
                       
    454-15.                
     ‘‘ayaṃ kho, bho bhāradvāja, samaṇo gotamo sakyaputto sakyakulā pabbajito icchānaṅgale viharati icchānaṅgalavanasaṇḍe.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘ayaṃ    代的 これ  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      bhāradvāja,    a 人名、バーラドヴァージャ  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      sakya    a 依(属) 氏族名、サキャ、釈迦族  
      putto    a 息子  
      sakya    a 依(属) 氏族名、サキャ、釈迦族  
      kulā    a 家、良家  
      pabbajito  pra-vraj 名過分 a 出家した、遁世した  
      icchānaṅgale viharati icchānaṅgalavanasaṇḍe.  (454-2.)  
    訳文                
     「友、バーラドヴァージャよ、かの、釈迦族の〔王〕子であり、釈迦族の家より出家した沙門ゴータマが、イッチャーナンガラのイッチャーナンガラ密林に住されている。  
                       
                       
                       
    454-16.                
     Taṃ kho pana bhavantaṃ gotamaṃ evaṃ kalyāṇo kittisaddo abbhuggato –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ    代的 それ、彼、彼女  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhavantaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      kalyāṇo    a 善い  
      kitti    i, ī 依(属) 称讃、名声  
      saddo    a 音、声、語  
      abbhuggato –  abhi-ud-gam 過分 a あがる、昇る  
    訳文                
     しかるに、その尊者ゴータマへ、かくの如き善き称讃の声があがっている。  
                       
                       
                       
    454-17.                
     ‘itipi so bhagavā arahaṃ sammāsambuddho vijjācaraṇasampanno sugato lokavidū anuttaro purisadammasārathi satthā devamanussānaṃ buddho bhagavā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      so    代的 それ、彼  
      bhagavā    ant 世尊  
      arahaṃ  arh 名現分 ant 阿羅漢、応供  
      sammā    不変 正しい、正しく  
      sambuddho  saṃ-budh 名過分 a 等覚者  
      vijjā  vid ā 明、智、呪,陀羅尼、学術、魔術  
      caraṇa  car a 依(具) 行、行為、実践、徳行  
      sampanno  saṃ-pad 過分 a 具足した、成就した →明行足  
      sugato  su-gam 名過分 a よく行ったもの、善逝  
      loka    a 依(属) 世間、世界  
      vidū  vid ū 賢い、知者 →世間解  
      anuttaro    代的 この上ない、無上士  
      purisa    a 人、男  
      damma  dam 未分 a 依(属) ならされるべき  
      sārathi    i 御者 →調御丈夫  
      satthā  śās ar 師、先生  
      deva    a 天、神、王、陛下  
      manussānaṃ    a 人間 →天人師  
      buddho  budh 名過分 a 仏陀、覚者  
      bhagavā’    ant 世尊  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『このように、彼は世尊なり。応供、正等覚、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊なり』と。  
                       
                       
                       
    454-18.                
     Āyāma, bho bhāradvāja, yena samaṇo gotamo tenupasaṅkamissāma;   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Āyāma,  ā-yā 来る、近づく、「いざ行こう」  
      語根 品詞 語基 意味  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      bhāradvāja,    a 人名、バーラドヴァージャ  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamissāma;  upa-saṃ-kram 近づく  
    訳文                
     友、バーラドヴァージャよ、いざ我々は沙門ゴータマの下へ近づこう。  
                       
                       
                       
    454-19.                
     upasaṅkamitvā samaṇaṃ gotamaṃ etamatthaṃ pucchissāma.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      samaṇaṃ  śram a 沙門  
      gotamaṃ    a 人名、ゴータマ  
      etam    代的 男中 それ、彼、彼女、そのとき(副対)  
      atthaṃ    a 男中 義、利益、道理、意味、必要、裁判、営務  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pucchissāma.  prach 問う  
    訳文                
     近づいて、我らはこの義を沙門ゴータマに問うてみるとしよう。  
                       
                       
                       
    454-20.                
     Yathā no samaṇo gotamo byākarissati tathā naṃ dhāressāmā’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      no    代的 我々  
      samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      byākarissati  vi-ā-kṛ 解答する、授記する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tathā    不変 かく、その如く  
      naṃ    代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dhāressāmā’’  dhṛ 使 持たせる、保持する、憶持する、着る、与える  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     沙門ゴータマが我々に解答するその通りに、それを憶持することとしよう」と。  
                       
                       
                       
