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     Adhiccasamuppannavādo  
      語根 品詞 語基 意味  
      Adhicca   a 依(具) 無因の、無縁の、偶然の  
      samuppanna saṃ-ud-pad 過分 a 依(属) 起こった、生じた、生起した  
      vādo vad a 説、語、論  
    訳文                
     【無因生起論】  
                       
                       
                       
    67-1.                
    67. ‘‘Santi, bhikkhave, eke samaṇabrāhmaṇā adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti dvīhi vatthūhi.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Santi, as ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      eke   代的 一、とある  
      samaṇa śram a 沙門  
      brāhmaṇā bṛh a 婆羅門  
      adhicca   a 有(具) 無因の、無縁の、偶然の  
      samuppannikā saṃ-ud-pad a 起こったものの、生じたものの、生起したものの  
      adhicca   a 依(具) 無因の、無縁の、偶然の  
      samuppannaṃ saṃ-ud-pad 過分 a 起こった、生じた、生起した  
      attānañ   an 我、アートマン  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      lokañ   a 世間、世界  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paññapenti pra-jñā 使 知らしめる、告知する、用意する  
      語根 品詞 語基 意味  
      dvīhi    
      vatthūhi. vas us 事、対象、理由、根拠  
    訳文                
     比丘たちよ、一部の沙門婆羅門たちは無因生起論者であり、二つの根拠により、因なく生起する我と世間とを説きます。  
                       
                       
                       
    67-2.                
     Te ca bhonto samaṇabrāhmaṇā kimāgamma kimārabbha adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti dvīhi vatthūhi?  
      語根 品詞 語基 意味  
      Te   代的 それら、かれら  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      bhonto bhū 名現分 ant(特) ある、なる  
      samaṇa śram a 沙門  
      brāhmaṇā bṛh a 婆羅門  
      kim   代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgamma ā-gam 来る、近づく、帰る、(連で)〜によって  
      語根 品詞 語基 意味  
      kim   代的  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ārabbha ā-rabh 始める、出発する、励む、(連で)〜に関して  
      adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti dvīhi vatthūhi? (67-1.)  
    訳文                
     では、沙門婆羅門であるかれらは、何に拠り、何に基づいて無因生起論者であり、二つの根拠により、因なく生起する我と世間とを説くのでしょうか。  
                       
                       
                       
    68-1.                
     68. ‘‘Santi, bhikkhave, asaññasattā nāma devā.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘‘Santi, as ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      asañña a-saṃ-jñā a 無想の  
      sattā   a 衆生、有情  
      nāma   an 副対 と、という名の、じつに  
      devā.   a 神、天  
    訳文                
     比丘たちよ、無想有情という神々がいます。  
    メモ                
     ・saññāは女性名詞だが、asaññaは形容詞になるので語基はaになる。  
     ・後代のアビダンマにおける九有情居説では、有情は欲有・色有・無色有、想有・無想有・非想非非想有、一蘊有・四蘊有・五蘊有と分類される(『清浄道論』3巻259頁など)。色界の有情(色有)のうち色蘊のみ(一蘊有)よりなる無想有が、ここでいう無想有情をいうものであろう。これにのっとるならば、この想とは想蘊のみならず四非色蘊すなわち心作用全般を総称したものということになろう。  
                       
                       
                       
    68-2.                
     Saññuppādā ca pana te devā tamhā kāyā cavanti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sañña saṃ-jñā ā 依(属)  
      uppādā ud-pad a 生起、生  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      pana   不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      te   代的 それら、彼ら  
      devā   a 神、天  
      tamhā   代的 それ  
      kāyā   a 身、身体  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      cavanti. cyu 死ぬ、死没する  
    訳文                
     しかるにその神々は、想の生起のゆえに、その身体から死没します。  
    メモ                
     ・ここでのsaññāは女性名詞が複合語前分として男性名詞化したもの。水野文法§69-5.  
                       
