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     Mahāvijitarājayaññakathā  
      語根 品詞 語基 意味  
      Mahā    ant 有(持) 大、偉大  
      vijita  vi-ji 名過分 a 中→男 征服した、勝利の →人名、マハーヴィジタ  
      rāja    an 依(属)  
      yañña  yaj a 依(属) 供犠、祭式  
      kathā   ā 論、説、話、物語  
    訳文                
     【マハーヴィジタ王の供犠の話】  
    メモ                
     ・vijitaは領土、王国という中性名詞ともなる。人名Mahāvijitaとしてはむろん男性。有財釈が固有名詞化したと思われる。  
                       
                       
                       
    334-1.                
     334. Atha kho kūṭadanto brāhmaṇo mahatā brāhmaṇagaṇena saddhiṃ yena ambalaṭṭhikā yena bhagavā tenupasaṅkami, upasaṅkamitvā bhagavatā saddhiṃ sammodi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      kūṭadanto    a 人名、クータダンタ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      mahatā    ant 大、偉大  
      brāhmaṇa  bṛh a 依(属) 婆羅門  
      gaṇena    a 衆、群  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      ambalaṭṭhikā    ā 地名、アンバラッティカー  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upasaṅkami,  upa-saṃ-kram 近づいた  
      upasaṅkamitvā  upa-saṃ-kram 近づく  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhagavatā    ant 世尊  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodi.  saṃ-mud 喜ぶ、相喜ぶ、挨拶する  
    訳文                
     ときにクータダンタ婆羅門は、大婆羅門衆とともに、世尊のいるアンバラッティカーへ近づいた。近づいて、世尊とともに挨拶した。  
                       
                       
                       
    334-2.                
     Sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Sammodanīyaṃ  saṃ-mud 未分 a よろこばしい  
      kathaṃ    ā 話、説、論  
      sāraṇīyaṃ  saṃ-raj 未分 a 相慶慰すべき、喜ぶべき  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vītisāretvā  vi-ati-sṛ 使 交わす、交換する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdi.  ni-sad 坐る  
    訳文                
     喜ばしき慶賀の言葉を交わしてから、一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    334-3.                
     Khāṇumatakāpi kho brāhmaṇagahapatikā appekacce bhagavantaṃ abhivādetvā ekamantaṃ nisīdiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Khāṇumatakā    a カーヌマタ(地名)の  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      brāhmaṇa  bṛh a 婆羅門  
      gahapatikā    a 居士の、居士  
      api   不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ekacce    代的 一部の、一類の  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivādetvā  abhi-vad 使 敬礼する、礼拝する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu;  ni-sad 坐る  
    訳文                
     またカーヌマタの婆羅門や居士たちも、あるものたちは世尊へ礼拝して一方に坐った。  
                       
                       
                       
    334-4.                
     appekacce bhagavatā saddhiṃ sammodiṃsu, sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ nisīdiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      api   不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ekacce    代的 一部の、一類の  
      bhagavatā    ant 世尊  
      saddhiṃ    不変 共に、一緒に(具格支配)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sammodiṃsu,  saṃ-mud 喜ぶ、相喜ぶ、挨拶する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sammodanīyaṃ kathaṃ sāraṇīyaṃ vītisāretvā ekamantaṃ (334-2.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu;  ni-sad 坐る  
    訳文                
     またあるものたちは世尊と共に挨拶し、喜ばしき慶賀の言葉を交わしてから一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    334-5.                
     appekacce yena bhagavā tenañjaliṃ paṇāmetvā ekamantaṃ nisīdiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      api   不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ekacce    代的 一部の、一類の  
      yena    代的 (関係代名詞、〜tenaで「〜の所に」)  
      bhagavā    ant 世尊  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      añjaliṃ    i 合掌  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṇāmetvā  pra-nam 向ける、さし出す、閉じる、放逐する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu;  ni-sad 坐る  
    訳文                
     あるものたちは世尊のもとへ合掌を向けて一方に坐った。  
                       
                       
                       
    334-6.                
     appekacce nāmagottaṃ sāvetvā ekamantaṃ nisīdiṃsu;   
      語根 品詞 語基 意味  
      api   不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ekacce    代的 一部の、一類の  
      nāma    an  
      gottaṃ    a 氏、氏姓、種姓、家系  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sāvetvā  śru 使 聞かせる、告げる、述べる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu;  ni-sad 坐る  
    訳文                
     あるものたちは〔釈尊へ〕姓名を告げて一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    334-7.                
     appekacce tuṇhībhūtā ekamantaṃ nisīdiṃsu.  
      語根 品詞 語基 意味  
      api   不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ekacce    代的 一部の、一類の  
      tuṇhī    不変 沈黙して、黙って  
      bhūtā  bhū 過分 a あった  
      ekamantaṃ    不変 一方に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdiṃsu. ni-sad 坐る  
    訳文                
     あるものたちは黙って一方へ坐った。  
                       
