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     Kāyānupassanā ānāpānapabbaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāya    a 依(属)  
      anupassanā  anu-paś ā 随観  
      ānāpāna    a 依(属) 出入息  
      pabbaṃ   an 結節、腕、部分  
    訳文                
     【身随観:出入息の部】  
    メモ                
     ・身、受、心、法の四つの随観の範疇があり、その中に出入息などいくつもの部門がある、という構造になっている。  
                       
                       
                       
    374-1.                
     374. ‘‘Kathañca pana, bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati?   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Kathañ    不変 いかに、なぜに  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      pana,    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      kāye    a  
      kāya    a 依(対)  
      anupassī  anu-paś in 随観する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati?  vi-hṛ 住する  
    訳文                
     では比丘たちよ、いかに比丘は、身に関して身を随観する者として住するのでしょうか。  
    メモ                
     ・kayeを、『南伝』、『原始』は「身に就きて」「身体について」とし、『パーリ』は「身において」とする。ここでは前者のニュアンスで取った。  
                       
                       
                       
    374-2.                
     Idha, bhikkhave, bhikkhu araññagato vā rukkhamūlagato vā suññāgāragato vā nisīdati pallaṅkaṃ ābhujitvā ujuṃ kāyaṃ paṇidhāya parimukhaṃ satiṃ upaṭṭhapetvā.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Idha,    不変 ここに、この世で、いま、さて  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      arañña    a 依(対) 林野、空閑処  
      gato  gam 過分 a 行った  
          不変 あるいは  
      rukkha    a 依(属) 樹木  
      mūla    a 依(対) 根、根本  
      gato  gam 過分 a 行った  
          不変 あるいは  
      suñña    名形 a 空の、空  
      agāra    a 依(対)  
      gato  gam 過分 a 行った  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      nisīdati  ni-sad 坐る  
      語根 品詞 語基 意味  
      pallaṅkaṃ    a 椅子、寝台、跏趺  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ābhujitvā  ā-bhuj 組む、結ぶ、曲げる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ujuṃ    不変 正しい、まっすぐ  
      kāyaṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paṇidhāya  pra-ni-dhā 前に置く、定置する、思考する、欲求する、願う  
      語根 品詞 語基 意味  
      parimukhaṃ    a 副対 面前の、前に  
      satiṃ  smṛ i 念、憶念、正念  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upaṭṭhapetvā.  upa-sthā 使 起こす  
    訳文                
     比丘たちよ、ここに〔とある〕比丘が、林野へ行き、樹の根へ行き、あるいは空き家へ行って、身をまっすぐに定置し、前面に念を起こして結跏趺坐する〔としましょう〕。  
    メモ                
     ・satiの語も多義的であるが、ここではPTS辞書のいうconsciousnessとかmindfulnessの意味で読むのが妥当であろう。  
                       
                       
                       
    374-3.                
     So satova assasati, satova passasati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      So    代的 それ、彼  
      sato  smṛ 現分 a 具念の、憶念した、正念の  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assasati,  ā-śvas 出息する、呼吸する、蘇生する  
      語根 品詞 語基 意味  
      sato  smṛ 現分 a 具念の、憶念した、正念の  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passasati.  pra-śvas 入息する、出息する  
    訳文                
     彼は、念をそなえて出息し、念をそなえて入息します。  
                       
                       
                       
    374-4.                
     Dīghaṃ vā assasanto ‘dīghaṃ assasāmī’ti pajānāti, dīghaṃ vā passasanto ‘dīghaṃ passasāmī’ti pajānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Dīghaṃ    a 副対 長く  
          不変 あるいは  
      assasanto  ā-śvas 現分 ant 出息する  
      ‘dīghaṃ    a 副対 長く  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assasāmī’  ā-śvas 出息する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti,  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      dīghaṃ    a 副対 長く  
          不変 あるいは  
      passasanto  pra-śvas 現分 ant 入息する  
      ‘dīghaṃ    a 副対 長く  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passasāmī’  pra-śvas 入息する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pajānāti.  同上  
    訳文                
     長く出息しながら『私は長く出息している』と了知し、あるいは、長く入息しながら『私は長く入息している』と了知します。  
                       
                       
                       
    374-5.                
     Rassaṃ vā assasanto ‘rassaṃ assasāmī’ti pajānāti, rassaṃ vā passasanto ‘rassaṃ passasāmī’ti pajānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Rassaṃ vā assasanto ‘rassaṃ assasāmī’ti pajānāti, rassaṃ vā passasanto ‘rassaṃ passasāmī’ti pajānāti. (374-4.)  
      rassaṃ    a 副対 短く  
    訳文                
     短く出息しながら『私は短く出息している』と了知し、あるいは、短く入息しながら『私は短く入息している』と了知します。  
                       
                       
                       