                       
                       
    68-3.                
     Ṭhānaṃ kho panetaṃ, bhikkhave, vijjati, yaṃ aññataro satto tamhā kāyā cavitvā itthattaṃ āgacchati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ṭhānaṃ sthā a 処、場所、状態、原因、理由  
      kho   不変 じつに、たしかに  
      pana   不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      etaṃ,   代的 この  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vijjati, vid 受 見出される、知られる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ   代的 (関係代名詞)  
      aññataro   代的 随一の、ある  
      satto   a 衆生、有情  
      tamhā   代的 それ  
      kāyā   a 身、身体  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      cavitvā cyu 死んで  
      語根 品詞 語基 意味  
      itthattaṃ   a かくの如き状態、現状、ここ[輪廻]の状態、  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgacchati. ā-gam 来る  
    訳文                
     比丘たちよ、しかるに、〔この無想有情天界の〕とある有情が、その身体から死没して、ここ(人間界)へやってくるようなことがあるのです。  
                       
                       
                       
    68-4.                
     Itthattaṃ āgato samāno agārasmā anagāriyaṃ pabbajati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Itthattaṃ   a かくの如き状態、現状、ここ[輪廻]の状態、  
      āgato   過分 a 来た  
      samāno śram a 沙門  
      agārasmā   a 家、舎、家屋、俗家  
      anagāriyaṃ   a 非家の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pabbajati. pra-vraj 出家する、遁世する  
    訳文                
     ここへ来て在家より出家をなし、沙門となります。  
                       
                       
                       
    68-5.                
     Agārasmā anagāriyaṃ pabbajito samāno ātappamanvāya padhānamanvāya anuyogamanvāya appamādamanvāya sammāmanasikāramanvāya tathārūpaṃ cetosamādhiṃ phusati, yathāsamāhite citte saññuppādaṃ anussarati, tato paraṃ nānussarati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Agārasmā   a 家、舎、家屋、俗家  
      anagāriyaṃ   a 非家の  
      pabbajito pra-vraj 名過分 a 出家した、遁世した  
      samāno śram a 沙門  
      ātappam   a 熱勤、熱心、勇猛  
      anvāya anu-i 不変 従って、随従して  
      padhānam pra-dhā a 努力、精勤  
      anvāya anu-i 不変 従って、随従して  
      anuyogam anu-yuj a 実践、実行、従事、専修、随勤  
      anvāya anu-i 不変 従って、随従して  
      appamādam a-pra-mad a 不放逸  
      anvāya anu-i 不変 従って、随従して  
      sammā   不変 正しい、正しく  
      manasikāram man, kṛ a 作意、思念、称念、注意  
      anvāya anu-i 不変 従って、随従して  
      tathārūpaṃ   a その如き  
      ceto cit as 依(属) 心、心想  
      samādhiṃ saṃ-ā-dhā i 定、三味、三摩地、精神統一  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      phusati, spṛś 触れる、達する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yathā   不変 〜のごとく  
      samāhite saṃ-ā-dhā 名過分 a 男→中 処絶 入定した  
      citte   a 処絶  
      sañña saṃ-jñā ā 依(属)  
      uppādaṃ ud-pad a 生起、生  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anussarati, anu-smṛ 随念する、憶念する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tato   不変 それより、それゆえに、その後  
      paraṃ   代的 他の、彼方の、上の  
      na   不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      anussarati. anu-smṛ 随念する、憶念する  
    訳文                
     在家より出家をなした沙門は、熱勤により、精勤により、随勤により、不放逸により、正作意によって、心が入定した時に想の生起を憶念し、それ以上ないほどに憶念するような心の三昧に到達します。  
                       
                       
                       
    68-6.                
     So evamāha – ‘adhiccasamuppanno attā ca loko ca.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘So   代的 それ、かれ  
      evam   不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āha– ah いう  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘adhicca   a 依(具) 無因の、無縁の、偶然の  
      samuppanno saṃ-ud-pad a 起こった、生じた、生起した  
      attā   an 我、アートマン  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      loko   a 世間、世界  
      ca.   不変 と、また、そして、しかし  
    訳文                
     彼はこのようにいいます。『我と世間とは、因なく生起する。  
                       