                       
                       
    335-1.                
     335. Ekamantaṃ nisinno kho kūṭadanto brāhmaṇo bhagavantaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ekamantaṃ    不変 一方に  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      kūṭadanto    a 人名、クータダンタ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavantaṃ    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     じつに、一方へ坐ったクータダンタ婆羅門は、世尊へこういった。  
                       
                       
                       
    335-2.                
     ‘‘sutaṃ metaṃ, bho gotama –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘sutaṃ  śru 過分 a 聞かれた  
      me   代的  
      etaṃ,    代的 これ、彼、彼女  
      bho  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      gotama –    a 人名、ゴータマ  
    訳文                
      「尊者ゴータマよ、私は、こう聞いております。  
                       
                       
                       
    335-3.                
     ‘samaṇo gotamo tividhaṃ yaññasampadaṃ soḷasaparikkhāraṃ jānātī’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘samaṇo  śram a 沙門  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      ti    有(帯)  
      vidhaṃ    ā 種、種類  
      yañña  yaj a 依(属) 供犠、祭式  
      sampadaṃ  saṃ-pad ā 具足、成就、遂行、結果  
      soḷasa    有(帯) 十六  
      parikkhāraṃ    a 男→女 資具、資財、資助、必需品、祭法  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānātī’  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『沙門ゴータマは、三種の〔心得〕と十六の条件をそなえた供犠の成就を知る』と。  
                       
                       
                       
    335-4.                
     Na kho panāhaṃ jānāmi tividhaṃ yaññasampadaṃ soḷasaparikkhāraṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      ahaṃ    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      jānāmi  jñā 知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      tividhaṃ yaññasampadaṃ soḷasaparikkhāraṃ. (335-3.)  
    訳文                
     しかるに私は、三種の〔心得〕と十六の条件をそなえた供犠の成就を知りません。  
                       
                       
                       
    335-5.                
     Icchāmi cāhaṃ mahāyaññaṃ yajituṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Icchāmi  iṣ 欲する、求める  
      語根 品詞 語基 意味  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      ahaṃ    代的  
      mahā   ant 大、偉大  
      yaññaṃ  yaj a 供犠、祭式  
      yajituṃ.  yaj 不定 まつること、供養すること、犠牲とすること  
    訳文                
     しかし私は、大供犠祭をつとめることを望んでいます。  
                       
                       
                       
    335-6.                
     Sādhu me bhavaṃ gotamo tividhaṃ yaññasampadaṃ soḷasaparikkhāraṃ desetū’’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sādhu  sādh 不変 善哉、なにとぞ  
      me    代的  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      gotamo    a 人名、ゴータマ  
      tividhaṃ yaññasampadaṃ soḷasaparikkhāraṃ. (335-3.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      desetū’’  diś 示す、指示する、教示する、俄悔する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     なにとぞ、私のため、尊者ゴータマは三種の〔心得〕と十六の条件をそなえた供犠の成就をご教示ください」と。  
                       
                       
                       
    336-1.                
     336. ‘‘Tena hi, brāhmaṇa, suṇāhi sādhukaṃ manasikarohi, bhāsissāmī’’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      hi,    不変 じつに、なぜなら →しからば  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      suṇāhi  śru 聞く  
      語根 品詞 語基 意味  
      sādhukaṃ    a 副対 よい、十分に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      manasikarohi,  man, kṛ 注意する、作意する  
      bhāsissāmī’’  bhāṣ 話す、語る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     「では婆羅門よ、よく注意してお聞きなさい。私は、語ることにしましょう」  
                       
                       
                       
    336-2.                
     ‘‘Evaṃ, bho’’ti kho kūṭadanto brāhmaṇo bhagavato paccassosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ,    不変 このように、かくの如き  
      bho’’  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      kūṭadanto    a 人名、クータダンタ  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      bhagavato    ant 世尊  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paccassosi.  prati-śru 同意する、応諾する、応える  
    訳文                
     「尊者よ、そのように」と、クータダンタ婆羅門は世尊へ応えた。  
                       
                       
                       
    336-3.                
     Bhagavā etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Bhagavā    ant 世尊  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     世尊はこう仰った。  
                       
                       
                       