    374-6.                
     ‘Sabbakāyapaṭisaṃvedī assasissāmī’ti sikkhati, ‘sabbakāyapaṭisaṃvedī passasissāmī’ti sikkhati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Sabba    名形 a 全て  
      kāya    a 依(対)  
      paṭisaṃvedī  prati-saṃ-vid in 経験する、感受する、感知する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assasissāmī’  ā-śvas 出息する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sikkhati,  śak 意 学ぶ、学得する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘sabba    名形 a 全て  
      kāya    a 依(対)  
      paṭisaṃvedī  prati-saṃ-vid in 経験する、感受する、感知する  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passasissāmī’  pra-śvas 入息する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      sikkhati.  同上  
    訳文                
     『私は全身を感受して出息しよう』と修練し、『私は全身を感受して入息しよう』と修練します。  
    メモ                
     ・sikkhatiPTS辞書のいうto train oneselfのニュアンスで訳した。  
                       
                       
                       
    374-7.                
     ‘Passambhayaṃ kāyasaṅkhāraṃ assasissāmī’ti sikkhati, ‘passambhayaṃ kāyasaṅkhāraṃ passasissāmī’ti sikkhati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Passambhayaṃ  pra-śrambh 使 現分 ant 安静にさせる、止息させる  
      kāya    a 依(属)  
      saṅkhāraṃ  saṃ-kṛ a 行、為作、形成力、現象  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assasissāmī’  ā-śvas 出息する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      sikkhati,  śak 意 学ぶ、学得する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘passambhayaṃ  pra-śrambh 使 現分 ant 安静にさせる、止息させる  
      kāya    a 依(属)  
      saṅkhāraṃ  saṃ-kṛ a 行、為作、形成力、現象  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      passasissāmī’  pra-śvas 入息する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      sikkhati. 同上  
    訳文                
     『私は身行を安静にさせて出息しよう』と修練し、『私は身行を安静にさせて入息しよう』と修練します。  
                       
                       
                       
    374-8.                
     ‘‘Seyyathāpi, bhikkhave, dakkho bhamakāro vā bhamakārantevāsī vā dīghaṃ vā añchanto ‘dīghaṃ añchāmī’ti pajānāti, rassaṃ vā añchanto ‘rassaṃ añchāmī’ti pajānāti evameva kho, bhikkhave, bhikkhu dīghaṃ vā assasanto ‘dīghaṃ assasāmī’ti pajānāti, dīghaṃ vā passasanto ‘dīghaṃ passasāmī’ti pajānāti, rassaṃ vā assasanto ‘rassaṃ assasāmī’ti pajānāti, rassaṃ vā passasanto ‘rassaṃ passasāmī’ti pajānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      dakkho    名形 a 中→男 有能な、巧みな、熟練の  
      bhama  bhram a 有(具) ろくろ  
      kāro  kṛ a 行為、作者  
          不変 あるいは  
      bhama  bhram a 有(具) ろくろ  
      kāra  kṛ a 依(属) 行為、作者  
      antevāsī    in 内弟子  
          不変 あるいは  
      dīghaṃ    a 副対 長く  
          不変 あるいは  
      añchanto  kṛṣ 現分 ant 引く、牽引する  
      ‘dīghaṃ    a 副対 長く  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      añchāmī’  kṛṣ 引く、牽引する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti,  pra-jñā 知る、了知する  
      語根 品詞 語基 意味  
      rassaṃ    a 副対 短く  
          不変 あるいは  
      añchanto  kṛṣ 現分 ant 牽く、牽引する  
      ‘rassaṃ    a 副対 短く  
      añchāmī’  同上  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pajānāti  同上  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      dīghaṃ vā assasanto ‘dīghaṃ assasāmī’ti pajānāti, dīghaṃ vā passasanto ‘dīghaṃ passasāmī’ti pajānāti, (374-4.)  
      rassaṃ vā assasanto ‘rassaṃ assasāmī’ti pajānāti, rassaṃ vā passasanto ‘rassaṃ passasāmī’ti pajānāti. (374-5.)  
    訳文                
     比丘たちよ、あたかも、熟練のろくろ職人、あるいはろくろ職人の内弟子が、〔粘土を〕長く引っ張るとき『私は長く引っ張る』と了知し、短く引っ張るとき『私は短く引っ張る』と了知する、じつにそのように比丘たちよ、比丘は、長く出息しながら『私は長く出息している』と了知し、あるいは、長く入息しながら『私は長く入息している』と了知し、短く出息しながら『私は短く出息している』と了知し、あるいは、短く入息しながら『私は短く入息している』と了知します。  
                       
                       
                       