    454-21.                
     ‘‘Evaṃ, bho’’ti kho bhāradvājo māṇavo vāseṭṭhassa māṇavassa paccassosi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ,    不変 このように、かくの如き  
      bho’’  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      vāseṭṭhassa    a 人名、ヴァーセッタ  
      māṇavassa    a 学童、青年、若い婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paccassosi. prati-i 戻る、了解する、信じる、同意する  
    訳文                
     「そのように、友よ」と、じつにバーラドヴァージャ青年はヴァーセッタ青年へ同意した。  
                       
                       
                       
    455-1.                
     455. Atha kho vāseṭṭhabhāradvājā māṇavā yena bhagavā tenupasaṅkamiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      vāseṭṭha    a 人名、ヴァーセッタ  
      bhāradvājā    a 人名、バーラドヴァージャ  
      māṇavā    a 学童、青年、若い婆羅門  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamiṃsu;  upa-saṃ-kram 能反 近づいた  
    訳文                
     そこでヴァーセッタとバーラドヴァージャの〔二〕青年は世尊のもとへ近づいた。  
                       
                       
                       
    455-2.                
     upasaṅkamitvā bhagavatā saddhiṃ sammodiṃsu.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavatā    ant 世尊  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodiṃsu.  saṃ-mud 能反 喜ぶ、相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     近づいて、世尊とともに挨拶した。  
                       
                       
                       
    455-3.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdiṃsu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu.  ni-sad 能反 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わして、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    455-4.                
     Ekamantaṃ nisinno kho vāseṭṭho māṇavo bhagavantaṃ gāthāhi ajjhabhāsi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      vāseṭṭho    a 人名、ヴァーセッタ  
      māṇavo    a 学童、青年、若い婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      gāthāhi    ā  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ajjhabhāsi –  adhi-bhāṣ 話しかける、語る  
    訳文                
     一方へ坐ったヴァーセッタ婆羅門は、世尊へ諸偈をもって語りかけた。  
                       
                       
                       
    455-5.                
     ‘‘Anuññātapaṭiññātā, tevijjā mayamasmubho;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Anuññāta  anu-jñā 過分 a 許された、聴許された  
      paṭiññātā,  prati-jñā 過分 a 認められた、公言された  
      te    有(持)  
      vijjā  vid ā 女→男 明智、ヴェーダ  
      mayam    代的 私たち  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asma  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ubho;    両方  
    訳文                
     「♪我々は両者とも、聴許され、認められた三ヴェーダの保持者たちである。  
                       
                       
                       
    455-6.                
     Ahaṃ pokkharasātissa, tārukkhassāyaṃ māṇavo.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ahaṃ    代的  
      pokkharasātissa,    i 人名、ポッカラサーティ  
      tārukkhassa    a 人名、タールッカ  
      ayaṃ    代的 これ  
      māṇavo.    a 学童、青年、若い婆羅門  
    訳文                
     ♪私はポッカラサーティの、この青年はタールッカの〔弟子である〕。  
                       
                       
                       
    455-7.                
     ‘‘Tevijjānaṃ yadakkhātaṃ, tatra kevalinosmase;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Te    有(持)  
      vijjānaṃ  vid ā 女→男 明智、ヴェーダ  
      yad    代的 (関係代名詞)  
      akkhātaṃ,  ā-khyā 過分 a 話された  
      tatra    不変 そこで、そこに、そのとき、そのなかで  
      kevalino    in 独一の、完全な  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      asmase;  as ある、なる  
    訳文                
     ♪およそ三明智者たちの所説。それに関して我々は完全である。  
                       
                       
                       
    455-8.                
     Padakasmā veyyākaraṇā [no byākaraṇā (syā. kaṃ. ka.)], jappe ācariyasādisā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      Padakasmā    名形 a 男中 句の、詩句、詩句通暁者  
      veyyākaraṇā,    a 文法、文典家  
      jappe  jap a つぶやき、読誦  
      ācariya  ā-car a 依(属) 師、阿闍梨  
      sādisā;    名形 a 同様の、類似者  
    訳文                
     ♪詩句通暁者としても文典家としても、読誦に関して師と同等の者たちである。  
                       
                       
                       
    455-9.                
     Tesaṃ no jātivādasmiṃ, vivādo atthi gotama.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Tesaṃ    代的 それら、彼ら  
      no    代的 私たち  
      jāti  jan i 依(属) 生、誕生、生まれ、種類  
      vādasmiṃ,  vad a 説、語、論  
      vivādo  vi-vad a 諍い、口論  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      gotama.    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     ♪ゴータマよ、その我々に出生論に関して論争が起こった。  
                       
                       
                       
    455-10.                
     ‘‘Jātiyā brāhmaṇo hoti, bhāradvājo iti bhāsati;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Jātiyā  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti,  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhāradvājo    a 人名、バーラドヴァージャ  
      iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhāsati;  bhāṣ いう  
    訳文                
     ♪『生まれによって婆羅門となる』とバーラドヴァージャは言う。  
                       