    336-4.                
     ‘‘bhūtapubbaṃ, brāhmaṇa, rājā mahāvijito nāma ahosi aḍḍho mahaddhano mahābhogo pahūtajātarūparajato pahūtavittūpakaraṇo pahūtadhanadhañño paripuṇṇakosakoṭṭhāgāro.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘bhūta  bhū 過分 a 存在した  
      pubbaṃ,    代的 副対 過去の →往昔  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      rājā    an  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      nāma    an 副対 と、という名の、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi  bhū ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      aḍḍho    a 富んだ  
      maha    ant 有(持)  
      dhano    a 中→男 財、財産、財宝  
      mahā    ant 有(持)  
      bhogo  bhuj a 受用、財、富、俸禄  
      pahūta  pra-bhū 過分 a 有(持) 多くの、広大の、広長の  
      jāta  jan 過分 a 生じた  
      rūpa    a 色、物質、肉体 →金  
      rajato    a 中→男  
      pahūta  pra-bhū 過分 a 有(持) 多くの、広大の、広長の  
      vitta  vid 名形 a 依(属) 財産、富、喜んだ、幸福な  
      upakaraṇo  upa-kṛ a 中→男 利益、資助、資具  
      pahūta  pra-bhū 過分 a 有(持) 多くの、広大の、広長の  
      dhana    a 財、財産、財宝  
      dhañño    a 中→男 穀物  
      paripuṇṇa  pari-pṝ 過分 a 有(持) 円満した、充満した、完全な  
      kosa   a 男中 蔵庫、宝庫、箱、繭、包むもの  
      koṭṭha    a 男中 依(属) 庫、穀倉、穴蔵、房、腹部  
      āgāro.    a 中→男 家、舎、家屋、俗家  
    訳文                
     「婆羅門よ、その昔、マハーヴィジタという名の、富者、大財者、大享受者であり、多大な金銀、多くの富の利益、莫大な財と穀物、充満した宝庫と穀倉を持つ王がおりました。  
                       
                       
                       
    336-5.                
     Atha kho, brāhmaṇa, rañño mahāvijitassa rahogatassa paṭisallīnassa evaṃ cetaso parivitakko udapādi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      rañño    an  
      mahāvijitassa    a 人名、マハーヴィジタ  
      raho    as 依(対) 静処、独処、秘密  
      gatassa  gam 過分 a いった、関係した →独処した、寂静処、孤坐、独坐の  
      paṭisallīnassa  prati-saṃ-lī a 宴坐、宴黙、独坐、独想、禅思  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      cetaso  cit as  
      parivitakko  pari-vi-tark 名過分 a 中(男) 審慮した、尋求した、審慮、遍尋  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      udapādi –  ud-pad 起こる、生ずる、発生する  
    訳文                
     婆羅門よ、ときに、独り坐って黙想していたマハーヴィジタ王の心に、このような思慮が生じました。  
                       
                       
                       
    336-6.                
     ‘adhigatā kho me vipulā mānusakā bhogā, mahantaṃ pathavimaṇḍalaṃ abhivijiya ajjhāvasāmi, yaṃnūnāhaṃ mahāyaññaṃ yajeyyaṃ, yaṃ mama assa dīgharattaṃ hitāya sukhāyā’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘adhigatā  adhi-gam 過分 a 到達された、証得された  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      me    代的  
      vipulā    a 広大の  
      mānusakā    a 人の、人類  
      bhogā,  bhuj a 受用、財、富、俸禄  
      mahantaṃ    ant  
      pathavi    ī 依(属)  
      maṇḍalaṃ    a 曼陀羅、円  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivijiya  abhi-vi-ji 征服する  
      ajjhāvasāmi,  adhi-ā-vas 住する、忍住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      nūna    不変 たしかに →〜したらいかに、〜しよう  
      ahaṃ    代的  
      mahā    ant 大、偉大  
      yaññaṃ  yaj a 供犠、祭式  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      yajeyyaṃ,  yaj 能反 まつる、供養する、犠牲とする  
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ    代的 (関係代名詞)  
      mama    代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assa  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      dīgha    a 長い  
      rattaṃ    ā 副対 夜 →長夜に、長時に  
      hitāya    名過分 a 有益な、利益  
      sukhāyā’    名形 a  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『じつに私によって、数々の人間の〔獲得しうる〕享受は到達された。私は大地一円を征服して住している。私は大供犠祭をつとめることとしよう。それは、この私にとって長きにわたる利益と安楽のためとなろう』と。  
    メモ                
     ・hitāya sukhāyāはあるいは「有益な安楽」とすべきか。  
                       
                       
                       