    374-9.                
     ‘Sabbakāyapaṭisaṃvedī assasissāmī’ti sikkhati, ‘sabbakāyapaṭisaṃvedī passasissāmī’ti sikkhati, ‘passambhayaṃ kāyasaṅkhāraṃ assasissāmī’ti sikkhati, ‘passambhayaṃ kāyasaṅkhāraṃ passasissāmī’ti sikkhati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Sabbakāyapaṭisaṃvedī assasissāmī’ti sikkhati, ‘sabbakāyapaṭisaṃvedī passasissāmī’ti sikkhati, (374-6.)  
      ‘passambhayaṃ kāyasaṅkhāraṃ assasissāmī’ti sikkhati, ‘passambhayaṃ kāyasaṅkhāraṃ passasissāmī’ti sikkhati. (374-7.)  
    訳文                
     『私は全身を感受して出息しよう』と修練し、『私は全身を感受して入息しよう』と修練し、『私は身行を安静にさせて出息しよう』と修練し、『私は身行を安静にさせて入息しよう』と修練します。  
                       
                       
                       
    374-10.                
     Iti ajjhattaṃ vā kāye kāyānupassī viharati, bahiddhā vā kāye kāyānupassī viharati, ajjhattabahiddhā vā kāye kāyānupassī viharati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Iti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      ajjhattaṃ    a 副対 自らの、内なる、個人的な  
          不変 あるいは  
      kāye kāyānupassī viharati, (374-1.)  
      bahiddhā    不変 外に、外部に  
          不変 あるいは  
      kāye kāyānupassī viharati, (374-1.)  
      ajjhatta    a 自らの、内なる、個人的な  
      bahiddhā    不変 外に、外部に  
          不変 あるいは  
      kāye kāyānupassī viharati. (374-1.)  
    訳文                
     このように、内の身に関して身を随観する者として住し、外の身に関して身を随観する者として住し、あるいは内外の身に関して身を随観する者として住します。  
    メモ                
     ・註はこの内外を自他と解する。  
                       
                       
                       
    374-11.                
     Samudayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati, vayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati, samudayavayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Samudaya  saṃ-ud-i a 有(属) 集、生起、原因  
      dhamma  dhṛ a 男中 依(対)  
      anupassī  anu-paś in 随観する  
          不変 あるいは  
      kāyasmiṃ    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati,  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      vaya    a 有(属) 衰滅、消滅  
      dhamma  dhṛ a 男中 依(対)  
      anupassī  anu-paś in 随観する  
          不変 あるいは  
      kāyasmiṃ    a  
      viharati,  同上  
      samudaya  saṃ-ud-i a 集、生起、原因  
      vaya    a 有(属) 衰滅  
      dhamma  dhṛ a 男中 依(対)  
      anupassī  anu-paś in 随観する  
          不変 あるいは  
      kāyasmiṃ    a  
      viharati.  同上  
    訳文                
     身に関して生起の性質あるものと随観する者として住し、身に関して消滅の性質あるものと随観する者として住し、あるいは身に関して生起と消滅の性質あるものと随観する者として住します。  
    メモ                
     ・kāyasmiṃ、『パーリ』と『南伝』はさきのkayeと同じに訳すが、『原始』は「身体の中で」と訳を変え、「身体の中で生起してくる現象を観察し」云々と訳す。『パーリ』は「身において生起の法を見続けて住みます」、『南伝』は「身に就きて生法を観じて住し」と訳す。  
     ・ここでは『原始』とちがい、「身に起こるもの」が生滅するのでなく「身そのもの」が生滅するものだ、という趣旨として訳した。  
                       
                       
                       
    374-12.                
     ‘Atthi kāyo’ti vā panassa sati paccupaṭṭhitā hoti yāvadeva ñāṇamattāya paṭissatimattāya anissito ca viharati, na ca kiñci loke upādiyati.   
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘Atthi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      kāyo’    a  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
          不変 あるいは  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      assa    代的 これ  
      sati  smṛ i 念、憶念、正念  
      paccupaṭṭhitā  prati-upa-sthā 過分 a 立ち上がった、現起した  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      yāva    不変 〜だけ、〜まで、〜の限り  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      ñāṇa  jñā a  
      attāya    a 男中 義、目的  
      paṭissati  prati-smṛ i 憶念、記憶  
      attāya  a 男中 義、目的  
      anissito  a-ni-śri 過分 a 無依の、不依止の  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      viharati,  vi-hṛ 住する  
      語根 品詞 語基 意味  
      na    不変 ない  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      kiñci    不変  
      loke    a 世、世間  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      upādiyati.  upa-ā-dā 取る、執受する  
    訳文                
     智のため、念のために依止しないまま住するかぎり、あるいは彼には『身が存在する』という念が現起しますが、しかし彼は〔すでに智と念に依止しているため〕世における何ものをも執受しません。  
    メモ                
     ・『南伝』「尚又、智識所成のもの及び憶念所成のものに対すると同じ程度に『身あり』との思念現前す」。『原始』「そして、知ることの〔増えていく〕程度にたいし、自覚の〔増えていく〕程度にたいすると同じ程度に「ただ身体のみが存在する」という念いが、かれには現れてくるのである」。『パーリ』「そして、かれに〈身がある〉との念が現前します。それは他でもない、智のため念のためになります」。  
     ・理解の難しい文。既存訳に従うならば、生滅の法(つまり勝義には存在しない、施設された仮のもの)として随観してきた身を「存在する」としてしまうことになる。  
     ・そこでここでは、na ca kiñci loke upādiyati. caを逆接の意味で取って補訳してみたが、これでよいかどうか。修飾的な説話部分ではなく、修道論の根本的な箇所であるだけに、一層の検討を要する。  
                       