                       
                       
    68-7.                
     Taṃ kissa hetu? Ahañhi pubbe nāhosiṃ, somhi etarahi ahutvā santatāya pariṇato’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Taṃ   代的 それ  
      kissa   代的  
      hetu? hi u 副対 因、原因、理由  
      Ahañ   代的  
      hi   不変 じつに、なぜなら  
      pubbe   代的 先の、前の、昔の  
      na   不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahosiṃ, bhū ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      so   代的 それ、彼  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      amhi as ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      etarahi   不変 いま、現在  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ahutvā a-bhū 存在しない  
      語根 品詞 語基 意味  
      santatāya śam ā 寂止の状態  
      pariṇato’ pari-nam 過分 a 曲った、向けた、寄進した、変化した、消化した  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     それはなぜか。なぜなら私はかつて存在しなかった。存在しなかったが、その〔私〕はいま、寂止の状態から転変している』と。  
    メモ                
     ・pubbaは代名詞的変化をする(単数処格は-asmiṃ, -amhiとなる)はずだが、定形としてpubbeを処格と認めるようであり、辞書類もこの形を出す。  
     ・santatāyasanta(寂止・寂静)に抽象名詞を作る語尾-tāがついたものと解した。『南伝』は「有情となりたれば」、『原始』は「生けるものとして」とするが、これはPTS版がsattattāとなっているため。『パーリ』は「現存の状態に」とする。asの現在分詞santがついたものと解したか。  
                       
                       
                       
    68-8.                
     Idaṃ, bhikkhave, paṭhamaṃ ṭhānaṃ, yaṃ āgamma yaṃ ārabbha eke samaṇabrāhmaṇā adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Idaṃ,   代的 これ  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      paṭhamaṃ   a 第一の、最初の、初の  
      ṭhānaṃ, sthā a 場所、状態、理由、原因  
      yaṃ   代的 (関係代名詞)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āgamma ā-gam 来る、近づく、帰る、(連で)〜によって  
      語根 品詞 語基 意味  
      yaṃ   代的 (関係代名詞)  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ārabbha ā-rabh 始める、出発する、励む、(連で)〜に関して  
      語根 品詞 語基 意味  
      eke   代的 一、とある  
      samaṇa śram a 沙門  
      brāhmaṇā bṛh a 婆羅門  
      adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti. (67-1.)  
    訳文                
     比丘たちよ、これが、無因生起論者たる一部の沙門婆羅門たちが、これにより、これに基づいて、因なく生起する我と世間とを説くような、第一の根拠です。  
                       
                       
                       
    69-1.                
     69. ‘‘Dutiye ca bhonto samaṇabrāhmaṇā kimāgamma kimārabbha adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Dutiye   a 第二の  
      ca bhonto samaṇabrāhmaṇā kimāgamma kimārabbha adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti? (67-2.)  
    訳文                
     では第二に、沙門婆羅門であるかれらは、何に拠り、何に基づいて、無因生起論者であり、因なく生起する我と世間とを説くのでしょうか。  
                       
                       
                       
    69-2.                
     Idha, bhikkhave, ekacco samaṇo vā brāhmaṇo vā takkī hoti vīmaṃsī.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Idha,   不変 ここに、この世で、いま、さて  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      ekacco   代的 或る、或る一部の、或る一類の  
      samaṇo śram a 沙門  
        不変 あるいは  
      brāhmaṇo bṛh a 婆羅門  
        不変 あるいは  
      takkī   名形 in 推論の、理論の、詭弁家  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vīmaṃsī. man in 観慧ある、観察する、審察者  
    訳文                
     比丘たちよ、ここなる一部の沙門あるいは婆羅門は、推論家、審察者です。  
                       