    337-1.                
     337. ‘‘Atha kho, brāhmaṇa, rājā mahāvijito purohitaṃ brāhmaṇaṃ āmantetvā etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Atha    不変 ときに、また、そこに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      rājā    an  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      purohitaṃ    a 輔相、帝師、司祭  
      brāhmaṇaṃ  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āmantetvā    呼びかける、話す、相談する  
      語根 品詞 語基 意味  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     婆羅門よ、そこでマハーヴィジタ王は、顧問の婆羅門へ呼びかけて、こういいました。  
                       
                       
                       
    337-2.                
     ‘idha mayhaṃ, brāhmaṇa, rahogatassa paṭisallīnassa evaṃ cetaso parivitakko udapādi –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘idha    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      mayhaṃ,    代的  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      rahogatassa paṭisallīnassa evaṃ cetaso parivitakko udapādi – (336-5.)  
    訳文                
     『婆羅門よ、ここで、独り坐って黙想していた私の心に、このような思慮が生じた。  
                       
                       
                       
    337-3.                
     adhigatā kho me vipulā mānusakā bhogā, mahantaṃ pathavimaṇḍalaṃ abhivijiya ajjhāvasāmi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      adhigatā kho me vipulā mānusakā bhogā, mahantaṃ pathavimaṇḍalaṃ abhivijiya ajjhāvasāmi. (336-6.)  
    訳文                
     じつに私によって、数々の人間の〔獲得しうる〕享受は到達された。私は大地一円を征服して住している。  
                       
                       
                       
    337-4.                
     Yaṃnūnāhaṃ mahāyaññaṃ yajeyyaṃ yaṃ mama assa dīgharattaṃ hitāya sukhāyā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Yaṃnūnāhaṃ mahāyaññaṃ yajeyyaṃ yaṃ mama assa dīgharattaṃ hitāya sukhāyā’ti.  (336-6.)  
    訳文                
     私は大供犠祭をつとめることとしよう。それは、この私にとって長きにわたる利益と安楽のためとなろうと。  
                       
                       
                       
    337-5                
     Icchāmahaṃ, brāhmaṇa, mahāyaññaṃ yajituṃ.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Icchāmi  iṣ 欲する、求める  
      語根 品詞 語基 意味  
      ahaṃ,    代的  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      mahā   ant 大、偉大  
      yaññaṃ  yaj a 供犠、祭式  
      yajituṃ.  yaj 不定 まつること、供養すること、犠牲とすること  
    訳文                
     婆羅門よ、私は、大供犠祭をつとめることを望んでいる。  
                       
                       
                       
    337-6.                
     Anusāsatu maṃ bhavaṃ yaṃ mama assa dīgharattaṃ hitāya sukhāyā’’’ti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Anusāsatu  anu-śās 教訓する、訓戒する  
      語根 品詞 語基 意味  
      maṃ    代的  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      yaṃ mama assa dīgharattaṃ hitāya sukhāyā’’’ti. (336-6.)  
    訳文                
     尊者よ、私へ、この私にとって長きにわたる利益と安楽のためとなるようなそれ(供犠)を教え給え』と。  
                       
                       
                       
    338-1.                
     338. ‘‘Evaṃ vutte, brāhmaṇa, purohito brāhmaṇo rājānaṃ mahāvijitaṃ etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      vutte,  vac 過分 a 男中 いわれた  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      purohito    a 輔相、帝師、司祭  
      brāhmaṇo  bṛh a 婆羅門  
      rājānaṃ    an  
      mahāvijitaṃ    a 人名、マハーヴィジタ  
      etad    代的 これ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      avoca –  vac いう  
    訳文                
     婆羅門よ、このようにいわれた顧問の婆羅門はマハーヴィジタ王へこういった。  
                       
                       
                       
    338-2.                
     ‘bhoto kho rañño janapado sakaṇṭako sauppīḷo, gāmaghātāpi dissanti, nigamaghātāpi dissanti, nagaraghātāpi dissanti, panthaduhanāpi dissanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘bhoto  bhū 名現分 ant(特) 尊、尊師、尊者、勝存者  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      rañño    an  
      janapado    a 地方、国、国土、田舎  
      sakaṇṭako    a とげのある、危険な  
      sauppīḷo,  sa-ud-pīd a 圧迫ある  
      gāma    a 依(属) 村、村落  
      ghātā  han a 殺害、破壊  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      dissanti,  dṛś 受 みられる  
      語根 品詞 語基 意味  
      nigama    a 依(属)  
      ghātā  han a 殺害、破壊  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      dissanti,  同上  
      nagara    a 依(属) 城、市、都市  
      ghātā  han a 殺害、破壊  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      dissanti,  同上  
      pantha   an 依(処) 路、道、道路  
      duhanā    a () 略奪  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      dissanti.  同上  
    訳文                
     『じつに、尊き王の国土は、危難があり、抑圧があります。村の破壊、町の破壊、都市の破壊、また道における略奪が見受けられます。  
                       