                       
                       
    374-13.                
     Evampi kho [evampi (sī. syā. pī.)], bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Evam    不変 このように、かくの如き  
      pi    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati. (374-1.)  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにこのように比丘は、身に関して身を随観する者として住するのです。  
                       
                       
                       
     Ānāpānapabbaṃ niṭṭhitaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Ānaāpāna    a 依(属) 出入息  
      pabbaṃ    an 結節、腕、部分  
      niṭṭhitaṃ. nih-sthā 過分 a 完了した、終わった  
    訳文                
     【出入息の部】おわり。  
                       
                       
                       
     Kāyānupassanā iriyāpathapabbaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāya    a 依(属)  
      anupassanā  anu-paś ā 随観  
      iriyā    ā 依(属) 行動、威儀  
      patha  path a 依(属) 動、路  
      pabbaṃ   an 結節、腕、部分  
    訳文                
     【身随観:威儀路の部】  
    メモ                
     ・いわゆる行住坐臥の四威儀を意識する行。  
                       
                       
                       
    375-1.                
     375. ‘‘Puna caparaṃ, bhikkhave, bhikkhu gacchanto vā ‘gacchāmī’ti pajānāti, ṭhito vā ‘ṭhitomhī’ti pajānāti, nisinno vā ‘nisinnomhī’ti pajānāti, sayāno vā ‘sayānomhī’ti pajānāti, yathā yathā vā panassa kāyo paṇihito hoti, tathā tathā naṃ pajānāti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Puna    不変 さらに、ふたたび  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      aparaṃ,    代的 副対 他の、別の  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      gacchanto  gam 現分 ant 行く  
          不変 あるいは  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘gacchāmī’  gam 行く  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      pajānāti,  pra-jñā 了知する、よく知る  
      語根 品詞 語基 意味  
      ṭhito  sthā 過分 a 立った  
          不変 あるいは  
      ‘ṭhito  sthā 過分 a 立った  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      amhī’  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pajānāti,  同上  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
          不変 あるいは  
      ‘nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      amhī’  同上  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pajānāti,  同上  
      sayāno  śī 現分 a 臥す  
          不変 あるいは  
      ‘sayāno  śī 現分 a 臥す  
      amhī’  同上  
      ti    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
      pajānāti,  同上  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
          不変 あるいは  
      pana    不変 また、しかし、しからば、しかも、しかるに、さて  
      assa    代的 これ  
      kāyo    a  
      paṇihito  pra-ni-dā 過分 a 置かれた、願われた  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti,  bhū ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      tathā    不変 かく、その如く  
      tathā    不変 かく、その如く  
      naṃ    代的 それ、彼  
      pajānāti.  同上  
    訳文                
     比丘たちよ、さらにまた別に、比丘は行きながら『私は行く』と了知し、立って『私は立っている』と了知し、坐って『私は坐っている』と了知し、あるいは臥しつつ『私は臥している』と了知し、彼の身が置かれたそれぞれその如くに、それを了知します。  
                       
                       
                       
     Iti ajjhattaṃ vā kāye kāyānupassī viharati, bahiddhā vā kāye kāyānupassī viharati, ajjhattabahiddhā vā kāye kāyānupassī viharati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Iti ajjhattaṃ vā kāye kāyānupassī viharati, bahiddhā vā kāye kāyānupassī viharati, ajjhattabahiddhā vā kāye kāyānupassī viharati. (374-10.)  
    訳文                
     このように、内の身に関して身を随観する者として住し、外の身に関して身を随観する者として住し、あるいは内外の身に関して身を随観する者として住します。  
                       
                       
                       
    375-3.                
     Samudayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati, vayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati, samudayavayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      Samudayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati, vayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati, samudayavayadhammānupassī vā kāyasmiṃ viharati. (374-11.)  
    訳文                
     身に関して生起の性質あるものと随観する者として住し、身に関して消滅の性質あるものと随観する者として住し、あるいは身に関して生起と消滅の性質あるものと随観する者として住します。  
                       