                       
                       
    69-3.                
     So takkapariyāhataṃ vīmaṃsānucaritaṃ sayaṃpaṭibhānaṃ evamāha – ‘adhiccasamuppanno attā ca loko cā’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      So   代的 それ、かれ  
      takka   a 依(具) 思索、思択、理論、推論  
      pariyāhataṃ pari-ā-han 過分 a 打倒された、冒された  
      vīmaṃsā man ā 依(対) 観、観慧、思察、審察、思量、思惟  
      anucaritaṃ anu-car 過分 a 随行する、従う、実行する  
      sayaṃ   不変 みずから  
      paṭibhānaṃ prati-bhaṇ a 理解、応答、弁、弁才、応弁、頓才  
      evam   不変 このように、かくの如き  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      āha– ah いう  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘adhicca   a 依(具) 無因の、無縁の、偶然の  
      samuppanno saṃ-ud-pad a 起こった、生じた、生起した  
      attā   an 我、アートマン  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      loko   a 世間、世界  
      cā’   不変 と、また、そして、しかし  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     かれは思索に冒され、思察に従ったみずからの理解をこのようにいいます。『我と世界とは因なく生起する』と。  
                       
                       
                       
    69-4.                
     Idaṃ, bhikkhave, dutiyaṃ ṭhānaṃ, yaṃ āgamma yaṃ ārabbha eke samaṇabrāhmaṇā adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Idaṃ,   代的 これ  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      dutiyaṃ   a 男→中 第二  
      ṭhānaṃ, yaṃ āgamma yaṃ ārabbha eke samaṇabrāhmaṇā adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti. (68-8.)  
    訳文                
     比丘たちよ、これが、無因生起論者たる一部の沙門婆羅門たちが、これにより、これに基づいて、因なく生起する我と世間とを説くような、第二の根拠です。  
                       
                       
                       
    70-1.                
     70. ‘‘Imehi kho te, bhikkhave, samaṇabrāhmaṇā adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti dvīhi vatthūhi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Imehi   代的 これら  
      kho   不変 じつに、たしかに  
      te,   代的 かれら  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      samaṇa śram a 沙門  
      brāhmaṇā bṛh a 婆羅門  
      adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti dvīhi vatthūhi. (67-1.)  
      dvīhi    
      vatthūhi. vas us 事、対象、理由、根拠  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにかれら沙門婆羅門たちは無因生起論者であり、これら二つの根拠により、因なく生起する我と世間とを説くのです。  
                       
                       
                       
    70-2.                
     Ye hi keci, bhikkhave, samaṇā vā brāhmaṇā vā adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti, sabbe te imeheva dvīhi vatthūhi, etesaṃ vā aññatarena, natthi ito bahiddhā  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye   代的 (関係代名詞)  
      hi   不変 じつに、なぜなら  
      keci,   代的 何らかの、何者であれ  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      samaṇā śram a 沙門  
        不変 あるいは  
      brāhmaṇā bṛh a 婆羅門  
        不変 あるいは  
      adhiccasamuppannikā adhiccasamuppannaṃ attānañca lokañca paññapenti, (67-1.)  
      sabbe   名形 代的 中→男 すべて  
      te   代的 かれら  
      imehi   代的 これら  
      eva   不変 まさに、のみ、じつに  
      dvīhi    
      vatthūhi, vas us 事、対象、理由、根拠  
      etesaṃ   代的 これら  
        不変 あるいは  
      aññatarena;   代的 随一、二者の一、とある、いずれか  
      na   不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi as ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      ito   不変 これより、ここより  
      bahiddhā.   不変 外部に、外に  
    訳文                
     比丘たちよ、じつに誰であれ、無因生起論者であり、因なく生起する我と世間とを説くような沙門たちあるいは婆羅門たち、彼らは皆、まさしくこの二つの根拠により、あるいはこれらのいずれかによるのであって、このほかには〔根拠は〕存在しません。  
                       