                       
                       
    338-3.                
     Bhavaṃ kho pana rājā evaṃ sakaṇṭake janapade sauppīḷe balimuddhareyya, akiccakārī assa tena bhavaṃ rājā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      rājā    an  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      sakaṇṭake    a とげのある、危険な  
      janapade    a 地方、国、国土、田舎  
      sauppīḷe  sa-ud-pīd a 圧迫ある  
      balim   i 犠牲、供祭、供養、租税、供物  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      uddhareyya,  ud-dhṛ 揚げる、上げる、取り除く、引き抜く  
      語根 品詞 語基 意味  
      akiccakārī  a-kṛ-kṛ in なすべきをなさぬ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assa  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      rājā.    an  
    訳文                
     しかるに、尊き王がこのように危難と抑圧ある国土において〔大供犠祭のための〕租税を取り立てるならば、それによって尊き王は道義をなさぬものとなりましょう。  
    メモ                
     ・供犠祭の前にやるべき事があるはずだ、という助言と解し、補訳した。  
                       
                       
                       
    338-4.                
     Siyā kho pana bhoto rañño evamassa –   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      Siyā  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhoto  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      rañño    an  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assa –  as ある、なる  
    訳文                
     しかして、尊き王には、このような〔思い〕があるかもしれません。  
    メモ                
     ・asの願望法が二つあるのは、いかなる構文か。  
                       
                       
                       
    338-5.                
     ‘‘ahametaṃ dassukhīlaṃ vadhena vā bandhena vā jāniyā vā garahāya vā pabbājanāya vā samūhanissāmī’’ti, na kho panetassa dassukhīlassa evaṃ sammā samugghāto hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘aham    代的  
      etaṃ    代的 これ  
      dassu   u 依(具)  
      khīlaṃ    a 標柱、柱、杭 →賊難  
      vadhena  vadh a 殺戮、殺害、死刑  
          不変 あるいは  
      bandhena  bandh a 束縛、捕縛  
          不変 あるいは  
      jāniyā  i 損失、強奪、没収  
          不変 あるいは  
      garahāya  garh ā 呵責、叱責、非難  
          不変 あるいは  
      pabbājanāya  pra-vraj 使 a () 追放、流罪  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      samūhanissāmī’’  saṃ-ud-han 除去する、根絶する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti,    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      na    不変 ない  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      etassa    代的 これ  
      dassu   u 依(具)  
      khīlassa    a 標柱、柱、杭 →賊難  
      evaṃ    不変 このように、かくの如き  
      sammā    不変 正しい、正しく  
      samugghāto  saṃ-ud-han a 根絶、断絶、除去  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti.  bhū ある、存在する  
    訳文                
     私はこの賊難を、死刑、捕縛、叱責、あるいは追放によって根絶しようと。しかしそのようでは、かの賊難の正しき根絶とはなりません。  
    メモ                
     ・pabbājanaは中性名詞だが、ここでは女性化したpabbājanāの具格ととらないとおかしいのでそのようにしたが、なぜそうなるか不明。  
                       
                       
                       
    338-6.                
     Ye te hatāvasesakā bhavissanti, te pacchā rañño janapadaṃ viheṭhessanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye    代的 (関係代名詞)  
      te    代的 あなた  
      hata  han 過分 a 依(奪) 殺害された、破壊された  
      avasesakā    a 残余 →生き残ったもの  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissanti,  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      te    代的 それら、彼ら  
      pacchā    不変 のちに  
      rañño    an  
      janapadaṃ    a 地方、国、国土、田舎  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viheṭhessanti.  vi-hīḍ, heḷ 害する、悩ます、困らせる  
    訳文                
     あなた〔の追及〕から生き残るものたちがあって、彼らは後に、王の国土を害することでしょう。  
    メモ                
     ・はじめのteを「あなた」の意味でとったが、「彼ら」とすべきであろうか。  
                       
                       
                       
    338-7.                
     Api ca kho idaṃ saṃvidhānaṃ āgamma evametassa dassukhīlassa sammā samugghāto hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Api    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      idaṃ    代的 これ  
      saṃvidhānaṃ  saṃ-vi-dhā a 準備、整備、配置、布置  
      āgamma  ā-gam 不変 よって(連続体の副詞化したもの)  
      evametassa dassukhīlassa sammā samugghāto hoti. (338-5.)  
    訳文                
     しかるに、この処置によって、そのように、かの賊難が正しく根絶されましょう。  
    メモ                
     ・338-5.とはevamの位置が異なる。  
                       