                       
                       
    375-4.                
     ‘Atthi kāyo’ti vā panassa sati paccupaṭṭhitā hoti yāvadeva ñāṇamattāya paṭissatimattāya anissito ca viharati, na ca kiñci loke upādiyati.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘Atthi kāyo’ti vā panassa sati paccupaṭṭhitā hoti yāvadeva ñāṇamattāya paṭissatimattāya anissito ca viharati, na ca kiñci loke upādiyati. (374-12.)  
    訳文                
     智のため、念のために依止しないまま住するかぎり、あるいは彼には『身が存在する』という念が現起しますが、しかし彼は〔すでに智と念に依止しているため〕世における何ものをも執受しません。  
                       
                       
                       
    375-5.                
     Evampi kho, bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Evampi kho, bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati. (374-13.)  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにこのように比丘は、身に関して身を随観する者として住するのです。  
                       
                       
                       
     Iriyāpathapabbaṃ niṭṭhitaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Iriyā    ā 依(属) 行動、威儀  
      patha  path a 依(属) 動、路  
      pabbaṃ    an 結節、腕、部分  
      niṭṭhitaṃ. nih-sthā 過分 a 完了した、終わった  
    訳文                
     【威儀路の部】おわり。  
                       
                       
                       
     Kāyānupassanā sampajānapabbaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāya    a 依(属)  
      anupassanā  anu-paś ā 随観  
      sampajāna  saṃ-pra-jñā a 男中 依(属) 正知の  
      pabbaṃ   an 結節、腕、部分  
    訳文                
     【身随観:正知の部】  
                       
                       
                       
    376-1.                
     376. ‘‘Puna caparaṃ, bhikkhave, bhikkhu abhikkante paṭikkante sampajānakārī hoti, ālokite vilokite sampajānakārī hoti, samiñjite pasārite sampajānakārī hoti, saṅghāṭipattacīvaradhāraṇe sampajānakārī hoti, asite pīte khāyite sāyite sampajānakārī hoti, uccārapassāvakamme sampajānakārī hoti, gate ṭhite nisinne sutte jāgarite bhāsite tuṇhībhāve sampajānakārī hoti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Puna    不変 さらに、ふたたび  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      aparaṃ,    代的 副対 他の、別の  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      abhikkante  abhi-kram 名過分 a 男中 進んだ、超えた、すぐれた  
      paṭikkante  prati-kram 過分 a 男中 戻る、退く、減退する  
      sampajāna  saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      hoti,  bhū ある、存在する  
      語根 品詞 語基 意味  
      ālokite  ā-lok? 過分 a 男中 眺めること、前視  
      vilokite  vi-loc 過分 a 男中 観察された、考察された  
      sampajāna  saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      samiñjite  saṃ-iṅg 過分 a 男中 動かす、曲げる  
      pasārite  pra-sṛ 過分 a 男中 出て行かせる、伸ばす、差し出す、売りに出す  
      sampajāna  saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      saṅghāṭi  saṃ-hṛ ī 僧伽利衣、重衣、大衣  
      patta    a 男中  
      cīvara    a 依(属)  
      dhāraṇe  dhṛ a 受持、憶持  
      sampajāna  saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      asite  過分 a 男中 食べた、食物  
      pīte  過分 a 男中 飲んだ、飲物  
      khāyite  khād 過分 a 男中 噛んだ、食べた  
      sāyite  svad 過分 a 男中 味わった  
      sampajāna  saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      uccāra  ud-car a 排池物、大便  
      passāva  pra-sru a 依(属) 小便、尿  
      kamme  kṛ a 業、行為  
      sampajāna  saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti,  同上  
      gate  gam 過分 a 男中 行った、行  
      ṭhite  sthā 過分 a 男中 住した、住  
      nisinne  ni-sad 過分 a 男中 坐った、坐  
      sutte  svap 過分 a 男中 寝た、臥  
      jāgarite  jāgṛ 過分 a 男中 眠らなかった、不寝した  
      bhāsite  bhāṣ 過分 a 男中 話す、語る、いう  
      tuṇhī   不変 沈黙して、黙って  
      bhāve  bhū a 本性、性、状態、態  
      sampajāna saṃ-pra-jñā a 依(対) 正知の、意識的な、故意の  
      kārī  kṛ in なす、行う、作者  
      hoti.  同上  
    訳文                
     比丘たちよ、さらにまた別に、比丘は行くときも、戻るときも、正知をなしています。見るときも、考察するときも、正知をなしています。〔肢体を〕曲げるときも、伸ばすときも、正知をなしています。重衣と鉢と衣を受持するときも、正知をなしています。食べるときも、飲むときも、噛むときも、味わうときも正知をなしています。大小便をなすときも、正知をなしています。行住坐臥、寝ないときも、話すときも、沈黙するときも、正知をなしています。  
    メモ                
     ・『沙門果経』【〔六〕根の防護】の章などにパラレル。  
                       