                       
                       
    455-11.                
     Ahañca kammunā [kammanā (sī. pī.)] brūmi, evaṃ jānāhi cakkhuma.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ahañ    代的  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      kammunā  kṛ an 業、行為  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      brūmi,  brū 告げる、述べる  
      語根 品詞 語基 意味  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānāhi  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      cakkhuma.    ant 眼ある  
    訳文                
     ♪私は『行為によって』と言う。眼ある者よ、あなたはそのように知られよ。  
    メモ                
     ・cakkhumacakkhumāであるべきである。  
                       
                       
                       
    455-12.                
     ‘‘Te na sakkoma ñāpetuṃ [saññattuṃ (pī.), saññāpetuṃ (ka.)], aññamaññaṃ mayaṃ ubho;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Te    代的 それら、彼ら  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sakkoma  śak できる、可能である  
      語根 品詞 語基 意味  
      ñāpetuṃ,  jñā 使 不定 知らせること、告知すること  
      aññamaññaṃ    代的 副対 互いに  
      mayaṃ    代的 私たち  
      ubho;    両方  
    訳文                
     ♪その我々両者は互いに〔自説の正当性を〕知らしめることができなかった。  
                       
                       
                       
    455-13.                
     Bhavantaṃ puṭṭhumāgamā, sambuddhaṃ iti vissutaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Bhavantaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      puṭṭhum  prach 不定 問うため  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgamā,  ā-gam 来る  
      語根 品詞 語基 意味  
      sambuddhaṃ  saṃ-budh 名過分 a 等覚  
      iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      vissutaṃ.  vi-śru 過分 a 高名な  
    訳文                
     ♪等覚者と名高い尊者へ問うために我々はやって来た。  
    メモ                
     ・āgamāāgamhāが音韻の関係上変化したと解した。  
                       
                       
                       
    455-14.                
     ‘‘Candaṃ yathā khayātītaṃ, pecca pañjalikā janā;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Candaṃ    a  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      khaya  kṣī a 依(対) 滅尽  
      atītaṃ,  ati-i 過分 a 過ぎた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pecca  pra-i 過ぎ去って、死後に  
      語根 品詞 語基 意味  
      pañjalikā    a 合掌の  
      janā;    a  
    訳文                
     ♪合掌した人々は、満ちた月に向かうように、  
    メモ                
     ・Khayātītanとは「欠けた状態を過ぎた、満ちたという意味である」ūnabhāvaṃ atītaṃ, paripuṇṇanti attho. Peccāとは「近づいて」upagantvāであるという『註』に従ったがこれでよいものか。  
                       
                       
                       
    455-15.                
     Vandamānā namassanti, lokasmiṃ gotamaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vandamānā  vand 現分 a 尊敬する、礼拝する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      namassanti,  nam 礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      lokasmiṃ    a 世界、世間  
      gotamaṃ.    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     ♪世において世尊を尊敬し、礼拝する。  
                       
                       
                       
    455-16.                
     ‘‘Cakkhuṃ loke samuppannaṃ, mayaṃ pucchāma gotamaṃ;  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Cakkhuṃ    us  
      loke    a 世界、世間  
      samuppannaṃ,  saṃ-ud-pad 過分 a 起こった、生起した  
      mayaṃ    代的 私たち  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pucchāma  prach 問う  
      語根 品詞 語基 意味  
      gotamaṃ;    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
     ♪世にあって眼を生じたゴータマへ、我々は問う。  
                       
                       
                       
    455-17.                
     Jātiyā brāhmaṇo hoti, udāhu bhavati kammunā [kammanā (sī. pī.)];  
      語根 品詞 語基 意味  
      Jātiyā  jan i 生、誕生、生まれ、種類  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti,  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      udāhu    不変 あるいは、または、然らざれば  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavati  bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      kammunā;    an 業、行為  
    訳文                
     ♪生まれによって婆羅門となるのか、あるいは行為によってなるのか。  
                       
                       
                       
    455-18.                
     Ajānataṃ no pabrūhi, yathā jānemu brāhmaṇa’’nti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ajānataṃ  ā-jñā 現分 ant 無知な、知らない  
      no    代的 私たち  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pabrūhi,  pra-brū 説く  
      語根 品詞 語基 意味  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānemu  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      brāhmaṇa’’n  bṛh a 婆羅門、司祭  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     ♪無知な我々に説かれよ。そのとおりに我々は婆羅門について知るであろう」と。  
                       
                       
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