                       
                       
    338-8.                
     Tena hi bhavaṃ rājā ye bhoto rañño janapade ussahanti kasigorakkhe, tesaṃ bhavaṃ rājā bījabhattaṃ anuppadetu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tena    代的 それ、彼、それによって、それゆえ  
      hi    不変 じつに、なぜなら →しからば  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      rājā    an  
      ye    代的 (関係代名詞)  
      bhoto  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      rañño    an  
      janapade    a 地方、国、国土、田舎  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ussahanti  ud-sah できる、適する、あえてする  
      語根 品詞 語基 意味  
      kasi   i, ī 農耕  
      go   o 依(属)  
      rakkhe,  rakṣ 名形 a 守護、まもり →牧畜  
      tesaṃ    代的 それら、彼ら  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      rājā    an  
      bīja    a  
      bhattaṃ  bhaj 名過分 a 食、食事  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anuppadetu.  anu-ud-pad 使 与える、賞賜する  
    訳文                
     しからば尊き王よ、〔賊のうち〕王の国土において農耕・牧畜に適したものたち、尊き王は彼らのため、種と食事を与えられよ。  
    メモ                
     ・頭ごなしに処罰するのでなく、賊にも適性に応じた職を与えて馴致せよという趣旨として補訳した(それは、338-11.の記述からしても妥当な解釈と思われる)。  
     ・諸訳はussahanti を「励む」とするが、ここでは水野辞書のいう「適する」とした。PTS辞書にはventureともあるので、「挑む」でもよいかもしれない。  
                       
                       
                       
    338-9.                
     Ye bhoto rañño janapade ussahanti vāṇijjāya, tesaṃ bhavaṃ rājā pābhataṃ anuppadetu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye bhoto rañño janapade ussahanti (338-8.)  
      vāṇijjāya,    ā 商業  
      tesaṃ    代的 それら、彼ら  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      rājā    an  
      pābhataṃ  pra-ā-bhṛ 過分 a 男中 持ち来った、贈物、資財、金銭  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anuppadetu.  anu-ud-pad 使 与える、賞賜する  
    訳文                
     〔賊のうち〕王の国土において商業に適したものたち、尊き王は彼らのため、資金を与えられよ。  
                       
                       
                       
    338-10.                
     Ye bhoto rañño janapade ussahanti rājaporise, tesaṃ bhavaṃ rājā bhattavetanaṃ pakappetu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye bhoto rañño janapade ussahanti (338-8.)  
      rāja    an 依(属)  
      porise,    a 雇い人、奉仕、仕事 →王事、王臣  
      tesaṃ    代的 それら、彼ら  
      bhavaṃ  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      rājā    an  
      bhatta  bhaj 名過分 a 食、食事  
      vetanaṃ    a 賃金  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pakappetu.  pra-kḷp 使 企てる、整備する、分別する  
    訳文                
     〔賊のうち〕王の国土において王の奉公人に適したものたち、尊き王は彼らのため、食事と賃金を支度されよ。  
                       
                       
                       
    338-11.                
     Te ca manussā sakammapasutā rañño janapadaṃ na viheṭhessanti;   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te    代的 それら、彼ら  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      manussā    a 人、人間  
      sakamma   a 依(処) 己が職業  
      pasutā  pra-sā 過分 a 熱中した、追及した、執心した  
      rañño    an  
      janapadaṃ    a 地方、国、国土、田舎  
      na    不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viheṭhessanti;  vi-hīḍ, heḷ 害する、悩ます、困らせる  
    訳文                
     かれら、己が仕事に集中する人間というものは、王の国土を害したりはしないものです。  
                       
                       
                       
    338-12.                
     mahā ca rañño rāsiko bhavissati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      mahā    ant  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      rañño    an  
      rāsiko    a 財の蓄積  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavissati.  bhū ある、存在する  
    訳文                
     〔このようにすれば〕王には大きな財の蓄積がもたらされることでしょう。  
                       
                       
                       
    338-13.                
     Khemaṭṭhitā janapadā akaṇṭakā anuppīḷā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Khema   名形 a 依(処) 安穏、平穏  
      ṭhitā  sthā  過分 a 住立した  
      janapadā    a 地方、国、国土、田舎  
      akaṇṭakā    a 危険なき  
      anuppīḷā.  an-ud-pīd a 圧迫なき  
    訳文                
     国土は平穏がたもたれ、危難なく、抑圧ないものと〔なりましょう〕。  
                       