                       
                       
    70-3.                
     …pe… yehi tathāgatassa yathābhuccaṃ vaṇṇaṃ sammā vadamānā vadeyyuṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      …pe…   (略)  
      yehi   代的 (関係代名詞)、〜ところの  
      tathāgatassa tathā-(ā-)gam a 如来  
      yathābhuccaṃ bhū 不変 如実に  
      vaṇṇaṃ   a 色、容色、称賛  
      sammā   不変 正しい、正しく  
      vadamānā vad 現分 a いう  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vadeyyuṃ. vad いう  
    訳文                
     〔比丘たちよ、如来はこれに関してこのように知ります。『このように把握し、このように執着した、見解(無因生起論)の二つの根拠を有するこれらのものたち(沙門婆羅門たち)は、かくの如き帰趣、かくの如き来世の運命を持つものたちである』と。それを如来は知り、さらにそれよりすぐれたものを知ります。しかしてその知見に執着しません。そして無執着のゆえに、かれにはじつに内心の寂静が知られるのです。比丘たちよ、如来は無因生起論よりすぐれた諸々の受の生起と滅没、楽味と過患、そして出離を如実に知り、しかしその知見に執着することなく、それゆえ解脱したのです。比丘たちよ、じつにこれらが、深く、見がたく、理解しがたく、寂静の、すぐれた、推論の範囲を超えた、微妙の、賢者によってのみ知られるであろう、如来みずからが知り、悟って説くものであり〕それらによって〔こそ〕如実な如来の称賛が正しく述べられるであろうような〔諸法なのです〕。  
                       
                       
                       
    71-1.                
     71. ‘‘Imehi kho te, bhikkhave, samaṇabrāhmaṇā pubbantakappikā pubbantānudiṭṭhino pubbantaṃ ārabbha anekavihitāni adhimuttipadāni abhivadanti aṭṭhārasahi vatthūhi.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Imehi   代的 これら  
      kho   不変 じつに、たしかに  
      te,   代的 かれら  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      samaṇa śram a 沙門  
      brāhmaṇā bṛh a 婆羅門  
      pubba   代的 前の、先の、昔の  
      anta   a 依(属) 極限、辺、目的 →前際、過去世、宿世  
      kappikā kḷp a 適した、認容、浄法、教令、法則、分別、妄想の  
      pubba   代的 前の、先の、昔の  
      anta   a 依(属) 極限、辺、目的 →前際、過去世、宿世  
      anudiṭṭhino, anu-dṛś in 随見、邪見、見の  
      pubba   代的 前の、先の、昔の  
      antaṃ   a 極限、辺、目的 →前際、過去世、宿世  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ārabbha ā-rabh 始める、出発する、励む →関して  
      語根 品詞 語基 意味  
      aneka   代的 ひとつならぬ、多くの、多数の  
      vihitāni vi-dhā 過分 a 置かれた、整えられた →種々の  
      adhimutti adhi-muc i 依(属) 信解、勝解  
      padāni pad? a 足、足跡、歩、処、場所、句、語 →勝解所  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhivadanti abhi-vad よく話す、挨拶する、迎える  
      語根 品詞 語基 意味  
      aṭṭhārasahi   十八  
      vatthūhi. vas us 事、対象、理由、根拠  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにかれら沙門婆羅門たちは過去の考察家であり、過去を随見して、これら十八の根拠により、過去に関するこれら種々の所信を語るのです。  
                       
                       
                       