                       
                       
    376-2.                
     Iti ajjhattaṃ vā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Iti ajjhattaṃ vā (374-10.)  
      …pe…    (略)  
    訳文                
     このように、内の……(略)  
                       
                       
                       
    376-3.                
     evampi kho, bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      evampi kho, bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati. (374-13.)  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにこのように比丘は、身に関して身を随観する者として住するのです。  
                       
                       
                       
     Sampajānapabbaṃ niṭṭhitaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Sampajāna  saṃ-pra-jñā a 男中 依(属) 正知の  
      pabbaṃ    an 結節、腕、部分  
      niṭṭhitaṃ. nih-sthā 過分 a 完了した、終わった  
    訳文                
     【正知の部】おわり。  
                       
                       
                       
     Kāyānupassanā paṭikūlamanasikārapabbaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāya    a 依(属)  
      anupassanā  anu-paś ā 随観  
      paṭikūla    a 依(属) 厭逆  
      manasikāra  kṛ a 依(属) 作意  
      pabbaṃ   an 結節、腕、部分  
    訳文                
     【身随観:厭逆作意の部】  
                       
                       
                       
    377-1.                
     377. ‘‘Puna caparaṃ, bhikkhave, bhikkhu imameva kāyaṃ uddhaṃ pādatalā adho kesamatthakā tacapariyantaṃ pūraṃ nānappakārassa asucino paccavekkhati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Puna    不変 さらに、ふたたび  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      aparaṃ,    代的 副対 他の、別の  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      imam    代的 これ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kāyaṃ    a  
      uddhaṃ    不変 上に  
      pāda    a 依(属)  
      talā    a 平地、掌 →足の裏  
      adho    不変 下に  
      kesa    a 依(属) 髪、毛髪  
      matthakā    a 頭頂、先端  
      taca    a 有(持) 皮膚  
      pariyantaṃ    a 周辺、究竟  
      pūraṃ  pṝ a 充満の  
      nāna    不変 種々に  
      pakārassa    a 種類、方法、準備  
      asucino    i 不浄の  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paccavekkhati –  prati-ava-īkṣ 観察する、省察する  
    訳文                
     比丘たちよ、さらにまた別に、比丘は、足の裏から上、毛髪の先端から下の、皮膚を周縁とするこの身を、種々の種類の不浄が充満したものであると観察します。  
                       
                       
                       
    377-2.                
     ‘atthi imasmiṃ kāye kesā lomā nakhā dantā taco, maṃsaṃ nhāru aṭṭhi aṭṭhimiñjaṃ vakkaṃ, hadayaṃ yakanaṃ kilomakaṃ pihakaṃ papphāsaṃ, antaṃ antaguṇaṃ udariyaṃ karīsaṃ [karīsaṃ matthaluṅgaṃ (ka.)], pittaṃ semhaṃ pubbo lohitaṃ sedo medo, assu vasā kheḷo siṅghāṇikā lasikā mutta’nti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘atthi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      imasmiṃ    代的 これ  
      kāye    a  
      kesā    a 頭髪  
      lomā    an 体毛  
      nakhā    a  
      dantā    a  
      taco,    as 皮膚  
      maṃsaṃ    a 筋肉  
      nhāru    u  
      aṭṭhi    i  
      aṭṭhi    i 依(属)  
      miñjaṃ    a 髄 →骨髄  
      vakkaṃ,    a 腎臓  
      hadayaṃ    a 男(中) 心臓  
      yakanaṃ    an 肝臓  
      kilomakaṃ    a 男(中) 肋膜、肺  
      pihakaṃ    a 脾臓  
      papphāsaṃ,    a  
      antaṃ    a 腸、小腸  
      anta    a 依(属) 腸、小腸  
      guṇaṃ    a 男(中) 糸、弦 →腸間膜  
      udariyaṃ    a 胃の内容物  
      karīsaṃ,    a 大便  
      pittaṃ    a 胆汁  
      semhaṃ    a 痰、粘液  
      pubbo    a  
      lohitaṃ    名形 a 血、赤い  
      sedo  svid a  
      medo,    a 脂肪  
      assu    u  
      vasā    ā 膏(あぶら)  
      kheḷo    a 唾液  
      siṅghāṇikā    ā 鼻汁  
      lasikā    ā 関節滑液  
      mutta’n    a 小便、尿  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『この身には、頭髪、体毛、爪、歯、皮膚、筋肉、腱、骨、骨髄、腎臓、心臓、肝臓、肋膜、脾臓、肺、腸、腸間膜、胃の内容物、大便、胆汁、粘液、膿、血、汗、脂肪、涙、膏、唾液、鼻汁、関節、滑液、小便がある』と。  
                       