                       
                       
    338-14.                
     Manussā mudā modamānā ure putte naccentā apārutagharā maññe viharissantī’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Manussā    a 人、人間  
      mudā  mud ā 依(具) 喜び、喜悦  
      modamānā  mud 現分 a 喜ぶ、喜悦する  
      ure    as  
      putte    a 子供  
      naccentā  nṛt 使 現分 a 踊らせる  
      apāruta a-pra-vṛ 過分 a 有(持) 被われない、開いた  
      gharā    a 中→男  
      maññe  man 不変 私思うに、確かに、(現在形一人称単数の副詞化)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharissantī’  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     人々は確かに、喜びに喜悦して、胸に子供たちを踊らせ、開かれた家にあって暮らすことでしょう』と。  
                       
                       
                       
    338-15.                
     ‘Evaṃ, bho’ti kho, brāhmaṇa, rājā mahāvijito purohitassa brāhmaṇassa paṭissutvā ye rañño janapade ussahiṃsu kasigorakkhe, tesaṃ rājā mahāvijito bījabhattaṃ anuppadāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Evaṃ,    不変 このように、かくの如き  
      bho’  bhū 名現分 ant(特) 尊者よ、君よ、友よ、ああ、おお  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      brāhmaṇa,  bṛh a 婆羅門  
      rājā    an  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      purohitassa    a 輔相、帝師、司祭  
      brāhmaṇassa  bṛh a 婆羅門  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṭissutvā  prati-śru 同意する、応諾する、答える  
      語根 品詞 語基 意味  
      ye    代的 (関係代名詞)  
      rañño    an  
      janapade    a 地方、国、国土、田舎  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ussahiṃsu  ud-sah 能反 できる、適する、あえてする  
      語根 品詞 語基 意味  
      kasi   i, ī 農耕  
      go   o 依(属)  
      rakkhe,  rakṣ 名形 a 守護、まもり →牧畜  
      tesaṃ    代的 それら、彼ら  
      rājā    an  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      bīja    a  
      bhattaṃ  bhaj 名過分 a 食、食事  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anuppadāsi.  anu-ud-pad 使 与える、賞賜する  
    訳文                
     じつに婆羅門よ、マハーヴィジタ王は『尊者よ、そのように』と顧問の婆羅門へ応じました。〔それから〕マハーヴィジタ王は、〔賊のうち〕王の国土において農耕・牧畜に適したものたち、彼らのために種と食事を与えました。  
    メモ                
     ・「マハーヴィジタ王は」という主語が二つあるため、連続体でつながった文を二つに分けて訳した。  
                       
                       
                       
    338-16.                
     Ye ca rañño janapade ussahiṃsu vāṇijjāya, tesaṃ rājā mahāvijito pābhataṃ anuppadāsi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      rañño    an  
      janapade    a 地方、国、国土、田舎  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ussahiṃsu  ud-sah 能反 できる、適する、あえてする  
      語根 品詞 語基 意味  
      vāṇijjāya,    ā 商業  
      tesaṃ    代的 それら、彼ら  
      rājā    an  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      pābhataṃ  pra-ā-bhṛ 過分 a 男中 持ち来った、贈物、資財、金銭  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anuppadāsi.  anu-ud-pad 使 与える、賞賜する  
    訳文                
     またマハーヴィジタ王は、〔賊のうち〕王の国土において商業に適したものたち、彼らのために資金を与えました。  
                       
                       
                       
    338-17.                
     Ye ca rañño janapade ussahiṃsu rājaporise, tesaṃ rājā mahāvijito bhattavetanaṃ pakappesi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye    代的 (関係代名詞)  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      rañño    an  
      janapade    a 地方、国、国土、田舎  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ussahiṃsu  ud-sah 能反 できる、適する、あえてする  
      語根 品詞 語基 意味  
      rāja   an 依(属)  
      porise,    a 雇い人、奉仕、仕事 →王事、王臣  
      tesaṃ    代的 それら、彼ら  
      rājā    an  
      mahāvijito    a 人名、マハーヴィジタ  
      bhatta  bhaj 名過分 a 食、食事  
      vetanaṃ    a 賃金  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pakappesi.  pra-kḷp 使 企てる、整備する、分別する  
    訳文                
     またマハーヴィジタ王は、〔賊のうち〕王の国土において王の奉公人に適したものたち、彼らのために食事と賃金を支度しました。  
                       
                       
                       