    71-2.                
     Ye hi keci, bhikkhave, samaṇā vā brāhmaṇā vā pubbantakappikā pubbantānudiṭṭhino pubbantamārabbha anekavihitāni adhimuttipadāni abhivadanti, sabbe te imeheva aṭṭhārasahi vatthūhi, etesaṃ vā aññatarena, natthi ito bahiddhā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ye   代的 (関係代名詞)  
      hi   不変 じつに、なぜなら  
      keci,   代的 何らかの、何者であれ  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      samaṇā śram a 沙門  
        不変 あるいは  
      brāhmaṇā bṛh a 婆羅門  
        不変 あるいは  
      pubbantakappikā pubbantānudiṭṭhino pubbantamārabbha anekavihitāni adhimuttipadāni abhivadanti, (71-1.)  
      sabbe   名形 代的 中→男 すべて  
      te   代的 かれら  
      imehi   代的 これら  
      eva   不変 まさに、のみ、じつに  
      aṭṭhārasahi   十八  
      vatthūhi, vas us 事、対象、理由、根拠  
      etesaṃ   代的 これら  
        不変 あるいは  
      aññatarena,   代的 随一、二者の一、とある、いずれか  
      na   不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      atthi as ある  
      語根 品詞 語基 意味  
      ito   不変 これより、ここより  
      bahiddhā.   不変 外部に、外に  
    訳文                
     比丘たちよ、じつに誰であれ、過去の考察家であり、過去を随見して、過去に関する種々の所信を語るような沙門たちあるいは婆羅門たち、彼らは皆、まさしくこれら十八の根拠により、あるいはこれらのいずれかによるのであって、このほかには〔根拠は〕存在しません。  
                       
                       
                       
    72-1.                
     72. ‘‘Tayidaṃ, bhikkhave, tathāgato pajānāti – ‘ime diṭṭhiṭṭhānā evaṃgahitā evaṃparāmaṭṭhā evaṃgatikā bhavanti evaṃabhisamparāyā’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Taṃ   代的 それ  
      idaṃ,   代的 これ  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      tathāgato tathā-(ā-)gam a 如来  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti– pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘ime   代的 これら  
      diṭṭhi dṛś i 有(属) 見、見解、意見、謬見  
      ṭhānā sthā a 中→男 場所、状態、理由、原因  
      evaṃ   不変 このように、かくの如き  
      gahitā grah 過分 a 把持、把握された  
      evaṃ   不変 このように、かくの如き  
      parāmaṭṭhā parā-mṛś 過分 a 已執の、執着した  
      evaṃ   不変 このように、かくの如き  
      gatikā   a 趣の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      bhavanti bhū ある、なる、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      evaṃ   不変 このように、かくの如き  
      abhisamparāyā’ abhi-saṃ-parā-i a 未来の運命  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     比丘たちよ、如来はこれに関してこのように知ります。『このように把握し、このように執着した、見解(過去世に関する考察)の〔十八の〕根拠を有するこれらのものたち(沙門婆羅門たち)は、かくの如き帰趣、かくの如き来世の運命を持つものたちである』と。  
                       
                       
                       
    72-2.                
     Tañca tathāgato pajānāti, tato ca uttaritaraṃ pajānāti, tañca pajānanaṃ na parāmasati, aparāmasato cassa paccattaññeva nibbuti viditā.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Tañ   代的 それ  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      tathāgato tathā-(ā-)gam a 如来  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti, pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tato   不変 それより、それゆえに、その後  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      uttaritaraṃ   a よりすぐれた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti, pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      tañ   代的 その  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      pajānanaṃ pra-jñā a 知解、知識  
      na   不変 ない  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      parāmasati, parā-mṛś 摩触する、執取する  
      語根 品詞 語基 意味  
      aparāmasato a-parā-mṛś a 男中 無執着、無執取  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      assa   代的 これ  
      paccattaññ   a 副対 各自に、自身の、おのずから、心の内に  
      eva   不変 まさに、のみ、じつに  
      nibbuti   i 寂静  
      viditā. vid 過分 a 知られた、見いだされた  
    訳文                
     それを如来は知り、さらにそれよりすぐれたものを知ります。しかしてその知解に執着しません。そして無執着のゆえに、かれにはじつに内心の寂静が知られるのです。  
                       
                       
                       