                       
                       
    377-3.                
     ‘‘Seyyathāpi, bhikkhave, ubhatomukhā putoḷi [mūtoḷī (syā.), mutoli (pī.)] pūrā nānāvihitassa dhaññassa, seyyathidaṃ sālīnaṃ vīhīnaṃ muggānaṃ māsānaṃ tilānaṃ taṇḍulānaṃ.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      ubhato    不変 有(持) 両方の、二つの  
      mukhā    a  
      putoḷi    i  
      pūrā    a 充満の  
      nānā    不変 種々に、異なって  
      vihitassa  vi-dhā 過分 a 置かれた、整えられた →種々の  
      dhaññassa,    a 穀物  
      seyyathidaṃ    不変 その如き、たとえば  
      sālīnaṃ    i 米、稲  
      vīhīnaṃ    i 米、稲  
      muggānaṃ    a 緑豆  
      māsānaṃ    a 空豆  
      tilānaṃ    a 男中 胡麻  
      taṇḍulānaṃ.    a 米、稲、米粒  
    訳文                
     比丘たちよ、たとえば、両側に口のある袋に、種々の穀物、たとえばサーリ米、ヴィーヒ米、緑豆、空豆、胡麻、タンドゥラ米が満ちている〔としましょう〕。  
                       
                       
                       
    377-4.                
     Tamenaṃ cakkhumā puriso muñcitvā paccavekkheyya –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Tam    代的 それ、彼  
      enaṃ    代的 それ、彼  
      cakkhumā    ant 眼ある  
      puriso    a  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      muñcitvā  muc 自由になる、放す  
      語根 品詞 語基 意味  
      paccavekkheyya –  prati-ava-īkṣ 観察する  
    訳文                
     眼ある人はそれを空けて、観察することでしょう。  
                       
                       
                       
    377-5.                
     ‘ime sālī, ime vīhī ime muggā ime māsā ime tilā ime taṇḍulā’ti.   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘ime    代的 これら  
      sālī,    i 米、稲  
      ime    代的 これら  
      vīhī    i 米、稲  
      ime    代的 これら  
      muggā    a 緑豆  
      ime    代的 これら  
      māsā    a 空豆  
      ime    代的 これら  
      tilā    a 男中 胡麻  
      ime    代的 これら  
      taṇḍulā’    a 米、稲、米粒  
      ti.    不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『これらはサーリ米、これらはヴィーヒ米、これらは緑豆、これらは空豆、これらは胡麻、これらはタンドゥラ米である』と。  
                       
                       
                       
    377-6.                
     Evameva kho, bhikkhave, bhikkhu imameva kāyaṃ uddhaṃ pādatalā adho kesamatthakā tacapariyantaṃ pūraṃ nānappakārassa asucino paccavekkhati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      Evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhave, bhikkhu imameva kāyaṃ uddhaṃ pādatalā adho kesamatthakā tacapariyantaṃ pūraṃ nānappakārassa asucino paccavekkhati – (377-1.)  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにそのように、比丘は、足の裏から上、毛髪の先端から下の、皮膚を周縁とするこの身を、種々の種類の不浄が充満したものであると観察します。  
                       
                       
                       
    377-7.                
     ‘atthi imasmiṃ kāye kesā lomā…pe… mutta’nti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘atthi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      imasmiṃ    代的 これ  
      kāye    a  
      kesā    a 頭髪  
      lomā    an 体毛  
      …pe…    (略)  
      mutta’n    a 小便、尿  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『この身には、頭髪、体毛(略)小便がある』と。  
                       
                       
                       
    377-8.                
     Iti ajjhattaṃ vā…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Iti ajjhattaṃ vā (374-10.)  
      …pe…    (略)  
    訳文                
     このように、内の……(略)  
                       
                       
                       
    377-9.                
     evampi kho, bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati.  
      語根 品詞 語基 意味  
      evampi kho, bhikkhave, bhikkhu kāye kāyānupassī viharati. (374-13.)  
    訳文                
     比丘たちよ、じつにこのように比丘は、身に関して身を随観する者として住するのです。  
                       
                       
                       
     Paṭikūlamanasikārapabbaṃ niṭṭhitaṃ.  
      語根 品詞 語基 意味  
      Paṭikūla    a 依(属) 厭逆  
      manasikāra  kṛ a 依(属) 作意  
      pabbaṃ    an 結節、腕、部分  
      niṭṭhitaṃ. nih-sthā 過分 a 完了した、終わった  
    訳文                
     【厭逆作意の部】おわり。  
                       
                       
                       