    338-18.                
     Te ca manussā sakammapasutā rañño janapadaṃ na viheṭhiṃsu, mahā ca rañño rāsiko ahosi.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Te ca manussā sakammapasutā rañño janapadaṃ na (338-11.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viheṭhiṃsu,  vi-hīḍ, heḷ 能反 害する、悩ます、困らせる  
      語根 品詞 語基 意味  
      mahā ca rañño rāsiko (338-12.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosi.  bhū ある、存在する  
    訳文                
     かれら、己が仕事に集中する人々は、王の国土を害さなくなり、王には大きな財の蓄積がもたらされました。  
                       
                       
                       
    338-19.                
     Khemaṭṭhitā janapadā akaṇṭakā anuppīḷā manussā mudā modamānā ure putte naccentā apārutagharā maññe vihariṃsu.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Khemaṭṭhitā janapadā akaṇṭakā anuppīḷā (338-13.)  
      manussā mudā modamānā ure putte naccentā apārutagharā maññe (338-14.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vihariṃsu.  vi-hṛ 能反 住する  
    訳文                
     国土は平穏がたもたれ、危難なく、抑圧ないものとなり、人々は確かに、喜びに喜悦して、胸に子供たちを踊らせ、開かれた家にあって暮らしました。  
                       
                       
                       
    338-20.                
     Atha kho, brāhmaṇa, rājā mahāvijito purohitaṃ brāhmaṇaṃ āmantetvā etadavoca –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Atha kho, brāhmaṇa, rājā mahāvijito purohitaṃ brāhmaṇaṃ āmantetvā etadavoca – (337-1.)  
    訳文                
     婆羅門よ、そこでマハーヴィジタ王は、顧問の婆羅門へ呼びかけて、こういいました。  
                       
                       
                       
    338-21.                
     ‘samūhato kho me bhoto dassukhīlo, bhoto saṃvidhānaṃ āgamma mahā ca me rāsiko.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘samūhato  saṃ-ud-han 過分 a 除去された、根絶された  
      kho    不変 じつに、たしかに  
      me    代的  
      bhoto  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      dassu   u 依(具)  
      khīlo,    a 標柱、柱、杭 →賊難  
      bhoto  bhū 名現分 ant(特) 尊師、尊者  
      saṃvidhānaṃ  saṃ-vi-dhā a 準備、整備、配置、布置  
      āgamma  ā-gam 不変 よって(連続体の副詞化したもの)  
      mahā    ant  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      me    代的  
      rāsiko.    a 財の蓄積  
    訳文                
     『じつに、尊者の〔おかげで〕私の賊難は根絶され、尊者の処置によって、私には大きな財の蓄積がもたらされた。  
    メモ                
     ・一番目のbhotoについて『南伝』は対応語を出さない。ここでは『原始』、『パーリ』が「あなた(そなた)のおかげで」とするのにならい、補訳の形とした(あるいはbhoto自体にこのような意味があるのであろうか)。bhoの誤記として「尊者よ」とするか、形容詞としてmeにかけ「尊き私」とするか、saṃvidhānaṃ āgammaが脱落したとみて「尊者の〔処置によって〕」と補訳するなどの可能性も想定できる。  
                       
                       
                       
    338-22.                
     Khemaṭṭhitā janapadā akaṇṭakā anuppīḷā manussā mudā modamānā ure putte naccentā apārutagharā maññe viharanti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Khemaṭṭhitā janapadā akaṇṭakā anuppīḷā (338-13.)  
      manussā mudā modamānā ure putte naccentā apārutagharā maññe (338-14.)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharanti.  vi-hṛ 住する  
    訳文                
     国土は平穏がたもたれ、危難なく、抑圧ないものとなり、人々は確かに、喜びに喜悦して、胸に子供たちを踊らせ、開かれた家にあって暮らしている。  
                       
                       
                       
    338-23.                
     Icchāmahaṃ brāhmaṇa mahāyaññaṃ yajituṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Icchāmahaṃ brāhmaṇa mahāyaññaṃ yajituṃ. (337-5.)  
    訳文                
     婆羅門よ、私は、大供犠祭をつとめることを望んでいる。  
                       
                       
                       
    338-24.                
     Anusāsatu maṃ bhavaṃ yaṃ mama assa dīgharattaṃ hitāya sukhāyā’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Anusāsatu maṃ bhavaṃ yaṃ mama assa dīgharattaṃ hitāya sukhāyā’ti. (337-6.)  
    訳文                
     尊者よ、私へ、この私にとって長きにわたる利益と安楽のためとなるようなそれ(供犠)を教え給え』と。  
                       
                       
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