    72-3.                
     Vedanānaṃ samudayañca atthaṅgamañca assādañca ādīnavañca nissaraṇañca yathābhūtaṃ viditvā anupādāvimutto, bhikkhave, tathāgato.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Vedanānaṃ vid ā 受、感受  
      samudayañ saṃ-ud-i a 集、集起、生起、起因、原因  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      atthaṅgamañ gam a 没、滅没  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      assādañ ā-svad a 味、楽味、愛味、快味  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      ādīnavañ   a 過患、患難、過失、危難  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      nissaraṇañ ni-sṛ a 出離、出要、遠離  
      ca   不変 と、また、そして、しかし  
      yathābhūtaṃ bhū 不変 如実に  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viditvā vid 知る  
      anupādā an-upa-ā-dā 取着ない  
      語根 品詞 語基 意味  
      vimutto, vi-muc 過分 a 解脱した、脱した  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      tathāgato. tathā-(ā-)gam a 如来  
    訳文                
     比丘たちよ、如来は〔過去に関する考察よりすぐれた〕諸々の受の生起と滅没、楽味と過患、そして出離を如実に知り、〔しかしその知見に〕執着することなく〔それゆえ〕解脱したのです。  
                       
                       
                       
    73-1.                
     73. ‘‘Ime kho te, bhikkhave, dhammā gambhīrā duddasā duranubodhā santā paṇītā atakkāvacarā nipuṇā paṇḍitavedanīyā, ye tathāgato sayaṃ abhiññā sacchikatvā pavedeti, yehi tathāgatassa yathābhuccaṃ vaṇṇaṃ sammā vadamānā vadeyyuṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Ime   代的 これら  
      kho   不変 じつに、たしかに  
      te,   代的 それら  
      bhikkhave, bhikṣ u 比丘  
      dhammā dhṛ a  
      gambhīrā   a 深い、甚深の  
      duddasā dur-dṛś a 見難い、難解の  
      duranubodhā dur-anu-budh a 随覚、了悟し難い  
      santā śam a 寂静の、寂止の  
      paṇītā pra-nī a 適用された、勝れた、妙勝の、極妙の.  
      atakka   a 有(属) takka(思索、思択、理論、推論)ならざる  
      avacarā ava-car a 中→男 界、界地、行境 →推論の範囲を超えた、深奥の  
      nipuṇā   a 微妙の、巧妙の、聡敏の  
      paṇḍita   a 依(具) 賢い、博学の、賢智の、賢者、智者  
      vedanīyā, vid 使 未分 a 知られるべき、感受されるべき、  
      ye   代的 (関係代名詞)、〜ところの  
      tathāgato tathā-(ā-)gam a 如来  
      sayaṃ   不変 みずから  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      abhiññā abhi-jñā 証知する、自証する  
      sacchikatvā kṛ 作証する、証明をなす、さとる  
      pavedeti, pra-vid 使 知らせる、説く  
      語根 品詞 語基 意味  
      yehi   代的 男中 (関係代名詞)、〜ところの  
      tathāgatassa tathā-(ā-)gam a 如来  
      yathābhuccaṃ bhū 不変 如実に  
      vaṇṇaṃ   a 色、容色、称賛  
      sammā   不変 正しい、正しく  
      vadamānā vad 現分 a いう  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vadeyyuṃ. vad いう  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにこれらが、深く、見がたく、理解しがたく、寂静の、すぐれた、推論の範囲を超えた、微妙の、賢者によって〔のみ〕知られるであろう、如来みずからが知り、悟って説くものであり、それらによって〔こそ〕如実な如来の称賛が正しく述べられるであろうような諸法なのです。  
                       
                       
                       
     Dutiyabhāṇavāro.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Dutiya   名形 a 第二  
      bhāṇa bhaṇ a 依(属) 誦、習誦  
      vāro. vṛ a 回、順番、順、時、機会、分、章、曜日  
    訳文                
     第二誦分〔終わる〕。  
                       
                       
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