     Kāyānupassanā dhātumanasikārapabbaṃ  
      語根 品詞 語基 意味  
      Kāya    a 依(属)  
      anupassanā  anu-paś ā 随観  
      dhātu    u 依(属) 界、要素  
      manasikāra  kṛ a 依(属) 作意  
      pabbaṃ   an 結節、腕、部分  
    訳文                
     【身随観:界作意の部】  
                       
                       
                       
    378-1.                
     378. ‘‘Puna caparaṃ, bhikkhave, bhikkhu imameva kāyaṃ yathāṭhitaṃ yathāpaṇihitaṃ dhātuso paccavekkhati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Puna    不変 さらに、ふたたび  
      ca    不変 と、また、そして、しかし  
      aparaṃ,    代的 副対 他の、別の  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      bhikkhu  bhikṣ u 比丘  
      imam    代的 これ  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kāyaṃ    a  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      ṭhitaṃ  shtā 過分 a 立った  
      yathā    不変 〜のごとくに、〜のように  
      paṇihitaṃ  pra-ni-dhā 過分 a 置かれた、願われた  
      dhātuso    u 界、要素  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      paccavekkhati –  prati-ava-īkṣ 観察する、省察する  
    訳文                
     比丘たちよ、さらにまた別に、比丘は、この身を、住立するまま、定置されるままに、要素より観察します。  
    メモ                
     ・dhātusoという変則的な曲用はPTS辞書では奪格、雲井辞書では与属格とされている。  
                       
                       
                       
    378-2.                
     ‘atthi imasmiṃ kāye pathavīdhātu āpodhātu tejodhātu vāyodhātū’ti.  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      ‘atthi  as ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      imasmiṃ    代的 これ  
      kāye    a  
      pathavī    ī 依(属)  
      dhātu    u 界、要素  
      āpo    as 依(属)  
      dhātu    u 界、要素  
      tejo    as 依(属)  
      dhātu    u 界、要素  
      vāyo    as 依(属)  
      dhātū’    u 界、要素  
      ti.   不変 と、といって、かく、このように、ゆえに  
    訳文                
     『この身には、地の要素、水の要素、火の要素、風の要素が存在する』と。  
                       
                       
                       
    378-3.                
     ‘‘Seyyathāpi, bhikkhave, dakkho goghātako vā goghātakantevāsī vā gāviṃ vadhitvā catumahāpathe bilaso vibhajitvā nisinno assa, evameva kho, bhikkhave, bhikkhu imameva kāyaṃ yathāṭhitaṃ yathāpaṇihitaṃ dhātuso paccavekkhati –   
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘‘Seyyathā    不変 その如き、たとえば  
      pi,    不変 〜もまた、けれども、たとえ  
      bhikkhave,  bhikṣ u 比丘  
      dakkho    名形 a 中→男 有能な、巧みな、熟練の  
      go    o 依(属)  
      ghātako  han 名形 a 男中 殺害する  
          不変 あるいは  
      go    o 依(属)  
      ghātaka  han 名形 a 男中 依(属) 殺害する  
      antevāsī    in 内弟子  
          不変 あるいは  
      gāviṃ    ī 牝牛  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vadhitvā  vadh 殺す  
      語根 品詞 語基 意味  
      catu     
      mahā    ant  
      pathe  path a  
      bilaso    a 副奪 部分、肉片、(副奪で)少しずつ  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      vibhajitvā  vi-bhaj 分割する  
      語根 品詞 語基 意味  
      nisinno  ni-sad 過分 a 坐った  
      述語 語根 品詞 活用 人称 意味  
      assa,    ある、なる  
      語根 品詞 語基 意味  
      evam    不変 このように、かくの如き  
      eva    不変 まさに、のみ、じつに  
      kho,    不変 じつに、たしかに  
      bhikkhave, bhikkhu imameva kāyaṃ yathāṭhitaṃ yathāpaṇihitaṃ dhātuso paccavekkhati – (378-1.)  
    訳文                
     比丘たちよ、たとえば、熟練の牛屠殺者、あるいは牛屠殺者の弟子が、牝牛を屠殺して大きな四つ辻で少しずつ切り分けながら座っている、じつにそのように比丘たちよ、比丘は、この身を、住立するまま、定置されるままに、要素より観察します。  
                       
                       
                       
    378-4.                
     ‘atthi imasmiṃ kāye pathavīdhātu āpodhātu tejodhātu vāyodhātū’ti.  
      語根 品詞 語基 意味  
      ‘atthi imasmiṃ kāye pathavīdhātu āpodhātu tejodhātu vāyodhātū’ti. (378-2.)  
    訳文                
     『この身には、地の要素、水の要素、火の要素、風の要素が存在する』と。  
                       
                       
                       
    378-5.                
     ‘‘Iti ajjhattaṃ vā kāye kāyānupassī viharati…pe…   
      語根 品詞 語基 意味  
      Iti ajjhattaṃ vā kāye kāyānupassī viharati (374-10.)  
      …pe…